Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakが、日々気になる音楽・映画・家族の出来事を記す雑記帳

華氏119

2018-11-15 | 映画(か行)


◾︎「華氏119/Fahrenheit 11/9」(2018年・アメリカ)
監督=マイケル・ムーア

中間選挙が終わり、上院は共和党が多数、下院は民主党が多数のねじれ状態に。正直言う。ホッとした。議会で意見が通りにくくなることで、カルタだかハナフダだか知らないが(トランプだって)大統領氏の暴走も少しは抑えられるだろう。でも大統領令という強権はあるし、議会のお仕事ではない外交分野で実績を強調すべく、ますます強気になるかもしれない。でも有権者が野党に票を投じるという行動に出たことは、アメリカがこういう面では健全なのだと感じられる。

さて「華氏119」だが、やたらとカルタ(だからトランプ)大統領批判の映画だ、と日本では宣伝されまくってる本作。人権意識はカケラもないし、反対意見は聞きもしない。そうした人物の問題は確かに映画でも描かれる。そもそもテレビ出演のギャラを上げるための作戦として大統領選出馬を思いついたというのは衝撃。しかし注目を浴びたことで、これをある種のビジネスチャンスと捉えて行動した感覚と、アメリカという国を売り込もうとする気概はすげえと思う。しかし、国家の上に立つ者が協調を知らず横暴なのは問題だ。マイケル・ムーア監督は、ハナフダ(だからトランプ…)大統領を批判はしているが、映画の主題はそこではない。そこまで資質に欠ける人物が何故大統領選挙で勝てたのか、彼のような大統領を生んでしまったアメリカという国の現状に鋭く迫ったのがこのドキュメンタリー映画なのだ。日本の映画宣伝はほんっと下手。この売り方じゃ、2時間ハナフダ大統領をディスり続ける映画だと誤解されても仕方ない。実際はそうじゃないのに。

現状の政治に不満を抱かせてしまった民主党時代の問題点を、映画はハナフダ(だからトランプ…)大統領の批判以上に強烈に描く。保険制度も理念も悪くないけど、結局民主党時代にやってきたことは妥協に次ぐ妥協。その最悪な事例として、ミシガン州で民営化がもたらした水道汚染事件を取り上げる。救いの主だと思われていたオバマ大統領までもがあんな対応をしたとは…監督の恣意的な表現もあるだろうけど、ともかく現状の政治にアメリカ国民の少なくない人々が失望していたのは確かだ。

そして映画は、そんなアメリカで立ち上がる人々の姿を映し出す。米国でも最低の雇用環境である教員たちのストライキ、銃乱射事件の後で高校生たちが起こした行動。いやもう、涙が出る。現代アメリカの政治は責められるべき問題を抱えているけど、こうしてあきらめないで行動する人たちがいる。選挙で意思を示す人たちがいる。まだまだ捨てたもんじゃない。

じゃあ、わが国はどうなのか。誰の目にも不可解なことばかりが起こって、連日報道されているのに何一つ明らかにされない。これまで長い歴史上政府が守ってきたことが突然ひっくり返される。野党は野党で不甲斐ない。政治はどこを向いているのか。映画「華氏119」で描かれていたのはアメリカの現状だけど、今まさにわが国で起きている、起きようとしていることだ。「人々があきらめた時に独裁は生まれる」という言葉が強烈に心に残る。

マイケル・ムーア監督の見せ方は本当に巧い。音楽の使い方も実に見事。「オーメン」のテーマ曲の使い方には思わず吹き出したww。この映画はムーアの意見であり、鵜呑みにするのは良くない。けれど、あなたがこの映画を観て少なくとも「今のままでいいのか?」という気持ちになることは正しいことだ。それは監督にノセられているからじゃない。現実の怖さをあなたが感じたからなのだ。さあ、選挙に行こう。
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ボヘミアン・ラプソディ

2018-11-09 | 映画(は行)


◾️「ボヘミアン・ラプソディ/Bohemian Rhapsody」(2018年・アメリカ=イギリス)

