Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

海辺の映画館 キネマの玉手箱

2020-10-29 | 映画(あ行)


◾️「海辺の映画館 キネマの玉手箱」(2019年・日本)

監督=大林宣彦
主演=厚木拓郎 細山田隆人 細田善彦 吉田玲

日頃映画の感想で用いる言葉を駆使しても、大林宣彦監督の遺作「海辺の映画館」の感想をうまく言い表すことは難しい。
感動、共感、圧倒された、感じるしかない、ノスタルジー、ファンタジー、厳しい現実、独特の美学、アート、etc。
これらの言葉が、この映画の前には陳腐に感じる。そんな要素がすべて盛り込まれていて、ニヤッと笑えるかと思えば、あまりにも無残な死を前にして戦慄し、少女の微笑みにほっこりしたかと思えば、悲劇に涙する。3時間、目の前を様々な映像が通り過ぎるけれど、どれも強烈なインパクトや個性、熱量を持っている。

映画冒頭に示されるように、これは映画で表現する文学。中原中也の詩が読み上げられて、画面左端に映し出される縦書きの文章や台詞とともに、描かれるエピソードと呼応する。されど大林宣彦監督はカルトな人気作「HOUSE」や最初の尾道三部作でも見られるように、静止画、色彩の変化、ノイズを交えたエフェクトを織り混ぜた映像のコラージュとも言うべき表現を用いる人でもある。監督自身の手による編集はとにかく凝っている。

文章表現なら既出の場面を匂わす程度しかできないことを、その場面を執拗に挿入することで、込められたメッセージを強烈に印象づけている。特にチケット売場のおばちゃん白石加代子が繰り返す「ピカ!」のひと言。最初から原爆のことだろうと察しはつくけれど、映画後半の慰問劇団桜隊のエピソードになってその繰り返しが意味をもってくる。原爆が落ちた瞬間の「ピカ」で死んだ人々と、その後の爆風による「ドン」で死んだ人々について被害の事実が示される。ピカとドンの境目で、訳もわからず死んだ人と少なくとも何か起こったことを閃光で知った人との差。映画は他にも時代を超えて戦争の犠牲となった若者たちのエピソードが語られる。戦争とはいかに痛ましいものなのか。ファンタジックな表現を交えつつ、日本人が日本人を殺すことすらあった戦時中の恐ろしさが描かれる。この映画を観たら、戦争をファンタジックに描いた「ジョジョ・ラビット」なんて、それ風に見える包紙で覆われただけにしか思えないだろう。

一方で、映画愛を描くことも忘れない。パラパラマンガをフィルムに描き込んだアニメーション、戦時中に会ったジョン・フォードらしきアメリカ人映画監督、小津安二郎も出てくる。何よりも主人公3人は、名だたる映画監督の名前をもじったもの。なんて素敵な遊び心だろう。そして映画館という場所への愛おしさ。

3時間、平和と反戦の言葉が幾度も繰り返される。死の間際に走馬灯のように人生を思い返すと言うが、この映画は大林宣彦監督が臨終に見るであろう、その走馬灯の光景をスクリーンに刻みこんだ作品なのだ。とにかく監督が伝えたいことを詰め込まれた映像の迷宮。寺山修司の映画を2回連続で観るくらいの覚悟で(?)、この長尺な怒涛の映像表現のラビリンスに迷い込んで欲しい。
「世界に平和が訪れたらまたお会いしましょう」
と映画は結ばれる。その言葉がズシリと響く。





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プライドと偏見

2020-10-26 | 映画(は行)


◾️「プライドと偏見/Pride & Prejudice」(2005年・イギリス)

監督=ジョー・ライト
主演=キーラ・ナイトレイ マシュー・マグファディン ドナルド・サザーランド ロザムンド・パイク

第一印象はどうしてもひきずるもの。それを覆すのはどうしたって時間と誤解を解く努力が必要だけど、聞く耳なんぞもってもらえない。それを乗り越えて相手を理解すると目の前の風景はガラッと変わる。現実はあきらめが先にきちゃうんだけどね。

