Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2024年6月のプレイリスト

2024-06-30 | 今日のBGM


◆2024年6月のプレイリスト
2024年6月に聴いていた愛すべき30曲

1 Ziggy Stardust(The Yellow Monkey)
イエモンのルーツミュージック。リスペクトが伝わる丁寧なカバー。
2 わんだふるぷりきゅあ!evolution!!(吉武千颯)
祝🎊シリーズ通算1,000回。「わんぷり」予想以上に面白い。
3 薬屋(神前暁)
「薬屋のひとりごと」サントラより。
4 Too Far Away(香坂みゆき)
谷村新司のカバー。オリジナルの包み込むようなスケール感とは違った温かさ。
5 カリフォルニアの青い空(広瀬香美)
アルバート・ハモンドのカバー。雲も吹き飛ばしそうな歌声の爽やかな楽曲。
6 The Spirit Of Radio(Rush)
ポップな曲調で尺も普通なのに、変拍子やアレンジでこだわりをブッ込んでくる。かなり好き♡
7 月並みに輝け(結束バンド)
「劇場総集編ぼっち・ざ・ろっくRe:」鑑賞。劇場でライブシーンを観られる幸せ。
8 鳥籠の少年(森口博子)
カラオケで歌ってみたいんよ🎤♪
9 Everytime You Go Away(Daryl Hall and John Oates)
久々に聴くと、こっちのオリジナルはしみるわぁ🥹
10 Sexy Sadie(The Beatles)
ホワイトアルバムって、時々無性に聴きたくなる。

11 めっちゃ陽気な鉄道伝説(王様)
俺達はアメリカ人の楽団♪
12 雨のステイション(荒井由美)
会える気がして
いくつ人影見送っただろう♪
13 My First Guitar(Bon Jovi)
ギターを抱いたロック少年の素敵な歌。似た路線では、B'zのGuitar Kids Rhapsodyも好き🎸
14 あまぐも(ちあきなおみ)
配信解禁。イメージを掻き立てる歌詞、それを演ずる歌手。アレンジはミッキー吉野、演奏はゴダイゴのメンバー!🤩
15 Angel Baby(John Lennon)
戸川純のカバーで初めて知っただけに、ジョンのカバーは大人しく感じてしまう。
16 Heart of Glass(桃姫バンド)
尾崎亜美のバンドプロジェクトによるブロンディのカバー。数々の名カバーが流れたノエビア化粧品のCMでも使われた。
17 STAND BY YOU(歌種やすみ(CV:伊藤美来)、夕暮夕陽(CV:豊田萌絵))
アニメ「声優ラジオのウラオモテ」ED曲。
18 Together In Electric Dreams(Human League)
2003年のライプ音源。フィル・オーキーの歌声はちょっとお疲れ気味だけど、やっぱり素敵な曲です。
19 Barbarella(The Bob Crewe Generation Orchestra)
ロジェ・バディム監督によるセクシーSF映画サントラより。映像も音楽もオシャレなんだよな。
20 Steppin' Out(Joe Jackson)
音数が少ないのが妙にカッコいい。

21 ビューティフル・エネルギー(甲斐バンド)
ドラムの松藤英男がボーカル。中坊の頃、「こっちのほうがいいじゃん」と言う女子に渾身の反論をした(恥)
22 Reason(玉置成実)
着メロにしていた時期がある、お気に入りのガンダムSEED楽曲。
23 Hallelujah(Leonard Cohen)
音楽雑誌に楽譜が載っていたもので。
24 春紛い feat. アユニ・D, ニト。(MAISONdes)
令和版「うる星やつら」全48話完走。
25 Without You(Harry Nilsson)
カラオケで歌わせられた記憶が🎤♪
26 Summer Night City(Abba)
洋楽カラオケ行きたい🎤♪
27 I've Been Lovin' You(Otis Redding)
映画「フェリックスとローラ」で素敵な使われ方をしていた♡
28 Journey of a Lifetime(Evan Call)
アニメ「葬送のフリーレン」サントラより。通勤で聴くとちょっと気持ちがアガるw
29 サウンドスケープ(TRUE)
アニメ「響け!ユーフォニアム」2期完走。ラスト2話にうるうる🥹。さぁ劇場版と3期見なくちゃ。
30 INFINITY(才恵加)
歌ものを含むポップフュージョン。ありそうでなかった路線かも🎷♪









