Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

サスペリア

2024-09-04 | 映画(さ行)


◼️「サスペリア/Suspiria」(2018年・アメリカ=イタリア)

監督=ルカ・グァダニーノ
主演=ティルダ・スウィントン ダコタ・ジョンソン ミア・ゴス クロエ・グレース・モレッツ

傑作「ミラノ、愛に生きる」に衝撃を受けて以来、ルカ・グァダニーノ監督は気になる存在。繊細な人間ドラマのイメージがあるだけに70年代ホラー「サスペリア」のリメイクを手がけたと聞いた時は驚いた。舞台は東西に分かれた時代のベルリン、クラシックバレエからコンテンポラリーダンスに様変わり。

ホラーは苦手だけど、オリジナル「サスペリア」には抗えない魅力を感じていた。それは鮮血の美学とも言うべき他では観られない映像と、ゴブリンのおどろおどろしい音楽(音楽室のピアノで「エクソシスト」とこれのメロディを弾いてた私w)。ストーリーの記憶はあやふやでも、それらは記憶にしっかりと刻まれていた。

バレエ団の陰に悪魔復活の野望が隠されている…という基軸のお話を、失踪した女性を追う精神科医を絡めて謎解きのような展開。しかしオリジナルでジェシカ・ハーパーが演じた主人公スージーはただひたすらに巻き込まれて怖い目に遭った人。本作ではアーミッシュ部族の出身との設定で、一般の人とは異なる風習の中生きてきた人物となっている。

本作では東西冷戦、分断された都市ベルリン、ドイツ赤軍のハイジャック事件、同じ宗教なのに少数派の人々…と何かと対立する存在が示される。それはバレエ団の裏に隠された魔女と人間界という関係にもつながる。ヒロイン、スージーはオリジナルと違って古参魔女の器となることを受け入れず、自ら魔力を手にする存在へとなっていく。それは彼女を縛り付けていた母親という存在からの離脱。ここでも実の母、新たな母として受け入れることを迫る魔女。ここでも相対する関係が見えてくる。オリジナルの怖い目に遭ったヒロインの話を念頭に観ていたら、予想の上をいく結末が待っている。

でもねー、これは期待した「サスペリア」じゃない。ショックシーンも、血みどろのクライマックスも、不気味なティルダ・スウィントンもいいけれど、美学とも評された毒々しい映像の個性は感じられない。レディオヘッドのトム・ヨークによる音楽は、映画を彩る重い空気を作ることには成功しているものの、身体に染み付くような、単調で呪文のようなゴブリンのメロディとは違う。あのメロディがあるから、オリジナルの「サスペリア」は悪夢から観客を目覚めさせない怖さがあった。「決して一人では観ないでください」とキャッチコピーとあの旋律は、ペアで僕らの心に刻まれたんだもの。

あ、クロエたん好きだから、出番があまりにも少なくて消化不良なんだろって?

はい、図星w




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ジュリア

2024-09-02 | 映画(さ行)


◼️「ジュリア/Julia」(1977年・アメリカ)

監督=フレッド・ジンネマン
主演=ジェーン・フォンダ ヴァネッサ・レッドグレープ ジェーソン・ロバーツ

初めて観たのは中学2年。フジテレビ系の映画番組だった。映画と名がつくものには訳もわからず食らいついていた頃だったから、ジェーン・フォンダの名前で観る気になったんだろう。2024年8月に宅配レンタルDVDでウン十年ぶりに再鑑賞。

作家リリアン・ヘルマンの自伝的な作品「Pentimento」を原作にした作品。リリアンにとって幼い頃から大切な存在だった女性ジュリアとの、幼い頃の出来事から別れまでが描かれる。この映画について触れる文章には、女性の友情物語という表現がよく使われている。でも友情という言葉では表せない、もっと強いつながりや思いがある。あこがれ、という表現が適切かわからないが、対等な立場で仲良しというよりも、リリアンがジュリアを慕っている間柄。この感情が、映画後半に危険を冒してジュリアのいるベルリンを訪れる力になっていく。

