Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

8月のBGM

2013-08-31 | 音楽
2013年8月に聴いていた愛すべき音楽たち。

■潮騒のメモリー/天野春子(小泉今日子)
80年代組としては買わずにいられなかった!クドカンの言葉遊びが楽しいね。その元ネタがわかる世代だからなおさら楽しい。最後の"好きよ 嫌いよ"は、松田聖子の「小麦色のマーメイド」だね。うちのレイア姫(11才)と一緒に歌いまーす。きーてーよ、そーのひーを♪
潮騒のメモリー(初回限定紙ジャケ仕様~アナログEP風レトロパッケージ)

■夜桜お七/水樹奈々
深夜番組「ミになる図書館」(ちなみに中居くんは大嫌いです)で放送されたのは、"美演歌"。葛城ユキの「天城越え」に、配偶者アミダラMと大盛り上がり。真夜中やっちゅうねん。んで、翌日無性に演歌を聴きたくなって、通勤中に愛しの奈々さんがライブで歌った「夜桜お七」をYou Tubeで視聴。よしっ!久々に演歌を何か歌ってみるか!昔は血迷って八代亜紀歌ってたなぁ(恥)。ちなみに「夜桜お七」は挑戦したことあり。
ULTIMATE DIAMOND(初回限定盤)(DVD付)
※初回限定盤のDVDに夜桜お七収録。

■アイヲウタエ/春奈るな
西尾維新原作のアニメ「〈物語〉シリーズ セカンドシーズン」のED。ヒロインの一人、羽川翼のジャケに目がくらんだのかって?えー、否定しません。恋する気持ちを歌う元気なポップチューンが楽しい。カップリングの2曲もなかなか好み。
アイヲウタエ(期間生産限定盤)(DVD付)

■月の光/冨田勲
日本シンセ音楽の父、冨田勲センセイの代表作。当時はタンスみたいな巨大なシンセサイザー。これを駆使して作り上げた繊細な音。自宅のデスクにミニコンポが戻ってきたので、夜な夜な聴いている。うーん、心地よい。
月の光

■スタートレック イントゥ・ダークネス/J・J・エイブラムス、チャールズ・スコット、中田ヤスタカfeat.きゃりー
映画「スタートレック」の新作に挿入される(らしい)この曲。中田ヤスタカが起用されたのは、ジャパンカルチャー大好きなエイブラムス監督の好みなのかな。派手さはないのだけれど、聴くうちにじわじわと心地よくなってくる。彼の音楽にはやっぱり中毒性がある。

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ホットスポット

2013-08-26 | 映画(は行)

■「ホット・スポット/The Hot Spot」(1990年・アメリカ)

監督=デニス・ホッパー
主演=ドン・ジョンソン バージニア・マドセン ジェニファー・コネリー

 不思議と通しで観る機会がなかったもので、恥ずかしながら初見。世間ではよく言われていない(ジェニファーのヌードしか覚えていないとか・笑)し、確かに木曜洋画劇場(テレ東)向きの映画だとは思うのだけど、僕はこれ好きだな。登場人物みんなが何か悪事に手を染めている。彼ら(彼女ら)の駆け引きとその末路を描く物語は最後まで目が離せない。チャールズ・ウィリアムズ(兼脚本)の原作はデニス・ホッパー監督が長い間映画化したかった題材ということで、実に丁寧に撮られている。見応えのあるフィルム・ノワールに仕上がっている。

 ドン・ジョンソンを今回改めて観て思ったのは、今ハリウッドが(ラッセル・クロウあたりに)求めているタフガイ像って実はドン・ジョンソンに近いのかな、ということ。「マイアミ・バイス」のクロケット刑事は本作より5年前であるせいか、もっとスマートな印象を受ける(白のスーツなんか着こなしているし)。でも本作のようなちょっと泥臭い感じが、僕はいいと思えるんだけどな。世が世ならこの人のウエスタンなんか面白かったかも。ジェニファー・コネリーファンの僕だけど、バージニア・マドセンの悪女振りの前にはジェニファーは(脱いでも)霞んでしまう。「深夜の告白」のバーバラ・スタンウィックを彷彿とさせる悪女像はしばらく忘れられそうもないな。それに彼女あってのあの結末。

