そしてサミー・ヘイガーとエディ・ヴァン・ヘイレンがデジタルビートの上で暴れまくる名曲、Winner Takes It Allはやっぱり最高。当初エイジアのジョン・ウェットンでレコーディングしたが、プロデューサーがお気に召さなかったらしく、サミー・ヘイガーにオファーがあったのだそうである。この曲で観客をアゲまくって、決勝戦へ。なんて憎い使い方👍。
■Hot Summer Night / Miami Sound Machine
from「トップガン/Topgun」(1986年・米)
歌でアプローチして、隣の席に座ることを許されたマーヴェリック。パイロットであることを話したり 、若さ故の強気の攻めでケリー・マクギリス演ずるチャーリーを口説き落とそうとする。後で彼女が教官であることを知ることになるのだが、まだこの時にはその事実を知らない。女性トイレまで執拗に迫るマーヴェリック。 あら、あら・・・そりゃダメだろう。相棒のグースに嫌味な一言を残して彼女は店を出て行った。このバックに流れていたのが、マイアミ・サウンド・マシーンの Hot Summer Night。
キューバ生まれのアメリカ人女性グロリア・エステファンをヴォーカルに据えた ラテンミュージックグループ、マイアミ・サウンド・マシーン。Conga や Rhythm is Gonna Get You(リズムでゲット・ユー) など数々のヒット曲がある。88年には彼女を全面にフィーチャーし、グロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーンと改称。グロリアは90年3月に自動車事故で脊髄に重傷を負うが、1年後に復帰。96年のアトランタオリンピック閉会式では Reach を歌い喝采を浴びた。
Miami Sound Machine - Hot Summer Nights (Top Gun - Official Audio)
※Miami Sound Machine / Gloria Estefanの曲が流れる主な映画
1986年・「トップガン」 = Hot Summer Nights
1986年・「コブラ」 = Suave
1987年・「張り込み」 = Rhythm Is Gonna Get You
1987年・「スリーメン・アンド・ベイビー」 = Bad Boy ・ Conga
1994年・「スペシャリスト」 = All Because of You ・ Jambala
1996年・「バードケージ」 = Conga
1999年・「アナライズ・ミー」 = Conga
1999年・「私が美しくなった100の秘密」 = Conga
ケリー・マクギリスに秘密の夕食デートに招かれたマーヴェリック。約束の時間まで男子たちとビーチバレーに興じる。その場面に流れるのが、ケニー・ロギンスのPlaying With The Boys。軽快なポップナンバーで、厳しい訓練から解放されて楽しむ男たちが躍動する場面を彩っている。2021年にはオーストラリアのシンガーソングライターであるバタフライ・バウチャーとの共演で再録された。
■Lead Me On / Teena Marie
from「トップガン/Topgun」(1986年・米)
カリフォルニア州ミラマー空軍基地に到着した主人公マーヴェリックと相棒のグース。アイスマンと初めて口をきき、挑発される酒場のシーン。ここで店に流れているダンサブルな曲。いかにも80年代ぽいこの曲が、ティーナ・マリーが歌う Lead Me On 。イントロのブラスセクションがとっても印象的だ。作曲、プロデュースはジョルジオ・モロダー。
Teena Marie - Lead Me On (Top Gun - Official Audio)
※Teena Marie 関連の曲が流れる主な映画
1985年・「グーニーズ」 = 14K
1986年・「トップガン」 = Lead Me On
1989年・「タップ」 = Bad Boy
1991年・「サウスセントラルLA」(未公開) = Crip Hop
2002年・「メイド・イン・マンハッタン」 = Lovergirl
トムがこの場面で熱唱するのは、ライチャス・ブラザースの You've Lost That Lovin' Feelin'(ふられた気持ち)。映画「トップガン」では、トムのアカペラで聴くだけでなく、映画後半ではオリジナルがジュークボックスから流れる。再発されたサントラ盤にはオリジナルを収録。1964年に初めての全米No.1ヒットとなった。ライチャス・ブラザースは、ビル・メドレーとボビー・ハットフィールドの白人男性デュオ。白人ソウルデュオ、”ブルーアイドソウル”の先駆者とも言える。名プロデューサー、フィル・スペクターが自社にひきぬき、多くのヒットを放つ。「ゴースト ニューヨークの幻」で使われた Unchained Melody もそうしたヒット曲のひとつである。60年代末にビルが脱退、解散したが、74年に再結成している。2003年に、ボビー・ハットフィールドがコカイン過剰摂取で亡くなった。You've Lost That Lovin' Feelin' は、同じブルーアイドソウルのデュオ、ホール&オーツによって80年代にカヴァーされた。