リリアンの代表作となる戯曲は「子供の時間」。「ジュリア」本編の中で、長年の恋人ダシール・ハメットから「紛れもない傑作だ」と評される場面も出てくる。この戯曲を映画化したのが、ウィリアム・ワイラー監督の「噂の二人」。同性愛だと周囲に疑われて精神的に追い詰められていく女性が忘れられない作品だ。「ジュリア」でも、リリアンとジュリアの関係をそうした性的指向を疑う言葉をかけられる場面が出てくる。決してそうではないのだが、リリアンがジュリアに向けられた気持ちが単に友情と呼ぶレベルを超えた大切な関係だということが、こうした面からも伝わる気がする。

リリアンと長年恋愛関係にあったダシール・ハメットをジェイソン・ロバーツが演じている。リリアンに暖かくも厳しい助言をしたり、睡眠の邪魔だと邪険な扱いをしたりだが、アメリカに戻る彼女をにこやかに迎える姿に、言葉にせずとも伝わる気持ちが見える。

映画後半はほぼサスペンス映画の様相。この緊張感が、それぞれが置かれた切実な状況を示していて目が離せなくなる。ジンネマン監督の代表作が「真昼の決闘」だったことを思い出させる。折しもナチスが台頭してきた時期のベルリン。ユダヤ人であるリリアンが身の危険を乗り越えて、ジュリアとの短い再会を果たす場面は観ているこっちまで待ち焦がれていたような気持ちになる。追われる身だが笑顔を絶やさないジュリア、積年の思いで胸がいっぱいのリリアン。二人の表情は対照的。

原作のタイトルPentimentoは、もともと描かれていた下絵が透けて見えてくること。映画冒頭でこれが語られるのだが、リリアンが過去を見つめ直すことを表しているのだ。改めて観て、あの頃じゃわからなかった切なさや、ジンネマン監督の巧みな見せ方を味わうことができた。ジョルジュ・ドリュリューの音楽も美しい。





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2024年8月のプレイリスト

2024-08-31 | 今日のBGM



◆2024年8月のプレイリスト
2024年8月に聴いていた愛すべき31曲

1 Le Roi Soleil(Kahimi Karie)
8月の始まりは太陽王の歌から。
2 LOVEマシーン(デラックス×デラックス)
ヤバい。ハマりそう♪🤣
3 Walking On Sunshine(Katrina & The Waves)
炎天下のお出かけ。気持ちだけはこの曲のように晴れやかに🥵
4 Take It Easy My Brother Charlie(Jorge Ben Jor)
ブラジルのギタリスト、ジョルジ・ベンジョールの楽曲。
5 Forget-me-not(ReoNa)
SAO楽曲はいい曲がたくさん。これもお気に入りのひとつ。
6 六本木心中(松本孝弘、LiSA)
予想以上に王道なカバー。これをアグレッシブに歌いこなすボーカルにはLiSA適任。
7 The Power Of Love(Gabrielle Aplin)
FGTHのカバー。
8 世迷い言(日吉ミミ)
上から読んでも下から読んでも/よのなかばかなのよ♪親父殿のカラオケ十八番。
9 ドッペルゲンガー(結束バンド)
映画「ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re:」初日に参戦。アジカンのカバーもよかった🎸
10 マイアミ午前5時(松田聖子)
「UTOPIA」は好きなアルバムなのだ。

11 スパルタンX(キース・モリソン)
プロレス入場曲だけでなく、高校野球の応援でも演奏されるジャッキー映画楽曲。
12 会心ノ一撃(GLAY)
アニメ「グレンダイザーU」主題歌。OP映像がガンダムSEED DESTINY酷似で笑う🤣
13 Baby Blue(伊藤銀次)
ウン十年ぶりにアルバム通しで聴いたらほぼ歌えた。どんだけ聴き込んでいたんだ💧
14 友よ心に風があるか(SHOGUN)
ベスト盤で久々に聴いた。当時アサヒビールのCMでも使われた爽やかな楽曲。
15 Hankyu Summer Gift(Extended Version)(大瀧詠一)
CM Specialより。ことーしのなつーはぁ♪
16 こんな時だけあなたが恋しい(B'z)
昨夜から体調不良🥴。予定はあれこれ中止。ちっくしょー。来週の飲み会までに治すw
17 光の天使(高橋洋子)
「幻魔大戦」主題歌のカバー。
18 真夜中のドア(岩崎宏美、八神純子、花田千草)
「みんなのうた」楽曲「ピンクと呪文」にカップリングされたカッコいいカバー。
19 Borsalino(Claude Bolling)
映画「ボルサリーノ」、ホンキートンクピアノが素敵な主題曲。R.I.P. Alain Delon。
20 Tarako(サザンオールスターズ)
このキーボード弾きたくて、後輩のバンドのヘルパーに手を挙げた。

