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Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

不思議の国でアリスと -Dive In Wonderland-

2025-09-07 | 映画(は行)


◼️「不思議の国でアリスと -Dive In Wonderland-」(2025年・日本)

監督=篠原俊哉
声の出演=原菜乃華 マイカ・ピュ 山本耕史 間宮祥太朗

私ごとだが、うちの長女は本作のヒロインと同様に現在就活中。面接で併願状況について、「全部採用となったらどうしますか」と尋ねられた。
🤨「御社が第一志望ですって答えたんやろ」
と尋ねたら
🧑🏻「条件を比べて決めます」
とクールに返事したと言う。
😒「「御社に行きます」って言えばいいのに」
🧑🏻「嘘つくの嫌だ」
こういうとこ正直というか不器用というか。採用の可能性が高くなるなら嘘も方便、面接官にいい顔するのも社交辞令…と思うのは大人の考えなのだろか。就職指導でもそう言われるもんだけどな💧

さて本作について。

大富豪だった亡き祖母は、大好きだった「不思議の国のアリス」のVRテーマパークを建設。開園を目前にしていた。その孫で就活苦戦中のりせは、最初のゲストとしてテストに招かれた。専用のデバイスを身につけると、案内人が現れると伝えられた。程なく「時間がない」を繰り返すうさぎが登場する。ゲストの好みやパーソナリティについて矢継ぎ早に質問してくる。即答しないりせにイラついたうさぎは、りせの携帯をワンダーランドに持ち込んではいけない危険なものなので女王に届けると言って走り出す。りせは追いかけて(原作同様に)木の根元の穴に落ちてしまう。風船だらけの部屋に落ちたりせは小さくなって困っているアリスと出会う。2人の冒険が始まる。

就活中の若者の本音がにじんでくる話。友人は内定もらっているのに自分はうまくいかない。そうした現実の背景がワンダーランド内の試練に色濃く反映される。こんな苦労するテーマパークだったら開業してもお客さんウケするだろか?、それともこれはりせの為だけに設けられたルート?そんな邪念が浮かぶのは世間ずれした大人の発想なんだろか。

たどり着いたサーカスのテントで、自分について尋ねられ、ラップで答えることを強要される。りせはたどたどしくも本音をぶちまける。ワンダーランドどころかちょっと重苦しい空気すら漂う。アリス役のマイカ(「はたらく細胞」の血小板ちゃん)の明るい声が響くから救われる場面すらある。

トランプの女王の法廷で、ドラゴンの姿になったりせが裁かれる場面。「どの会社にも一次志望だと嘘をつき続けた」「憂さ晴らしに罪もないゾンビをゲームで殺し続けた」と罪に問われる。「みんなと同じことをやってるだけなのに!なぜ私だけがうまくいかないの!?」と響く悲痛な叫び。誰よりもりせを知る証人として現れるのは、うさぎが持ち去った携帯電話。そこにアリスが加わって法廷は騒ぎになり、気づくとりせは誰にも気づかれない姿になっていた。

この映画のターゲットは10-20代だろう。ここで映画が伝えたいのは、自分を知ることの大切さ。うさぎの質問に答えられない場面からいきなり自己PRの弱さを指摘される。ワンダーランドに入ってからもりせには次々と質問が浴びせられる「どうなりたい?」「何がやりたい?」「何が好き?」祖母との思い出とアリスの問いかけで、"好き"をひとつひとつ口にしながらりせが元の自分に戻っていく場面はちょっと感動的だ。

自分とは"好き"の集まりである。それは特徴であり、長所にも短所にもなる。"好き"に向かっていける気持ちは長所と言えるだろうし、"好き"しか見えない気持ちは短所にもなりうる。自分を見つめることでしか答えは見出せない。自己PRは完成しない。この映画はそこに気づかせてくれるきっかけになるかもしれない。

りんごと化した携帯電話を食べたら、「私の長所は協調性」と誰もが使う常套句が暗い声で響く場面はゾッとする。ここはSNSの情報を丸呑みしがちな現代っ子への強烈なメッセージになっている。是非汲み取って欲しい。