 音楽はジャック・ニッチェ。ジョン・リー・フッカー(2001年6月他界・合掌)の鼻歌(?)とブルースギター、マイルス・デイビスのペットがフィーチャーされたスコアはブルージーで聴くだけで酔いしれそうだ。サントラには未収録ながらK・D・ラングやビリー・スクワイヤーも使われている。

(2002年筆)




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タロットカード殺人事件

2013-08-25 | 映画(た行)

■「タロットカード殺人事件/Scoop」(2006年・イギリス=アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=スカーレット・ヨハンソン ウディ・アレン ヒュー・ジャックマン イアン・マクシェーン

 「マッチポイント」から続くイギリス三部作の第2作である本作は、お気楽なサスペンスコメディ。主人公は、前作でウディ先生のお気に召したスカーレット・ヨハンソン演ずるジャーナリスト志望の野心家女子大生サンドラ。ある日彼女は手品師スプレンディーニことシドニー(ウディ・アレン)の舞台に飛び入りし、マジックボックスに入れられる。そこに現れた元ジャーナリスト、ジョーの幽霊が、今ロンドンで起きている連続殺人事件の犯人が大富豪の御曹司ピーター(ヒュー・ジャックマン)だと言い、ヒントを遺して消えてしまう。サンドラはシドニーの助けを借りながらピーターに近づくが、いつしか彼女はピーターと恋に落ちてしまう。果たして事件の真相は?・・・というお話。

 「マッチポイント」はそれまでのウディ・アレン作品とは思えない緊張感に満ちた映画だった。スカーレット・ヨハンソンが登場する場面は映画史上に残るカッコよさ。ヒッチコック作品を観ているような錯覚に陥ったし、風邪ひいて休んだ日に家で観てかえって熱が上がったことをよーく覚えている(こら)。本作はとにかくスカーレット・ヨハンソンを観る映画。ウディ先生が巧いのは綺麗なスカーレットを、美しく撮るだけが目的じゃないところ。グラマーな眼鏡っ娘、ふた言目には飛鳥ラングレーの様なキツい台詞、体の線が出ないような普段の服装・・・と前作とはまったく違うダサさを演出している。だからその分だけ、赤い水着でムチムチした肢体を包んだプールの場面にインパクトがある。あの場面で、御曹司ピーターも銀幕のこっち側で観ている僕らもノックアウトされてしまうのだ。

 ミステリーとしては物足りないお話ではあるが、クリスティやドイルを生んだミステリーの聖地イギリスだけに、お気楽な”ミステリーっぽさ”を楽しんで撮っている感じがいい。お年を召したウディ先生は、末期の寅さんのようにヒロインの恋のお相手にはならない。ここでは偽の父親役に徹して無鉄砲な行動をとるヒロインを見守る役割だ。だが、この映画はウディ先生が脇でおバカな役割を演じてくれるからこそ面白くできている。特にピーターへの疑惑が深まっていく後半。次々に新事実を知るシドニーは、謎の解明に迫っているのに生き生きもせず、危険に怯えることもない。ただ困った顔をするだけ。事件被害者の部屋の鍵を発見する場面の表情は何とも言えず笑えてしまう。恋で疑惑が見えなくなってしまったサンドラを守らなければならない、と懸命に車を飛ばすのだが・・・(以下略)。父と娘程(以上?)の年の差もあって、かみ合わない二人のやりとりも面白いが、「人生万歳!」ほど世代ギャップを辛辣に笑い飛ばすこともなく、ウディ・アレン映画の”毒”は控えめ。

 死に神が登場する演出は、初期ウディ・アレン作品を知る人には”彼らしい”と思わせるところ。ヒュー・ジャックマンがスーツをバチッと着こなす姿はカッコいい。そしてサンドラの友人ヴィヴィアン役でちょこっと出てくるのが、フランソワ・オゾン監督の「エンジェル」で主役を務めたロモーラ・ガライ、ピーターの父親は「007/ユア・アイズ・オンリー」の悪役ジュリアン・グローヴァーという配役も嬉しい。

Scoop - Official Trailer - Woody Allen Movie


コメント (2)
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ムーランルージュ!