21 空飛ぶ都市計画(CAPSULE)
ジブリのショートフィルム集より。中田ヤスタカとジブリってちょっと不思議。
22 Storyteller(TRUE)
アニメ「転スラ」OP曲。名曲である。
23 Fall Again(TRICERATOPS)
活動休止発表したトライセラ。一度だけライブ行ったのはいい思い出だよ。
24 The Best Of Me(David Foster & Olivia Newton-John)
大好きな友達と飲み会。お店に入った途端、大好きなデビッド・フォスターの曲が♡
25 Julia(Georges Delerue)
映画「ジュリア」ウン十年ぶりに再鑑賞。
26 Wipe Out(The Sufaris)
長女とwipe outの意味で意見が食い違う。サーフィン音楽VSスプラトゥーンww
27 とん平のヘイユウブルース(左とん平)
俺をスリコギにしちまった奴、そいつは誰だ♪
28 If I Could Change Your Mind(The Alan Parsons Project)
レアトラック集SessionsからRough Mixを聴く。アルバム「イヴの肖像」ではいちばん好きな曲。
29 空模様のかげんが悪くなる前に(Char)
台風近づく九州北部。みなさまご安全に。
30 I Will Take You Forever(Christpher Cross with Frances Ruffelle)
アルバムは「Back Of My Mind」はリピートしてしまうお気に入り。癒される。

31 ブラックペッパーのたっぷりきいた私の作ったオニオンスライス(スターダスト⭐︎レビュー)
台風一過の空を見て、とびきり明るい曲が聴きたくなりまして☀️








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私が、生きる肌

2024-08-29 | 映画(わ行)


◼️「私が、生きる肌/La piel que habito」(2011年・スペイン)

監督=ペドロ・アルモドバル
主演=アントニオ・バンデラス エレナ・アナヤ マリサ・パレデス ジャン・コルネット

サン・セバスチャンへ、ようこそ」を観て、女医役のエレナ・アナヤが気になった。予備知識皆無で手を出したのが本作「私が、生きる肌」。ペドロ・アルモドバル監督だから変わった映画なんだろう…と思いながら再生ボタン。想像を超える世界が待っていた💧

天才的な皮膚移植実績のある外科医ロベルの自宅に、監禁されている一人の女性。肌色の全身タイツに身を包んだ彼女は何故ここに?やがて外科医が彼女で画期的な人工皮膚の実験を試みていること、妻を失っていること、メイドとして同居している初老の女性とロベルの関係など、彼をめぐる事情が明らかになっていく。彼がベラと呼ぶ女性の正体は?ディスプレイのこっち側で観ている僕らが悶々としているうちに、真実が語られる。

…😰

ストーリーが予想を超えてきた。アルモドバルだから、突飛な話になるかも…という覚悟はしていたものの驚きの連続。

えっ?😳
え、えーっっ!?😨
うわっマジか…😱

エレナ・アナヤの身体を這うようなカメラワークも含めて、映像が美しい。展開に驚かされる話だし、痛々しい場面も多いのに、何故かもっと観ていたいと思わせる。


⚠️(以下、ネタバレを含みます)






登場人物の心情を察しようとするが、想像を絶するエピソードが次々と示される。それら一つ一つをどんな気持ちなのか噛み締める暇を与えてくれないのだ。

昏睡から目覚めたら「あ、膣形成しておいた」と言われる。「ほっとくとくっついちゃうから、最初に細いの入れて、だんだん太いの入れてね」って指示までされる。ここまでされちゃった側、どんな気持ちなんだろう😨

ロベルが望む容貌に変えられていくベラ。ついにロベルはベラを愛するように…って、さぁ…中身別人なのに😰

え?ロベルを受け入れちゃうの?😱
それって身体的にどんな感覚…💧

観終わってよーく考えてみると、確かにロベルをめぐるパートは性を超越してるし偏執的だけど、実はアルモドバル監督作らしい母と子の物語が含まれていることに気づく。無言で向き合うラストシーンに、何故か不思議な安堵感を感じた。とんでもない話なのにね😓