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Fly Me To The Moon (In Other Words)

2024-06-26 | その他のつぶやき


むかーし、気まぐれで書いた短編小説めいた文章。

Fly Me To The Moon (In Other Words)

  ★

今日も残業。
ちょっとうんざりして壁の時計を眺めていたら、同僚のN美ちゃんから内線電話が入った。
「お疲れっ!。私帰るとこ。実はちょっと相談があるんだけど、今夜あいてない?」
あのコからのミッションなら仕方ない。
僕はその日の仕事を適当なところで切り上げた。

僕らは映画館が建ち並ぶ街の一角にある、小さなショットバーに行った。
おじいちゃんと呼んでいいくらいの優しそうなマスターがいる、8畳間程の小さな店。
既に数人の先客がいた。棚の上の小さなオーディオからサッチモが流れていた。
映画街の近くの店だけに、客の会話も映画の話が多い。
40前後と思われる男性が
「ところで「パールハーバー」どう思う?。」
と熱弁を振るっている。

「ねぇ、話に加わりたいんじゃないの?」
「いいよ別に。「パールハーバー」なんて「アルマゲドン」のスタッフだろう?。まともな真珠湾攻撃の映画のはずがないじゃん。」
「ふふふ。」
「何だよ。」
「だって、もう語ってるんだもん。」

僕はフェリーニの映画の名がついたカクテルを注文した。
きつくもなく甘くもないおいしいカクテルだった。
店内にはフランク・シナトラの ♪Strangers In The Night が流れ始めた。


「それで、相談なんだけどね。」
彼女はつきあっていた彼氏と別れたらしい。
自分の何気ない一言が彼を傷つけてしまった、という。
「まぁお互い言葉が足りなかったんだろうけどね。」
僕は他人の恋愛に口を出すのは性に合わないが、彼女とはいい友達だ。
双方の気持ちを考えながら、僕ならどう思うか話をした。

しばらく話した後、
「・・・・ありがとうございましたっ!。」
彼女はカウンターに三つ指ついてそう言った。
「話したら気が楽になっちゃった。もう一杯飲んじゃおう!。」
少しだけ涙が浮かんでいたけど、その笑顔はドキッとする程素敵だった。
こんな彼女を悩ませた男のことを少し羨ましく思えた。

店には ♪Fly Me To The Moon が流れ始めた。
「「スペースカウボーイ」のエンディング知ってるかい?。この曲が流れて、いいラストでね・・・・」
さっきの「パールハーバー」演説の男性が話し始めた。
「あれはねぇ・・・」
カウンターの中のマスターも加わっている。
「フランク・シナトラって「マイウェイ」の人でしょ。おじさん趣味じゃない!。「スペースカウボーイ」もおじさん映画なんだ!」
と彼女は笑った。憎めない笑顔で。

店を出て見上げるときれいな月が出ていた。
僕は ♪Fly Me To The Moon を口ずさんでいた。
「おじさん趣味やめなよ。まだ若いんだからさぁ。でも私ももう少し素直になれればよかったのかな。」
そう言うと彼女は僕に合わせて最後のフレーズを口ずさんだ。
♪ in other words, please be true  in other words, "I love you"

「何だよ。おじさん趣味とか言ってたくせに。」
「シナトラは父さんが好きだったの。だから歌えるのよ。言い換えれば”愛してるってこと”か。こんな風に言えたらいいのにね。」

彼女の隣を歩いている僕の頭の中でも、同じフレーズが繰り返されていた。




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クラス・オブ・1999

2024-06-23 | 映画(か行)


◾️「クラス・オブ・1999/Class Of 1999」(1990年・アメリカ)

監督=マーク・L・レスター
主演=ブラッドリー・グレッグ トレイシー・リン マルコム・マクダウェル ステイシー・キーチ

「処刑教室」(1984)のSF版?とも言える特撮バトルムービー。「処刑教室」は教師の気持ちも見えたけれど、もはや本作は戦場でしかない。

無法地帯と化した学校に送り込まれたのは、3人のアンドロイド教師。やがてプログラムを逸脱した行動をとるようになった彼らは、ただの戦闘ロボットと化す。彼らに立ち向かうべく、不良グループの面々が立ち上がる。

