Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

ハクソー・リッジ

2017-10-29 | 映画(は行)

■「ハクソー・リッジ/Hacksaw Ridge」(2016年・オーストラリア=アメリカ)

●2016年アカデミー賞 音響賞・編集賞
●2016年英国アカデミー賞 編集賞

監督=メル・ギブソン
主演=アンドリュー・ガーフィールド サム・ワーシントン ルーク・ブレイシー テリーサ・パーマー

キリスト教の「汝殺すなかれ」の教えを
戦場で貫いた実在の人物を描いた戦争映画。
隊の中で銃を持てない臆病者と罵られても折れない、主人公の尋常ではない不屈の心。
しかし、人が殺しあう戦場で銃を持たないことはあまりにも危険だし、
それを貫くことは並みの決意ではできない。
映画の最後に本人のインタビューが流れる。
「もう一人助けさせてください、と神に祈った」という言葉がズシリと重い。

メル・ギブソンが監督した作品は激しい描写が話題になるが、本作も然り。
多くの兵士が傷ついた悲惨な戦場の様子と
襲い来る敵兵への恐怖感が、生々しく描かれている。
この臨場感は「プライベート・ライアン」以来かも。
観客の僕らもサラウンドの銃声の中で、映画館の椅子に身を隠したくなる。
いやぁ、これを観ると「ダンケルク」をすごいと思えなくなる(私見です)。

沖縄戦の話だけに、尋常な心で映画に向かえないという意見もあるだろう。
だが人を助けたいという強い気持ちは万国共通なはず。
映画のメッセージはあくまでそこだ。
線が細いイメージのアンドリュー・ガーフィールド君、熱演でした。
お父ちゃん役は「マトリックス」のエージェントスミスことヒューゴ・ウィービング。

メル・ギブソン再起の監督作!『ハクソー・リッジ』ティザー予告編


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PK

2017-10-28 | 映画(は行)

■「PK/PK」(2014年・インド)

監督=ラージクマール・ヒラニ
主演=アーミル・カーン アヌシュカ・シャルマ サンジャイ・ダット

傑作インド映画「きっと、うまくいく」の監督、主演による新作「PK」鑑賞。
冴えないテレビ局に勤めるヒロインが、町で見かけた変わり者。
彼は調査のため地球に降り立った異星人で、宇宙船を呼び出すリモコンを探し続けていた。
彼の鋭い視点と意見に興味を持った彼女は、彼の探し物を手伝うことに。
そこで起こる珍騒動を、笑いと涙と人間ドラマ、そして明るいダンスで描く。

前作ではインドの貧富の差やエリート意識を皮肉ったが、今回は宗教に切り込む。
多様な宗教信者が国内におり、その宗教が原因で国境さえも変わったインドを舞台に、
ここまで既存宗教や宗教ビジネスに対して疑問を投げかけたことにまず感動。
そして偏見や思い込みが人生を狂わせていくことが、実に丁寧に語られていく。
僕らが映画に求める楽しさが、これでもかとてんこ盛りになっていながら、
決して脱線もせず、見事な伏線回収でラストまで飽きさせることはない。

裸で地球に降り立った主人公が
衣服や金銭を調達する方法には大笑い(「ターミネーター」みたいな方法ではありません)。
何よりアーミル・カーンの怪演が素晴らしい。
彼が地球から持ち帰った物を知るラストには、思わず胸キュン(死語)。
観終わったら、きっと誰かに語りたくなる。

映画『PK』予告編



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シン・ゴジラ

2017-10-24 | 映画(さ行)

■「シン・ゴジラ/Sin Godzilla」(2016年・日本)

●2016年日本アカデミー賞 作品賞・監督賞・撮影賞・照明賞・美術賞・録音賞・編集賞
●2016年ブルーリボン賞 作品賞

監督=庵野秀明
主演=長谷川博己 竹野内豊 石原さとみ 高良健吾 松尾諭 

大ヒットの一方で賛否分かれるのもわかるなあー。
延々と続く会議。
「エヴァ」のゼーレよろしく会議、会議また会議。
これは確かに現実だし、こういう手続きで世の中回っているのだろうし、
いろんなしがらみがあるのも理解できる。
ゴジラの再定義も面白いし、
今だから描ける放射線のリアルな描写や背びれからビームも楽しかったし、
経口投与作戦にも驚き。

でもねえ・・・もっと動き回るゴジラが観たかった気がしてならない。
多分、僕が復活ゴジラに求めてたのは、あの咆哮と勇姿(昭和世代だからかなぁ)。
そういう意味では、
ギャレス・エドワーズ監督の2014年ハリウッド版はバランスが取れてて僕は好み。

