Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ハリー・ポッターとアズカバンの囚人

2020-11-27 | 映画(は行)






◼️「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人/Harry Potter And The Prisoner Of Azkaban」(2004年・アメリカ)

監督=アルフォンソ・キュアロン
主演=ダニエル・ラドクリフ エマ・ワトソン ルパート・グリント ゲイリー・オールドマン

これまで避けてきたハリー・ポッターに挑む、第3作目。主役3人がもはや子役とは言えないティーンエイジャーに成長してるし、物語もハリーの両親の死の真相へと近づくサスペンスに、描写もこれまでにない不気味な雰囲気。これから先の魔法使いの戦いに向けて、だんだんとシリアスなムードに近づいているのだろうな。

おばさんの意地悪に耐えかねて禁を破って魔法を使い、ダーズリー家を飛び出す冒頭から、これまでにない物寂しい空気が漂う。さらにホグワーツへ向かう列車では吸魂鬼に襲われるし、学校は学校でマルフォイくんはますます嫌なヤツになってるし。2作目までの気楽に楽しめるムードは感じられない。

でもハリー自身が自らのルーツに迫ることにフォーカスしたストーリー展開で、学校のエピソードが少なくジュブナイル感が希薄になっただけ、物語に集中できる感覚がこれまでとは全然違う。かなり大人向けになった印象だ。それでも守護霊の呪文や空飛ぶバックビーク、忍びの地図、逆転時計が登場してハリーたちが活躍する様子は、これまで通りに観ていてワクワクさせる。この辺のバランスが人気作になっている理由なのかな。

前2作で監督を務めたクリス・コロンバスは製作にまわり、監督はアルフォンソ・キュアロンにバトンタッチ。キュアロン監督はこの作品の後、「トゥモロー・ワールド」「ゼロ・グラビティ」「ROMAローマ」と快進撃が続く。独特のカメラワークや編集、構図はここでも健在で、螺旋階段を映すだけなのに、引き込まれるような感覚になれたり、逆転時計を使うシーンでは大時計の中をカメラが通過するワンショット撮影に見えたりするテクニックが駆使されている。






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シェルブールの雨傘

2020-11-25 | 映画(さ行)


◾️「シェルブールの雨傘/Les Parapluies de Cherbourg」(1963年・フランス)

監督=ジャック・ドゥミ
主演=カトリーヌ・ドヌーヴ ニーノ・カステルヌオーヴォ アンヌ・ヴァルノン

ジャック・ドゥミ監督作品、特にミュージカルテイストの作品は高く評価されている。名作と名高い「シェルブールの雨傘」はまさにその代表で、全編台詞が歌になっているという挑戦的な作品。愛の言葉はもちろん、日常会話、ウィやノンに至るまで全てにメロディがつく。絶対音感を持っている人に、世界はこんな風に聴こえるのだろうかとは言わないが、初めて観た頃の僕はこの世界を受け入れきれなかった。

ミュージカル映画は嫌いじゃない。高校時代に「ウエストサイド物語」のリバイバルを観て、サントラのレコードも買って聴きまくったし、「雨に唄えば」は「スターウォーズ」以上に繰り返し観ている。ドゥミ監督作でも「ロシュフォールの恋人たち」は、「双子の歌」を毎朝聴きたいくらいに大好きなのだ。どれも初めて観たときからハマったけれど、「シェルブール」は別格だった。すごく高尚なものに触れた気がして、すごいとは思ったけど素直に感動できなかった。

あれからウン十年経って、映画館で「ひまわり」と二本立てで観る機会に恵まれた。あー、やっぱり響くところが違う。あの頃と自分の何が違うかって、ひとつは音楽担当したミシェル・ルグランの偉大さを知っていることだ。メロディメーカーとしてだけでなく、ジャズピアニストとしてのプレイ、アレンジの巧さ。あれ程違和感を感じていたメロディ付きの台詞が、スッと入ってくる。哀愁漂うあの有名なメロディ以外の部分を、今回はカッコいいと感じ身を委ねることができたのは大きい。もうひとつは、戦争で引き裂かれた二人がそれぞれの人生を歩む姿。妥協で結婚を決めた訳ではないけれど、過去の恋の記憶は失われることはない。そんな切なさが、若い頃とは違って重く感じられるのだ。それぞれの今がきちんと描かれていて、お互いが子供の名前を口にする場面に、僕らはハッとして涙してしまう。これはこれでいい結末なんよ、きっと。