監督=ブライアン・シンガー
主演=ラミ・マレック ジョセフ・マッゼロ エイダン・ギレン ベン・ハーディ

クィーンは大好きなロックバンド。80年代の活躍はリアルタイムで見てきたし、この映画のクライマックスである、1985年のライブエイド衛星中継放送はテレビにかじりついた。そしてフレディ・マーキュリーが亡くなった日、黒いネクタイで出勤した。洋楽ファンだけでなく、多くの人々が一度は耳にし、愛されている数々のヒット曲がこれ程あるロックバンドはなかなかない。それだけに逸話や伝説化したエピソードも数多く存在する。フレディの伝記映画として2時間余りの尺で、クィーンを語り尽くすなんて到底できない。けれどかなり練られたと思われる脚本やメンバーの音楽監修で新旧ファンを満足させ、しかもクィーンの楽曲の魅力を詰め込んだ愛すべき力作だ。

映画最大の魅力は音楽の力だ。未発表音源を駆使して演奏シーンを再現しており、特にライブエイドの20分間を再現したクライマックスは圧巻だ。いかに新たなことに挑み、聴衆を巻き込んで音楽を創りあげる姿勢を貫いてきたのか。長い歴史の中、フレディがその才能や個人的事情からメンバーと疎遠になっていく様子は観ていて辛い。聴衆に愛された男がどんどん孤独になっていき、それを埋めるために仕事に没頭して、仲間とのバカ騒ぎに耽る。それでも生涯友人としてフレディを支えたメアリーとの関係は、LGBTを扱った映画としても好印象を残してくれる。

ディープなクィーンファンには、本国では遅咲きで日本で先にブレイクした逸話やら、フレディの死後に名曲I was born to love you が誕生するエピソードが欲しいところかもしれない。しかしフレディの死後を描かないことはかえって潔い印象を受ける。「善行をしろ」と言う父親の教えを裏切り続けたフレディが、音楽史上最大のチャリティイベントであるライブエイドに出演することで初めて父に認められる。これをクライマックスに持ってきたことは、アーティストの伝記映画としては定石かもしれないが、そこから続く圧巻のライブシーンが、感動を見事に高めてくれるのが素晴らしい。フレディのそれまでとそれからを思うと、歌詞がやたらと心に染みる。Radio GAGA の"手を挙げて拍手"を映画館でやりたいー!ww

オープニングのFOXファンファーレがクィーン風になってたり、あのマイク・マイヤーズに「車の中で頭を振るには最高だ」って言わせるなんて、クスッとさせる仕掛けもいっぱい。ボブ・ゲルドフ役の俳優さんは美男過ぎ(笑)、ジョン・テイラーかと思った。途中降板したと伝えられるブライアン・シンガー監督。どこまで彼の指揮で撮ってるのかは分からないが、見せ方の巧さは随所に光る。
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グッバイ・ゴダール!

2018-11-01 | 映画(か行)


◾️「グッバイ・ゴダール//Le Redoutable」(2017年・フランス)

監督=ミシェル・アザナヴィシウス
主演=ルイ・ガレル ステイシー・マーチン ベレニス・ベジョ ミシャ・レスコー

ジャン・リュック・ゴダール監督の「中国女」主演女優で妻でもあったアンヌ・ヴィアゼムスキーの自伝を映画化。「アーティスト」でハリウッドクラシックに敬意を表したアザナヴィシウス監督だけに、ヌーベルヴァーグをどう料理するのか興味があって鑑賞。

アンヌの眼から見たゴダール像。しかもフランスは五月革命真っ最中で、思いっきり政治に傾倒していた時期のゴダールだけに、やたら偏屈でめんどくさい人物に描かれている。ただ五月革命の頃って、革命派か反革命派かいずれを支持するのか、国家を二分する論争となり、市民も二者択一を迫られているような時代だったと聞く。ただでさえ政治や主義、哲学について持論をもつ彼が、暴言を繰り返し、他人の意見に耳を貸さない様子は確かに観ていて不快。それが時代の空気でブーストされている。僕はこの時代のゴダール作品「中国女」も「東風」も観ていないけど、小難しい映画なんだろうか。

