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Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

天国から来たチャンピオン

2025-05-07 | 映画(た行)


◼️「天国から来たチャンピオン/Heaven Can Wait」(1978年・アメリカ)

監督=ウォーレン・ビーティ バック・ヘンリー
主演=ウォーレン・ビーティ ジュリー・クリスティ ジェームズ・メイスン ジャック・ウォーデン

死んだボクサーが主人公の「幽霊紐育を歩く」をリメイクした70年代のヒット作。アメリカンフットボールの選手に翻案されており、スーパーボウル出場がクライマックス。アメリカ人には、やたらと盛り上がれる改変なんだろう。

ウォーレン・ビーティが、まだ寿命があったのに天使の手違いで死んでしまったフットボール選手を演じる。誤りを認めた天使たちの計らいで、死にかかった人物に乗り移ってその人として生きる道を示される。今使える死体として、秘書と妻の裏切りで殺されたばかりの大富豪がいた。公害問題で富豪に抗議にやってきた女性教師に一目惚れした彼は、富豪の身体を一時的に使わせてもらうこととし、彼女に近づくとともに、その身体と財力を使って再びフットボール選手になろうとする。

この一見都合のよい話を引っ張るのはスポーツと恋。それはひたすら懸命になることに映画を観る誰もが共感できる要素。だからフットボールのすごさがよくわからなくても、風変わりな恋愛映画として広い観客層の共感を得られる作品に仕上がっている。姿こそ変わっても愛する気持ちだけが残っているラストシーン。コーヒーショップへと向かう2人に幸せを祈らずにはいられない。

生きている人間には天使が見えない。天使長のジェームズ・メイスン(名演)とウォーレン・ビーティのやり取りが現世の人間には見えないから、奇行と思われてしまう。屋敷の使用人が物置にいる主人の様子をうかがう場面にはニヤけてしまう。同じ場面にいる複数の人物がお互い関われない存在である映画の撮り方も面白いところ。イングマル・ベルイマンの「野いちご」、フランソワ・オゾンの「危険なプロット」、ウディ・アレンの「ローマでアモーレ」、「記憶探偵と鍵のかかった少女」などなどでこの手法は受け継がれている。他に思いつく作品ありますか?




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デュオ 1/2のピアニスト

2025-03-25 | 映画(た行)


◼️「デュオ 1/2のピアニスト/Prodigieuses」(2024年・フランス)

監督=フレデリック・ポティエ バランタン・ポティエ
主演=カミーユ・ラザ メラニー・ロベール フランク・デュボスク イザベル・カレ

エール!」、そのリメイク「コーダ あいのうた」、「ふたりのマエストロ」と、ここ数年好感を持った音楽ものを手がけたプロデューサー、フィリップ・ルスレ。その新作と聴いて初日に映画館へ向かった。今回は、幼い頃からピアノに打ち込んできた双子の姉妹が演奏に大きな障害と向き合う姿を描いた作品と紹介されている。

今回僕はフランス映画の音楽ものという情報だけでこの映画をセレクトした。つまり姉妹が立ち向かう障害とやらが何なのか知らないままだったのだ。それだけに映画館の暗闇で彼女たちに告げられることの重大さに驚いた。どうなるんだ。彼女たちに突きつけられた事実はあまりに重い。

映画前半でいつも一緒で支え合ってきた二人が、音楽大学で「冴えないコピーならいらない」とクラスを分けられ、名誉あるソリストには姉が選ばれる。「1位しか意味はない」と過剰な期待を押し付けてきた父親、その陰で自分の才能を埋もれさせていた母親。そんな家族の確執で最後まで進む話だと思っていたのだ。

この映画を紹介する多くの記事では、姉妹が直面する障害に触れている。それはこの物語が実在するピアニスト、プレネ姉妹が紹介されているからだ。決してネタバレというつもりはないだろう。彼女たちはその障害を乗り越えるために独自の奏法を編みだした。映画後半は、その努力と家族の葛藤を描き出す。

こうした紹介記事をしっかり読み込んでいたら、映画の感動ポイントが最後のひと山しか味わえなかったかもしれない。家族の関係が軋んでいく前半の緊張感。それが困難に明るく立ち向かう姉妹を中心にテンポよく進んでいく後半と大きな印象の差につながって、僕ら観客に感動を届けてくれる。ただ前半に見られた描写の緻密さが、後半は話を進めることに終始したように感じた。男性教師の横顔をじっと見つめる無言の場面とか、その教師に突然観客の前での演奏を求められて心が揺らぐ場面、などなど印象に残った。