「ラ・ラ・ランド」がオマージュを捧げた映画とされる。だけど、別れた後の二人の現実を見せた「シェルブール」とは違って、「ラ・ラ・ランド」はもし別れなかったら…と本編とは違う結末を示す、お涙ちょうだいで、未練がましくて、陰気くさい悲恋ミュージカル。テクニックはすごいと認めるけど、実は大嫌いなんす。

ウン十年経って、やっと「シェルブール」を受け止められた。でも改めて観て思った。この上映時間で「ジュテーム」と「モナムール」を何回聞かされたのだろう。しばらく聞かなくていいや。でも僕に言ってくれるならw



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ひまわり

2020-11-24 | 映画(は行)



◾️「ひまわり/I Girasoli」(1970年・イタリア)

監督=ヴィットリオ・デ・シーカ
主演=ソフィア・ローレン マルチェロ・マストロヤンニ リッドミラ・サベーリエワ

高校時代、NHK-FMで土曜の夜に放送していた「夜のスクリーンミュージック」という番組が大好きだった。初めて自分が出したリクエストカードが読まれたラジオ番組ってこれだったな。映画音楽というくくりで音楽を聴くと、あらゆるジャンルに触れることになる。ジョン・ウィリアムズ、ジェリー・ゴールドスミスを聴いた後で、ブルース・ブラザース、レイ・チャールズ、ステッペンウルフ、ルイ・アームストロング、マイルス・デイビス、モーリス・ラヴェル、ローリング・ストーンズを聴く。雑食性の音楽ファンになったのは、おそらくこれがルーツだ。

その中にもちろん、ヘンリー・マンシーニもいた。「ピンクパンサー」が大好きでぬいぐるみも持ってた僕は、この流れでもはやスタンダードであるマンシーニ楽曲も耳にしていた。だからソフィア・ローレン主演の「ひまわり」は、ストーリーや役者の知識がどうこういう前に、音楽が先行していた。初めて観たのは、多分1986年。NHK教育(現Eテレ)の「世界名画劇場」だったと記憶している。今回、小倉昭和館「シェルブールの雨傘」と二本立てで上映すると聞き、参戦。あの曲をスクリーンを前にして聴けるのだ。

どちらも戦争が男女を引き裂く共通の筋書き。二本続けて観ると、反戦のメッセージがすごく心に響く。アルジェリアに行ったフランス人、ロシアに行ったイタリア人。国がそれぞれ違っても、もたらす悲劇は何も変わらない。しかも引き裂かれた思いをどちらも子供に託すというラストが待っている。初めて観たのは学生だったからか、ロシアで再会するところまでが強烈なイメージで残っていた。その後のストーリーはおぼろげな印象しかなかったみたい。子供がいる立場になった今だから、再会後の場面が地味な印象なのに染みる。「シェルブールの雨傘」も実は同じで、第1幕の強烈な色彩と繰り返されるジュテーム、ジュテーム、モナムールの印象が強く残っていたから、こちらも今回改めて結末の切なさが心に染みた。

広大なひまわり畑の風景と、マンシーニ作のメロディが合わさった場面の美しさ。冒頭だけでなく、エンディングで再びこの映像と音楽が流れる。ロシアの戦地が奪い去ったものは、取り戻すことができない。それを思うと、エンディングで映されるひまわり畑が延々と続く迷路のように思われて、いっそう切なくなるのでございました。


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ルパン三世 カリオストロの城

2020-11-21 | 映画(ら行)



◾️「ルパン三世 カリオストロの城/The Castle Of Cagliostro」(1979年・日本)

監督=宮崎駿
声の出演=山田康雄 小林清志 島本須美 井上真樹夫 増山江威子

言わずと知れた大傑作。これが公開された頃、「ルパン三世」はテレビの第2シリーズが放送されていて人気があった。その人気で劇場版の第2作が製作されたのが、この「カリオストロの城」。だけど当時は今のように評価された作品ではなかった。後の宮崎駿の活躍、日テレ系映画番組で放送されたことで次第に人気が高まってきた作品でもある。

初めて観たのは高校時代。テレビの映画番組だった。ハードなストーリーの劇場版第1作も好きだったけど、それ以上に録画を繰り返し見た。ちょうどその頃、「すげえアニメがある」と言って友達からビデオテープを借りたのが「風の谷のナウシカ」。まさに宮崎駿のルーツとして好きになった組である。

