Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakが、日々気になる音楽・映画・家族の出来事を記す雑記帳

波の数だけ抱きしめて

2018-09-24 | 映画(な行)

■「波の数だけ抱きしめて」(1991年・日本)

監督=馬場康夫
主演=中山美穂 織田裕二 別所哲也 松下由樹 阪田マサノブ

バブル期のニッポン青春映画を代表する、「私をスキーに連れてって」から始まるホイチョイ三部作。
原田知世ファンだったのでもちろん最初の2作は観ているのだが、
「波の数だけ抱きしめて」だけは未見だった。
だってねー、主役がミポリンだもん(ファンの方すんません)。
ところが、後に80〜90年代のコンピ盤サントラを集めるのが大好きになった僕は、
1982年が舞台になっているこの映画のサントラに手を出した。
バーティ・ヒギンズ、J・D・サウザー、TOTO、カーラ・ボノフなどが収録されている。
映画の舞台となるミニFM局で流れる楽曲とのことで、やっと観る気になったのだ。
長い前置きですんません。

黄色いビートルを砂浜に乗り入れて脱出できずに困っていた吉岡を救ったのは、
浜辺のサーフショップでアルバイトしている真理子だった。
吉岡は彼女に一目惚れ。
彼女と仲良し3人の仲間はミニFM局をやっており、手作りの電波中継機でエリアを拡大させようとしていた。
湘南の海岸線を走ったらどこでも自分たちのラジオが聴けるように。
大手広告代理店に勤める吉岡は、資金力をチラつかせて彼らの仲間に入ろうとし、
仕事で手がけるJT(82年当時は日本専売公社ね)の新製品キャンペーンに、
真理子たちのFM局を結びつけようと思いつく。
そんな吉岡の態度を心良く思わないのが、メンバーの一人小杉。
高校時代から真理子が好きだが、なかなか告白できないでいた。
吉岡の支援で海岸線一帯にエリアは順調に拡大。
一方で小杉には、真理子と吉岡の関係が近づいているように見えて、苛立ちが募っていく。
そしてキャンペーンのイベントが迫ってくるのだが・・・。

ホイチョイ三部作の頃、映画で描かれた週末スキーだのビーチリゾートなんて、
地方都市でくすぶってた僕には全く縁遠い世界のお話だった。
特に「私をスキーに連れてって」は、かなり冷めた目で観てた気がする。
それでも「波の数だけ・・・」は、シンプルな恋のすれ違いが主軸だから今観ると意外と好感。
チャラくっていけ好かない役柄の別所哲也が、あの頃の象徴みたいな役柄。
アメリカンエキスプレスのカードチラつかせる、ピンク色のポロシャツをパンツにインして着てる。
車を運転するのに誰もシートベルトしてないし、六本木のリゾートディスコが出て来るし、
時代の空気感もいい具合に描かれている。

クライマックスの大イベントに見舞われるトラブル。
それは機材トラブルと恋模様が原因。
この場面、単に中継機器が直って放送開始が間に合うのか?というハラハラだけでなく、
ミポリンと織田裕二の恋の行方は?、
別所哲也の仕事は大失敗になるのか?、
そして決死の告白が届くのか?という二重三重のサスペンスが並走している。
単なる追いかけっこだった「彼女が水着に着替えたら」とは大違い。
なかなか巧い構成だと思ったら、「好きだあー!」と絶叫する織田裕二に唖然(笑)。

ネタバレになるけど、最後の告白はミポリンに届かない。
それはちょうど彼女の車がトンネルに入って、FMの電波が届かなかったから
マイク越しの「好きだぁー!」を聴くことができなかったという結末。
でも今じゃ電波が届くトンネルもあるし、
アプリでラジオ聴ける時代だから若い世代がこの場面観るとピンとこないかもしれないな。

あ、最後に。
若き日の松下由樹に惚れそうですっ、オレ。

波の数だけ抱きしめてcm


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猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)

2018-09-17 | 映画(さ行)

■「猿の惑星:聖戦記(グレートウォー)/War Of The Planet Of The Apes」(2017年・アメリカ)