女性に相続権が認められなかった18世紀。5人の姉妹を裕福な男性に嫁がせるためベネット夫人は懸命だった。ある日、独身の富豪ビングリーが引っ越してくる。舞踏会に参加した姉妹。長女ジェーンはビングリーにダンスを申し込まれ、いい雰囲気に。一方読書家で知的な次女エリザベスは、ビングリーの友人ダーシーと出会う。愛想のない彼の人を見下すような言動に苛立った彼女は、露骨に嫌悪感を示す。突然ビングリーがロンドンへ戻ってしまい、さらには若い軍人に熱をあげた末っ子リディアが駆け落ちする騒ぎが持ちあがる。ビングリーがジェーンの元から去ったのはダーシーの助言によるものと知ったエリザベスは怒りを募らせるのだが、そんなダーシーから突然求婚される…。

男女のすれ違いはいつの世にもあるもの。いわゆるロマンティックコメディの良作は、誤解を乗り越えて理解と信頼と愛情につながる物語。ジェーン・オースティンの「高慢と偏見」の映画化である本作は昔々のお話だけど、情報と噂話に流される現代にもまさに通ずる物語。それだけに時代を超えて読み継がれ、21世紀に「ブリジット・ジョーンズの日記」に形を変えてよみがえるのだ。

文学作品の映画化ではあるし、ダーシー氏の気持ちが分かりにくいまま進むから、シリアスに捉えてしまうかもしれない。でも単なる18世紀のコスチュームプレイ映画ではない。肩に力を入れずに見慣れたロマコメと思えば、二人が罵り合う場面もなんだか微笑ましいじゃない。

キーラ・ナイトレイのエリザベスはまさにベストの配役。こういう時代の進歩的で勝気な女性役は本当によく似合う。映画前半頼りなかった父親が、エリザベスの決意を祝福するラストの爽快感。「ダイ・アナザー・デイ」以来気になる存在だったロザムンド・パイク、こういう表情が見たかったのでちょっと嬉しい。

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天使の入江

2020-10-24 | 映画(た行)

◾️「天使の入江/La Baie Des Anges」(1963年・フランス)

監督=ジャック・ドゥミ
主演=ジャンヌ・モロー クロード・マン ポール・ゲール アンナ・ナシエ

物事にのめり込み過ぎて破滅していく姿を観るのは辛い。映画「天使の入江」でギャンブルの泥沼にハマっていく主人公は、銀行員のジャンと夫も息子も失った女性ジャッキー。

友人からの誘いで初めて行ったカジノで大儲けしたジャンは、賭博を嫌う父親の反対に耳も貸さず、ヴァカンスをカジノで過ごす為にニースへ向かう。ルーレットのテーブルで出会った二人は、その日大儲けをするのだが、翌日大負けしてしまう。しかし再び大金を手にした二人は車を買いドレスアップして、さらに一儲けしようとモンテカルロへ。彼女への恋心も芽生えてきたジャンと、自堕落な自分に恥じながらも賭けの快楽から逃れられないジャッキー。ラッキーはいつまでも続くものではない…。

ギャンブルを「お金のためじゃない。贅沢と貧困を両方味わえるのが魅力」だと言い放つジャンヌ・モロー。賭けている時の生き生きした表情を見ても、その瞬間のスリルに身を任せているのがよくわかる。こういう他人に理解されにくい自我がある女性を演じさせたら、ジャンヌ・モローは憎たらしいくらい巧い。ジャンを振り回す憎まれ役かもしれないが、人間の弱さをも演じてみせて、他の映画で見せるいけ好かないけどカッコいい女性像とは全く違う。