近未来の設定や独自の未来観はまあ面白い。アンドロイドを導入した校長が、「時計じかけのオレンジ」で未来の不良を演じたマルコム・マクダウェルという、気が利いたキャスティング。パム・グリア先生が怖い😨。

優れた機械を送り込んだからって、「ロボコップ」のようにはいかんのよ。




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異世界おじさん

2024-06-21 | テレビ・アニメ



異世界ものや転生ものアニメが次々と発表される昨今。正直なところそれを冷ややかに思っていた。アクションファンタジーRPGもまともにプレイしたこともない僕だから、ますます興味がわかないのだ。

職場の同い年の方がコロナ禍以来アニメにハマっている。映画とアニメをまたいでチマチマ観る僕と違って、小説を読み解くようにシリーズを集中して観る人。
🙂「最近見て面白かったの、何ですか?」
その方が答えたのは
😼「異世界おじさん」

という訳で異世界ものに挑んでみた。

17歳から17年の昏睡状態にあったおじさんが目覚め、親族の誰もが引き取るのを嫌がった。甥のたかふみが病室に行くと、おじさんはその間異世界にいたと言う。そしてたかふみの前で魔法を使ってみせた。一緒に暮らすことになった二人に、たかふみの幼なじみの女性藤宮が加わり、おじさんの異世界ファンタジーバトルの冒険譚を毎回楽しむという物語。

異世界バトルだけなら、きっと僕は投げ出したと思う。だが、ゲーム育ちの偏った価値観、人生経験の乏しさから噛み合わない人間関係、現実世界での魔法の使い方、そしてSEGAゲームへのとんでもない偏愛に毎回クスクス笑わされ、全13話完走。

異世界ものを避けていたけど、これなら見られる!現実世界での、たかふみとのジェネレーションギャップの噛み合わない面白さや、たかふみとの距離を縮めたい藤宮との関係が楽しい。じゃあ異世界が舞台のパートはどうかと言うと、異世界でおじさんを取り巻く3人のヒロインにハートをしっかり射抜かれた😍。ボイスキャストの戸松遥、悠木碧、豊崎愛生が名演。特に戸松遥が、ツンデレキャラの硬軟切り替えを圧倒的な速さで演じ分けるのには感激した。

えーと、白状するとSAO以来戸松遥ファンでございます💧。出演する声優番組の公開収録が生息地であって、即応募当選✨。サンドウィッチマンの司会、浅沼晋太郎、落合福嗣、Machicoに伊藤沙莉も出演した番組で楽しゅうございました。はい。あー、もうちょっとカメラ左に向いてくれたら、客席バックの番宣映像に僕がフレームインしていたのにっw

ともあれおじさんの冒険譚、もっと聞きたいと思うのでありました。子安武人のおじさんも名演技。ムウ・ラ・フラガ、ポワロの助手ヘイスティングス(後期)が好きだけど、本作もいい仕事だ。

オススメしてくれた職場の同世代の方。ある日、他の人たちとアニメを話題にしていて、別の作品をオススメに挙げていた。
😼「無職転生とか…」
あれ。もしかして、現実逃避願望?異世界で無双したい!って日常の鬱憤がある!?でもなぁー。僕も人のことは言えない、言えない。だって、アニメだけじゃなくって映画と言う名の異世界にどっぷりなんだもん。かつて「マトリックス」に夢中になったけど、あれこそ現実逃避願望の極みだよな💧

記憶を消して最初から楽しみたいかも!
イキュラスキュオラ 忘却の魔法w🪄

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緑色の髪の少年

2024-06-18 | 映画(ま行)


◾️「緑色の髪の少年/The Boy With Green Hair」(1948年・アメリカ)

監督=ジョセフ・ロージー
主演=ディーン・ストックウェル ロバート・ライアン パット・オブライエン

ミニシアター通いが大好きだった1988年、「RKO映画の全貌」と題した特集上映が催された。「市民ケーン」「キングコング」など有名作や初公開作が並ぶ中、さんざん迷った末「キャットピープル」と「遊星よりの物体X」のホラー二本立てをチョイス。どちらも80年代にリメイクされてたし、今後劇場で観る機会が最もなさそうな気がしたからだ。ラインナップの中で、興味をそそられた作品が「緑色の髪の少年」。