監督=マット・リーヴス
主演=アンディ・サーキス ウディ・ハレルソン スティーヴ・ザーン 

2011年に始まった新たな「猿の惑星」三部作の最後を飾る「聖戦記」は、
第2作の監督マット・リーブスが続投。
前作ではオリジナルの第5作「最後の猿の惑星」を下敷きに、
仲間だったコバが人間への憎しみ故にシーザーを裏切って戦争へと発展する様子が描かれた。
その物語は人間が繰り返してきた愚かな歴史を辿っているようで胸に迫る佳作であった。

「聖戦記」は、シーザーの行方を追っていた人間によって、猿たちの平穏が崩れ去る悲劇がまず示される。
常に猿たちの未来を見据えて、信念の揺らぐことのなかった理性的なシーザーが、
家族を殺されたことで復讐の鬼と化す。
前作で"猿は猿を殺さない。野蛮な人間とは違う"という理想が打ち砕かれたシーザー。
仲間を守るための戦いが、個人の恨みを晴らす戦いへと変わる。
その経緯が描かれる前半は、既にヘヴィーで悲壮感がいっぱいだ。
ところが、新天地を求めて移動を始めたはずの仲間が人間たちに囚われてしまう。
シーザーはその軍隊を率いる大佐に立ち向かう。

第3作で印象的なのは"人間の弱さ"。
自らと異なる者や考えを受け入れることもなく、それらを排除しようとし、終いには殺しあう。
ウディ・ハレルソンが演ずるクレイジーな大佐は、そうした人間たちの一つの代表であり、
シーザーたちに立ちはだかる強大な敵。
だが、その大佐も映画のクライマックスでは絶望の淵に立つことになる。

大佐を排除しようとやってくる北の軍隊を隔てる為に、猿たちを労働力にして高い壁を築こうとする。
猿たちは親子が引き離されて檻に入れられる。
・・・あれ?
こんな光景を最近テレビで見た気がする。
そう、不法移民たちが親子引き離されて柵で囲まれた施設に入れられ、
自国にとって不都合な人が来ないように大統領が国境に高い壁を作ろうとしている国が、
まさに現実に存在しているのだ。
映画を見ていて、だんだん重なって見えてきて切なくなった。

前作では、戦争へ突き進んだ猿たちの姿に、
人間が繰り返してきた愚行の歴史を後追いしているように感じた。
しかし本作の後半ではそれ以上に愚かな人間の姿が映し出される。
"言葉を失った人間はケダモノだ"と見下していた大佐が、
自分を支えていたはずのその考えによって身を滅ぼしていく。
僕はオリジナルの「猿の惑星」第2作で、地下に潜って核爆弾を神と崇めていた人間たちの姿を思い出した。
それがどんな悲劇を生んだのか。
「続・猿の惑星」未見の方は是非確かめて欲しい。

アンディ・サーキス、本作でも名演でした。

映画『猿の惑星:聖戦記(グレート・ウォー)』予告編


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ロスト・エモーション

2018-09-13 | 映画(ら行)

■「ロスト・エモーション/Equals」(2015年・アメリカ)

監督=ドレイク・ドレマス
主演=ニコラス・ホルト クリステン・スチュワート ジャッキー・ウィーヴァー ガイ・ピアース

絶望的な未来観を持つSF映画は70年代によく製作されていたが、
2000年代に入ってディストピアが描かれる近未来SF映画は確実に増えている。
リドリー・スコットが製作総指揮したこの「ロスト・エモーション」もそのひとつ。
この映画、特撮をほぼ用いずに冷ややかな印象の未来社会を表現してみせる。
その為に、ロケ地として選ばれたのが日本の特徴ある建物なのだ。
安藤忠雄設計の淡路夢舞台狭山池博物館を始め、独特な造形の建築物が舞台となっており、
セットやCGとは違い、ロケだからできるリアルな空気感が作品の緊張感を高めてくれる。
建築に興味がある人には是非オススメしたい映画。

地球の陸地の大部分が大戦争で失われた近未来。
わずかに生き残った人々は、感情を抑える遺伝子操作をして管理された共同体を形成していた。
感情を"発症"した者は治療、施設に送られて、最後は安楽死させられる。
雑誌を作成する部門に属するサイラスは、飛び降り自殺の現場に居合わせた女性ニアに興味を惹かれ、
次第に彼女へ抑えきれない気持ちを抱くことになる。
ニアも"闇発症者"であったことから親密な関係になり、
二人はこの共同体から脱出することを考えるようになるが・・・。

管理社会となった未来では人間の感情が抑えられるという設定は、別にSF作品では珍しいものではない。
白一色の衣装は、ロバート・ワイズ監督の「SFアンドロメダ…」や
ジョージ・ルーカス監督の「THX-1138」を思わせるし、
「華氏451」や「1984」、アニメの「ダーリン・イン・ザ・フランキス」を思い浮かべる方もあるだろう。
それでも「ロスト・エモーション」が他の映画とひと味違うのは、
舞台設定こそ似ているものの、突き詰めると普遍的なラブストーリーであることだ。
ラストのすれ違いなんて、まるで「ロミオとジュリエット」。

Equals | Official Trailer HD | A24


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カメラを止めるな!