ディザスター(災害)ムービーとしては、リアルさで合格点。
しかし、この映画最大の凄さは、
怪獣映画に登場するヒーロー像を完全に変えちゃったこと。
それはもはやオキシジェンデストロイヤーを創る科学者でも、
指揮官自ら出撃する軍人でもない。
自分を貫く政治家なのだ。

子供達は長谷川博己君のヒーロー像に憧れてくれるだろうか。
会議、会議、また会議を乗り越える姿をカッコいい!と思ってくれるだろか。
・・・あ、こんなこと言う僕が
きっと会議と打ち合わせにウンザリしてる大人だからなのか(笑)。
ラストの平泉成。
頭を下げるべき時に頭を下げられる大人のカッコよさが描かれたとこは、
すっごくナイスだと思うのです。

『シン・ゴジラ』予告


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キャロル

2017-10-16 | 映画(か行)

■「キャロル/Carol」(2015年・イギリス=アメリカ=フランス)

●2015年カンヌ映画祭 女優賞
●2015年全米批評家協会賞 監督賞・撮影賞
●2015年NY批評家協会賞 作品賞・監督賞・脚本賞・撮影賞

監督=トッド・ヘインズ
主演=ケイト・ブランシェット ルーニー・マーラ サラ・ポールソン ジェイク・レイシー

お金持ちの奥様キャロルに惹かれたデパート店員テレーズ。
常に周囲に流され続けて引っ込み思案だったテレーズを、
その出会いが変えた。
これまで多くを語らなかった趣味の写真、
一方的に求婚してくる男友達への本音を口にし、自分の思いに正直になっていく。
一方、キャロルは離婚調停中で親権をめぐる争いが泥沼化していた。
夫側が不仲の原因としたのが、キャロルの過去。
それは当時の保守的なアメリカ社会ではタブーとされてきたこと・・・。

「エデンより彼方へ」でも
同様のテーマを取り上げたことのあるトッド・ヘインズ監督。
でもLGBTをテーマにした最近の映画たちと、
この「キャロル」をひとくくりにしてしまっていいのだろか。

「キャロル」は、人生を大きく変える人との出会いこそが主眼。
キャロルはテレーズが自分の殻を破るきっかけを作る頼れる憧れの女性。
でもキャロルのことを知るうちに彼女の置かれた立場や弱さに、
テレーズは自分が何とかできないかと考え始める。
突飛な役柄が多かったルーニー・マーラが等身大の女性を演じ、
ストーリーが進むにつれて変わっていく様子が印象的だ。

何よりも撮影が美しい。
窓の雨粒越しの夜の街、
運転するキャロルを見つめる目線。
これは視線で語る映画。
ヒロインが見ているものが、銀幕のこちら側の視点と重なるドキドキ感。
同じパトリシア・ハイスミス原作と言えば「太陽がいっぱい」。
思えばあの映画も、主人公が変わるきっかけとなる同性がいて、
二人が愛した女性をじーっと見つめるようなカメラワークが心に残ったな。

映画『キャロル』予告編





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おとなのけんか

2017-10-15 | 映画(あ行)

■「おとなのけんか/Carnage」(2011年・フランス=ドイツ=ポーランド)

監督=ロマン・ポランスキー
主演=ジョディ・フォスター ケイト・ウィンスレット クリストフ・ヴァルツ ジョン・C・ライリー

●2011年セザール賞 脚色賞

未見だった「おとなのけんか」鑑賞。
子供が怪我をしたことで、双方の両親が話し合おうと集まった。
最初は好感を保ちながら穏やかに話せていたのだが・・・。
次第に四人それぞれの価値観や嫌な部分が明らかになっていき、
子供の話のはずが、夫婦対夫婦、夫二人対妻二人、
それぞれの夫対妻と形を変えながら感情と溜め込んでいた思いを爆発させることに。
カメラは家から出ることもなく、登場人物は四人だけ。

四人のやりとりやパートナーに抱いている感情などが生々しくて、
コメディとして面白いだけでなく、夫として妻としてわが身を振り返ってしまう。
欧米の夫婦って、日本の夫婦ほどパブリックでは悪口を言わないイメージがあるけど、
一皮剥けば・・・そこはいろいろあるんだよな。
約90分に及ぶ親同士の壮絶な戦いの後で映し出されるのは、
子供達が仲良く遊ぶ公園の風景。
ジワーッとおかしさがこみ上げてくる。