2013-08-21 | 映画(ま行)

■「ムーラン・ルージュ!/Moulin Rouge!」(2001年・アメリカ)

●2001年ゴールデングローブ賞 作品賞・主演女優賞・音楽賞
●2002英国アカデミー賞 助演男優賞・音楽賞・音響賞
●2002アカデミー賞 美術賞・衣装デザイン賞
●2002年ヨーロッパ映画賞 インターナショナル作品賞・世界的功績賞

監督=バズ・ラーマン
主演=ニコール・キッドマン ユアン・マクレガー ジョン・レグイザモ

 かつて全編の台詞を歌にした映画「シェルブールの雨傘」がある。カトリーヌ・ドヌーブの歌は吹き替えなれど、登場人物の感情を表現するには実に効果的な手法だった。「ムーラン・ルージュ!」はミュージカルであるが、本来のミュージカルとは違う。バズ・ラーマンは現代人が感情移入しやすくするために、観客によく知られたラブソングたちを散りばめたのだ。

 僕らのような80年代青春組にはお涙ものの選曲で、グイグイ引き込んでくれる。"Like A Virgin"はコミックソングに姿を変え、"Roxanne"はタンゴに、マリリン・モンローの"Diamonds Are A Girl's Best Friends"は派手に衣替えされている。僕が観た劇場では中高年もかなりいたのだが、途中席を立つ人もいた。きっと期待とは違ったのだろう。フランソワーズ・アルヌールの「フレンチ・カンカン」やホセ・フェラーの「赤い風車」に思い入れのある世代には、ちょっと受け入れ難い映画なのかもしれない。そんな世代にはド派手なMTVにしか見えないかもしれない。

 クレイジーなれどこれは傑作だ。映画でしかなしえない(ここが大事なところ)手法で極上のショーをみせたバズ・ラーマン。観ながら、こいつ絶対イカれてる!と思った。監督のあの曲も!この曲も!という無謀な要求に見事に応えた音楽監督。いい仕事です。無茶苦茶やってるんだけどきちんと構成されている。物語もしかりで、前半のおバカな(?)演出から感情ほとばしるクライマックスまで、やっぱり無茶苦茶なんだけど実は計算ずく。それにしてもニコール・キッドマンの美しいこと。中学生みたいで恐縮だが、銀幕をみて胸が高鳴ったのは久しぶりだったよ。でもひとつ残念なのはフランスの香りがあまり感じられなかったことかな。でも「フレンチ・カンカン」の ♪モンマルトルの丘 が流れるからよしとする。

(2001年筆)

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民族の祭典

2013-08-20 | 映画(ま行)
■「民族の祭典/Fest Der Volker - Olympial Teil-l」(1938年・ドイツ)

●1938年ヴェネツィア映画祭 ムッソリーニ杯

監督=レニ・リーフェンシュタール

 2002年8月、99歳にして新作ドキュメンタリー映画を発表した映画監督レニ・リーフェンシュタールの有名な代表作。これはナチス政権下で行われたベルリンオリンピックの記録映画である。ギリシャの神殿から始まる幻想的なオープニング場面は実に美しい。聖火が運ばれる描写のあと、もちろん開会宣言はアドルフ・ヒトラー。ヒトラーはしばしば画面に登場、国民とともに観戦している。ドイツ選手が活躍する競技にスタンドで狂喜する。女子のリレーでドイツ選手がバトンを落として最下位になる場面では、残念そうに席につく。そしてドイツがメダルを取ると国旗として掲揚されるのは、”ハーケンクロイツ”が描かれたナチス旗。ドイツ選手のユニフォームにもカギ十字は描かれている。当時としてはまぁ当然なのだが、その後にナチスが行った事を知っている今の視点で見ればちょっと驚いてしまう。第1部の「民族の祭典」がメジャーな競技を中心にしているのに対して、「美の祭典」の方は監督が映像美にこだわって撮ったもの。冒頭、全裸の男性が水辺を走りサウナで身を横たえる場面があったり、肉体美にこだわったとも言えるかも。