サントラを担当したのはハロルド・フォルターマイヤー。彼はジョルジオ・モロダーのブレインの一人で、キーボード奏者。彼が手掛けた「ビバリーヒルズ・コップ」の主題曲はインストロメンタルながらもチャート上位を駆けめぐった。歌ものは、ベルリンの歌った愛のテーマ Take My Breath Away が全米第1位を記録、さらにアカデミー賞も受賞した。そして”映画主題歌男”ケニー・ロギンスの Danger Zone (こちらは全米第2位)。ちなみに主題歌は多くのアーティストにオファーされ、キーが高いとか様々な理由で断られ、ケニー・ロギンスに落ち着いたと伝えられる。オファーされた一人であるブライアン・アダムスは、「戦争を賛美する映画じゃ歌わねぇ!」と断ったというエピソードも残されている。また、製作者側はブルース・スプリングスティーンの Born In The USA を使用したかったという話も。初期の予告編には、カーズのアルバム「Heratbeat City」に収められたStranger Eyesが使われていた。
■Top Gun Anthem (トップガン 賛美の世界) / Harold Faltermeyer & Steve Stevens
from「トップガン/Topgun」(1986年・米)
タイトルバックに流れるのは、ハロルド・フォルターマイヤー作のインストロメンタル曲。サントラにはスティーブ・スティーブンスのギターがフィーチャーされているが、映画の冒頭に流れるのはストリングス系シンセで奏でられた淡々としたアレンジ。テイクオフを控えた戦闘機の様子を追う映像に、キャスト・スタッフの名が並ぶ。そして、テイクオフと共にBGMはケニー・ロギンスの Danger Zone へ。
この Top Gun Anthem は、86年のグラミー賞で最優秀ポップ・インストゥルメンタル・パフォーマンスを受賞している。映画冒頭のミグと遭遇する空中シーンでもこのメロディーが流れるし、訓練で見事に成果をあげた後「管制塔に挨拶するんだ。」とスレスレに飛行する場面にもこの曲が流れる。
スティーブ・スティーブンスは、ビリー・アイドルとのコンビで注目されたスゴ腕ギタリスト。日本では、氷室京介とのコラボレーションで話題を呼んだ。またトニー・レヴィン、テリー・ポジオと組んだユニット、ボジオ・レヴィン・スティーヴンスでは、ロックでもプログレでもなんでもこなす音楽的な幅の広さを見せつけてくれる。ソロアルバムではフラメンコの作品も発表しているとか。2006年にはフジテレビのサッカー番組のテーマ曲を書き下ろし。依頼した番組スタッフの頭には、この Top Gun Anthem があったのは間違いないだろう。
Harold Faltermeyer - Top Gun Anthem (Official Audio)
■Danger Zone / Kenny Loggins
from「トップガン/Topgun」(1986年・米)
発進準備をする戦闘機を見つめるタイトルバックから、テイクオフとともに流れるのは、”80年代のサントラ男”ケニー・ロギンスの Danger Zone だ。シングルカットされたこの曲は全米2位を記録する大ヒットとなった。エリート戦闘機乗りを養成する基地へ行くことになった主人公トム・クルーズ。カワサキのオートバイをかっ飛ばして滑走路に併走する道路を走る場面 や、後半正念場となった訓練場面などでも繰り返し流れる。この曲の疾走感は、戦闘機でもオートバイでも似合ってしまうから不思議。
サイケデリック・ファーズは、ヴォーカルのリチャード・バトラー中心に結成された、イギリスのニューウェイブバンドである。80年にスティーブ・リリー・ホワイト(U2で有名ね)がプロデュースを務めたアルバム「The Psychedelic Furs」でデビュー。映画で使われた Pretty In Pink のオリジナルは、彼らの2枚目のアルバム「Talk Talk Talk」に収録されている。ヒロインを演じたモリー・リングウォルドがこの曲が好きで、タイトルチューンに選ばれ、このサントラのために再録することになったというエピソードが残っている。初期の作品はヴェルヴェット・アンダーグラウンドなどの影響を色濃く受けており、どちらかというと暗い。しかし、ジョルジオ・モロダー一家のキース・フォーシーをプロデューサーに迎えた84年の「Mirror Moves」からはポップ、ダンサブルなサウンドに変身。その後一時期解散していたが、2000年には再結成。エコー&ザ・バニーメンなどと共にツアーも行った。2006年には、リチャード・バトラーがソロ名義のアルバムをリリースしている。
