
◾️「ダイナマイトどんどん」(1978年・日本)
監督=岡本喜八
主演=菅原文太 北大路欣也 宮下順子 嵐寛寿郎 金子信雄 フランキー堺
火野葦平原作の映画「新遊侠伝」に、対立するヤクザが野球の試合をするエピソードが出てくる。これを面白がった脚本家の井手雅人が、抗争の決着のためにヤクザが野球の試合をするコメディに発展させたのが本作。
舞台となるのは戦後間もない九州小倉。警察とGHQから、民主主義を学べ、もめごとを起こすなと指導され、イメージアップを狙って組ごとのチームによるトーナメント戦が行われることになった。元球児を奪い合う競争になり、地元は試合前から妙に盛り上がるが、岡源組の加助はそれに馴染めずにいた。加助が密かに思いを寄せる小料理屋の女将の元に、服役していた亭主の銀次が戻ってくる。彼はピッチャーとして活躍した経歴があった。組のメンツと横恋慕が交錯する中、喧嘩野球が繰り広げられる。
恥ずかしながら、岡本喜八監督作を観るのはこれが初めてかも。僕ら世代はコミカルな作品のイメージが強くって、シリアスな戦争映画など代表作のタイトルを聞いても今ひとつピンとこない。まぁ不勉強なだけですが。
全体的に荒っぽい話に落ち着いている気もするが、まぁ「仁義なき戦い」のビジュアルでコメディを狙った映画だろうから仕方ない。気性は荒いが義理人情に厚い、この地方独特の"川筋気質"を示してくれるキャラクターが少ないのがちと残念なところだ。
中盤、橋伝組の画策で寝返った銀次を取り戻すために、加助が着流し姿で一人乗り込もうとする場面から先は、映画の熱量が一気に高まる。銀次と加助の殴り合いを女将が仲裁に入り三角関係はさらに重くなり、岡源組長は橋伝組長に唆されて、決勝戦に縄張りを賭ける事態に発展していく。
そして迎えた決勝は、まともに野球で勝負する気などない。うるさいアンパイヤを排除して乱れに乱れた喧嘩野球。仕込み杖ならぬ仕込みバットとか、胸をはだけた女性の応援団とか。まぁ確かに面白いけど、だんだん冷ややかになっていく自分がいる。MPも巻き込む騒動に、GHQから「第七艦隊を洞海湾に向かわせる」との言葉まで出てくる。それ映像で観たかったかも!🤣
まだGHQ統治下の日本。騒動を起こした2つの組員たちは沖縄で強制労働をさせられる場面が最後に出てくる。あー、そういう時代なのか、とここでちょっと真顔に戻る私。元野球選手役のフランキー堺がここでも好演。ハチャメチャな話だが、野球映画になんとか踏みとどまっているのはこの役がいるからだろう。
北九州ロケは洞海湾の風景が印象に残る。撮影に協力した北九州の港運会社の名前がエンドクレジットに出ている。
舞台となるのは戦後間もない九州小倉。警察とGHQから、民主主義を学べ、もめごとを起こすなと指導され、イメージアップを狙って組ごとのチームによるトーナメント戦が行われることになった。元球児を奪い合う競争になり、地元は試合前から妙に盛り上がるが、岡源組の加助はそれに馴染めずにいた。加助が密かに思いを寄せる小料理屋の女将の元に、服役していた亭主の銀次が戻ってくる。彼はピッチャーとして活躍した経歴があった。組のメンツと横恋慕が交錯する中、喧嘩野球が繰り広げられる。
恥ずかしながら、岡本喜八監督作を観るのはこれが初めてかも。僕ら世代はコミカルな作品のイメージが強くって、シリアスな戦争映画など代表作のタイトルを聞いても今ひとつピンとこない。まぁ不勉強なだけですが。
全体的に荒っぽい話に落ち着いている気もするが、まぁ「仁義なき戦い」のビジュアルでコメディを狙った映画だろうから仕方ない。気性は荒いが義理人情に厚い、この地方独特の"川筋気質"を示してくれるキャラクターが少ないのがちと残念なところだ。
中盤、橋伝組の画策で寝返った銀次を取り戻すために、加助が着流し姿で一人乗り込もうとする場面から先は、映画の熱量が一気に高まる。銀次と加助の殴り合いを女将が仲裁に入り三角関係はさらに重くなり、岡源組長は橋伝組長に唆されて、決勝戦に縄張りを賭ける事態に発展していく。
そして迎えた決勝は、まともに野球で勝負する気などない。うるさいアンパイヤを排除して乱れに乱れた喧嘩野球。仕込み杖ならぬ仕込みバットとか、胸をはだけた女性の応援団とか。まぁ確かに面白いけど、だんだん冷ややかになっていく自分がいる。MPも巻き込む騒動に、GHQから「第七艦隊を洞海湾に向かわせる」との言葉まで出てくる。それ映像で観たかったかも!🤣
まだGHQ統治下の日本。騒動を起こした2つの組員たちは沖縄で強制労働をさせられる場面が最後に出てくる。あー、そういう時代なのか、とここでちょっと真顔に戻る私。元野球選手役のフランキー堺がここでも好演。ハチャメチャな話だが、野球映画になんとか踏みとどまっているのはこの役がいるからだろう。
北九州ロケは洞海湾の風景が印象に残る。撮影に協力した北九州の港運会社の名前がエンドクレジットに出ている。