舞台劇の映画化は「死と乙女」などこれまでも手がけているロマン・ポランスキー監督。
今まで考えたことなかったけど、
ポランスキー監督って、舞台が狭くって、登場人物が限られている映画にこそ怪作快作が多いのでは。
ほとんどホラーの「反撥」
変態だらけの「赤い航路」、
傑作スリラー「ローズマリーの赤ちゃん」なんてまさにそんな作品。
代表作「戦場のピアニスト」だって、ゲットーという狭い範囲が舞台だしね。

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トリュフォーの思春期

2017-10-11 | 映画(た行)


■「トリュフォーの思春期/L'Argent De Poche (Small Change)」(1976年・フランス)

監督=フランソワ・トリュフォー
主演=ジョリー・デムソー フィリップ・ゴールドマン リシャール・ゴルフィー シルヴィー・グレゼル

おフランス映画大好きだけど、フランソワ・トリュフォー監督作品は
いわゆるドワネルものに未見が多いので、まだ観るべきものが多い気がする。
「午前10時の映画祭」で幸運にも劇場で「トリュフォーの思春期」を初鑑賞。

邦題こそ"思春期"だが、70年代末期に流行った初体験ものではない。
ラストの胸キュンなキス以外に、甘酸っぱい場面はない。
子供たちの時に愛らしく、時に小憎らしく、
時にあどけなく、時におマセなエピソードが断片的に綴られていく。
でも、きちんと物語として収束するのがこの映画の見事なところ。
友達のお母さんに恋をしてバラを贈り、同世代の女のコに大胆な行動を取れないパトリック君が好印象。
それだけに彼のハッピーエンドにこっちまでニコニコ。

一方で、転校生のジュリアンをめぐる児童虐待のエピソードもあり、
子供たちの厳しい現実も描かれる。
子供の視線からは、大人ってやっぱりわかってくれない存在。
反抗して親とのお出かけを拒否した女のコに、
アパートの住人が差し入れをする場面は微笑ましくて好き。
アパートの高層階に住む2歳のグレゴリーちゃん、きゃわゆ過ぎ!
これが演技だったらヤバいです。

子供が産まれて初めて教壇に立った先生が、子供達に語りかけるメッセージが素晴らしい。
子供には自由がない。でも大きくなって選挙権を得たら、
自分の経験から嫌だったことを変えることができるんだ。
人生に大切なのは愛だ。
僕が先生って呼ばれる仕事をやってたら、確実に引用させてもらってたかもなww



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さよなら、さよならハリウッド

2017-10-09 | 映画(さ行)

■「さよなら、さよならハリウッド/Hollywood Ending」(2002年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン ティア・レオニー トリート・ウィリアムズ ジョージ・ハミルトン

未見だったウディ・アレン作品「さよなら、さよならハリウッド」鑑賞。
大手映画会社ドリームワークスの元で製作された本作は、
アメリカ映画界をおちょくるような皮肉に満ちたコメディ。

大手映画会社の実力者に妻を寝取られた自称天才映画監督。
不本意なCMの仕事ばかりで、テレビ映画の仕事はかつての有名監督にさらわれる、そんな冴えない日々を送っていた。
そこに元妻の助言から、大手製作の新作を監督するオファーがやってくる。
ところが神経質な彼は撮影直前、ストレスが原因で目が見えなくなってしまう。
これを隠し通すために騒動がもちあがる。

商業映画と芸術映画のあり方、
ゴシップにむらがる雑誌記者、
編集でどうにかしちゃう製作陣、
西海岸とニューヨーカーの気質の違い・・・映画好きならクスッと笑える小ネタが楽しい。
作家性と商業路線を両立させた存在としてヒッチコックが話題に出る場面あり。なるほどね。

そしてこの映画、"終わりよければすべて良し"な、ハリウッド的エンディングでありながら、
そこが絶妙な風刺になってる。
しかし、他の作品で見られるような強烈な毒に感じられないのが、どうも物足りない。

この映画の数年後、ウディ先生はヨーロッパで映画を撮るようになり、
しかもその最初がヒッチコックを思わせる「マッチポイント」だった。
それを考えると、この「さよなら、さよならハリウッド」が現実と重なるんだよな。

Hollywood Ending - Trailer


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ベイビー・ドライバー

2017-10-08 | 映画(は行)

■「ベイビー・ドライバー/Baby Driver」(2017年・アメリカ)

監督=エドガー・ライト
主演=アンセル・エルゴート リリー・ジェームズ ケビン・スペイシー ジョン・ハム ジェイミー・フォックス

音楽と映像が一体化する快感はいろんな映画で味わってきたけど、
CM(たとえばこれね)でもないのに
カーアクションが音楽と同期するなんて!
さらに全編音楽が流れっぱなしで、銃声さえもビートを刻んでくる。
犯罪映画なんだけど、そこに胸キュンな青春映画の要素が入り込んで
もうドキドキがとまらない。
最初の数分間で完全にハートをつかまれた♡