型破りな演奏方法を本番まで指揮者に伝えずにやったのか?と疑問は残る。けれどクライマックスのステージ場面は、演奏するシルエットが美しい映像に仕上がっていて、良い印象で終わりを迎えることができた。父親が好きなシャルル・アズナブールを歌いながら、再びピアノに楽しそうに向かう姉妹。ジャズクラブでクラシックピアノ楽曲にドラムが合わせる場面のカッコよさ。クラシックに詳しい方なら、演奏される楽曲がそれぞれの場面に選ばれた意味を深読みできたりするのかな。母親役のイザベル・カレは「視線のエロス」で初めて観て以来気になる女優さん。




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ターミネーター3

2025-03-22 | 映画(た行)


◼️「ターミネーター3/Terminator 3 : Rise of The Machines」(2003年・アメリカ)

監督=ジョナサン・モストウ
主演=アーノルド・シュワルツェネッガー ニック・スタール クレア・デインズ

第2作から12年後に製作された第3作。前2作はそれぞれの魅力があって好きだが、本作が公開された2003年、僕の興味は「ターミネーター」には向かなかった。だってこの年僕を夢中にさせたのは「キル・ビル vol.1」と「マトリックス」の続編。「ターミネーター」、まだやるのか?と正直思い、劇場鑑賞はスルー。世間の感想も芳しくなかったから今まで観ていなかった。2025年が初鑑賞。

前作「ターミネーター2」でジャッジメントデイを阻止したサラ・コナーとジョン、T-800。しかしそれは核戦争を先延ばしにしただけだった。スカイネットは新たな刺客である女性型ターミネーターT-Xを送り込む。そして、ジョンと後に重要な存在となるケイトを守るためにT-800の改良型T-850が現れる。

シュワちゃん演ずるT-850の表情は相変わらず堅いのだが、これまでの無機質な感じが和らいでいるようにも見える。人間の心理学まで学んでいるらしいから、妙に達観した台詞を吐くし、2人の未来を知っているから見守っているよりも導いている感がある。もはや単なる終結させる殺し屋ではない。2人を救う結末もやり口が巧み。そこまで学んでいるのかw。

それにしても、キリッとした美少年だったジョンがどうしたら本作のようなどこか冴えない男(失礼)に成長するのだ。その後苦労を重ねたとはいえ、前作のエドワード・ファーロングの面影はちっとも感じられない。シリーズお約束である冒頭の衣服調達場面も、妙に笑いをとりに走っていて、せっかくの緊張感を途切れさせてしまう。一瞬ではあるけれど、シュワちゃんがエルトン・ジョンみたいなサングラスかけるのは無駄。

T-Xを演じたクリスタナ・ローケンは元モデルだそうで、終始無言でビシッとした立ち姿が美しい。T-1000は多少喋ったが、今回は台詞すらなく、首をかしげるだけで、不気味さを強調している。

2000年代に製作されたSF映画は、本作や「トゥモロー・ワールド」「アイ・アム・レジェンド」「A.I.」「2012」などダークな未来観が描かれたものが多い気がする。本作はイラク戦争が始まった年に公開されている。世界の先行き不安な空気が映画にも反映されているのかな。


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ターミネーター2

2025-03-20 | 映画(た行)


◼️「ターミネーター2/Terminator 2 : Judgement Day」(1991年・アメリカ)

監督=ジェームズ・キャメロン
主演=アーノルド・シュワルツェネッガー リンダ・ハミルトン エドワード・ファーロング ロバート・パトリック

プレデター」のレビューでも述べたが、長男が一時期シュワルツェネッガー主演作にハマったことがあり、二人で連日シュワちゃん主演作を観まくった。「ターミネーター2」が話題にあがったある晩の会話。

😼「ねぇ、「ターミネーター2」は観たことあるんやろぉ?」
😜「あるよ。女の子と2人で土曜日の夜のオールナイトでw」
しまった…😰
余計なことを口にしてしまった。
😺「それってお母さん?」
…聞こえないふりをした😗♪
結婚前の話やっちゅうねんw

それにしても明け方まで上映するオールナイトなんて、今じゃほぼ見られなくなったな。

本題です。
「T 2」こそが「ターミネーター」との感想をけっこう見かける。ちょっと待て。「T2」で初めて観たのは仕方ないにしても、T-800が悪玉だった1作目があるからこそ「T2」が面白いわけで、1作目を否定していただいては困るのだ💢。