カジノを出て行くジャンを追いかけるジャッキーを、オープニングと同じ一点消去の構図で撮ったラスト。表面的にハッピーエンドのように見せながら、万事解決とは到底思えない不思議な余韻が残る。ミシェル・ルグランの軽快な音楽が素晴らしい。ツキがくると再び流れて、二人の高揚感をセリフなしに表現する。ドゥミ監督とルグランのタッグだからこそできる見事な演出。そしてジャンヌ・モローの衣装を手がけたのはピエール・カルダン。この出会いで、二人は大恋愛に発展するのだ。



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クリスタル殺人事件

2020-10-21 | 映画(か行)






◾️「クリスタル殺人事件/The Mirror Crack'd」(1980年・イギリス)

監督=ガイ・ハミルトン
主演=アンジェラ・ラズベリー エリザベス・テイラー ロック・ハドソン ジェラルディン・チャップリン

アガサ・クリスティの「鏡は横にひび割れて」の映画化。「クリスタル殺人事件」との不思議な邦題をつけられた。日本公開の1981年は田中康夫の小説「なんとなく、クリスタル」が大ヒットをしていた頃。「鏡」か…光って割れるもんならクリスタルでええやん!流行ってるし!というノリがあったかどうかは知らないが、この時期続いていたクリスティ映画の邦題が「○○殺人事件」だったからオリエント急行、ナイル…と合わせる必要があったんでしょね。そんな訳で、なんとなく、クリスタル。

イギリスの田舎町に映画撮影の為にやって来た大女優マリーナと夫で映画監督のジェイソン。地元の人々との交流のためにお屋敷で開いたパーティで、参加者がカクテルに入れられた薬物で死亡する事件が起こる。町に暮らすミス・マープルはゴシップ好きで人間観察に優れたおばさん。現場にいた家政婦チェリーや事件を担当する甥スコットランドヤードのクラドック警部から聞いた話から事件の推理をしていく。

初めてテレビの映画番組で観た頃、僕はかけ出し映画ファン少年だった。そんな僕でも名前を知ってる往年のハリウッドスター共演。そんな華やかさが楽しい印象だった。それはそれでいい。だってミステリーなんだもの。謎解きとアガサ・クリスティ作品の人間模様を合わせて楽しめれば、それが一番。アンジェラ・ラズベリーはこのマープル役のイメージから、後の「ジェシカおばさんの事件簿」につながったのかな。

しかし、あれこれ映画を観てええ歳のおっさんになった今これを観ると、グッとくるところがその頃とは明らかに違う。だって、当時の僕はまだロック・ハドソンとリズが共演した「ジャイアンツ」もキム・ノバクの「めまい」も観ていない。ロック・ハドソンがエイズで亡くなるずっと前の作品だ。このキャストが揃う有り難み。このキャストだからこそ再起を賭ける女優の気持ちをすっと受け止めることができる。またハリウッドの内幕を描いた映画を観たことのある今だから、プロデューサー役のトニー・カーティスのちょっとした台詞や皮肉な言い回しも楽しい。また復帰作に選んだのが、メアリー・スチュワートとエリザベスという反目する二人の女王の物語というのも、仲の悪い二人の女優共演の舞台として面白い。

監督のガイ・ハミルトンは「007」シリーズで知られる方でもある。映画ファンは変なご縁を感じたりもする(笑)。執事を演じたチャールズ・グレイは、ハミルトン監督の「ダイヤモンドは永遠に」でボンドの宿敵ブロフェルドを演じた人物(「007は二度死ぬ」にも出演)、またエドワード・フォックスも「ネバーセイ、ネバーアゲイン」でMを演じている。無名時代のピアース・ブロスナンも出てるから探してみてね。





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映像研には手を出すな!