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親密すぎるうちあけ話

2024-08-27 | 映画(さ行)


◼️「親密すぎるうちあけ話/Confidences Trop Intimes」(2004年・フランス)

監督=パトリス・ルコント
主演=サンドリーヌ・ボネール ファブリス・ルキーニ ミシェル・デュショーソワ

パトリス・ルコントの映画には様々な魅力があるが、持ち味が発揮されるのはおっさんの片恋だと思う。それも綺麗じゃなくて、かなり歪(いびつ)な恋愛のかたち。理髪店で美しい妻を愛でる亭主、窓から美女を覗く男、女性の幸せの為なら自分の思いを殺せる男…などなど。世間では気味悪いのひと言で括られそうな男たちだが、スクリーンで彼らの気持ちと向き合うと、不思議と切なくなってくる。自分も片恋に焦がれているようなw

久々にそんなルコント映画が観たくなって、宅配DVDレンタルでまだ観てなかった本作をチョイス。

話を聞いてくれる誰かが欲しい。解決や結論を求めているわけじゃない。だから大切な人の話はちゃんと聞こう、と世の旦那に呼びかけるネット記事をよく目にするけれど、これはそういう話でもあるw

同じ階の精神科医と間違えて税理士ウィリアムの部屋を訪れたアンナ。夫と不仲になっていることを喋り始める彼女と、離婚がらみの税相談だと思って聴き続けた彼。次の訪問を一方的に決めて去った彼女に、精神科医ではないと言いそびれた彼。ほんとは税理士だと告げられて、最初は怒ったアンナだったが、いつしか彼女にとってウィリアムは他にはない"話し相手"となっていく。しかしアンナの夫が、ウィリアムにつきまとうようになって、事態はこじれ始める。

誰かのプライバシーを覗き見することは、誰もがドキドキしてしまう。ヒッチコックのサスペンス映画から市原悦子の家政婦ドラマまで、主人公だけでなく観ている僕らも覗き魔の一人にされ、巻き込まれてしまう。ちょっと変態、ちょっと偏執。

本作はルコント先生による、一種の巻き込まれサスペンス。ヒッチコック風に言えば、税理士ウィリアムは殺人を告白される「私は告白する」の神父、私生活を覗いてしまう「裏窓」のカメラマン、突然現れた女性に「めまい」のようにドギマギして、「北北西に進路をとれ」のように巻き込まれてしまう。そしていつしか彼女を愛し始めてしまう。

だが、本作は単なる片恋ドラマに終わらない。アンナの夫の問いかけにウィリアムは愛情を口にしてしまう。それは彼女をかばうためか、それとも思わず出てしまった本音なのか。アンナの夫が、夫婦で抱き合う姿を窓越しに見せつける場面。ウィリアムの表情にあるのは、アンナが元鞘に収まった安堵ではない。それはもっと胸を焦がすものだったに違いない。元妻が付き合っている今の相手が気に入らなくて、複雑な心境になる姿も面白い。

※以下、結末に触れています。
おっさんの片恋ルコント映画はビターな後味が多いのに、本作は違った結末が待っている。それは他の作品にはないもので、未来を感じさせる素敵なもの。エンドクレジットが素晴らしく、カウチに寝そべっているアンナのすぐそばで話を聞くウィリアムの姿が、ブライアン・デ・パルマの映画みたいに俯瞰で映される(覗きの目線!?)。それは映画の冒頭には机を挟んで距離を置いていた二人に起こった大きな変化。それを見届けた僕らは、これまでのルコント映画に感じたことのない幸福感を味わう。

好きだ、これ。
DVD返しちゃったけど、また観たい!