 ナチスのプロパガンダ映画として製作された意図があるのは有名な話だが、それを抜きにすれば、純粋にスポーツを賛美する映画として面白いし、興味深い。ゲルマン人が砲丸投げで熊みたいなアメリカ選手を破ったり、リーチにすごい差がある黒人選手を短距離走で破ったりする姿が強調されている。もちろん身びいきあっての演出だろうけど、これは見ていて小気味いい(それってプロパガンダにはまっている?)。日本人選手の三段跳びでの活躍、メダルには届かないものの男子走り高跳びでの活躍も印象的。走り高跳びはマットがなく、みーんな挟み跳びをしているのだけれど、日本人選手のライダーキックにも似た跳躍や、背面跳びにやや近いアメリカ黒人選手の跳躍をスローモーションで見ることができ、面白い。

 僕が釘付けになったのは、決着がつかず競技が夜に及び、日米5選手によるメダル争いとなった棒高跳び。黒闇を背景にバーにすれすれを跳ぶ選手達の動きをスローで見せるのだが、ちょっとした動きにもハラハラする。オリンピックはいつも数々のドラマをつくってきたが、SFXではなし得ない感動がここにはある。やっぱり人間って素晴らしい。棒高跳びで使う棒が竹製だったり、短距離走のスタート地点は今のように足置きがなくて穴を掘っていたり、鉄棒や吊り輪といった体操競技が屋外で行われていたり、時代を感じるところも面白かった。

 そしてクライマックスのマラソン。走る選手の横顔と交互に挿入される選手の視線。手のアップ、走る足下のアップ、後方へ遠のいていく木々・・・見事なカメラ。そして日本選手が優勝するのだが、その選手の名はソン(孫基禎)。占領下の朝鮮人選手だ。3位にも同じくナム(南昇竜)選手が入る。この二人の活躍を報じた朝鮮の新聞は、二人のゼッケンの日の丸を朝鮮のマークに書き換えて写真を掲載したという事件も起こったそうだ。当時の日本の状況を考えると、ここだけは複雑な思いにならずにはいられない・・・。

(2002年筆)

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マラソン

2013-08-19 | 映画(ま行)

■「マラソン/Marathon」(2005年・韓国)

●2005年大鐘賞 作品賞・主演男優賞・男優人気賞・新人監督賞・脚本賞・音楽賞・企画賞

監督=チョン・ヨンチョル
主演=チョ・スンウ キム・ミスク イ・ギヨン ペク・ソンヒョン

 韓国で大ヒットを記録した感動作。20歳なのだが、自閉症で5歳児並の知能しかない主人公。母親は彼に付きっきりで世話を焼く。走ることだって、元はと言えば”好きなことを見つけられれば”との思いから母親がさせていたことだった。しかし彼は走ることが大好きだった。意思表示の方法を知らないだけで、それ故に周囲の人々は気づかない。そして彼はフルマラソンに挑む・・・。

 韓国映画の秀作を観る度に、”どうして脚本がこんなに面白いのだろう”と僕は思う。この映画もそうなのだ。小さなディティールまでもが必ず後につながっている、この対比の見事さ。主人公が走りながらさわっていたススキの穂は、クライマックスでは沿道で声援を送る人々の手に変わる。子供の頃チョコパイに釣られて登った山道、でも今度はそのチョコパイを手放して一人で走り続ける・・・。さらに風を感じながら走る主人公がシマウマと共に走るイメージショットは見事としか言いようがない。しかもそれらが一言の台詞もなく映像だけでスマートに描かれている。それはSFXと説明くさい台詞に支えられた近頃のメジャー作品が情けないと思えるくらいに。