2018-09-02 | 映画(か行)

■「カメラを止めるな!/One Cut of The Dead」(2017年・日本)

監督=上田慎一郎
主演=濱津隆之 真魚 しゅはまはるみ

自主製作でゾンビ映画を撮っていた現場で、本物のゾンビが襲いかかる。
犠牲者となった者は次々とゾンビ化していく。
映像にリアルを求める監督はそれでもカメラを回し続ける。
狂気に満ちていく惨劇の場。
彼らの運命は・・・。

監督俳優養成スクールのワークショップとして製作された低予算映画に世間が熱狂している。
確かにかつて例がないヒット作だ。
ネタバレなしでこの映画の面白さを語るのは困難。
だけど、この映画が他の映画と何が違うのかと言えば、作り手の情熱が見えることではないか。

もちろん映画全体の独特な構成や展開も、伏線回収、観客に訴えるタイミングの良さは見事。
しかも最後にはジーンとさせる場面も用意されている。
だけどそれ以上にグッとくるのは、
スタッフやキャストのアイディアや工夫が、
巨額の費用を投じて技術に頼った映画に負けない面白さを発揮することの爽快感。
今や編集技術でワンカット(途切れなく撮影すること)のように見せることは可能だ。
最近なら映画全編をワンカットに見せた「バードマン」の例もある。
だけど、手持ちカメラとアイディアだけで長回しのシーンを撮るには、
並々ならぬ努力と綿密な計画とそれを実行する度胸が必要だ。

「カメラを止めるな!」の37分に及ぶワンカットのシーンは、
カメラのレンズに血のりが飛んだり、
それまで走り回っていたカメラが突然横倒しになるハプニングも残している。
それが意味するものを知った時に、僕らはそうだったのか!と納得するだけでなく大笑いさせてもらえる。
ハリウッド大作やイケメン並べたお気軽日本映画よりも、この低予算映画が動員や支持を集めてるのは、
なーんか公立高校が大活躍する高校野球みたいで面白いじゃない。
確かに見方によっちゃチープな映画かもしれないけど、
暑い今年の夏に、なんか"頑張ってる映画"観たという記憶が多くの人に刻まれるのは嬉しいことだ。
とにかくこの映画は、予備知識なしでスクリーンに向かって欲しい。

映画の撮影はアイディアなくしてできない。
ワンカット撮影がこんだけ話題になったので、
アルフレッド・ヒッチコック監督の密室サスペンス映画「ロープ」を是非観て欲しいな。
フィルムの入れ替えが必要だった時代に、長ーいワンカットに挑んだ意欲作だぞ。

映画『カメラを止めるな!』予告編

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君の膵臓をたべたい

2018-09-01 | 映画(か行)

■「君の膵臓をたべたい」(2017年・日本)

●2017年日本アカデミー賞 話題賞・新人俳優賞

監督=月川翔
主演=浜辺美波 北村匠海 小栗旬 北川景子

住野よるの原作小説に、12年後の現在のエピソードを追加して実写映画化。
同じひとつの言葉や台詞でも、
それを発する人物の状況や気持ち、映画の受け手である僕らの理解や気持ちで、どのようにも変わる。
日本の映画宣伝は変に泣かせようとしたり、観ることを煽るばっかりで、
ほんとに下手だと常々思っているのだが、
この映画のコピー「ラスト、きっとこのタイトルに涙する」は、"泣かせ"に見えるのだけど、
本編を知らないと泣けない訳で、
久々に作品そのものと物語の良さを観てくれる人に伝えたい!という気持ちとセンスがうかがえて好感。
既に小説を読んでる人には共感を生むだろうし、映画で初めてこの物語に触れる人には興味と期待を抱かせてくれる。
それはもちろん原作の良さがあってのことだけど。
でも原作の良さを前面に出した宣伝に見事に騙された「ノルウェイの森」とは全然違う。
日本の今どき青春映画なんぞ全く観ないこの僕が観る気になったのは、
おそらくこのコピーのせいだ。