映画の冒頭。清掃車が街を走る朝、ヒロインのアンディー(モリー・リングウォルド)が身支度をしている。ストッキングを履く足をなめるように撮るカメラ。この場面に流れる Pretty In Pink の躍動感は、僕らをビートにのせてこの映画の世界に入り込ませていく。ベッドで寝ている失業中の親父を起こす娘。ヒロインの家庭環境と、貧しいながらも好きな服を器用に自作してオシャレを楽しんでいる健気なヒロイン。そうしたシチュエーションや人物像を一気に見せてしまう演出は見事。そして舞台はヒロインが「面白くない」という学校へと移ったところで、この曲は終わる。学校の休み時間にアンドリュー・マッカーシーがヒロインをデートに誘う場面で、再びこの曲がインストロメンタルで流れる。
※The Psychedelic Fursの歌が流れる80年代の主な映画
1983年・「ヴァレー・ガール」 = Love My Way
1986年・「プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角」 = Pretty In Pink
舞台は変わって、ヒロインがバイトするレコードショップ。パンクファッションの先輩が店の飾り付けをしている。その場面に切り替わるとき、印象的なシンセのフレーズが流れる。この曲が Wouldn't It Be Good。歌は流れず、イントロのフレーズだけという不幸は使われ方ではある。ミディアムテンポのどこか哀愁を感じさせるメロディー。この曲は、ニック・カーショウ84年の大ヒット曲のカヴァーヴァージョンである。ニック・カーショウは、当時ハワード・ジョーンズやポール・ヤングとともにアイドル的な注目のされ方をしていたアーティストだ。
元来ニック・カーショウはギター弾き。70年代にはジャズ・ファンクバンドでギタリストとして活動、83年に I Won't Let The Sun Go Down On Me でソロデビューした。チャートではふるわなかったのだが、Wouldn't It Be Good(恋はせつなく) が84年に全英4位の大ヒットを記録、一躍大注目を浴びることになる。再発された I Won't Let ~ は全英2位を記録する熱狂ぶり。ちなみに84年の The Riddle は、小泉今日子の 木枯らしに抱かれて の元ネタだと言われている名曲。
※Nik Kershawの歌が流れる80年代の主な映画
1985年・「ガッチャ!」 = Wouldn't It Be Good
1985年・「シャイなラブレター」 = You Might
1985年・「スラッガーズ・ワイフ」 = Human Racing
1986年・「プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角」 = Wouldn't It Be Good (Danny Hutton Hitters)
店で流れるのは Try A Little Tenderness。オーティス・レディングの代表曲としてよく知られており、多くのミュージシャンに歌われている名曲だ(「プリティ・イン・ピンク」のサントラには未収録)。オーティス・レディングは60年代ソウルミュージックの代表格にして、黒人音楽が”ソウル”というジャンルで呼ばれ始めた頃の先駆的存在だ。ギターのスティーブ・クロッパー、ベースのドナルド・ダック・ダンらバックバンド、いわゆるブッカー・T&ザ・MGズとのコンビネーション振りのよさは有名。名曲 (Sittin' On) The Dock Of The Bay などスティーブ・クロッパーと共作した楽曲では、白人音楽のよさも吸収して、多くの人々に愛された。67年に飛行機事故で死去している。
※Otis Reddingの歌が流れる80年代の主な映画
1980年・「ブルース・ブラザース」 = I Can't Turn You Loose (The Blues Brothers Band)
1985年・「パニック・スクール/冒涜少年団」(劇場未公開) = I've Been Loving You
1985年・「セント・エルモス・ファイアー」 = Respect (Aretha Franklin)
1986年・「トップガン」 = (Sittin' On) The Dock Of The Bay
1986年・「プラトーン」 = (Sittin' On) The Dock Of The Bay , Respect
1986年・「プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角」 = Try A Little Tenderness
1987年・「ダーティ・ダンシング」 =Love Man , These Arms of Mine
1987年・「エディー・マーフィ/ロウ」 = (Sittin' On) The Dock Of The Bay , Respect
1987年・「ティンメン/事の起こりはキャデラック」(劇場未公開) = Try a Little Tenderness