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劇場総集編 ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re:

2024-08-24 | 映画(は行)


◼️「劇場総集編 ぼっち・ざ・ろっく!Re:Re:」(2024年・日本)

監督=斎藤圭一郎
声の出演=青山吉能 鈴代紗弓 水野朔 長谷川育美

バンドをやる理由にたどり着く前編「Re:」は、一本筋の通った映画に仕上がっていた。テレビアニメの総集編だとナメたらあかん。後半も見届けないと!と、いう訳で。またお仕事半休にして初日初回!、いい歳こいて行って参りました!映画館に着いたら、グッズ売り場既に行列できてる😳。スーツケース引いてるおばさんもいたぞ。前に並んでた男性、いっぱいグッズ買ってたから、確認のために商品名読み上げられ、それにうなづいていた。
👤「山田リョウ、クリアファイル。山田リョウ、アクリルキーホルダー。山田リョウ…」
周囲に推しがバレバレです。おにいさんw。

後編「Re:Re:」は、バンドメンバーで江ノ島に遊びに行くエピソードと、学園祭のエピソード中心に編集されている。テレビと違って、この構成でつなぐことで、バンドの面々がまさに"結束"に向かっていく姿が見えてくる。このパートは、ぼっちちゃんの陰キャネタが笑わせ要素にたくさん登場する部分。だけど陰キャを嘲笑するのではなく、何故そうなってしまうのか、本人側の理屈でちゃんと述べているのがいい。

また廣井きくりさん率いるSICKHACKのライブシーンも素晴らしい。きくりさんの言葉に勇気をもらう場面に、いい歳こいたおっさん、また涙がにじむ(恥)。

学園祭ライブで演奏する「忘れてやらない」「星座になれたら」。何度も見てる場面だけど、危機を乗り切るぼっちちゃんと、それをカバーする喜多ちゃんに改めて感激する。演奏中のアイコンタクト。バンド経験者はわかると思うけど、あれって日常とは違った通じ合える瞬間。そこで喜多ちゃんの成長も見せつける名場面。そして圧巻のギターソロ🎸⚡️。これを劇場で観られるって最高よ🤣

ラストの楽器店のエピソードが好きだったから、端折られたのは残念だった。保健室で目覚めると喜多ちゃんがいるって場面が、この編集だと反復になっているのも効果的。学園祭出場ときっかけと演奏後。そこにはきちんとぼっちちゃんのとても小さな成長物語がある。

そしてエンドクレジットで、アジカンのカバー再び🥲。そうくるとは思ってたけど、いざ聴くとグッときてしまった。入場者特典のミニ色紙、虹夏&リョウでした。よっしゃー!(😆虹夏推しです)





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スパルタンX

2024-08-23 | 映画(さ行)


◼️「スパルタンX/快餐車 Wheels on Meals」(1984年・香港)

監督=サモハン・キンポー
主演=ジャッキー・チェン ユン・ピョウ サモハン・キンポー ローラ・フォルネル

元吹奏楽部なもので、高校野球の応援でブラスバンドが何を演奏するのかは毎回ちょっと気になる。僕がいた高校ではレイダースマーチ吹いてたっけ。とある試合をテレビを見ていて、金管楽器の高らかなメロディが耳に残った。🎺♪

うん?なんか聴き覚えが…。
ちょっと!スパルタンXやん!!😆
顧問の先生がジャッキー好き?それともプロレス好き?どっちだろw

80年代半ば、ジャッキー・チェン、サモハン・キンポー、ユン・ピョウのトリオ出演作がいくつかあるが、本作はスペインロケが楽しい娯楽作。キッチンカーで商売しているジャッキーとユン・ピョウが、トラブルを起こした金髪美女と知り合う。彼女を匿ったり悪党から救ったりするうちに、彼女の素性が明らかに。一方、私立探偵事務所を突然任されたサモハンも、依頼を受けて彼女を追っていた。彼女が追われる理由は?3人は彼女を守りきれるのか?

昔観た時よりもスケートボードアクションの大変さがわかる気がする。パリ五輪の最中に観たせいに違いないw。もちろんカンフーアクションも満載。いちばんの見どころは、元米国キックボクシングチャンピオンであるベニー・ユキーデとジャッキーの一騎打ち。軽いコメディ部分に満足できなかった人は、ここで一気にヒートアップすることでしょう。サグラダファミリアでの撮影も楽しい。ジャッキー映画は三菱自動車が関係することが多いが、本作のキッチンカーもそう。

冒頭で話題にしたテーマ曲は、日本で付け加えられたキース・モリソン(木森敏之)の楽曲。メロディがキレのあるホーンセクションと絡み合うサビのアレンジがかっちょいい。

いいなぁー🎺これ演奏できて😃





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ボルサリーノ

2024-08-20 | 映画(は行)


