Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

カフェ・ソサエティ

2017-05-20 | 映画(か行)


■「カフェ・ソサエティ/Cafe Society」(2016年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ジェシー・アイゼンバーグ クリステン・スチュワート ブレイク・ライブリー スティーブ・カレル

最近のウディ・アレン監督作は、気楽に観られるロマコメ路線ばかりではない。
男と女の関係について考えさせるビターな味わいを持つものも少なくない。
「それでも恋するバルセロナ」では結婚って何なんだろう、
「ブルー・ジャスミン」では幸せってなんだろう、と思わずにはいられなかった。

この「カフェ・ソサエティ」、
前半のコミカルなやり取りや粋な台詞で、スリリングな恋模様を描いている。
クラシック映画への敬意も感じさせて、玄人好みな雰囲気が。
ところが舞台をニューヨークに移した後半は脇役キャラの面白さに加えて、
未練という名の切なさがスリリングに漂ってくる。

世間も認める成功や結婚をしても、心に残る過去の残像を人は消すことができない。
恋する楽しさを楽しむ映画もいいけれど、
この映画のラストで味わう物言わぬ切なさは年齢を重ねてこそ心に響くのでは。
自分にとって何が幸せだったのかは誰にもわからない。
ただ今があるだけ。
誰にも当たり前のことだけど、それを振り返らせてくれる。

映画のラスト、ふた通りに使われる「夢は夢なんだよ」という台詞が、なんとも切ない。
これまでのビターなアレン映画とは、どこか違う。
それは映画でしか描けない大恋愛やバカをしたんだから当然の結末だよね、と観る側に思わせるだけじゃない。
僕らはふたりのヴェロニカに、ボビーに自分を重ねてしまう。
「夢は夢なんだよ」はあきらめの響きじゃなくて、誰もが思うことなんだって優しい響きがある。
ビターだけど、ほのかにスイートな大人の愛の映画。
往年のハリウッドの名作「愛情物語」でも使われた、
大好きなカーメン・キャバレロの曲Manhattanが流れる嬉しさ。

映画『カフェ・ソサエティ』予告編


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エクス・マキナ

2017-05-12 | 映画(あ行)

■「エクス・マキナ/Ex_Machina」(2015年・イギリス)

●2015年アカデミー賞 視覚効果賞
●2015年LA批評家協会賞 助演女優賞

監督=アレックス・ガーランド
主演=ドーナル・グリーソン アリシア・ヴィカンダー オスカー・アイザック ソノヤ・ミズノ

限られた舞台と登場人物、最小限の特撮ながら、設定の面白さと工夫で作られた秀作だ。
IT企業の社長ネイサンが手がけているAIの極秘開発プロジェクト。
社員から抜擢された若き技術者エイハブは、
エヴァと名付けられた女性型ロボットのテストを担当することになる。
その完成度の高さに、エイハブは次第に人間の女性に対するのと同じような感情を抱いて行く。
だがエヴァの彼への言動は自立思考なのか、プログラムされたものなのか。
さらに浮かび上がるネイサンへの疑念の数々…。

人間とAIの恋、創造主たる人間に対するAIの反逆。
「ブレードランナー」や「her/世界でひとつの彼女」など数々のSF映画で語られてきたテーマなれど、
スリラー映画として描かれた本作は、ミステリアスな展開に目が離せないし、
ラストの空虚さにはゾッとする。
旧約聖書から引用された登場人物の名前や、
哲学者ヴィトゲンシュタイン関連のキーワードに込められた意味が深読みできるとまた面白いのだろうな。
観る人それぞれに解釈があるだろうし、
観た後でそれを語り合いたくなる映画だ。




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