優れた難病ものの映画は、単に死に直面する姿を見せて観客を悲しませるのではない。
その日が訪れるまでに、主人公がどう生きたかをきちんと描いてこそ秀作になる。
この映画ではヒロイン桜良が日々を大切に過ごそうとする姿が描かれる。
「一日の価値は平等なんだよ」というひと言が心に響く。
時に小悪魔のような彼女の言動に振り回される"仲良し君"【僕】の妙な諦め感を前半じれったく思う。
あのお年頃男子のギラギラ感もないし・・・あ、お前と違うって?失礼しましたww。
だが行動が変わる後半の懸命な姿には声援を送りたくなる。
外国映画ファンには「死ぬまでにしたい10のこと」を思い出した方もあったのでは。

「星の王子さま」は好きな本なのでもっとストーリーに絡むのかと期待した。
謎解きのようなラストに向けて見事な小道具として使われているのがナイス。
「真実か挑戦か」は小さな勇気を後押ししてくれる場面。
小説も読んでみるか。

「君の膵臓をたべたい」予告


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ブラジルから来た少年

2018-08-26 | 映画(は行)

■「ブラジルから来た少年/The Boys From Brazil」(1978年・イギリス)

監督=フランクリン・J・シャフナー
主演=グレゴリー・ペック ローレンス・オリビエ ジェームズ・メイスン

日本では劇場未公開、テレビの映画番組で初公開された秀作サスペンス「ブラジルから来た少年」。
当時テレビで初めて観て、地味な印象なれどネオナチを扱ったテーマの深刻さ、
不気味な雰囲気と引き込まれるサスペンス描写で衝撃を受けたのを覚えている。
久々に鑑賞。

南米パラグアイで、ナチ残党を追っていた青年が、
アウシュビッツの医師だったメンゲレ博士の企みの一端をつかむ。
それは世界に散らばる65歳に達した男性94人を殺害するというものだった。
彼はベテランナチハンターのリーバーマンに連絡をとるが殺害されてしまう。
リーバーマンが調査に訪れたところ、殺された人物の家庭ではどこも養子を迎えており、
黒髪で青い目の男の子がいた。
リーバーマンは養子斡旋をした人物を突き止め、その子供たちがブラジル航空の飛行機で連れてこられたと知る。
生物学の科学者に相談したリーバーマンは、
少年たちはクローン技術で生まれ、ある人物の生い立ちを再現しようとしているのだと悟る。
少年たちはアドルフ・ヒトラーのクローンなのであった。
果たしてこの陰謀を阻止することができるのか・・・。

グレゴリー・ペックが悪役というのは確かに珍しい。
異常な執着心をもつ役柄ならば「白鯨」のエイハブ船長役があるが、それ以上の狂気を感じる。
ベテラン男優揃いの中で、
後に「ポリスアカデミー」で人気者になるスティーブ・グッテンバーグが重要な役どころで好演。
撮影は「太陽がいっぱい」のアンリ・ドカエだったのか。

組織に計画中止を言い渡されたメンゲレ博士が、一人殺害計画を実行しリーバーマンと相対するクライマックス。
初めて観たとき、老人二人の取っ組み合いとは、なんて地味なんだろうと生意気にも思った。
でも飼いならされたドーベルマンの使い方といい、
学校から帰宅した少年が生まれながらの残虐性としたたかさを垣間見せるところは、結末を分かっていても戦慄を覚える。
クローン技術の説明シーンが今観るととても丁寧で、
「ジュラシック・パーク」のミスターDNAよりわかりやすいかも(笑)。

蛇足だけど、「Xファイル」の1期にもクローン人間の怖ーいエピソードがあって、
二つの現場で瓜二つの人物が出てきた時に、この「ブラジルから来た少年」を思い出さずにはいられなかったっけ。

The Boys From Brazil - Trailer


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ミッション:インポッシブル

2018-08-25 | 映画(ま行)

■「ミッション:インポッシブル/Mission:Impossible」(1996年・アメリカ)