1988年・「ストーミー・マンデー」 = I've Been Loving You Too Long
1988年・「エイリアン・ネイション」 = (Sittin' On) The Dock Of The Bay (Michael Bolton)
1989年・「ミステリー・トレイン」 = Pain In My Heart
1989年・「ドリーム・ドリーム」 = Dreams To Remember
1989年・「ロードハウス/孤独の街」 = These Arms of Mine
1989年・「今ひとたび」 = Love Man
5.Get To Know Ya/Jesse Johnson
6.Round, Round/Belouis Some
アンディーはいよいよブレーン(アンドリュー・マッカーシー)と初デート。レコード店までお迎えに来たブレーン。しかし店には先述のオーティス・レディングを踊り狂った後のダッキーが。電機メーカーの御曹司と失業中の親父の娘のデート。幼なじみのダッキーとしては「行くな」と止める。
「ヤツの仲間は君のことを見下しているんだ!」
「彼は金持ちだけど、私は卑屈になりたくないの。」
ダッキーの心配をよそにアンディーはブレーンの車に乗って、パーティをやっているという友人宅へ。ダッキーは雨に打たれながら壁にもたれている。壁画が印象的な、チラシの画像ですな。壁のピエロの絵は、誰を笑っているのだろう。降り出した雨は、道化師が心で流す”道化の涙”なのかもしれない。車に向かうアンディーとブレーン。十分に着飾ってきたつもりのアンディーに、ブレーンは一言。
「着替える?」
”貧富の差”はこうした会話にも現れてくる。そしてパーティやってる邸宅に入っていく場面で流れるのが、ジェシー・ジョンソンの Get To Know Ya。さらに下着姿で踊る連中を見てアンディーが来たことを後悔する場面で、短いけれど Round, Round が流れている。
ジェシー・ジョンソンは、モリス・デイ率いるファンクバンド、ザ・タイムのギタリストだった人物。いわゆるプリンスファミリーの一員だった訳ですな。映画「パープルレイン」では Jungle Love を演奏しているザ・タイムが登場するが、その頃がちょうど絶頂期。プリンスとモリス・デイの不仲?が原因でバンドは解散してしまう。ジェシー・ジョンソンは85年にソロデビューを果たしている。90年代にプリンスの映画「グラフィティ・ブリッジ」のためにザ・タイムが再結成されるが、そこにはジェシーの姿もあった。Belouis Someなるアーティストだが(カタカナで表記したいけど読めない・・・)、日本ではどうもこの曲くらいしか紹介されていないようだ。ネットで検索すると外国の80sものコンピ盤に、Imagination なる曲でクレジットされている。情報お持ちの方、教えて。
映画「プリティ・イン・ピンク」では Get To Know Ya が流れた後、アンディーとブレーンが親しくなっていく場面へと続く。
※Jesse Johnson関連の曲が流れる80年代の主な映画
1984年・「パープル・レイン」 = Jungle Love , The Bird (The Time)
1985年・「ブレックファスト・クラブ」 = Heart Too Hot To Hold (Jesse Johnson & Stephanie Sprull)
1986年・「プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角」 = Get To Know Ya
1988年・「アクション・ジャクソン」 = Faraway Eyes (Vanity)
その翌日。アンディーが車で出かけるのを自転車に乗ってやって来たダッキーが切なく見る場面。ここで流れるのが、ニュー・オーダーの Shell Shock。これまたイントロしか流れないのだが、独特のシンセ音が強く印象に残る。ニュー・オーダーはこの映画に楽曲提供を依頼され、Shell Shock を用意するのだが、製作者たちは Thieves Like Us や Eligula を使いたがっていた。しかし、結局 Shell Shock は採用され、ニュー・オーダーは3曲もこの映画にクレジットされることになったのだった。
・・・物語のその後。アンディーは急にブレーン君に冷たくされてしまう。金持ち仲間がアンディーのことを好ましく思わないことに流されているのだ。ブレーン君も彼女の気持ちに気づいてあげられない鈍さがいかんな。大人の視線で観るとどうもこのあたりはじれったい。友人から譲ってもらったピンクのドレスを手直しするアンディー。それぞれがぞれぞれの思いを抱きながら、プロムの夜が近づいてくる。Thieves Like Us は、そんな場面に流れる。映画では歌が流れることはないが、ひたすら"Love"を連呼するこの歌。彼らの抱く愛情のゆくえは・・・。
※New Order関連の曲が流れる80年代の主な映画