◼️「ボルサリーノ/Borsalino」(1970年・フランス=イタリア)

監督=ジャック・ドレー
主演=アラン・ドロン ジャン・ポール・ベンモンド ミシェル・ブーケ

2024年8月18日の午後。アラン・ドロンの訃報が届いた。ドロン全盛期の頃、僕はまだお子ちゃまだが、美男の代名詞として多くの場面で名前が挙がるのを聞いて育っただけに特別な存在だった。ドロンがナレーションで参加したダリダの「甘い囁き」(ぱろーれぱろれぱろーれ♪って歌ね)を聴いたのも、ドロン映画を初めて観た頃だと記憶している。初めて主演作をちゃんと観たのは「ブーメランのように」だと鑑賞ノートに書いていたが、実は「ショック療法」が初ドロン映画(恥)。「太陽がいっぱい」は数えきれないくらい繰り返し観てる大好きな映画。親父に何度もビデオで観させられたのは「シシリアン」と「スコルピオ」。

訃報を聞いて「ボルサリーノ」を改めて観た。子供の頃に断片的に観てると思うのだけど、実はちゃんと観てなかったようだ。出所間もないロックは元カノが今付き合っているフランソワと出会う。派手に殴り合った後、お互いを認め合い相棒となった2人が、機転と度胸で裏仕事からマルセイユの大物に成り上がっていく物語。

この頃のドロンは、アメリカ進出したがうまくいかずにフランスに戻り、自身のプロダクションを設立している。そして製作されたのが「ボルサリーノ」。プロデューサー業に乗り出すと自分をうまく魅せることが思い通りにできるようになる。今のトム・クルーズがええカッコしいしてるのと同じ(一緒にするなw)。

改めて観て男として惚れ惚れしてしまったのが衣装🤩。各場面で着るスーツがカッコいいのはもちろんだけど、帽子のヴァリエーションがすごい。タイトルのボルサリーノはイタリアの帽子ブランドの名前。2人が被ってる中折れ帽がそれ。麻生太郎が被ってる中折れ帽もボルサリーノ製。お値段気になる。仲間を連れてドライブに行く場面のハンチング姿もカッコいい。個人的にハンチング大好きなので、真似してみよっかな。

ジャック・ドレー監督とドロンというと犯罪映画のイメージだけど、改めて「ボルサリーノ」を観ると他のギャング映画とはどこか違う。あれこれ観た今の目線だからかもしれないけど、この前年に製作された「明日に向かって撃て!」と重なって見える。三角関係とも違う男女の構図といい、女子そっちのけな男の友情といい、同年代スタア共演と共通点多数。そうした点がいわゆるフレンチノワールとは違う雰囲気になっている。ジャズピアニスト、クロード・ボリングによるホンキートンクピアノがいい。そのどこかコミカルな響きがこの映画の印象を明るくしてくれる。これ弾けたらカッコいいだろな、と元鍵盤弾きの僕は妄想してしまう。

ベルモンドがコイントスで方針を決める場面、ローラが食事で2人をつなぐ場面、素敵な場面がたくさん。アラン・ドロン、ベルモンドの陰と陽の魅力を再認識。そんな僕は帽子を被りたがる男子になりそうw。そうやってドロンの残したイメージはみんなに受け継がれていくんだから。小遊三師匠かww

ご冥福をお祈りします。




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欲望

2024-08-19 | 映画(や行)


◼️「欲望」(2005年・日本)

監督=篠原哲雄
主演=板谷由夏 村上淳 高岡早紀 利重剛

かつて同級生だった3人の男女。一人は裕福な夫とのセックスレスに悩み、一人は不倫とされる男女関係にどっぷりの女。そして一人は少年時代の事故が原因で女性と交わることができなくなった男。男の欲望を受け止めてあげたい女の切なさと、抱え込んでいる欲望を吐き出せない男の苦しみが、この映画のクライマックス。

地上波の深夜枠で放送されたもので観たせいか、全体的に暗い映像が残念。ところどころ絵になる場面が心に残るだけになおさら。ラスト近くで、並んで海を見つめる裸の二人を背中から撮る場面が印象深い。