2020-10-18 | テレビ・アニメ


TVアニメ「映像研には手を出すな!」全12話完走。

湯浅政明監督の表現力と、原作が持つ狭いのにとてつもなくディープな世界観が絶妙にマッチした傑作。ヲタクを勇気づける作品との感想は多いけれど、何事であってもディープにのめり込む人の姿はカッコいいことを教えてくれる。そういう意味では、湯浅監督の「ピンポン THE ANIMATION」にも通ずる痛快な作品。

日常の風景をアニメの設定画のように描いて妄想に耽っていた浅草みどりは、自分が思い描く最強の世界をアニメにしたいと思い立つ。彼女の唯一の理解者でお金になることが大好きなビジネス発想の金森さやかと、アニメ研の上映会で出会ったカリスマ読者モデル水崎ツバメという三人は、映像研を立ち上げて独自のアニメーション製作に乗り出す物語。

湯浅政明という表現者を得たことで、この原作は翼を手にした。浅草のイマジネーションが炸裂する空想場面では、ラフなスケッチ風の作画にすることで、スケッチブックの上にあっただけの世界が無限の広がりを得ていく。ニッポンアニメのクオリティは、この物語で描かれるようなクリエイターの情熱がある。これまで見た作品にも、これから出会うであろう作品の向こう側にもそんな人たちがいるんだ。

初回の冒頭、明らかに「未来少年コナン」である別タイトルのアニメを見ながら、アニメが好きになる瞬間が描かれた。僕らもこのシーンで完全に心を掴まれた。生徒会の予算審議委員会での作品上映がある第4話では、作品が多くの人の心を掴む瞬間がど迫力で描かれる。この2回だけでご飯何杯でもいけちゃいそう。

一方で三者三様の成長物語であることも、作品をヲタ色だけにとどめない重要な要素。特に水崎がアニメはダメという親の反対を乗り越えて理解される第8話、金森が商魂を身につけたルーツが語られる第9話には涙誘われる。エロさ皆無の銭湯のエピソードや、幼い水崎が夢中になった水の動きのエピソードでは、湯浅監督独特の水の表現も素晴らしい。

声優初挑戦の伊藤沙莉、ハスキーな声が大好き。昨年、番組の公開収録で見られたのはラッキーでした♪

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ガス人間第1号

2020-10-17 | 映画(か行)





◾️「ガス人間第1号/The Human Vapor」(1960年・日本)

監督=本多猪四郎
主演=土屋嘉男 三橋達也 八千草薫 佐多契子

東宝特撮ホラーは幼い頃から興味はあった。怪獣映画図鑑めいた本の片隅に必ずこれらの作品も紹介されていて、どんなんだろうとずっと思っていたっけ。「ガス人間第1号」は変身人間シリーズと題された三部作の第三作。

不可解な銀行強盗が発生し、警察は犯人を追い詰めながらも取り逃してしまう。捜査線上に上がったのは美しい日舞の家元藤千代。一時低迷していたが再起を賭けた発表会を催すつもりで、散り散りになった一門に金を積んで協力を依頼していた。その紙幣が銀行から盗まれた紙幣と一致したために藤千代は逮捕。そこへ真犯人だと名乗る男が現れ、藤千代を釈放するように要求。そして不可能と思える銀行での犯行を再現してみせると言い始める…。

マッドサイエンティストによって人体実験の犠牲となった悲劇がストーリーの軸。しかし、肉体を気体化するその能力を悪事に用いながらも、その動機はあくまでも愛する日舞と藤千代のためという一途さ。さらに警部補と新聞記者のカップルが絡んだ男と女のエピソードが、物語を一層深くする。「愛されていると思ったことはありますか?」と静かに問いかける藤千代のひと言に、これはただのホラー映画じゃない、と思い知らされる。貫かれた愛の物語にラストシーンは絶句する。これは和製「オペラ座の怪人」だ。

八千草薫の静かな熱情、お嬢さんを見守る老人左卜全、そして毎度怪演の土屋嘉男。今の技術がない時代に様々な工夫を凝らしたガスに変化するシーン。格子戸を潜り抜けるシーンは、チープなんだけど、当時は「ターミネーター2」の液体人間T-1000並みの衝撃だったに違いない?w