それからウン十年後。配信で観られるじゃーん、いい時代になったねぇ。上映時間短めだし、昨夜の歓送迎会でちょっと疲れたコミュ障気味の僕にはちょーどいい気分転換かもっ。と安易な気持ちで再生ボタン。

冒頭、スキンヘッド少年取り囲んで「名前言ってみ?」「学校どこ?」と問い詰める大人たち。そこに児童専門と名乗る医師が話を聞くぜ、とやって来る。待てよ、この医者ロバート・ライアンじゃん。この役者のニコリとした表情なんて見たことないぞ。そんな渋オジはハンバーガーを少年に与えて、「食ったんだから話さないのは失礼だぞ」とかなんとか脅しめいたことを言う。すると「長い話になるぜ」と、まるでハードボイルド映画みたいな切り口で、ピーター少年はこれまでのことを話し始めた。

88年の僕は、本作を「光る眼」みたいな侵略SF映画だと勝手に想像していた。その後違うとは聞いていたけど、映画前半はクラシック映画らしい善意に満ちたストーリーにほっこり。親戚を転々とした少年が優しいおじいちゃんと暮らし始めて、次第に心のトゲが取れていく様子が描かれる。給仕の仕事をやっているおじいちゃんは、歌って踊れる楽しい人物。時々ミュージカルぽくなる演出。あー、ハリウッドクラシックらしいよな。監督誰だっけ…え?「エヴァの匂い」のジョセフ・ロージーなの?あれ一筋縄でいかない映画だったやん…。

不安は的中。賑やかに歌いながら戦争孤児のために古着を集める活動をしたピーター少年は、唐突に自分も戦争による孤児だと知らされる。両親が戻らない理由が何かを薄々感じてはいたけれど、ショックを受けるピーター。そして一夜が明けると彼の髪は緑色になっていた。

そこから映画は、偏見や差別の眼がどれだけ厳しいのかを、これでもかと見せつける。林で出会った戦災孤児たちと話す場面。ピーターや孤児である僕らは他の子供とは違う。髪の色が違うのもそのせいだと言われる。戦争を憎むピーターはその考えを受け止めて、戦災孤児だと自ら言ってまわるようになる。一方、髪の色が原因で学校に行けなくなり、大人たちからも嫌がられ始める。これまで頼りにしていたおじいちゃんやお医者さんも、納得できることを言えない。ついに大人たちはピーターに髪を切るように迫ってくる。床屋を取り囲み、覗きこむ人の眼、眼、眼。ディスプレイ越しにこの物語を見守っている僕らが、床屋を取り囲む偏見の持ち主なのかを問われているかのようだ。

いろんな意味で怖っ…。第二次大戦後の1948年に戦災孤児の置かれた姿を描くことにも意義があるし、当時まだ珍しいカラー作品で緑色の髪を表現したことにも大きな意義を感じる。RKO映画って挑戦的な作品を生み出していたのだなと改めて思った。



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シークレット

2024-06-17 | 映画(さ行)


◾️「シークレット/Secret」(1971年・イギリス)

監督=フィリップ・サビル
主演=ジャクリーン・ビセット ペール・オスカルトン ロバート・パウエル

中坊の頃。初めて買った映画雑誌に、その年に公開された映画のチラシ画像がズラリと並んでいる特集記事があった。へぇー、こんなのあるんだ。地方都市在住だとお目にかかれない映画もあれこれ。

ジャクリーン・ビセットは「料理長殿ご用心」や「ロイ・ビーン」をテレビで観て、綺麗な人だなぁーとマセガキながらに思っていた。本作「シークレット」もチラシ画像が載っていた。なーんか煽情的なコピーと共に気になった。
「あのジャクリーン・ビセットが全裸で挑む人妻の性!!」
感嘆符2個‼️ですよw。こんなんに出演してたのか😳。マセガキ君は(ちょっと)ドキッ💓としたのでした。ウン十年経って初鑑賞。製作は1971年で日本公開は80年。それで初めて買った映画雑誌に載ってたのか。ふむふむ。