濡れ場は確かにたくさん出てくるのだが、官能的と言うよりも、生々しくて、時に痛々しい。不倫相手の大森南朋が板谷由夏に迫る場面のギラギラした剥き出しの欲望。悩む村上淳に「欲望があるなら私を使って」と抱きしめる板谷由夏。そしてもの言わぬ突然の辛い結末が、物語をいっそう切なくさせる。エロを目的で観ても、この映画には甘美な味わいは皆無。むしろやり場のない気持ちが残るのかも。



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ルックバック

2024-08-17 | 映画(ら行)



◼️「ルックバック」(2024年・日本)

監督=押山清高
声の出演=河合優美 吉田美月喜

私ごとだが、小学生の頃、自由帳に少年誌の真似をしたマンガを描いてたら、友人たちから読者が広がっていった時期がある。純粋に楽しんで描いたものもあれば、日頃の鬱憤を白いページに向かって晴らしていたものもある。好きな女の子をモデルにしたヒロインを讃美したり、イジメまがいのチョッカイ出してくる男子を悪役にしてコテンパンにしたりw。多少の絵心はあったかもしれないが、画力上げるために努力した訳でもない。要するにちょっとしたお絵描きが得意だっただけだ。大した実力もないくせに。

「ルックバック」の主人公藤野は、学年通信に4コママンガを連載して、周りからチヤホヤされている。目が腫れているくせに短時間で描いたとか言っちゃう見栄っ張り。ある日、不登校の京本の作品も載せると先生に言われ、「学校にも来れない人が」と見下した態度をとる。自分本位のちょっと嫌なヤツ。ところが、京本の作品の描き込まれた絵の巧さに驚愕。「藤野の絵は上手いと思ってたけど、こうして見ると普通だな」と隣の男子に言われてショックを受ける。負けまいと描きまくるのだが、画力では全く追いつかない。6年生の途中で連載を断念してしまう。

この冒頭数分間だけで完全に心を掴まれてしまった。なんて濃密なアニメなんだろ。確かに冒頭の机に向かう場面、鏡の使い方が上手いなぁとは思った。でもそれ以上に引き込まれた理由は、自分自身だった。

藤野は小学生の頃の自分じゃねえか😳

でも僕が藤野と違うのは、京本みたいな存在がいなかったことだ。だから興味の対象がどんどん変わってしまった。藤野は京本という存在がいたことで、負けまいと躍起になれたり、タッグを組んだり。切磋琢磨ってよく言うけれど、同じベクトルで競い合って認め合える存在がいるからできること。一方で、都合よく京本を利用してるようにしか見えない部分もある。それは藤野が基本自分本位のズルさを持っているからだ。最初に「藤野先生」と呼ばれる場面だって、自分も京本の絵を認めているくせに、それは全く口にしない。また描き始めたとか見栄を張る。嫌なヤツだな。

しかし。そこから続く、藤野があぜ道をスキップする場面に再び心が掴まれた。映像から伝わる高揚感。すごい。気持ちがわかる。認められた嬉しさと思わぬ同士を得た喜び。上手いなぁ。

コンビを組んだ2人はプロになって、少年漫画雑誌に連載をもつことになる。しかし、京本は背景画の世界に自分の道を見いだして、絵を学びたいと言い出す。コンビの解消だ。ここでもまた藤野は自分本位の嫌な面を見せる。頼れる存在を失いたくないくせに、「アタシと一緒ならうまくいく。美大生の就職なんて…」と京本を責め立てる。嫌なヤツだな。

そこからの喪失感と事件。起承転結が短い上映時間の中できちんと構成されている。これで58分だって?なんて濃密な。観る前は特別料金と上映時間に文句言ってた自分が恥ずかしくなる。クライマックスで示されるのは、別な流れの2人の道筋。嫌なヤツだと思いながら見ていた藤野が自分を責める場面。そこにあるのは後悔の念。そんな彼女をのもとに扉の向こうから4コマのメッセージが届く。前半との呼応。上手いなぁ。多くの人の感想にあるように涙を誘う。

このアニメ、若い世代もだけどそれなりに年齢層いってる人たちにも共感を呼んでいる。
それは生きてきた時間だけ、いろんな後悔の味を知っているから。

どんな分野でも、創作は結局孤独な作業だ。そこに打ち込める表現者を僕はカッコいいと思う。再び机に向かったラストシーンの藤野。彼女の後ろ姿が、とんでもなくカッコよく見えた。









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