テレビシリーズよりも少し年齢が上のルパンが、若き日の因縁で再びカリオストロ公国の隠された謎に挑むお話。確かに違和感はあった。テレビシリーズでは、派手なクラシックカーを駆る大泥棒の華麗な活躍が楽しくて仕方なかったけれど、「カリオストロの城」では花嫁を救う物語が中心。大泥棒が人助け?そんなのルパンじゃない。

だけど、「カリオストロの城」にはこの作品でしか見られないヒロイズムと男の哀愁がある。繰り返し見ているけれど、回想シーンとラストシーンのもの寂しさ、銭形警部がいろんなしがらみに苦しめられる歯がゆさは、今の年齢で観るとズシリと響く。初めて観た時は、クラリスを抱きしめないルパンを、台詞のとおり生きる場所が自分とは違うからと思っていたけれど、それだけでなく若いクラリスの気持ちを受けとめられる男ではないんだな、と今では思う。ルパン自らが言うように「おじさん」なんだもの。おでこにキスが精一杯。「じゃーなー!」と別れた直後の表情の落差。あれは単なる別れの寂しさじゃないんだろう。

私事だけど、僕は自分から「おじさん」と名乗ることを拒み続けてきた。言ったら負けだと思ってた。でも「おじさん」世代になったからこそできることと言えることがある。それが人に響くことだってある。ルパン三世を見ながらそんなことを考えるなんて、昔はなかったよな。その「おじさん」ができることを貫いた大活躍こそが「カリオストロの城」。銭形警部のクライマックスの行動だってそう。そして大泥棒はクラリスの心を盗んでいきました。やっぱりルパンってすげえや。よーし、見習おう(何をだ)w

時計塔が崩れ去った後の場面で流れるインスト曲「回想のミステリアス・ジャーニー」が大好きで、ピアノ練習した。「おじさん」になった今でもきっと弾けるさ。



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チェイス!

2020-11-19 | 映画(た行)






◾️「チェイス!/Dhoom:3」(2013年・インド)

監督=ビジャイ・クリシュナ・アーチャールヤ
主演=アーミル・カーン カトリーヌ・カイフ アビシェーク・バッチャン

「きっと、うまくいく」のアーミル・カーン主演のアクション大作。経営危機になった大インドサーカス。頼みの綱だった銀行に融資を断られ、団長は自殺した。その十数年後、シカゴで銀行強盗事件が相次いで起こる。狙われるのは特定の銀行で、破られた金庫室にはヒンディー語のメッセージが残される。現場から逃走する犯人は、オートバイを巧みに乗りこなし、警察は手を焼いていた。捜査に加わったインド人警察官。彼が目をつけたのは、大インドサーカスで見事なパフォーマンスを見せるサーヒルだった。

本国ではシリーズものらしいのだが、日本では第3作にあたる本作のみ上映され、1、2作目はビデオリリースすらされていない。しかし世界各国でインド映画の興行記録を打ち立てたというヒット作。特殊装備の大型バイクの大活躍、アーミル・カーンの筋肉、インド映画のお約束ミュージカルシーン、麗しいサーカスの美女。映画を彩るどの要素もハリウッド大作に引けを取らない出来栄えで長尺だが飽きさせない。

BSの映画番組で観たので、当然カットはあるし、ちょっぴり切ない結末もCMで余韻に浸ることも許されないが、それでもお腹いっぱいにしてくれる。これを劇場で観た人が羨ましい。アーミル・カーンは、なんて芸達者な人なんだろ。


映画『チェイス』予告


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ハリー・ポッターと秘密の部屋

2020-11-15 | 映画(は行)
 ◼️「ハリー・ポッターと賢者の石/Harry Potter And The Chamber Of Secrets」(2002年・アメリカ)

監督=クリス・コロンバス
主演=ダニエル・ラドクリフ エマ・ワトソン ルパート・グリント リチャード・ハリス

ずっと避けてきた「ハリー・ポッター」にやっと挑む第2作。第1作のワクワクするジュブナイル感はそのままかと思いきや、今度はハラハラドキドキのアドベンチャームービーへと進化。