監督=ブライアン・デ・パルマ
主演=トム・クルーズ ジョン・ボイド エマニュエル・ベアール ヘンリー・ツェーニー

今や「ミッション:インポッシブル」シリーズはトム・クルーズの代表作。
その第1作は、ええかっこしいのトム君が初めてプロデュースも手がけた作品。
本家主人公の「フェルプス君」を脇に追いやった主役イーサン・ハント。
オリジナルのテレビ番組「スパイ大作戦」を知る世代を唖然とさせたせいか、
ヒットはしたけど、あの頃玄人好みの映画ファンと批評家からは好意的な意見は少なかった。

トム君だけで語られがちなシリーズだけど、作品ごとにテイストが違う。
第1作はブライアン・デ・パルマ監督。
今にして思えば、イーサン・ハントは「間違われた男」でまさに「汚名」を晴らすべく組織に立ち向かうし、
クライマックスは「バルカン超特急」まがいのTGV・・・と、
デ・パルマ監督の好きなヒッチコック要素がちらほら。
しかし、あまりのド派手な映画に仕上がったことで、そんなテイストも薄まってしまっているのも事実。
でも、エマニュエル・べアールやジャン・レノなど国際色豊かなキャスティングはスパイ映画らしくて好感。

それでも開き直って続編を撮り続けることで、現在まで続くヒットシリーズとなり得た。
仮面ライダー風カンフー映画と罵られた第2作を経て、
ヒットドラマの監督や実写を初めて撮るアニメ監督を起用するなど、
プロデューサーであるトム君のアイディアとええかっこしいは止まらない。
でもそれらは確実にヒットした。
それは「スパイ大作戦」と比較する層が確実にいなくなっていて、
ハリウッドらしいド派手な打ち上げ花火に世間が慣れてしまったせいなのだ。
今オリジナルを知らない若い世代が初めて第1作を観たら、あの頃のような批評は受けないだろうし、
製作側の制約も多い中デ・パルマ頑張ってんじゃん!と思えるかもしれない。

個人的には「ゴーストプロトコル」以降の作風が好き。
だって、トム君一人のええかっこしいじゃなくて、チームプレイの面白さがあるから。
それはオリジナルの「スパイ大作戦」への原点回帰なのかもしれないけど。

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殺したいほど愛されて

2018-08-18 | 映画(か行)

■「殺したいほど愛されて/Unfaithfully Yours」(1984年・アメリカ)

監督=ハワード・ジーフ
主演=ダドリー・ムーア ナスターシャ・キンスキー アーマンド・アサンテ

ナスターシャ・キンスキー主演作がふと観たくなってセレクト。
むかーし観てるはずなのだが、驚くほど内容を覚えていなかった。
あの頃ダドリー・ムーア苦手だったからか、夫婦の機微が当時まだわからなかったからか。

指揮者として成功しているクロード。
年齢の離れたイタリア人の美しき妻ダニエラとの結婚生活も順調。
マネージャーとの行き違いから妻の身辺を私立探偵に調査を依頼してしまった。
気にしないつもりでいたクロードだが、調査結果から妻の浮気が疑われる。
しかも相手だと思われる美男バイオリニストのマックスか。
クロードはついにマックスと妻を殺害しようと企てる。

クロードの勘違いであることは、早々にわかってしまう。
観客は事情をわかった上で噛み合わない登場人物たちのすれ違う会話や気持ちを
「あらあら、そうじゃないんだよー」と思いながら見守る立場だ。
その様子は確かに面白おかしい。
でもエンドクレジットを迎えてなーんか物足りなさを感じずにはいられなかった。
それはやっぱり夫婦っていいもんだよね、信じることって大切だよね、
というメッセージを期待してたからだ。
そこがこの映画を人情喜劇として面白いと感じられなかった理由かも。

しかし音楽映画としては凄みを感じさせてくれる。
オーケストラの演奏シーンはもちろんだが、
最大の見どころはダドリー・ムーアとアーマンド・アサンテのバイオリン演奏バトル。
睨み合って、威嚇し合う二人。
コミカルなだけでなく、技術に裏付けされた名場面。
ダドリー・ムーアはそもそもバイオリンを弾ける人なので、この場面は迫力が違うぞ。
そしてナスターシャ・キンスキーは、シリアスな映画では見られない笑顔と無邪気さが魅力的。