毎日人に合わせることで疲れたら、好きに囲まれることで元気になれる。それは大人でも同じこと。好きを大事にしなきゃな。

🤨「この映画、お前が観るべきなんじゃねーの?なんか気づきがあるかもよ」
と長女に伝えたら、はいはい私は通信対戦で忙しいのよと言いながら部屋に戻った。この映画でりせがゾンビゲームで発散していたように通信プレイをして、ぬいぐるみだらけの枕元で"好き"に囲まれているのだろう。長女はとっくに映画の教訓を実践しているのかも😜。ともかく早く決まればよいのだがw

あ、原菜乃華ちゃん。ヒロインを演じた「すずめの戸締り」同様に今回もいい仕事でした👍
🧑🏻「今、お父さんの推しだもんねぇー♪」
るせー💧

  ◇

gooブログのサービス終了に伴い、はてなブログへの引っ越しをしました。下のアドレスにて公開を開始しましたので、お知らせします。
https://tak-anakin-skywalker.hatenablog.jp/

なお、gooブログに投稿できる間はこちらにも同じ記事をアップするつもりです。

また、映画レビューはFilmarksでもやっておりますので、そちらもご覧くださいませ。
filmarks.com/users/tak_skywalker

今後ともよろしくお願いいたします😊


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河の女

2025-09-02 | 映画(か行)


◼️「河の女/La Donna Del Flume」(1954年・イタリア)

監督=マリオ・ソルダーティ
主演=ソフィア・ローレン リク・バッタリア ジェラール・ウーリー フロレスタノ・ヴァンチーニ

映画好きのわが親父殿は、八千草薫やオードリー・ヘプバーンが理想みたいなことをよく口にしていた。母もスレンダーな体型だから、好みの通りなんだとずーっと思っていた。ある日、父の机の引き出しから1950年代の映画チラシや半券が大量に出てきた。「シェーン」や「黒い牡牛」の半券、上映予定作のリストには「ローマの休日」に赤丸がつけてある。

だが、親父殿のこのコレクションはある俳優の出演作が多いことに気づいた。ソフィア・ローレンである。グラマーなヨーロッパ女優の代表格とも言える存在。スレンダー美女が理想って嘘?実は親父殿のミューズはソフィア・ローレンなのでは?と疑い始めた。そんな親父殿が主題歌が有名な「島の女」と並んで、いいぞぉと言っていた記憶があるのが本作「河の女」である。

ヒロインのニーヴィスは、水産加工工場で働いている肉感的な魅力ある女性。誰にでも愛想がいいジーノから言い寄られていた。ジーノは漁師の仕事の裏でタバコの密輸をやっていて、警察も彼をマークしている。ジーノと恋仲になったニーヴィス。幸せは続くかと思われたが、子供ができたことを知ったジーノは姿を消す。ニーヴィスを慕う警官エンツィに、ジーノの悪事について教えて欲しいと頼まれた彼女。置き去りにされた怒りから秘密の受け渡し場所を警察に伝えたので、ジーノは逮捕された。2年後、女一人で子供を育てる彼女の元に脱走したジーノが復讐するために向かっているとの報が…。

当時、「にがい米」という働くグラマー女性が主人公のイタリア映画がヒット。その影響で製作された映画だと伝えられる。「河の女」日本版のポスターでは、
「女の感情を乳房で表現する名女優」
と映画初主演のローレンを紹介している。

なんじゃそら。
まさに「どこ見てんのよ!💢」(青木さやか風に読んでください)な宣伝文句w。

そういえばうちの親父殿、「にがい米」も観たとか言ってたから、当時この惹句(じゃっく)に釣られたんじゃなかろうか💧。

子供と2人で生きるために、離れたくないと言っていた家を捨てて、葦を刈る出稼ぎ労働で生計を立てる彼女。「ひまわり」のイメージがぼくら世代には強いので、"耐える女"の役って若い頃からなのかと思ってしまう。

映画のクライマックスではさらなる悲劇が彼女を襲う。戻ってきたジーノがその姿を見て改心するラストシーンが切ない。人生ってままならぬものよね😢

配信もレンタルも見当たらなかったが、往年のイタリア映画を収めた廉価版DVD集で発見。音楽はアンジェロ・フランチェスコ・ラヴァニーノと「黄金の七人」のアルマンド・トロヴァヨーリ。主題曲Mambo Bacanが当時ヒットしたとのこと。



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