第1作の児童文学の映画化らしい雰囲気を求めて映画館に行ったお子ちゃまたちは、危機と怪物、石になった子供たちと流血に戦慄したのではなかろうか。原作読んで織り込み済みさっ!とマルフォイ君並みに余裕かましてた子供たちが、映画館の椅子にへばりつく様子が目に浮かぶようだ。本の活字は襲ってこないけど、映画館じゃクモの大群に囲まれるんだぜw。クモもヘビも嫌いなんで、映画館で観なくてよかったかも、とちょっと思った。

空飛ぶ車やお叱り手紙のファンタジー描写は楽しい。けれどこの第2作は、ファンタジーの皮を被ったミステリーサスペンス。連続する事件に大人たちもオロオロする中で、ポッター君が孤軍奮闘する様子に引き込まれる。第1作は最初から能力のある"デキるやつ"がチヤホヤされるお話だと感じてしまったので、ちょっと斜めに見ていた。しかし、第2作はそのデキる子が予想もしなかった試練と向き合い、自らのルーツに近づいていく展開が面白い。勇者には試練がつきまとうのだ。映画史を彩ってきた数々の英雄譚に近づいているのかも。ヘビ語が話せるハリーは、フォースの才能を秘めたルーク・スカイウォーカーみたいなもんか。きっとミディクロリアン数値も高いに違いない。って、すぐ「スターウォーズ」に結びつけたがるおじさんで申し訳ない。

特有の専門用語にもちょっと慣れてきた。また、各エピソードのつながりが見えてくる伏線回収も、続けてシリーズ映画を観る楽しみ。金曜ロードショーの連続放送は、若い映画人口を増やすことに貢献してくれていると思うのだ。放送時間のための編集で、ハリーが突然ススだらけになるのは残念だけど。


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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編

2020-11-11 | 映画(か行)

■「劇場版「鬼滅の刃」無限列車編」(2020年・日本)

監督=外崎春雄
声の出演=花江夏樹 鬼頭明里 下野紘 松岡禎丞

これまで少年ジャンプのコミックとは、一部を除いてどうも相性が悪かった気がする。屈強な男子が拳を交え、ヒーローとして成長するコミックは楽しいけれど、正直なところ好みではなかった(「ジョジョ」除く)。そんな僕が「鬼滅の刃」に挑んでみた。コロナ禍で大作映画は次々と延期、上映中止となる中で、映画館の救世主となる社会現象を起こしているだけに、どんなものか観ておくか、と世間の流れに乗ってみる。原作未読。最低限の予備知識だけを詰め込んだ。

「Fate」シリーズの製作でも知られるufotableの緻密な仕事に驚かされる。実写かと見違えてしまいそうな風に揺れる木々、草花の動き。炭治郎の着る市松模様がシワや動きで歪む様子もきちんと描き込まれている。人物の前後の配置は、遠近法だけでなく手前の人物をぼかして奥行きを感じさせる。このシーンにどれだけの手間がかかっているのか想像すると、アニメーターの仕事に頭が下がるし、すごい贅沢な時間を過ごさせてもらっているのだと思う。「Heaven's Feel」のセイバーオルタとライダーのバトルも、アニメだからできるカメラワークに圧倒されたが、ラストの煉獄杏寿郎と猗窩座(あかざ)の対決もスピードと力ばかりを表現するのではなく、攻防がカットを細かくつないで丁寧に描かれている。どんなダメージを受けたのかがわかりやすい工夫だ。その分痛々しくはあるのだけれど。

少年たちの(多少説明過多な)台詞にキャラクターの特徴がうまく表現されていて、にわか仕込みの僕でもこの映画が伝えたいことはそれなりに受け止められたと思う。アニメ本編を通して見てると、少年たちの成長物語としての面白さや、元人間だった鬼側の理屈を語れるところなんだろうけど、そこは詳しい方にお任せするとして。夢と覚醒の場面は、映画ファンには「インセプション」「オール・ユー・ニード・イズ・キル」を思い出させますな。

PG-12のレーティングが付けられているのに、ちっちゃい子を連れた親子が目立つ。親の同伴を求めてるのだから、見せちゃいけないとは言わない。だけど、未就学児はさすがにどうかと思う。家族の惨殺シーンや夢から脱出するために炭治郎が自刃(じじん)するシーンなんて、幼い子には怖いだろ。僕が行った回でも、前の方の席にいた子供が親に「まだ終わらんの?」と何度も尋ねている声が聞こえてきた。その厳しいシーンを乗り越えた先にあるメッセージや、その過程の努力を読み取ることができるくらいになってから観たならば、この作品は少年少女をとても勇気づける力を持っているはず。