 一方で自閉症を抱える家庭の厳しさに迫る社会性を兼ね備えているのもこの映画のすごさ。実際の苦労や家庭崩壊の様子はこんなものじゃないよ、という声もあると思う。でもこうした映画を観ることでそのほんの少しでも理解することにつながるならば、社会全体の無理解に一石を投ずることになるならばよいのではなかろうか。何よりもこの映画で一番の感動をくれるのは、主人公の物事に対する純粋さ。それによって周囲の人々が人間性を取り戻していく様が素晴らしい。走った後でドキドキする胸。一緒に走った教師の胸もドキドキしている。それらをスクリーンで見つめている僕らの胸もドキドキしているんだ。みんな同じなんだ。

(2005年筆)

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アルゴ

2013-08-17 | 映画(あ行)

■「アルゴ/Argo」(2012年・アメリカ)

●2012年アカデミー賞 作品賞・脚色賞・編集賞
●2012年ゴールデングローブ賞 作品賞・監督賞
●2012年LA批評家協会賞 脚本賞

監督=ベン・アフレック
主演=ベン・アフレック アラン・アーキン ブライアン・クランストン ジョン・グッドマン

 僕のベン・アフレックのイメージは決してよくない。「グッドウィル・ハンティング/旅立ち」は確かによかった。でもそっから先はド派手な映画に出てるだけのそこそこ二枚目の俳優、という程度にしか思えなかった。それ故に世間で評判はよかった監督・主演作「ザ・タウン」も、いいとこ見せまくりの予告編で萎えてしまい結局未見。そのアフレック監督・主演作「アルゴ」にオスカー像が。実話のイラン脱出劇と聞いて、この時期だけに政治色が強いアメリカ万歳的映画ではないかとたかをくくっていた。オスカー受賞後に職場近くの映画館で再映されたけど、なかなか観る機会に恵まれず、小倉昭和館でやっと鑑賞。

 できあがった「アルゴ」は、現実にあった大使館員脱出作戦を見事なサスペンス映画として仕上げている。見せ方が実に上手い。冒頭、イランとアメリカが何故膠着状態に陥ってしまった事情が、アニメーションで描かれる。映画を通じて異国の現実や事実を知るたびに、僕らは現代史をもっと学ばないといけない、と常々思う。この映画の冒頭のわかりやすさは絶品。エンドクレジットでも示されるが、実際のニュース映像を巧みに再現していたり、挿入される楽曲もダイアー・ストレイツのSultans of Swing(悲しきサルタン)を始め、レッド・ツェッペリン、ヴァン・ヘイレンと時代を感じさせてセンスがいい。イラン側の追っ手が迫る様子のハラハラ、形勢が二転三転する展開は、脚本と構成のうまさ。そこは誰もが認めるところだろう。

 でも僕がグッときたのは、この映画に込められた”映画への愛情”。そもそも大使館員を映画のロケハンに行く人々に偽装するという作戦自体が驚くし、それを実際に遂行したアメリカの凄さ。だがそれは驚くべき史実。子供がテレビで見ていた「最後の猿の惑星」で作戦を思いつく場面や、でっち上げた映画の製作発表。まるで「フラッシュゴードン」の二番煎じのようなチープな感じがたまらない。映画そのものが、世界に愛され、通用するエンターテイメントであるというパワーを感じずにはいられない。そして、作戦を終了して、主人公が密かに持ち帰った偽映画のストーリーボードを、SF映画のおもちゃが並ぶ棚に一緒に飾るラストシーン。映画はそもそもが作り物、虚構を並べている見せ物だ。そんな見せ物の中で、現実に起こった出来事が映し出され、しかもその物語は映画製作を偽装した救出劇。嘘の中の現実の中の嘘。面白いよなぁ。

本当にいい映画は映像で描く。僕らは小説の行間を読み取るようにそこから気持ちを感じ取る。そして心に残る映画はラストシーンが素晴らしい。この「アルゴ」もその一つと言っていいだろう。任務を終えて別居している妻と息子に、主人公が会いに行く場面。そこから映画好きが惚れるラストシーンまで台詞はない。黙って妻と抱き合い、黙って息子と眠る。ベン・アフレック監督、お見それしました。