主人公ベイビーは交通事故の後遺症で耳鳴りが止まらない。
しかし、ひとたびヘッドフォンをしてお気に入りのプレイリストを流せば、
天才的なドライバーに変身する、犯罪組織の"逃し屋"。

ダイナーで出会ったデボラとの恋。
二人の出会いの会話の音楽ネタがなんとも素敵。
自分の名前の曲は1曲しかない、と残念がるデボラに
「2曲ある」と言うベイビー。
詳しそうなのにT-rexを実はよく知らない。
二人がヘッドフォンを共有する絶妙な距離感は、
恋する二人の距離が縮まる瞬間。

恋の行方と犯罪サスペンスが見事な共存。

全編に流れるセンスのいい選曲と、引用される小ネタの数々にワクワクせずにいられない。
「ハロウィン」のマイケル・マイヤーズと「オースティン・パワーズ」のマイク・マイヤーズのギャグやら、
「モンスターズ・インク」の引用に思わずニヤリとしてしまう。
純粋にハラハラを楽しむもよし。
音楽や映画に詳しい人には、また違ったツボが用意されてる。

クィーンの Brighten Rock が流れるクライマックス、たまりません。
お気に入りの曲(killer tune)としてベイビーが名を挙げた Brighten Rockが、
クライマックスでは文字通りの"殺し屋の曲"になるなんて、実に見事。
エンドクレジットでサイモン&ガーファンクルが流れた時に、
なんで映画のタイトル聞いてこの曲を思い浮かべなかったのだろうと、
悔しいやら嬉しいやら。

上映館が少ないのがとっても残念。
今年の僕のベストテン入りは確実かも!

映画『ベイビー・ドライバー』予告編


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野いちご

2017-10-06 | 映画(な行)


■「野いちご/Smultron-Stallet」(1957年・スウェーデン)

監督=イングマル・ベルイマン
主演=ヴィクトル・シェストレム イングリッド・チューリン グンナール・ビョルンストランド マックス・フォン・シドー

●1958年ベルリン映画祭 金熊賞
●1959年ゴールデングローブ賞 外国語映画賞

鑑賞眼を衰えさせない為に、何か非ハリウッド映画を観る!と思い立ち、
BSで放送されたイングマル・ベルイマン監督の代表作「野いちご」に挑む。

今は孤独に生きている老医師。
表彰を受けるため車で目的地に向けて旅する1日は、
彼のこれまでの半生を振り返り、
自らの老いと自分が生き方が息子や周囲の人々にどう映ってきたかを知るものだった…というお話。

死をイメージさせる夢の場面は、背筋に記憶を刻むかのように強烈。
回想シーンは、現在の自分が過去の出来事に同居する。
この描かれ方は多くのフォロアーを生んだと聞く。
最近ならウディ・アレンの「ローマでアモーレ」
「記憶探偵と鍵のかかった少女」はこの手法をうまく使った好例。

孤独に生きてきた老人が最後の最後に人をつなぐ。
フィアンセを弟に奪われたり、自分が求めた孤独から、妻や子供の考えや行動を歪めてしまった彼だけに、
人とのつながりに幸福な表情を浮かべるラストが感動的だ。
ベルイマン監督作の中ではわかりやすくて、幸せな結末が素敵な作品。

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キネマ探偵カレイドミステリー

2017-10-04 | 読書


引きこもりの映画フリーク大学生と、
彼の社会復帰を教授に頼まれた単位取得危機の主人公。
二人が映画にちなんだ事件に巻き込まれ、引きこもり探偵がその謎を解く、
電撃小説大賞受賞作たるライトノベル。

ストーリーになーんとなく映画の断片が散りばめられるだけの
お気軽ライトノベルだろうとタカをくくっていたのだが、
なかなかハイレベルな映画の知識と愛がなければ書けないお話やん。

クラシックが引用されないのが残念なところではあるが、
「BTTF」や「ニューシネマパラダイス」など、
ラノベ世代にも通じる名作たちが引用される。
特に「セブン」を思わせる連続猟奇殺人に巻き込まれる第4話は、
映画ポスター好きなら文章だけで「あー、わかるわかる!」と共感すること必至。
映画の知識が深くなくても楽しめるお話だけど、
わかる奴にはもっとわかる、という楽しさがある。

続編をちょっとだけ期待しておこう。




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