同じように人が死ぬアニメでも、毎週殺人を目にする「名探偵コナン」よりダークファンタジーの「犬夜叉」を子供に見せたい、が持論だった僕だけれど、その頃よりもはるかにハードになったダークファンタジーが今や主流になっている。仕方ないのかな。ちょっとユルい気もするのだが。まあ、ロマコメ嗜好の80's 少年サンデー派だったんで、戯言と思ってくださいませ。ジャンプでどハマりしたのって、池沢さとし、まつもと泉と江口寿史なんだものww

劇場版「鬼滅の刃」無限列車編 本予告 2020年10月16日(金)公開

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真ゲッターロボ 地球最後の日

2020-11-09 | Weblog


2021年に新作が発表されるので、期間限定で配信された「真(チェンジ!)ゲッターロボ 地球最後の日」全13話完走。90年代にOVAでリリースされてたもので、観たことなかった。小学校低学年で見ていたオリジナルの設定をベースにしなからも、ボディスナッチャー異星人の侵略で破滅した地球を舞台に、新旧ゲッターチームと生き残りのスーパーロボット軍団が立ち向かう姿が描かれる。

冒頭から説明抜き。問答無用のストーリー展開は、なんで?と思っている視聴者を力技でねじ伏せる。マッドサイエンティストと化した早乙女博士が、究極のゲッターマシン真ドラゴンを覚醒させる。その暴走を食い止めようとする神隼人、弁慶、武蔵、そこに無実の罪で投獄されていた竜馬も加わる。新たな登場人物とその出生の秘密。竜馬の風貌はほとんどバイオレンス・ジャックだし、怪物に取り込まれた人々の顔が並ぶトラウマ級の恐怖(デビルマンの原作に出てくるやつやん…🥶)、嫌悪感しか感じないクリーチャーの数々、紅一点のいやーん♡な場面などなど、永井豪作品のお約束は守りつつも、全体は悲壮感が支配するシリアスさ。ミチルさんの死の真相はなかなか示されないし、早乙女博士が事態を「説明してやろう」とか言いながら、そのまま2話くらい放置される展開に呆れながらも、いつしか引き込まれる。そしてクライマックスで、真ドラゴンがその全貌を現す。

何故か詳しい長男ルークによると、最初の3話で予算をほぼ使い尽くした作品だとか。そこから先は使い回しの場面が多かったり、色彩がベタになるのはそれが理由なのか。しかし、4話以降登場する、影山ヒロノブのOP曲「HEATS」のアツさが何より素晴らしい。これカラオケで歌いたい!必殺技の名前や合体場面の台詞を一緒に叫びたいくなる気持ち、よーくわかります。オリジナル見てた頃の幼き自分は、テレビに向かって叫んでたんだろか😅

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ハリー・ポッターと賢者の石

2020-11-08 | 映画(は行)






◼️「ハリー・ポッターと賢者の石/Harry Potter And The Sorcerer's Stone」(2001年・アメリカ)

監督=クリス・コロンバス
主演=ダニエル・ラドクリフ エマ・ワトソン ルパート・グリント リチャード・ハリス

遅ればせながら、「ハリーポッター」にやっと向き合う気になった。お話は世界的ベストセラーだからしっかりしているだろうけど、「グーニーズ」のクリス・コロンバス監督か…子役頼み映画なんじゃないの?と、ひねくれた先入観。知識って時に行動の邪魔をするのです。観る前にふと気付いた。おっ、脚本はスティーブ・クローブスじゃねえか!大好きな大好きな「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ」の監督。ヒット作を避けるのは昔からだけど、素直に観ておくべきだったのかな。