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8月のとある日

2013-08-14 | その他のつぶやき
今年の夏は暑い。
今年の福岡は沖縄より暑く、今年の日本は東南アジアより暑いと言われている。

ビールが飲みたい。
村上春樹の初期作品を読むと無性にビールが飲みたくなるが、今年は読まなくても飲みたくて仕方ない。

配偶者の実家はまったく酒を飲まない人々で、かつて冷酒を片手に正月伺ったら、超白い目で見られたこともある。その価値観に感化された長女レイアは、テレビでビールのCMがある度にこう言う。
レイア「ちち、飲んだらダメよ。」
飲酒運転で問題を起こす人々が多いもんだから、”飲酒=悪”という図式が完全にできあがっているのだ。あんまりうるさいときは、黙ってNHKにチャンネルを変えることにしている。

あーっ!、オレはどうして一緒にビールを飲んでくれる檀れいさんと一緒にいないのだろう。
(ToT)


今年はお盆シーズンの仕事が立て込みそう。諸般の事情で、週末を使ってちょっとだけ長男ルークと二人で大分の実家に帰省することにした。二人で遠出をするなんざぁ初めてのこと。JR日豊本線は、別府-大分間で石丸謙二郎さんのナレーションが流れ、高崎山と水族館うみたまごのご案内をしてくれる。「世界の車窓から」の気分。この演出好きなんだよね。

大分駅に着いたのでfacebookに”到着”記事をアップしようと思ったが駅の看板じゃ物足りない。すると目に入ってきたのが、さしこが起用された大分市PRポスターが。


両親は久々に会うルークに喜んでくれた。この年齢になると、孫つれて帰らないと歓迎されてると思えないんよね。日頃写真を撮られることを極度に嫌うルークが親父殿と一緒に写真に収まる。大人をうざったがるお年頃男子だが、それなりにコミュニケーションとってる。よしよし。いとこと遊んだり、カラオケ行ったり楽しく過ごしました。カラオケは世代を超越していた。北島三郎の後で、イエローモンキー、そしてボカロ曲が続く、容赦ない選曲(笑)。ルークは初音ミクの「千本桜」を歌った。

トキハデパート近くの街角でみかけたこの子に大受けしてしまった。


短い時間だったけど、ちょっとのんびりできました。実家に着いてしばらくすると、いきなり金麦が出てきた・・・昔っから母上様に心を読まれてるような瞬間があったけど今回も然り(笑)。サンキュ。

そしてお盆もお仕事は続く。頑張るぞー。

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ナイルの宝石 - 80's Movie Hits ! -

2013-08-05 | 80's Movie Hits !

- 80's Movie Hits! - 目次はこちら

■When The Going Gets Tough, The Get Going/Billy Ocean
from「ナイルの宝石/The Jewel Of The Nile」(1985年・アメリカ)

監督=ルイス・ティーグ
主演=マイケル・ダグラス キャスリン・ターナー ダニー・デビート

 2004年に、80年代の伝説的な音楽イベントである「ライブ・エイド」のDVDがリリースされた。当時、僕も衛生中継を睡魔と戦いながら見たもんだ。豪華なメンバーを従えてライブをした面々もあった中、2曲をバンドなしで歌った男がいた。それがビリー・オーシャン。このステージはやたらと印象に残っている。このとき歌った Caribbean Queen で84年に全米No.1を獲得している。

Billy Ocean - Caribbean Queen (Live)


ビリー・オーシャンは、カリブ海の島トリニダード出身。英国に移住し76年にデビュー。デビュー曲の Love Really Hurts Without You は全英No.2を獲得した。また他のアーティストへの楽曲提供もしており、ノーランズの Who's Gonna Rock You(ときめきTWENTY) は彼の作品だ。

Nolans - Who's Gonna Rock You


Caribbean Queen 以後はヒットを連発し、当時はチャートの常連だった。バラードの There'll Be Sad Song (To Make You Cry) が好きだったなぁ。