1作目から7年も経って続編が製作されたのを、当時は不思議に思う意見は多かった。「キャメロン、もうネタ尽きた?」とか言ってる人もいた。ウン十年経って続編製作されるのも不思議ではない現在では、こんな声は出ないだろう。

忘れちゃいけないのは、新作を撮る度にジェームズ・キャメロンは新たな撮影技術を開発してきた人でもあることだ。この映画の見どころの一つである液体金属ターミネーターT-1000の描写は、80年代にはまだ困難だったのだ。

今さら語るまでもないだろうが、本作が成功した理由は多々ある。低予算アイディア勝負の第1作とは違ってこれは超大作。"ジャッジメントデイ"と呼ばれる2029年の悲劇を阻止する為に共に闘う大活劇にスケールアップしている。核爆発シーン、製鉄所をラストバトルの舞台に選んだこと、ド派手なカーチェイス。確かな技術とスタッフ、予算に支えられた映画だ。記憶に刻まれるシーンの連続。

シュワルツェネッガー演ずるT-800が今度は味方。目の前に現れて最も衝撃を受けそうなサラ・コナーが意外とあっさり現実を受け入れてしまうことも驚きだが、人間の言葉や感情を学習して理解を示すT-800が前作を知る者には衝撃かつ泣かせるポイント。名台詞「地獄で会おうぜ、ベイビー」や車のキーの在りかを学習するのはユーモアも感じられてワクワクするところだ。それだけに溶鉱炉を前にしたラストが切ない。ホラーテイストすら感じる前作のラストとは大きな違い。

さらに役者陣。サラ・コナーは逃げ回っていただけの前作とは違ってもはや戦士。脚本を手がけた「ランボー2」以来、キャメロン監督作には芯の強い女性がつきもの。サラを主役にしたテレビシリーズも製作された。

ジョン・コナーを演ずる美少年エドワード・ファーロングが素晴らしい。他の出演作をほぼ観たことがないが、本作の輝きは多くの人の記憶に刻まれた。当時おだてられて歌まで出したことは本人も反省しているとかw。T-1000のロバート・パトリックもこれでブレイク。同時期、「ダイ・ハード2」にも出演してるので探してみるといいかも。

そしてGuns 'N RosesのYou Could Be Mine🎸♪⚡️が最高 ✊✊✊✊。

…と魅力ある要素満載の大ヒット作だけど、第1作あっての続編なんで。「T2」のクスッと笑える小ネタさえ邪魔に思う硬派なファンもきっといる。



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ターミネーター

2025-03-18 | 映画(た行)


◼️「ターミネーター/The Terminator」(1984年・アメリカ)

監督=ジェームズ・キャメロン
主演=アーノルド・シュワルツェネッガー リンダ・ハミルトン マイケル・ビーン

ジェームズ・キャメロン監督の名前を初めて知ったのは本作「ターミネーター」だった。80年代のヒット作には特撮がつきもの。僕の周りの特撮好き男子たちは、そっちからこの映画に興味を持った。SFやホラーが注目されるアボリアッツ国際ファンタスティック映画祭(現在は廃止)を知ったのも、これがきっかけ。されど、これまでの映画生活で最もハリウッド映画の新作から距離を置いていた時期で、劇場鑑賞をスルーしていた。今思うと惜しい。初鑑賞は地上波にて。2025年に再鑑賞。

よき娯楽作は観客にあれこれ考える暇を与えず、浮世の憂さを忘れさせてくれる没入感が必要だ。改めて「ターミネーター」1作目を観ると無駄がないことを思い知る。

開始早々全裸のシュワちゃん登場。こんなに単刀直入な導入だったっけw。ディティールにこだわらず、描かなきゃいけないパートに徹底的に力を注ぎ込んだ映画。未来世界の人々の生活なんていちいち描いてる暇はない。サラ・コナーがカイルに未来の生活についてあれこれ尋ねても、具体的に話す台詞は一切なし。今目の前の危機をどうするかだけに、観客を集中させてくる。この潔さは見事だと思う。公開当時の生意気な自分が観ていたら、深みがねぇだのなんだの言ってたんだろうなぁ💧

