Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

スコルピオンの恋まじない

2013-07-24 | 映画(さ行)

■「スコルピオンの恋まじない/The Curse Of The Jade Scorpion」(2001年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン ヘレン・ハント シャーリーズ・セロン ダン・エイクロイド

ウディ・アレン映画が好きな僕ですが、正直なところ、公開当時この映画を観ることを避けていた。それはロマコメ色を強調した邦題と予告編、それにヘレン・ハントがアレン映画のヒロインとしてピンとこなかったせい。確かに原題そのままの「ジェイド・スコルピオンの呪い」ではハマープロのホラー映画みたいになってしまう。犬猿の仲である男女を物語の中心に考えるとこういう邦題しかなかったのかな。

ウディ・アレンの旧作が観たくなってやっと観たのだが、いやいや食わず嫌いでした。誤解が誤解を呼ぶ巻き込まれ型サスペンスコメディとして十分に楽しめる。ウディ・アレンが演ずるのは、見かけは冴えないがスゴ腕の保険調査員。社内改革のためとしてこれまたやり手の女性(ヘレン・ハント)とは、やり方をめぐって常に対立する関係。同僚と行った酒場で、怪しげな催眠術師に呪文をかけられる二人。二人は愛し合う仲になるという呪文だったので同僚たちは大盛り上がり。ところがこの催眠術師が悪党で、催眠状態の人を使って泥棒をさせていたのだった。会社では顧客の宝石が盗まれて大騒ぎになるのだが、状況証拠から主人公が追い詰められていく・・・。主人公に関わる個性ある登場人物が楽しい。社長のダン・エイクロイド、主人公を誘惑するシャーリーズ・セロン、同僚の一人エリザベス・バークレーなど芸達者だらけ。特にシャーリーズ・セロンは彼女らしいブロンド美女役で妖艶。出番が少ないのがなによりも残念。

主人公が真犯人に迫る展開の筋道は、理詰めで見れば物足りない。というかかなり大ざっぱな印象を受ける。しかし、この映画はお気楽に楽しむべき映画。最近のアレン作品のように、観た後で男と女の関係について考えさせられるようなものとは違う。あるがままに楽しむべき娯楽作。ところで、ウディ・アレンはこの映画でビリー・ワイルダー監督へのオマージュを捧げているように思えるのだ。独身保険調査員が主人公で、同僚が社長と不倫関係・・・とくれば名作「アパートの鍵貸します」のシチュエーション。そして妖艶な美女に迫られるところは、同じ保険調査員が主人公の傑作サスペンス「深夜の告白」。最後のロマンスの展開もワイルダー作品など往年のクラシックを思わせる。そういう意味ではアレンご本人も楽しんで撮っている映画。こっちもあるがままに楽しむがよし。



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