しかし映画全体としては、スタイリッシュな映像美と、アンヌ役ステイシー・マーティンの可憐さでかなりの好印象。ゴダールらしい手持ちカメラの映像、ベッドの上のアンヌをモノクロで撮る場面やインテリアのビビッドな色彩はとってもオシャレ。ゴダールが壁に書かれた悪口を見て落ち込むと映像はネガポジ反転し、「勝手にしやがれ」で流れたコマ切れ音楽のようにレコードの針が飛ぶと映像も呼応する。またアンヌの髪型はそれ程変化がないけれど、映画前半のミニスカートが露出の少ないパンツルックになり、衣装で19の娘が大人になっていく様をうまく表現していると思った。アンヌにオファーされたイタリア映画の脚本を巡る場面では、「無駄な場面では脱がない」とアンヌに言わせておきながら、画面の二人は無修正の全裸(抵抗がある人は要注意・笑)。まさに無駄な裸というユーモア。メガネが壊れるコメディ描写も含めたアザナヴィシウス監督の遊び心は、ゴダールの自由な作風とは違うけど、彼なりのヌーベルヴァーグへの敬意なのだろうか。

主演二人の熱演に支えられた作品。女と男のすれ違い。後味は決して良くないけれど、どんなだろ?と観ないでモヤモヤするくらいならまずは観るべし。
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チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛

2018-10-28 | 映画(た行)


◾️「チューリップ・フィーバー 肖像画に秘めた愛/Tulip Fever」(2017年・アメ リカ)

監督=ジャスティン・チャドウィック
主演=アリシア・ヴィギャンデル デイン・デハーン ジュディ・デンチ クリストフ・ヴァルツ

17世紀のオランダは貿易で富を得て空前の好景気。中でも絵画とチューリップの球根は投機的な取引が盛んに行われており、一夜にして大金持ちにもなれる世界最初のバブル景気"チューリップ熱"の時代であった。孤児院で育った主人公ソフィアは、香辛料貿易で富を得た老商人コルネリスに後妻として迎えられた。しかし子供はなかなか授からず、時間だけが過ぎていった。夫婦の肖像画を遺したいと言い出したコルネリスは、貧しいが才能ある若い画家ヤンを雇う。キャンバスを挟んで向かい合うヤンとソフィア。いつしか二人の胸中にはお互いを求める気持ちが高まっていく。隠れた逢瀬を重ねる二人の関係は、使用人マリアに知られることになる。イケメン魚売りと恋仲だったマリアは彼の子を身ごもるが、彼は行方不明に。マリアを屋敷から追い出さない代わりに、ソフィアが妊娠していると偽装してマリアを出産させ、一緒に家で育てようと提案する・・・。

監督は「ブーリン家の姉妹」のジャスティン・チャドウィック。思えばどちらも妊娠偽装の話なのだが、一国の王女でも商人の妻でも女性の置かれた立場にはなんの変わりもない。ヤンへの激しい恋心でソフィアは、妊娠偽装だけでなくさらなる大胆な行動で、夫コルネリスとの生活から逃れようとする。しかしその気持ちは熱に浮かされたようなもの。時を同じくて経済の熱にも翳りが訪れるクライマックス。起伏のある劇的なストーリーなのだが、どうも小綺麗にまとめた印象なのはなんでだろ。「ブーリン家の姉妹」みたいな王宮絵巻じゃないから?後半やや展開が唐突に感じられたから?でも庶民までもがチューリップの球根取引に手を染める熱気あふれる場面はリアルだし、監督が力を注いだフェルメール絵画のような映像美は見どころでした。アメリカで予告編が放送禁止になったと話題のラブシーン。アリシアたんの美しさには見惚れますぞ。ジュディ・デンチが修道院長を演ず じたりすると、「キャンディキャンディ」のシスターグレーとイメージが重なってしまう。僕だけだろうかww
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アンドロメダ・・・