今さら述べるまでもないけれど、シュワちゃん演ずるターミネーターの不気味なカッコよさが最大の魅力。自分で故障を直す場面は、今観るとチープにも見えるけど80年代当時は感激した。噛み合わないやりとりには、キャメロン監督のユーモアも感じられる。視覚データの映像なんて当時は斬新だったけど、ロボット側の視覚映像のルーツは映画「ウエストワールド」がルーツに違いない!と語り合っていた。機械のフレームだけになっても迫ってくるターミネーターの怖さとしつこさも、「ウエストワールド」のラストにも通じる。

続編が製作され続ける人気シリーズと化すなんて、1作目を観たあの頃は思いもしなかった。





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第三の男

2025-02-26 | 映画(た行)


◼️「第三の男/The Third Man」(1949年・イギリス)

監督=キャロル・リード
主演=ジョセフ・コットン オーソン・ウェルズ アリダ・ヴァリ トレバー・ハワード

映画の魅力に目覚めた中坊の頃。まだレンタルビデオもない時代だから、映画と名のつくものがテレビで放送されたら、時間の許す限り挑んでいた。特にNHK教育テレビの「世界名画劇場」でクラシック映画に触れる機会があったのは、今思えば貴重なこと。その頃に観たクラシックで、あるサスペンス映画に夢中になった。キャロル・リード監督の「第三の男」である。大学生の頃、「市民ケーン」と二本立て(どちらもオーソン・ウェルズとジョセフ・コットン共演)で観る機会にも恵まれた。

オーストリアの民族楽器チターが奏でる調子のいい主題曲は、90年代からエビスビールのCMで使われてお馴染み。40本弱の弦が張られた箏やスライドギターに似た楽器。映画のオープニングでは、楽器を上から撮った映像が映るけれどもどうやって弾いているのだろう?と昔から疑問だった。You Tubeで検索したらアントン・カラスご本人の演奏動画を見つけた。ほぉー🤔長年の疑問解消w。

白黒映画だから際立つ光と影の演出は、何度見ても惚れ惚れする。有名なオーソン・ウェルズが登場する場面。物陰に隠れたハリー・ライムの顔が、部屋の明かりで照らされる。曲がり角に近づいて来る大きくて不気味な影、逃げるハリーと追う人々の影。ハリーを探す主人公ホリー・マーチンスが、ウィーンの街をさまよう場面でも、光と影が観ているこっちまで不安な気持ちにしてくれる。それはカメラのアングルが、街並みを映す時に常に傾いていたり、斜めのラインが映像に入るように仕組まれているのだ。駆け降りる階段も、英国の少佐がいる事務所も、ニッポンの劇画かと思えるくらいに斜めの構図が入って来る。クライマックスの下水が流れる地下トンネルは、もう迷宮のように見えてしまうのだ。有名な観覧車のシーンもその一つ。

そうしたテクニックの面白さだけでなく、脚本も見事。謎に迫るサスペンスとしての面白さはもちろん、ハリーの悪事を聞かされて裏切られた心持ちのホリーが、真実を知りたい気持ちと友を信じたい気持ちの狭間で葛藤する人間ドラマでもある。一方で、これは男と女のドラマでもある。ハリーの恋人だったアンナに情が湧くホリー。アンナが時々ハリーとホリーの名前を呼び違えたりするのも、ホリーのほのかな愛情をくすぐる。

ただでさえ緊張感が続く映画なのにユーモアも忘れないのもいい。そして映画史に残る最高のラストシーン。無言。渋いっ。カッコいいっ。英国少佐の部下を演ずる体格のいい男性は、後に「007」初代Mを演じるバーナード・リー。




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泥棒野郎

2025-02-19 | 映画(た行)


◼️「泥棒野郎/Take The Money And Run」(1968年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン ジャネット・マーゴリン マルセル・ヒライヤー ジャクリン・ハイド

ウディ・アレンが初めて監督を務めた初期作品。後の「カメレオンマン」や「ギター弾きの恋」と同じく、フェイクドキュメンタリーの手法が使われている。架空のインタビューを通じて、主人公バージルの生い立ちやキャラクターを観客に示していく。証言を再現映像で見せるから、このドジ少年がどうなっていくのか目が離せなくなってくる。