 映画「ナイルの宝石」は、大ヒット作「ロマンシング・ストーン」の続編。キャスリン・ターナー扮する女流作家ジョーンはアフリカ某国大統領オマーに伝記の執筆を依頼される。ところが大統領が陰謀を知ったことから牢獄へ。一方マイケル・ダグラス扮するジャックは、オマーが盗んだ宝石を奪い返すよう依頼されることに・・・。あとは前作同様冒険、また冒険。この映画で主題歌として使われたのが、ビリー・オーシャンのWhen The Going Gets Tough, The Tough Get Going 。どこか愛嬌のあるこの曲は、それまでのオシャレなダンスチューンやバラードが多かった彼のイメージを大きく変えた。ちなみにマイケル・ダグラス、キャスリン・ターナー、ダニー・デビートの三人が、この曲のバックで歌っている。彼らは音楽家の組合には属していない。それが理由でイギリスではこの曲のビデオは放送禁止になった。ところがそのハンディを乗り越えて、この曲はビリー・オーシャンにとって初の全英No.1ヒットとなった。まさにタフな曲だったのだ。

Billy Ocean "When The Going Gets Tough" 1984*


※Billy Ocean関連の曲が流れる主な映画
1985年・「ナイルの宝石」 = When The Going Gets Tough, The Tough Get Going
1987年・「プロミスト・ランド 青春の絆」 = Love Really Hurts Without You
1988年・「運転免許証」 = Get Outta My Dreams (Get Into My Car)
1996年・「素顔のままで」 = Get Outta My Dreams (Get Into My Car)
2001年・「シャンプー台のむこうに」 = Get Outta My Dreams (Get Into My Car)


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アルティメット・ビリー・オーシャンアルティメット・ビリー・オーシャン
R.ケリー ビリー・オーシャン

曲名リスト
1. ゲット・タフ
2. カリビアン・クイーン
3. サッド・ソングス
4. ラヴァー・ボーイ
5. ゲット・アウタ・マイ・ドリームス,ゲット・イントゥ・マイ・カー(明日へのハイウェイ)
6. サドンリー
7. ラヴ・イズ・フォーエヴァー
8. ミステリー・レディ
9. ラヴ・ゾーン
10. ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード
11. カラー・オブ・ラヴ
12. エヴリシングス・ソー・ディファレント・ウィズアウト・ユー
13. キャン・ウィ・ゴー・ラウンド・アゲイン
14. ラヴ・リアリー・ハーツ・ウィズアウト・ユー
15. L.O.D.
16. レッド・ライト・スペルズ・デンジャー
17. サドンリー
18. ナイツ

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白いカラス

2013-08-04 | 映画(さ行)

■「白いカラス/The Human Stain」(2003年・アメリカ)

監督=ロバート・ベントン
主演=アンソニー・ホプキンス ニコール・キッドマン ゲイリー・シニーズ

 人種差別発言をしたとのことから大学を追われることになった初老の教授。その直後に妻を亡くし、孤独になった彼は清掃スタッフをしている女性と出会う。二人は体だけでなく次第に心も通わせていく。彼が語り始めた驚くべき過去とは・・・。

 黒人でありながら肌の色が白かったために、彼の人生は普通ではなくなった。深く愛した女性は母親が黒人であることを知って別れを選ぶし、彼は結婚するためにユダヤ人であると名乗る。そして親や兄弟を、黒人であるということを捨てる道を選ぶ。人種偏見がなければ、彼の人生はまだ幸福だったはず。そう思うと複雑な思いになる。その悲しみを映画の日本題がうまく表現している。

 アンソニー・ホプキンスは何でも演じられる俳優だ。ここでもその演技に圧倒される。それにしても最後には誰ひとりニコリともしない映画。テーマが重いだけに見終わって考えさせられる。だが日本人にとっては、今ひとつピンとこないテーマかもしれない。その分だけ、ニコール・キッドマン扮する女性の悲しみの方が理解を得やすいようにも思われる。この映画が遺作となった撮影監督ジャン=イヴ・エスコフィエは、カラックスの「ポンヌフの恋人」も手がけた人。寒々とした風景のなかに、互いに癒しを求めた男女が映されるところは、共通するところだな。若き日の主人公を演じたウェントワース・ミラーも好助演。

(2004年筆)



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