2018-10-22 | 映画(あ行)


■「アンドロメダ・・・/The Andromeda Strain」(1971年・アメリカ)

監督=ロバート・ワイズ
主演=アーサー・ヒル デビッド・ウェイン ジェームズ・オルソン ケイト・レイド

70年代以前のSF映画が描く深刻な未来像。
子供の頃テレビで観て、繰り返し観たお気に入り映画になったものあれば、生涯残るトラウマ映画になったものもある。
「決死圏SOS宇宙船」「猿の惑星」「ソイレントグリーン」、
後に観た「地球爆破計画」などいろいろあるが、
中でもマイケル・クライトン原作の「ウエストワールド」とこの「アンドロメダ・・・」は強烈なインパクトがあった。

人工衛星が墜落してきたある村で、人々が死亡するという事件が起こる。
生き残ったのは、赤ちゃんと老人の二人だけ。
様々な分野の科学者が招集され、地下深くに設けられた秘密の施設で対策の検討が始まる。
その施設も危険な病原菌で汚染されてしまった際には、拡散を防ぐ為に核爆弾で自爆することになっていた。
数々の検証を経て、原因となる細菌の存在を突き止められ、核で村を焼き払うことが提案される。
しかし、その後の検証で核爆発のエネルギーが細菌を爆発的に増殖させることが判明。
そして施設内に汚染の危機が・・・。

とにかく知的な印象の映画。
延々と実験と分析が繰り返される中で、対策を見出していく様子は、
現代ハリウッドのエンターテイメントに慣れた眼には盛り上がりもなければ、高揚感も皆無だ。
カメラは現場と施設以外を映すことはないし、
特に前半は科学者たちを無菌状態に近づける為の防疫処置が続くだけに、ここまでで飽きてしまう人は多いだろう。
しかし今改めて観ると、理詰めのストーリー展開や科学者の持病という伏線など、緻密に脚本が練り上げられている印象。
まだSF映画が娯楽作ではなく、
文字通りの知的"空想科学"や得体の知れない恐怖を描くものだった時代の秀作だ。
クライマックスの核爆発が迫る危機。
ハシゴを上る人物にレーザー光線が襲いかかる場面は、子供心に強烈な印象だった。

邦題をオリジナルの「アンドロメダ病原体」にせず「アンドロメダ・・・」にしたのは、
病原体だとネタバレしてしまうことを避けたものだとか。
ポスターや予告編で堂々とネタバレをやっちまう今の下手くそな映画宣伝とは心意気が違うね。

科学的な検証だけでなく、本作では薄味な政治的な対応も含めて、
現代のエンターテイメントで味付けすれば面白いリメイクができゃせんだろうか。
いや待てよ。
既にわが国がそんな映画を世に示しているじゃないか。
「シン・ゴジラ」がまさにそれなのだ。

The Andromeda Strain 1971 original film trailer

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ダンガル きっと、つよくなる

2018-10-20 | 映画(た行)


■「ダンガル きっと、つよくなる/Dangal」(2016年・インド)

監督=ニテーシュ・ティワーリ
主演=アーミル・カーン サークシー・タンワル ファーティマー・サナー・シャイク サニャー・マルホートラ

インド映画にしてはそれ程長尺でもないこの140分には、僕らが映画から学ぶ様々なものが詰め込まれている。
親子愛、人情、頑張り続けることの尊さ、現実の厳しさ、老い、夢を叶えること。
しかしそれらはバラバラにはならず、見事に絡み合って心を揺さぶるエンターテイメントとなる。
「きっと、うまくいく」のアーミル・カーンがプロデュースも手がけた本作は、
インドの女子レスリング選手の真実の物語。
彼の主演作を観るのはこれが3本目だが、すべて体格が違う、
演じる年齢も違う、しかしどの役も信念を貫く姿が僕らを感動させてくれる。すごい役者だ。
本作では映画の前半後半で全く違う体型。
DVDにも収録された過激な肉体改造で、若い頃と50代を演じきる。
もう演技が凄いとかじゃない。演じる魂が違う。
ちょっと前まで大学生や宇宙人を演じてたアーミル・カーンが、実年齢相応の役柄を演ずる。
その深みに涙する。