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追悼 筒美京平

2020-10-13 | 今日のBGM






筒美京平が亡くなった。70年代の歌謡曲を聴きながら大きくなって、80年代のアイドルポップス育ち世代だけに、すんごい喪失感。小学校低学年の頃、「好きな歌は?」と尋ねられて「浅田美代子の赤い風船」と答えていたマセガキだったんだもの。

編曲のうまさも筒美京平作品の魅力のひとつ。メロディの隙間を印象的な音色の旋律で埋め尽くすのが特徴だ。いい例がジュディ・オングの「魅せられて」。
みなみーにむいてるまーどをあーけー♪
に続いてギリシアの弦楽器ブズーキの印象的な音が心を地中海に誘う。

本日の通勤BGMは、筒美京平のトリビュート盤「popular music」。愛聴盤の一つで、収録曲も参加アーティストも素晴らしい。
山崎まさよし「さらば恋人」
つんく♂「セクシャルバイオレットNo.1」
BONNIE PINK「人魚」
草野正宗「木綿のハンカチーフ」
島谷ひとみ「魅せられて」
徳永英明「たそがれマイラブ」
などなど、曲のイメージを損ねない人選がいい。
特にお気に入りは、
ダンサブルなアレンジがやたらカッコいい柴咲コウの「ブルーライト・ヨコハマ」、もはやクラシック歌曲の秋山雅史「飛んでイスタンブール」。
そしてクレイジーケンバンドの「また逢う日まで」で締めくくり。

エレカシの宮本浩次が「木綿のハンカチーフ」のカバーを最近歌っているけど、彼と同い年だけにこれも胸に響く。

名曲は歌い継がれる。
ご冥福をお祈りします😢



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OH!タカラヅカ

2020-10-11 | 映画(あ行)






◾️「OH! タカラヅカ」(1982年・日本)

監督=小原宏裕
主演=美保純 冨家規政 玉川スミ

けしからん。実にけしからん。
当時の目線でも今の目線でも、それ大人としてダメでしょ!というエピソードと登場人物。

温泉の成分の影響で女性が生まれやすいため、女性人口が多く、性風俗産業が栄えたとある島。その島の女子だらけの高校に新任男性教師がやってくる。彼は持続力がないのが悩みの種。それを茶化されながらも、次々に言いよられる日々を過ごしていた。島では女子高生が襲われる事件が相次いでおり、そして、島のお祭りの男性代表"お種さま"の選出が迫っていた。

女だらけの島という舞台を用意して「すみれの花咲く頃」を歌わせる。歌劇団の清く正しく美しいイメージを逆手にとったこの企画。なんてけしからん。当時クレームあっただろうなあ。

「男たちはみんな同じ欲望のためにこの島に来てる。」と男を見下す美保純の台詞。いや、それはスクリーンのこっち側にいる男たちにも向けられたひと言だろww。そんな台詞を聞かせておいて、延々と続く男目線のハーレムコメディ。原作はコミックらしいけど、にっかつロマンポルノだからこそなし得た作品。うーん、けしからん。

とは言え、短い上映時間で男性客の欲望を満たすための映画でありながら、エピソードも満載でストーリーの起伏がある。しっかり楽しめるエンターテインメントになってるのはうまい。パンクロックアレンジの「すみれの花咲く頃」や、ビートルズぽい音楽が流れる、全くけしからん女の園の物語。

そして、何よりも元気いっぱいの美保純。
まったくけしからん♡





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追悼 エドワード・ヴァン・ヘイレン

2020-10-09 | 音楽
エディ・ヴァン・ヘイレンの訃報を目覚めてすぐに聞くなんて。また憧れのミュージシャンが一人いなくなった。でもそれだけ長い間第一線で活躍し続けて、僕らに興奮と感動を与えてくれたんだ。感謝。