映画前半は、治安の悪い街で育った主人公がどうして犯罪をやめられないのかが、ハイテンポで語られる。ガムマシーンから指が抜けなくなったり、飛び出しナイフが壊れたり、チェロ演奏でパレードに参加したり、小ネタのギャグを矢継ぎ早に放つから、観ていてそのテンポに乗せられていく。刑務所で洗濯係をする場面では衣類を折りたたむ機械に翻弄される。あー、チャップリンの「モダンタイムス」だな。鎖で足を繋がれた囚人仲間と脱走する場面は、ドタバタのアクションから一緒でないと動けないコミカルなギャグ。夫婦のやり取りを仲間に笑われる。名作「手錠のままの脱獄」へのオマージュなのか。銀行強盗のしつこいギャグが好き🤣

映画後半はそうした勢いがやや下降気味になっていく。生活のために犯罪しか思いつかない主人公にだんだんと呆れてきて、最後は素直に笑えなくなり、思いの外長く感じてしまった。うーむ。この2年後が「ウディ・アレンのバナナ」。あの切れ味と風刺が心地よかっただけに、本作はちょっと物足りなく感じた(個人の感想です)。まぁ最初の監督作だし。




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だからワタシを座らせて。通勤電車で座る技術!

2025-02-15 | 映画(た行)


◼️「だからワタシをを座らせて。通勤電車で座る技術!」(2006年・日本)

監督=市川徹
主演=田村英里子 六平直政 朝倉えりか 松田優

東京の混雑した通勤電車は、就活と出張くらいでしか経験したことがない。けれども社会人を長いことやっていれば、通勤の交通機関でちゃんと座れることの有り難さは理解できる。ハウツー本として話題になった「通勤電車で座る技術」を原作に、座る座らないをめぐる人間模様が描かれる。あ、田村英里子が見たくてセレクトしました。

コメディだから、席の奪い合い場面はかなり誇張もある。空席にバッグ投げたりは物騒な今どきはないだろう。かなりオーバー。だが、実際に毎日その戦いに臨んでいる世のお父さんお母さんはそんな気持ちなんだろうとも思える。ねぇ宮坂お父さん(ラジオ「小沢昭一の小沢昭一的こころ」風に読んでください)。

屈強な容姿のせいで座っていても席を譲るように促される男性が出てくる。実は便通が近くなる症状があるから座りたいのに、周囲の視線がそれを許してくれない。そこを理解してくれて窮地に手を差し伸べてくれるヒロイン。惚れてまうやろ♡。そのヒロインが、これまた電車で席を譲る譲らないで、恋人に悪い印象を持たれてしまうのも切ない。

六平直政が座る技術を後輩社員に伝授するのが笑える。好助演。始発駅最寄りの不動産をめぐるエピソードはちと納得いかず。脇役に向井理、波瑠が出演。探してみてね。

知らない相手でも毎日通勤で顔を見ているとちょっとした親しみが湧いてくるものだ。時々同じエレベーターに乗るお綺麗な女性が、僕がいるのを見て黙って僕の行き先階のボタンを押してくれたりすると、ちょっとだけ嬉しい♪。善意と好意をごっちゃにするようなバカではありませんが、単純なおっさんですみません🙇🏻‍♂️



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2025-02-09 | 映画(た行)


◼️「敵)(2025年・日本)

監督=吉田大八
主演=長塚京三 瀧内公美 河合優実 黒沢あすか

長塚京三が演ずるのは退職した大学教授。妻に先立たれて一人暮らし。雑誌の連載も需要が減って、貯金の残高が尽きる日が人生のXデーだと時々口にする。それでも教え子たちが時折尋ねてくれたり、一緒に酒を飲む友人もいる。そんな平穏な日々が映画前半描かれる。

食事の用意をする様子が丁寧に描かれ、身支度のルーティンが反復される。厚めに切ったハムと卵、骨付きチキンなどなど、白黒画面なのにすっごくそそられる。引退後に教え子が訪ねてくれるっていいな。

しかも瀧内公美みたいな雰囲気ある女性と二人きりでワイン傾けたり🍷。サン・テグジュペリの小説の名がついたバーで、デザイナーの友人と酒を呑む。店のオーナーの娘とフランス文学の話をしたり。貯金が尽きるXデーがうんぬん言ってたくせに。
「いいことあったじゃないですか」
そりゃご機嫌になって鼻歌も出ちゃうよな。