レスリング選手としての将来を諦めて、道場で後進の指導をしていたマハヴィル。
彼は自分の息子が生まれたら、金メダリストにすることが夢だった。
ところが生まれたのは女の子で、結局四女の父となる。
ある日、長女と次女が男の子と喧嘩してボコボコにして帰ってきた。
マハヴィルは二人に格闘のセンスを感じ、娘にレスリングを鍛え始める。
浴びせられるのは周囲の嘲笑。
抵抗を示す娘たちだったが、結婚する友人に
「お父さんはあなたたちのことを考えている。すぐに結婚して家事と育児しか知らない女性にしたくないのよ。」と諭される。
本気になった彼女達は地元のレスリング大会で男相手に連戦連勝。
やがて長女はインド代表の選手に抜擢される。
しかし、父の指導しか知らなかった彼女は次第に父に反発を強めていくことになる・・・。

クライマックスの国際大会で映画の緊張感はMAXに。
コーチが悪役なのはちょっと気の毒な気もするのだけど、選手の特性を活かせなかったのは采配ミスでしょね。
そのコーチの差し金で試合会場に入れないマハヴィル。
試合結果を知る場面の演出が実にうまい。
「炎のランナー」でイアン・ホルムが、育てた選手の勝利をひとり噛みしめる場面も涙を誘ったが、
こっちはさらにドラマティック。
55キロ級にはわが国の類人猿最強女子がおるやん!?と思った方もあるでしょうが、
コモンウェルズ大会はイギリス連邦の国際大会なんですね。
「この勝利はインドの少女たちの希望となる。」
女性軽視な社会への問題提起も素晴らしい。

『きっと、うまくいく』などのアーミル・カーン主演!映画『ダンガル きっと、つよくなる』予告編


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トゥルー・ロマンス

2018-10-13 | 映画(た行)

■「トゥルー・ロマンス/True Romance」(1993年・アメリカ)

監督=トニー・スコット
主演=クリスチャン・スレイター パトリシア・アークエット デニス・ホッパー クリストファー・ウォーケン

クエンティン・タランティーノが脚本を手がけ、職人監督トニー・スコットがメガホンを取ったヒット作。
今改めて観るとうまい具合に微妙なバランスがとてれる映画だと思う。
メジャー作にもB級作にも向けられた映画愛とこだわりのタランティーノ色と、
一級のエンターテイメントとしての魅せ方を心得たスコット色。
その相容れないテイスト。結末がハッピーエンドに書き換えられ、
脚本に書き留められたタランティーノおすすめ挿入歌のセレクトは、
レーベル等大人の事情もあって一部を除いて実現しなかった、と聞く。

それでも台詞の随所に引用される数々の映画や役者の名前たち、
過剰なバイオレンス描写、後にタランティーノ作品に出演することになる名優たちのキャスティング、
クリストファー・ウォーケンとデニス・ホッパーの無駄に長くて偏見に満ちたお喋りは、
まさにタランティーノ映画のテイスト。
それらは僕ら映画ファンを「そうだよ!それ!」と嬉しくさせる。
車をカッコよく操れた時に
ブリットみたいだ!」
うーん、それ言ってみたい!
ほとんどの人に理解されないかもしれないけどさww

お話自体はヲタ男子の妄想と願望の炸裂。
アラバマとの出会いも、彼女がサニー千葉の映画を気に入ってくれるのも、
ヴァル・キルマー演ずるエルビスの亡霊に人生指南されるのも
(ウディ・アレン好きの僕は「ボギー、俺も男だ!」を連想してしまう)
都合がいいと言えば都合がいい。
だけどこのお話が、最初にタランティーノが意図したニューシネマのようなバッドエンドで製作されていたら、
こんな人気作になり得ただろうか。
ともすればクドくなる暴力描写や三つ巴の銃撃戦が、
スコット監督らしいスピーディで巧みな演出によって受け入れやすくなっているのだ。