なるほどー。確かに喰わず嫌いだったかも。ストーリーがいいのは当然として、原作のイメージを損ねない少年少女たち、それに大人の鑑賞者にもアピールできる、リチャード・ハリス、マギー・スミス、アラン・リックマンらイギリス映画の大物たち。でもこの映画が長く愛されている理由って、観ている僕たちがこの物語に入ってみたい!と思えてしまう舞台装置、美術に手抜きがなく、世界観が作り込まれているからだ。原作に夢中になったからといって、ダイアゴン横丁や9と3/4番ホームやグリフィンドールのローブが目に見える訳ではない。原作ファンの期待を損なわないように映像化して示すことに成功し、魅力的な世界に仕上がっている。そこにはもちろん魔法をも映像化する現在の技術があってこそ。映画「アバター」の世界から戻りたくなくなる"アバター鬱"なる現象が話題になったことがあるけど、「ハリーポッター」も同様に作り込まれて示される世界が、世知辛い現実を忘れさせてくれる魅力を持っているということだ。

でもねー、年間最優秀寮の表彰が納得いかず。校則をことごとく破ったハリーたちの活躍を学校側が容認しているのは、ちょっと都合がよすぎると思う。チヤホヤされすぎ。確かに少年の成長物語ではあるのだけれど、最初から能力的にデキる奴が主人公のお話は、努力して修行して勝利を勝ち取るような、僕らが期待する成長物語とはやはり違う(カンフー映画のせいだと誰か言ってください・笑)。ダメ男が頑張る「酔拳」が好きだけど、最初から優れたダイバーが主人公の「海猿」は嫌い、みたいなものかも。

そうは言っても「ハリーポッター」は面白い。それはやっぱり作り込みがしっかりした映画だから。物語を支える技術、スタッフ、シナリオ、演出、編集、そして何よりあの世界に心を連れ去ってくれるジョン・ウィリアムズの音楽があるから。とにかくあの世界に行ってみたくなる。その気持ちは、他人がやってるRPGゲームにしか見えなかった「ロード・オブ・ザ・リング」との大きな違い。僕にとってはね。

それにしても「賢者の石が狙われている」と言われて、複製人間マモーの顔が浮かぶオレは、変な育ち方をしているのだろうか。





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ファイアーライト

2020-11-06 | 映画(は行)



◼️「ファイアーライト/Firelight」(1997年・イギリス=フランス)

監督=ウィリアム・ニコルソン
主演=ソフィー・マルソー ケヴィン・アンダーソン リア・ウィリアムズ ドミニク・ベルコート

ソフィー・マルソーが演ずるのは、代理出産の契約をした女性エリザベス。顔を隠した男性と懐妊のために数日を共に過ごすことになった彼女。暖炉の炎で照らされて初めて相手の男性の顔を目にする。少しずつ打ち解けていく二人。そして無事に出産を終えた彼女は産まれた娘を引き渡す。しばらく経って娘と再び会いたいと望むようになった彼女は、娘の父親であるチャールズの屋敷を突き止め、住み込みの家庭教師として働くようになる。二人の関係を病身の妻に明かさないように言われるエリザベス。そして、過保護に育てられわがまま放題の娘ルイザをしつけなおそうと、素性を隠して向き合うことになる。

女性向けの映画だと方々で聞いていたけど、まさに母性のお話ではある。映画の舞台は19世紀のイギリス。この頃、きつーいコルセットが必要なコスチュームプレイの出演作が続いていたソフィー。本作は「女優マルキーズ」や「ブレイブハート」と違ってかなり地味な役柄。しかし「結婚したら自由はないの!女は囚人なのよ!」と叫ぶ芯の強さはこれまでと同様。暖炉の炎からの光(ファイアーライト)の中では時が停まり、何でも言える、何にでもなれる。その炎の前で語り合ううち、頑なな娘が態度を改めていく場面がいい。

されど母と娘の関係だけではない。父親と息子の関係も描かれている。愛人と公然と付き合う父親を「快楽だけを求める父親は尊敬できない」と反発していた息子チャールズ。その父親が彼の様子をエリザベスに尋ねる場面がある。父親は、自分の素行に文句を言う息子が、自分と違って女性経験が少ないことを悪く言う。「快楽を知ってから言え!と言ったのだがね。」そこで、チャールズと妊娠するために数日を共に過ごしたエリザベスは「彼は快楽を知ってますわ」と答える。そのひと言で安心する父親の姿。ここも印象的な場面だった。

全般的には筋だけ追ったような荒削りさが感じられる。でも映画賞を受けた撮影は見事で、寒々とした風景やソフィーの素敵な表情を美しく撮っている。男の愛情を確認し、雪降る空に向かって声をあげる彼女の笑顔。その笑顔を見るだけで僕は幸せになれる。

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