ー恋は遠い日の花火ではない
かつて長塚京三が出演したサントリーのCMを思い出すw。このCMのイメージが念頭にあってキャスティングされたのではなかろうか。

そんな日常が突然狂い始める映画後半。
「敵は北からやってくる」
敵? 北?
痴呆が始まって周りがわからなくなる恐怖と不安をアンソニー・ホプキンスが「ファーザー」で演じていたが、本作では夢と現実の境目が曖昧になっていく様子が描かれる。突然近所で起こる銃撃音。倒れていく隣人や通行人。美しい教え子女性との晩餐に招かれざる客が次々に現れる。浴びせられる厳しい言葉にうろたえるしかない主人公。幾度も重ねられる目覚めの場面。一体どこまでが現実でどこからが夢なのか。このあたりは編集の巧さが光るが、筒井康隆はこれを文章で表現しているのだから、実は読んだらもっとすごいのでは。原作未読で本作に向き合ってしまったのが残念。

それでも怒涛の「冬」パートが
「みんなに会いたいなぁ」
で終わるのは、老いた男の寂しい本音。

「敵」について考える。老い、元大学教授の経歴にカッコつけてる自分とその裏の自分。平穏な日々を脅かす出来事、人間関係、味方と思っていた者の本音、自分の精神に居座っている恐怖、トラウマ、社会不安。答えはいくらでも出てきそう。

全編モノクロの映像にしたのは、色彩を取り除くことで映像から得られる情報を制限したかったのかも。着る服の色から観客に勝手なキャラづけをさせないとか。ノスタルジーを狙ったのでも、主人公にとって色を失った魅力のない世界になってるという表現でもなさそうに思える。




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トラック野郎 度胸一番星

2024-12-21 | 映画(た行)


◼️「トラック野郎 度胸一番星」(1977年・日本)

監督=鈴木則文
主演=菅原文太 愛川欽也 片平なぎさ 千葉真一 八代亜紀

八代亜紀が亡くなったのは2023年、大晦日を翌日に控えた12月30日だった。大瀧詠一の時もそうだったけど、紅白歌合戦の放送直前に、歌で世間を励ましてくれた人の訃報を聞くのは辛かった。八代亜紀が亡くなって1年になる。カラオケで「舟唄」をどっちが歌うか親父と奪い合い、「おんな港町」が十八番だった時期のある僕だもの。追悼鑑賞で在りし日を偲んでみようかと。

今回僕がセレクトしたのは、「トラック野郎度胸一番星」。八代亜紀はトラックドライバー紅弁天役で出演。桃次郎のよき協力者として華を添えた。劇中、喧嘩騒ぎの後のドライブインで屈強な男たちを前に「恋歌」を歌う。その歌詞が傷ついた千葉真一に寄り添う夏樹陽子に重なるいい場面。クライマックスでは、疾走する桃次郎を助ける活躍も見せる。トラック野郎の女神と呼ばれた演歌歌手がハンドルを握る姿は、当時の人気をうかがわせる。

公開当時小学生だった僕は、これを映画館で観ている。スーパーカーブームに乗って製作された実写版「サーキットの狼」と二本立ての上映。華麗な外国車たち目当てで映画館に行ったのに、帰る時には「御意見無用」のサインが光るデコトラに魅せられていたww。お子ちゃまって単純。2024年12月。ウン十年ぶりに配信で鑑賞。

本作で桃次郎が惚れるマドンナは片平なぎさ。佐渡ヶ島の分校で働く小学校教師役で、インテリぶって空回りする桃次郎をクスクス笑いながらも次第に心を許していく様子が素敵だ。海での水泳場面ではビキニ姿で登場。桃次郎がバタ足を教えてと迫って抱きつこうとするのはなんとも見苦しいが、恋する男なんてこんなもんよね🤣。

それにしても親が顔をしかめそうなシーンもあれこれ。特殊浴場の場面とかあったのか。覚えてなかった。小学生男子だった僕がこの映画で印象深かったのは、豪雨の中で砂金取りの道具を集めようとする片平なぎさと、一番星トラックの装飾が破壊されるスローモーション。そして水色のビキニねw。そういやぁ中坊の僕は片平なぎさ主演の時代劇「雪姫隠密道中記」を毎週見ていたな。この映画が原因か?

今の目線で響くのは"ふるさと"という言葉がつなぐ人間模様。千葉真一率いるジョーズ軍団が故郷を失った寂しい奴らの集まりだと知って、桃次郎が彼らに説くふるさと。家族への思いを取り戻したジョナサンに桃次郎が説くふるさと。荒っぽい人情喜劇、久々に観たけど悪くない😊



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