平凡な日常に囚われて精神的に参っている夫婦。夫アランは就職試験に臨み、妻ジャッキーは娘を連れてコインランドリーに出かける。頭痛に襲われたジャッキーは公園に足を向けるが、そこでロールスロイスに乗った中年男性ラウルに声をかけられ、彼の家を訪れる。アランは試験中に妻とのことを考え続けていたが、面接対応をしてくれた女性と二人きりに。娘はランドリーで会った年上の少年の家に遊びに行く。三者三様のその日の午後。それぞれに言えない秘密ができた日になった。

もっと淫らなお話かと思ってた(マセガキの妄想?🤣)。確かに不倫話ではあるのだが、収まるところにきちんと収まって、しかもそれぞれの気持ちを見つめ直す時間と経験になりましたというお話。

娘は寝る前に父親に本を読んでもらうのが習慣なんだろう。いつものように父親が娘にキスしようとすると顔を背ける娘。それは少年との午後の記憶がよぎったからに違いない。

長回しのワンカットが多用されている。オープンカーから通りを渡るヒロインを追うカメラの目線が右往左往する場面は、おいおいと思う。けれど、ラウルとジャッキーが抱き合う場面はなかなか。脱ぎ散らかされた衣服、壁に飾られた亡き妻の肖像、鏡越しの二人がチラチラ見えて、やがて映像は二人をデーンと捉える。濡れ場に至るまでのラウルの気持ちが映像からにじんでいるようにも思える。マセガキ時代にこの場面を見ていたら絶対早送り⏩してただろなww。

少女が少年にもらった鉢植えを見つめる映像からつながるエンドクレジット。印象的で綺麗な幕切れ。
「コンピューターの仕事にはホームズよりもワトソンの方が向いている。」
なるほどなるほど。



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友情ある説得

2024-06-14 | 映画(や行)


◾️「友情ある説得/Friendly Persuasion」(1956年・アメリカ)

監督=ウィリアム・ワイラー
主演=ゲイリー・クーパー ドロシー・マクガイア アンソニー・パーキンス マージョリー・メイン

本作は、この年のアカデミー賞にノミネートされながら受賞は逃している。他のノミネート作は、「八十日間世界一周」や「十戒」「王様と私」などいかにもスクリーン映えしそうで、非アメリカを舞台とする派手めの作品が目立つ。そんな中で宗教的信条と戦争を描いたクエーカー教徒の人間ドラマは、地味に感じられたのかもしれない。一方で、本作はこの年のカンヌ映画祭パルムドールを受賞している。アメリカ史を振り返り、信条と現実に葛藤するドラマがヨーロッパの好みに合ったのかも。

平和主義で争いを許さず、禁欲的なクエーカー教徒。特にアーミッシュと呼ばれる少数民族で信仰されている宗派である。僕ら世代の映画ファンなら、ハリソン・フォード主演の「刑事ジョン・ブック 目撃者」でアーミッシュを初めて知った方も多いと思う。本作ではクエーカーの教えが他のキリスト教とどう違うのかが丁寧に描かれる。教会での集まりが対比される編集で、オルガンで讃美歌を歌う様子と、静まり返ったクエーカーの集まり。

厳格に教えを守り牧師でもある妻エリザと負けず嫌いで進歩的な夫ジェスも、信じる根本は同じながらも対比される。村の祭りに出かけることや、音楽への興味関心など意見の相違は明らかだ。特に教会に行く道中で馬車の競争をけしかけられる場面は、微笑ましくも、ジェスのキャラクターがにじんでくる名場面。妻には競い合わない馬と交換すると言っておきながら、抜かれるのが嫌いな足の速い馬と交換するエピソードが好き。ゲイリー・クーパーがしてやったり!とニンマリするのが楽しい。「真昼の決闘」「誰が為に鐘は鳴る」の険しい表情が印象深いだけに、このジェス役は人情味があってとても魅力的だ。この数年後にウィリアム・ワイラー監督は、戦車競争シーンで有名な「ベン・ハー」を撮ることを思うと、妙なつながりを感じてしまう。