以下、思いつき。
トニー・スコット監督と実の兄リドリー・スコットは、偶然なのか同時期に犯罪逃避行映画を撮っている。
兄の「テルマ&ルイーズ」は70年代アメリカンニューシネマ的なバッドエンド。
そして弟が撮ったこの「トゥルーロマンス」。
結末が対照的なだけに、作風や好みの違いを深読みするとこともできるかも。
どちらにもブラピが出演しているというのも面白い。

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さよなら、僕のマンハッタン

2018-10-08 | 映画(さ行)

■「さよなら、僕のマンハッタン/The Only Living Boy In New York」(2017年・アメリカ)

監督=マーク・ウェブ
主演=カラム・ターナー ケイト・ベッキンセール ピアース・ブロスナン シンシア・ニクソン ジェフ・ブリッジス

大好きな「(500)日のサマー」のマーク・ウェブ監督が、
これまた大好きなS&GのThe Only Living Boy In New Yorkをタイトルに据えた新作。
スノッブなニューヨーカーの子供である主人公が、自分を見つめ直す姿を描いた素敵な成長物語。
これはスクリーンで観たかったから、生息地の老舗映画館がやってくれるを待っててよかった。

大学卒業で親元を離れて一人暮らしを始めたトーマス。
書店で働くミミに好意を抱いているが、彼氏がいる彼女とは進展がない。
やりたい仕事が定まらない日々に悶々としていた。
アパートの隣人になった面白い初老の男ジェラルドと親しくなり、
生き方や恋愛にアドバイスを受けるようになる。
ある晩、ミミと訪れたレストランで、トーマスは父親が美しい女性とデートしているのを目撃してしまう。
彼女と父親を別れさせようと、そのジョハンナに近づくが、彼女に惹かれている自分に気づく。
ジョハンナと関係をもってしまうトーマス。
父と同じ出版業界で働くジョハンナや、実は作家だったジェラルドのアドバイスで、
トーマスは一度は諦めていた作家になる夢を追いかける気になっていく。
一方、ジョハンナはトーマスとの関係の精算しようとしていた。
それを知ったトーマスは・・・。

大人になることは、いろんな人生の様々な現実を知ることでもある。
自分探しをしていたトーマスが次第に近づいていくのは、家族が抱える真実と自らのルーツ。
人間関係がラストに向かってもつれていく中で、突然訪れるビターだけどどこか爽やかな結末。
トーマス、父親、そしてジェラルド。
未見の方の為に多くは語らずおくが、男たちの心情を考えると映画を観た後でジワジワとくる。
それは男目線の恋愛を深く掘り下げてくれた「(500)日のサマー」と同じ。
切ないけど温かい。
キャスティングのよさ、使用されるジャズやS&G、ボブ・ディランなど魅力的な楽曲たち。
90分足らずの短い尺でもここまで描けたことも素晴らしい。

『(500)日のサマー』などのマーク・ウェブ監督作!映画『さよなら、僕のマンハッタン』予告編


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今日のBGM スナックJUJU 夜のRequest

2018-10-06 | 今日のBGM


年齢を重ねると、どうしてメロデイを遅らせ気味に歌ってしまうのだろう。シャンソンではそう言う歌い方をよく聴くけども、聴き慣れたメロディを崩されると、曲によっては気持ちが乗らない。

例えばうちの親父殿が五輪真弓の「恋人よ」を歌うとき。オリジナルは2拍目のウラから歌い出す(_=8分休符、_=16分休符)
♪__|_かれ|はちる〜|_ゆう|ぐれは〜|
だが、親父殿は3拍目の途中から歌い出す。まるで語りだ。
♪__|__|_かれはちる|__|_ゆうぐれは|〜_|
越路吹雪でもエディット・ピアフでも、ここまで遅らせない。でもこれって、円熟した歌手の方々でも良くやること。