UNFAITHFULLY YOURS (1984) TRAILER


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村上RADIO

2018-08-09 | 音楽


8月5日にTokyo FMで、村上春樹本人が選曲し語る初めての番組が放送された。これは聴き逃せない!としばらく使ってなかったラジオ録音ツールRadikoolを復活させて録音。

ちょっと間を置いた第一声。貴重な機会が始まる!というワクワク感。「走る時に何を聴いているか」というテーマで選曲された楽曲。聴く前はジャズ寄りの選曲になるのだろうと思っていたが、1曲目はドナルド・フェイゲン。さらにビーチ・ボーイズ、ジョーイ・ラモーン、ジョージ・ハリスンと意外にも軽め。喋りは決して流暢ではないが、優しい語り口が好印象。

小説を書くにあたってこだわりやスタイルが垣間見られる話題もあって、春樹氏のエッセイを耳で読んでるような楽しさ。特に文章の書き方が音楽から影響受けている♪ってわかる気がする。常々台詞のテンポに乗せられて読んでいる気がしていたので。

自分の葬儀にかけたい曲は?というリスナーからの質問に「生きているうちにあれこれ音楽聴いたから、死ぬ時くらいは静かなの方がいい」と答えた。そう言いきれるくらいに好きなことに懸命になれるってカッコいい。これ、第2弾やって欲しいな。
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ジュラシック・ワールド 炎の王国

2018-08-07 | 映画(さ行)


■「ジュラシック・ワールド 炎の王国/Jurassic World: Fallen Kingdom」(2018年・アメリカ)

監督=フアン・アントニオ・バヨナ
主演=クリス・プラット ブライス・ダラス・ハワード ジェフ・ゴールドブラム

※注意:ネタバレあります!
前作「ジュラシック・ワールド」で新種のハイブリッド恐竜が登場した。
ドラマ部分はなーんか薄味だったし、それなりに楽しくても、もはや恐竜映画ではない。
理屈抜きの見世物にしか思えなかった。
人間のエゴの醜さは語られていても、
そもそもマイケル・クライトンの原作がもっていたテクノロジーへの警鐘は失われている印象しか持てなかった。
そして新作「ジュラシック・ワールド炎の王国」、僕は前作よりもちょっと好き。
それは前作よりもテーマを深く掘り下げられていたからだ。

前半の人間のエゴで創り出された命が見捨てられていく悲劇的な展開が描かれている。
イスラ・ヌブラル島の火山活動で、パークの恐竜たちに危機が訪れる。
そもそも蘇らせたことが誤りだから、そこで絶えてしまえば良いという意見と、
絶滅危惧種と同様に命を救うべきとする意見の対立が描かれる。
溶岩流が島を覆い尽くす中、大型草食竜の姿が炎と煙の中で消えていくシーンは涙を誘う。

正直なところ、映画はその脱出劇で終わると思っていた。
映画後半は恐竜たちを兵器や商品として利用しようとする悪事を阻む物語が展開される。
新たに産み出された破壊の化身の様なハイブリッド種を中心に、
ホラー映画に近い緊迫感で観客を巻き込んでくる。
お子様にとってはきっとトラウマ映画となりうるレベルの恐怖感。
さらに物語はいろんな要素をぶち込んでくる。
ロックウッド財団設立者の孫娘をめぐる出生の秘密、
そして野に放たれた恐竜たちと人類が共生しなければならなくなる未来を示した結末。

知能の高いラプトル"ブルー"が主人公たちについていかなかったラスト。
いろんなSF映画を観た映画ファンなら、過去の様々な映画と通ずるテーマを感じるのではなかろうか。
丘の上から街を見下ろすブルーの姿に、続編は「猿の惑星」になっちゃう?と思った方は多かったのでは。
僕は往年のホラー映画「フランケンシュタイン」を思った。
創った者に裏切られた創られし者の悲しみ。
テクノロジーで現代に蘇ってきた恐竜をそこに重ねた。
それは原作者マイケル・クライトンが様々な作品で貫いてきた、
テクノロジーへの警鐘というオリジナルのスピリットにも通じやしないか。

蛇足ながら。
邦題「炎の王国」は火山噴火からの脱出劇があって付けたタイトルなんだろうが、
「Fallen Kingdom」(堕ちた王国)はロックウッド財団のことも示している。
うまい表現はできないものだろか。

息を潜めよ!映画『ジュラシック・ワールド/炎の王国』予告編


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