そんな平和な日々も南北戦争の戦火が迫り、変わっていく。村では銃をとらないクエーカー教徒への反感が高まっていき、長男は従軍したいと言い始める。息子を救いに向かったジェスも、南軍の兵士を前にして葛藤が襲う。「汝殺すなかれ」を戦場で貫く厳しさは、メル・ギブソン監督の「ハクソー・リッジ」ではさらに深刻なビジュアルで描かれているが、本作のゲイリー・クーパーが演ずる心の揺らぎも忘れがたいものになるだろう。

全般的には、牧歌的な冒頭が宗教的な信条をめぐる辛いドラマに変化していく映画。しかし随所に散りばめられたジェスと家族のエピソードは心温まるもの。また、アメリカの歴史をクエーカー教徒の一面から見つめ、少数民族への理解にもつながる作品だ。同じ年の映画が非アメリカに視線が向いていたのとは対照的。今回初めて観て、黄金期のハリウッドだから撮ることができた秀作であることがよくわかった。




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劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:

2024-06-11 | 映画(は行)


◾️「劇場総集編ぼっち・ざ・ろっく!Re:」(2024年・日本)

監督=斎藤圭一郎
声の出演=青山吉能 鈴代紗弓 水野朔 長谷川育美

10年前。当時の上司がアニメ「けいおん!」大好き(ムギちゃん推し)で、グッズ発売日に休暇をとって買い漁っていた。その様子を微笑ましく見ていた当時の僕(唯ちゃん推し)であった。それから10年経った本日。故あって入れたはずの午後休み使って「ぼっち・ざ・ろっく!Re:」🎸✨初日に参戦。
きゃほー😆
あの時の上司と同じカテゴリの人間になった自分を自覚した💧

「ぼっち・ざ・ろっく」は、ここ数年でどハマりしたアニメの一つ。その理由はアニメのレビュー(こちら)をご覧いただくとして、本作はその総集編前編。「どうしてバンドをやるのか」に対するメンバーそれぞれの思いを主軸に置いた編集になっている。シリーズ中盤に登場する名エピソードの、虹夏がひとりに問いかける場面からこの劇場版は始まる。

放送順にダイジェストにするのかと思っていたら大間違い。この総集編の編集では「なぜ」が貫かれているから、ひとりの"ちやほやされたい"も、リョウ先輩の"嘘くさい歌詞の曲やりたくない"も際立ってくる。バンドの運営方針やらグッズ決めるエピソードも楽しかったけれど、楽曲のバックでサラッと日常風景にしたところもナイス。そこが許せないと言う人は、「あなたが私のマスターか」をバッサリ切り落とすFateの劇場版に怒りを向けてくださいww

本作は物語の振り返りも大事だけど、なんてったって音楽に没頭できる時間であることが素敵。映画館の大音響で聴く「ギターと孤独と青い星」に身体がじっとしてられない。テレビでは流れなかった楽曲も登場するし、新曲によるオープニングには新規カット!?が見え隠れ。

僕は廣井きくりさんが好きで、かっちょいい路上ライブ場面がお気に入り。「目の前にいるのは敵じゃないよ」のひと言に、テレビの前で泣いてしまった。今回もわかっちゃいるのにまた同じ場面で泣きそうになる。あの言葉響くのよ。バンドやってた頃の自分にも、今の自分にも🥹。そして、虹夏のタイトル回収の名台詞。あーそうだ。君のロックをやればいい。その言葉は、スクリーンのこっち側の僕らにも向けられているんだよ。またウルウルきてるよ、いい歳こいたおっさんがさ(恥)🥲

脚本の吉田恵里香さんは、朝ドラ「虎と翼」も手がけている。ヒロインを取り巻く人々が、彼女を才能開花に向かわせる素敵な存在で、脇のキャラクターまでとても大事にしてると見る度に思う。本作も然り。

入場者特典のミニ色紙は虹夏でした。えーと、わたくし虹夏推しです(嬉)。やっぱり10年前の上司と同じカテゴリに属してるな、オレ🤭

後編も楽しみだっ!♪🎸⚡️アジカン楽曲「Re:Re:」をタイトルに持ってくるセンスも好き。




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アガサと深夜の殺人者

2024-06-09 | 映画(あ行)


◾️「アガサと深夜の殺人者/Agatha and The Midnight Murder」(2020年・イギリス)