一方で歌い始めの音をやや低い音から上げて歌う、いわゆる"しゃくり"。カラオケでは加点の材料でもあるが、これが多くなると"ネチッこい"歌いまわしになる。配偶者アミダラMに、「お前の歌はネチい。」とよく批判される。彼女は森川美穂のパーンと通った歌い方が理想だと思ってる人のなので仕方ない。でも、最近そのネチい歌い方が妙に心地よかったりする。最近僕がイエモンをカラオケで歌いたがるのは、そのネチッこさが気持ちよいからだ。特に「BURN」。

さて、本日の家事BGMは、JUJUのカバーアルバム「スナックJUJU 夜のRequest」。何より選曲がいい。だって「六本木心中」から始まって「夏をあきらめて」、ラストの来生たかおまで、僕がカラオケで時々無性に歌いたくなる楽曲が多数入っているんだもん(僕はアニソンばかり歌ってるという誤解があるかもしれませんが・笑)。JUJUの歌い方って、普段の曲ではそれほどネチッこくないのだが、スナックで歌うというコンセプトアルバムだけに粘度が5割増。

「ロンリーチャップリン」に至っては、文字で表現するなら、
まぁどぉべぇにぃもぉーたれぇたぁ、あーなぁたぁのかぁおっ♪
…と楽譜にしづらそうな歌いまわし。いやいや、でもなんか心地よいんです。デュエットしてる鈴木雅之までもオリジナルより歌い方がクドい。

さて、「シルエットロマンス」をバックに洗い物を片付けるとするかいww。あー、カラオケ行きたい。
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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法

2018-10-03 | 映画(は行)

■「フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法/The Florida Project」(2017年・アメリカ)

監督=ショーン・ベイカー
主演=ブルックリン・プリンス ウィレム・デフォー ヴァレリア・コット

フロリダ・ディズニー・ワールドのすぐ近くにある安モーテル、マジック・キャッスル。
そこには定住する家を失った人々が暮らしていた。
6歳のムーニーは、モーテル住まいの子供たちと日々仲良く遊んでいる。
母ヘイリーは定職に就けずに滞在費を稼ぐために、観光客相手に日銭を稼いでいた。
モーテルの管理人ボビーは、子供たちの悪戯やヘイリーの態度に苛立ちながらも、
モーテルで暮らす人々を時に厳しく時に優しく見守っている。
近所の空き家で起こった火事がきっかけで、ムーニーは仲良しのスクーティと遊べなくなってしまう。
それはスクーティの母親が州の児童福祉局に干渉されるのを恐れたからだった。
スクーティの母親を生活の頼りにしていたヘイリーは・・・。

2007年頃、アメリカで起こった住宅ローンの不良債権化は、いわゆるリーマンショックにつながっていく。
この映画に登場するモーテル暮らしの家族は、そうした経済危機の影響で貧困から這い上がれない人々。
アメリカがとんでもない不景気だったことは知っていても、
その影でこの映画で描かれるような現実があることがわが国で報道されることはない。
映画がスクラップブックのように、今を切り取ってくれている。

児童福祉局がいよいよやって来る映画の終盤。
それまで無邪気だったムーニーが見せる涙。あまりにリアルで、演技なのか現実なのか見境がつかなくなってくる。
迫真という言葉が陳腐に感じるくらいの臨場感。
前作をiPhoneだけで撮ったというベイカー監督。
子供たちの視線の高さが生かされた映像が随所に見られる。

パステルカラーが映える建物や風景が画面に広がる中で描かれる厳しい現実。
見慣れたウィレム・デフォーが出演しているから、映画なんだと思って観ているけれど、
描かれるのは紛れもなくどうしようもない現実。
ジワジワと貧困が母子を追い詰めていく様子が観ていて辛い。
この映画の評価はなかなか高いようだけれど、
映画館で過ごす"非日常"を大切な時間に思ってる人にはちょっと向かない映画だとも思う。

『タンジェリン』などのショーン・ベイカー監督作!映画『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』予告編


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