
◼️「ミッション:インポッシブル ファイナル・レコニング/Mission : Impossible The Final Reconing」(2025年・アメリカ)
監督=クリストファー・マッカリー
主演=トム・クルーズ ヘイリー・アトウェル ヴィング・レイムス サイモン・ペッグ
先行上映と聞いたから夜1回かと思ったら、トム・クルーズの「アリガト。」コメント付きで公開前週末から事実上のスタート。早速参戦。本作はMIシリーズの集大成という位置付け。最近のクリストファー・マッカリーは、トム・クルーズをカッコよく撮る専属監督みたいな職人仕事をしている。本作はそこに加えてMIシリーズへの愛もたっぷり詰め込んだ。
イーサン・ハントのこれまでの任務を振り返る映像や証言が次々に示される。前作から続く世界の危機的な状況にそれらが大きく関わっている。世界がこうなったのは、イーサンお前のせいだ、と「エヴァQ」の碇シンジみたいに政府上層部から徹底的に罵られる。彼には実績もある一方で組織にとっては扱いにくい存在。幾度も世界を救ってきたのに、何だその言葉は!と盲目的なシリーズファンをイライラさせる。それでも世界はイーサンに頼るしかない。アンジェラ・バセット演ずる女性大統領(これも驚きの展開!)はイーサンの主張を受け入れて、わずかなチャンスに賭けるミッションを手助けする。
沈没したロシアの潜水艦にたどり着くまでの、数々の困難を乗り越えていく様子や、イーサンにかけられる何気ないひと言が、人の関わりって温かくて有難いものだなと思わされる。クリストファー・マッカリー監督になってからの作品は、チームプレイがより重要な要素になっていて、ちゃんとオリジナルの「スパイ大作戦」に通ずる作風になっているのが好感だ。本作は特に多くの人々が関係しており、それぞれの現場のプロの活躍が頼もしい。潜水艦の艦長が「ミスター…」とかける言葉も、へき地の観測所に飛ばされた元CIA職員(これがまた粋な設定!)も心に残る。
悪役がAIという大風呂敷を広げた話が、イーサンが不可能と思われることを一つ一つ突破することでAIの予測を裏切り続けるのが面白い。人間の気まぐれな思いつきや感情の揺らぎ、予測できない行動。それが世界を救うのだ。
それにつけても、このシリーズは高所恐怖症に優しくない。「ゴーストプロトコル」のビルよじ登り場面、「フォールアウト」のヘリの積荷に捕まる場面では、映画館の椅子にへばりついたもんです。ポスターやチラシのデザインが複葉機になった頃から嫌な予感がした。だが落下の恐怖を観客に味あわせるのは空ばかりじゃない。深海に沈む潜水艦からの脱出シーンはど迫力。だ、大丈夫なのか!?😨そして最後の大舞台はコンゴの大空!
き、来やがった…💧
逃げるガブリエルを赤い複葉機で追うイーサン。ポスターの飛行機は黄色だったよねぇ。
う、うわっ…マジか😣
ただでさえ長尺なのに、危機また危機でどんどん上映時間が長くなる。うわー、乗り移っちゃったよ。
ひぃーっ😖
確かに都合のいい部分もあるけれど、満足できるエンターテイメント。イーサンのチーム、ガブリエルの一味、イーサンを追う米国の面々…と三つ巴のサスペンスは、それほど複雑には感じられなかった。ストーリーが進行する中で、理屈と過去のミッションとの関係性など多くの情報量が示される。よくわからないものもあったし、そこを負担に感じる人はいるだろう。だが、この大活劇の前にはそんな理屈がどうでもよくなってしまう。これを映画館で楽しまずにどうする。