1986年・「プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角」 = Thieves Like Us , Shell-Shock
1986年・「サムシング・ワイルド」 = Temptation
1988年・「再会の街 ブライト・ライツ・ビッグ・シティ」 = True Faith
何べんきいてもこのグループ名は覚えられなかったなぁ。この際だ。みんなもきちんと覚えておくれ。オーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダークというんだ。クラフトワークやYMOの影響を受けてテクノポップ道を突っ走ったグループ。初期には単なるテクノポップではなく、社会性ある楽曲があることも特筆すべきところ。広島に原爆を投下した戦闘機エノラ・ゲイをテーマにした Enola Gay(エノラ・ゲイの悲劇) がそれだ。80年代半ばからはポップ路線に傾き、初期の暗さは薄れていく。アメリカのチャートにも顔を出すようになるが、本国での評価は下がっていくことにも・・・。僕はこの頃の Secret や So In Love はけっこう好きだったけど。
ラストが変更されたことで、当初用意されたOMDの Goddess Of Love は合わなくなってしまった。そして映画のために書き下ろされたのが、この If You Leave である。本編では最も盛り上がるプロムの場面で流れる。しかし、前述のように撮影後にこの曲が書き下ろされたので、撮影中に出演者たちは実際には別な曲で踊っていた(それは「ブレックファスト・クラブ」の主題歌である Don't You (Forget About Me) だったとか)。そして If You Leave はOMDにとって最大のヒット曲となるのだった。
※OMDの曲が流れる80年代の主な映画
1986年・「高卒物語」 = We Love You
1986年・「プリティ・イン・ピンク 恋人たちの街角」 = If You Leave
1988年・「ミスター・アーサー2」 = Secret
主題歌を歌ったのはデビッド・ボウイ。日本語版の監督を担当した大島渚は、ボウイとの友情からこの仕事を引き受けたと語っている。イントロのギターが実に印象的。ボウイが関わったのは主題歌のみだが、強烈な印象を残すヘヴィーなナンバーである。音楽はピンク・フロイドのロジャー・ウォーターズが担当。ソロ作「ラジオK.A.O.S」に参加したミュージシャンが参加している。サントラには、スクイーズ、ジェネシス、ポール・ハードキャッスルも楽曲を提供している。When The Wind Blows は、ボウイのアルバムには未収録。ベスト盤や、95年に再発売されたアルバム「ネバー・レット・ミー・ダウン」にボーナストラックとして収録されている。
さて主題歌 The Best Man In The World を歌うのは、ハートのヴォーカル、アン・ウィルソンお姉さま。アンとナンシー姉妹のロックグループ、ご存じハートは、カナダのバンクーバーで結成して以来、長いキャリアを持つバンド。70年代にCrazy On YouやBarracudaなどの大ヒット曲があるが、その後低迷期に。84年の「フットルース」のサントラでアン姉さんがラバーボーイ(同じくバンクーバーで結成)のヴォーカル、マイク・レノと Almost Paradise をデュエットし、大ヒットした頃から再び注目される。この The Best Man In The World は、時期的には大成功作「Heart」から次作「Bad Animals」の間。実質的なアン・ウィルソンのソロデビュー作でもある。サントラはこういう普段の活動とは違うものが多々あるから楽しい。でもサウンド自体は、ハードなギターにブ厚いシンセブラスのリフが絡む、当時のハートのアレンジそのもの。そういう意味では目新しさはなかったな。しかし、この曲はアン&ナンシーは作詞のみで、作曲は「007」シリーズのスコアでお馴染みのジョン・バリー、とクレジットされているから驚き!。スコアはミシェル・コロンビエが担当している。蛇足ながら、RATTの Body Talk のPVが流れる場面もあり。HR/HMファンの方はお見逃しなく。
The Golden Child (1986) Trailer #1 | Movieclips Classic Trailers
※Ann Wilson 関連の歌が流れる主な映画 (Heart名義含む)
1984年・「フットルース」 = Almost Paradise
1986年・「ゴールデン・チャイルド」 = The Best Man In The World
1988年・「テキーラ・サンライズ」 = Surrender To Me
1999年・「ヴァージン・スーサイズ」 = Magic Man Crazy On You
2000年・「チャーリーズ・エンジェル」 = Barracuda
■It Had To Be You/Harry Connick Jr.