高校3年の春、僕の出身地で「ベストヒットU.S.A.」の放送が(やっと)始まった。あの初回は僕らにとんでもない衝撃を与えた。思えばあの回に登場したバンドやアーティストは今でも聴き続けているものばかり。その週のチャート1位が、忘れもしないヴァン・ヘイレンのJump。

笑顔でかっちょいいギターソロを奏でるエディは、すぐに僕らのクラスでヒーロー視されるようになる。

僕は鍵盤弾きなので、エディのキーボードプレイにも魅了された。アルバム「1984」はシンセを大々的に取り入れた革新的なロックアルバム。傑作が次々リリースされた奇跡のような年だった1984年。僕は「1984」を、「Born In The USA」や「Like A Virgin」よりも繰り返し聴き、「Purple Rain」や「Footloose」のサントラよりも弾いてみようと試みた。JumpのオーバーハイムXaの分厚いシンセブラスを、ヤマハDX7の廉価版シンセであるDX21で再現しようと試みた(僕には無理でした)。間奏の手ぐせのようなソロも、速弾きできないくせに練習したっけ。

I'll waitの渋いシンセ、Love Walks Inのスケール感、Right Nowのピアノリフなどキーボードが印象的な曲の存在も素敵だった。

僕がギタリストに憧れる変なキーボード弾きに成長したのは、間違いなくエディ・ヴァン・ヘイレンのせいだ。ご冥福をお祈りします。
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荒野のストレンジャー

2020-10-05 | 映画(か行)





◾️「荒野のストレンジャー/High Plains Drifter」(1973年・アメリカ)

監督=クリント・イーストウッド
主演=クリント・イーストウッド ヴァーナ・ブルーム マリアンナ・ヒル ミッチ・ライアン

クリント・イーストウッド監督主演による異色西部劇。

流れ者の男がラーゴと言う小さな町にやって来る。絡んできた荒くれ者3人を3発で撃ち殺したのを見た町の人々は、刑務所を出て報復に戻って来るブリッジスに備えるため、彼に町の護衛を頼んできた。何でも言うことを聞くと言う条件で、ブリッジスの襲撃に備える様々な指示をする。彼の要求は町の人々の間に亀裂を生みギクシャクし始める。だが、町にはかつて正義を貫こうとした保安官が鞭で打たれて殺された過去があった。

あらすじはオーソドックスな西部劇のストーリーなのに、全体に漂う不穏な空気感は物語が進むにつれてさらに濃度を増し、謎が深まっていく。スカッとするアクションもなく、流れ者が炎をバックに悪党に立ち向かうクライマックスは、ホラー映画のような怨念すら感じる。まさに異色西部劇。夜の対決シーンだけに血しぶきが目立たない一方で、真っ赤に塗られた町並みの不気味な雰囲気が流血をイメージさせる。画面下中央に銃が位置する主観ショットは、今どきの戦闘ゲームの画面と同じで、映画の緊張感を高めるうまい演出。

この西部劇が他の西部劇と違うのは、殺される悪党3人が真の悪役ではないところ。彼らと流れ者を利用しようとした町の人々こそが、物言わぬ悪人という物語。今の目線で観ると、後のイーストウッド作品につながるテーマを感じさせる。

結局流れ者クリント・イーストウッドの正体も分からず、名も名乗らないまま映画は終わる。ラストシーンで墓標を彫る男に「お名前を」と尋ねられるが、「知ってるさ」のひと言で片付けられる。その時の問いかけた男の表情から、死んだ保安官との何らかのつながりを匂わせる。保安官のよみがえり?亡霊?兄弟?どうとでも解釈できる謎を残したまま映画は終わる。

ちなみに。鞭で打たれて町の人々に見殺しにされた保安官を演ずるのはバティ・ヴァン・ホーン。後にイーストウッド映画の監督を務め、この映画の頃はスタントマンとしてイーストウッドを支え続けた俳優である。悪夢を見ているような回想?シーンで登場する容姿はどこかイーストウッドぽいので、ますます深読みになりますね。





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