1940年、度重なるロンドン空襲。クリスティは戦争中に多くの作品を書いたと伝えられるが、その中にミス・マープルの最終作、ポワロの最終作「カーテン」が含まれている。この2作はこの時期に発表されず、クリスティが亡くなる1976年に初めて出版されることになる。第二次世界大戦の中でロンドン市民もクリスティも、空襲に怯えて暮らしていた。実際にインタビューでも自分は空襲で死ぬと思っていた、と述べている。

英国チャンネル5製作の妄想アガサシリーズ第3作は、戦禍の時代を背景に、生活のためにポワロ最終作を売る決心をしたアガサが殺人事件に巻き込まれる物語。

アジア人のファンに原稿を売ることにしたアガサは、ホテルの地下にある店にボディガード的な付添人と訪れる。目を離した間に原稿がなくなるトラブルが発生。そこに空襲警報が鳴り響き、アガサを含む店の客たちはその場から動けなくなる。すると取引相手が突然苦しみ出して死亡。居合わせ女性巡査が場を仕切ろうとする中、二人目が殺される。犯人は誰か。アガサの観察眼が全員に向けられる。

今回もクリスティ作品"ぽい"演出でアガサの実像を描こうとしている趣向が面白い。おなじみの閉鎖された空間、一人ずつ犠牲者が出て疑惑の目が交差する。オープニング以外は、店と隣室、ホテルのバーとロビーくらいしか場面がない。舞台劇と言ってもいい演出になっているのも面白い。クリスティ作品と言えば、ロングラン記録をもつ「ねずみとり」や「検察側の証人」など戯曲の傑作も多いだけに、ここにもリスペクトが感じられる。

本作が他の2作品と違うのは見ていてほっこりできる要素が全くないことだ。観客も店に閉じ込められているかのように、カメラは主観移動ぽく右を向き左を向き、たじろぐようにあたりを見回す。銃撃もあれば、流血もある。これがいちばん面白いとの感想もあるけれど、確かにいちばん刺激的。

ラストで原稿をバッグに収めながら、「唯一頼れるものを殺すところだった」と言うひと言は、自身が創造したポワロとアガサのこれまでの実績に向けられた言葉なんだろう。それにしても、アガサを中心に何人もの死を招いてしまうエピソードだけに、予想を超えてヘヴィな後味の作品。まぁ妄想ドラマだから、と楽しんでおきましょう。



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アガサとイシュタルの呪い

2024-06-07 | 映画(あ行)


◾️「アガサとイシュタルの呪い/Agatha and The Curse Of Ishtar」(2019年・イギリス)

1928年、離婚が成立したアガサ・クリスティはイラクに旅行する。その旅先で何があってその後につながっているのかを、前作「アガサと殺人の真相」に続いて妄想したドラマ第2弾。2番目の夫となる14歳年下の考古学者マックスとの出会いと、発掘をめぐる事件の謎を共に追う物語になっている。

前作の無鉄砲な行動とは違って、本作のアガサは落ち着きを感じさせる。訪れた発掘現場でマックスが何者かに銃撃され負傷しているのを救う、劇的な出会い。考古学者夫婦を訪ねたら、ペットの猿が首を吊られて死んでいる騒ぎが起きていた。猿を殺したのは誰?アガサは若い頃に身につけた薬学の知識で、猿が毒で死んでいることを突き止める。実は屋敷の誰かが狙われているのでは?と考えた二人。

高圧的な発掘現場の地主、ベッドで激しくイチャイチャする考古学者夫妻、領事とその妻、警備の仕事をする現地の男性、医学の知識を持ちながら雑用係で雇われている女性。それぞれが抱える発掘や英国に持ち去られる品々への複雑な心境、男と女の相関関係が入り乱れる。そんな中で次第に惹かれ始めるアガサとマックスだが、二人の身にも危機が。Filmarksでの微妙な評価と妄想の再現ドラマで甘く見ていたれど、複雑な人間模様と二転三転する展開を僕はけっこう楽しめた。

謎解きの現場に登場人物が一堂に会するクライマックス、毒物に関する描写の数々はクリスティ作品"ぽい"ムードを作っていて好感。そしてその後のクリスティが、別のペンネームであるメアリ・ウェストマコットを名乗って恋愛小説を発表する史実につなげていく。コナン・ドイル宛に電報を打つのは史実なんだろか?そこだけはちと疑問。



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