from「恋人たちの予感/When Harry Met Sally...」(1989年・アメリカ)
監督=ロブ・ライナー
主演=メグ・ライアン ビリー・クリスタル キャリー・フィッシャー
ハリー・コニックJr.はニューオリンズ生まれのジャズ・ピアニスト。また歌もこなせ、俳優として映画にも出演(「メンフィス・ベル」・「コピー・キャット」等)している才人。20歳のときリリースしたデビューアルバムは、音楽各誌でベストアルバムに選出される成功を収めた。彼は1967年生まれなので、僕とは同世代(しかも誕生日が同じなのだ)。「恋人たちの予感」サントラは22歳の作品というから、才能のある人は違うよね。鍵盤弾きの一人としても尊敬しちゃいます。この主題歌 It Had To Be You は、ハリー・コニックJr.がビッグバンドをバックに歌ったものと、ピアノ・トリオでの演奏がサントラに収録されている。本編のエンディングでは、フランク・シナトラのヴァージョンが流れる。この対比が映画ではとても印象的だ。サントラでは他にはジョージ・ガーシュイン(Let's Call The Whole Thing Off)、リチャード・ロジャース(I Could Write A Book)、ベニー・グッドマン(Stompin' At The Savoy)の曲もプレイしている。これらはロブ・ライナー監督自身が選曲したとか。僕はジャズはそれ程詳しい方ではないけれど、このサントラだけは愛聴盤。
80年代の楽曲で、この曲程長いこと愛されているバラードって他にあるのだろうか。そう思えるほど世代を超えて多くの人に愛されている名曲Hard To Say I'm Sorry(素直になれなくて)。自動車や化粧品のCFに使用されるたびに新たなファンをつかんでいる。ブラスロックで一世を風靡したものの、その後低迷していたシカゴ。彼らにとってこの曲は起死回生の大ヒットとなった。プロデューサーにデビッド・フォスター、新メンバーにビル・チャンプリンを迎え、従来の路線からAORっぽい路線に転換したことは、70年代以来のファンには驚きだったことだろう。97年には、R&BグループAz Yetがカヴァーしてトップ10ヒットを記録している。僕がシカゴを知ったのもやはりこの曲だったし、このピアノはさんざん練習したものだ。今でも譜面なしで弾ける曲のひとつだし。
映画ではHard To Say I'm Sorryの他に、マイケル・センベロ(Summer Lovers)、ティナ・ターナー(Johnny And Mary・Crazy In The Night)、スティーブン・ビショップ(If Love Takes You Away)、デペッシュ・モード(Just Can't Get Enough)、エルトン・ジョン(Take Me Down To The Ocean)が使われている。今見るとなかなか豪華な面々なのだが、当時の僕はそんなこと気づきもしなかったんだなぁ。
※Chicago関連の曲が聴ける主な映画
1982年・「青い恋人たち」 =Hard To Say I'm Sorry
1983年・「セカンド・チャンス」 =Prima Donna
1990年・「デイズ・オブ・サンダー」 =Hearts In Trouble
1991年・「マイ・ガール」 =Saturday In The Park
1999年・「スリー・キングス」 =If You Leave Me Now
2000年・「リトル・ニッキー」 =Does Anyone Really Know What Time It Is?