■「ミッション:インポッシブル フォールアウト/Mission:Impossible Fallout」(2018年・アメリカ)
監督=クリストファー・マッカリー
主演=トム・クルーズ サイモン・ペッグ ヴィング・レイムス レベッカ・ファーガソン
トム・クルーズとエイリアンは嫌い!と公言しているくせについつい映画館で観てしまう。
このシリーズだって、オリジナルの設定そっちのけでトムくんがええかっこしいするために製作され続けている。
それがここまでブロックバスターなヒットを飛ばし続ければ、
プロデューサーとしてのトムくん、55歳になっても危険なスタンドに挑み続けるトムくんを認めざるを得ない。
本作では撮影中に怪我をしたと聞くが、実際に本編を観て、よくもまぁ怪我で済んだよなと思う。
自殺願望があるんじゃないの?とさえ思う。
それは言い換えれば、映画の為なら死ねるという覚悟なんだろう。
脚本も兼ねるマッカリー監督は、ここ数年トムくん主演作を撮り続けている。
だからトムくんの役柄をどう描けば好印象になるのか、どう撮ればカッコよく映るのかを熟知している。
非情なスパイ像ではダメだ。
知的にうまく立ち回れて人情味あるヒーローでなくてはならない。
「M:I」シリーズの初期作品だってトムくんをカッコよく見せた。
けれどマッカリー監督がさらに上手いのは、
複雑な組織の関係や二重三重に入り乱れたスパイ戦をスタイリッシュに、
しかも謎解きのように観客に少しずつ理解させていくこと。
そこでは当然チームの仲間のキャラやチームプレイが不可欠な訳で、
シリーズ初期3作のトムだけがカッコいい映画とはひと味もふた味も違う。
サイレント映画の時代から、連続活劇はヒーローが崖に追い詰められていくのがクライマックス。
そういう状況を"クリフハンガー"と呼ぶ。
この「フォールアウト」のクライマックスは、まさに崖にぶら下がりっぱなしの数十分。
ヘリコプターのぶら下がりから、崖の割れ目にハマった機体がジリジリと落ちていくハラハラ。
さらに崖っぷちで屈強なスーパーマン俳優と殴り合って、再び崖にロープ一本でぶら下がる。
スピルバーグもクリフハンガー描写が好きな人だけど、ここまで長い時間崖っぷちが続くのはやり過ぎ。
高所恐怖症なんでキツかったっす。
何にしても、マッカリー監督の前作と本作はええかっこしいとチームプレイのバランス感が実にいい。
そしてヘンリー・カヴィルやアンジェラ・バセットなどキャスティングもナイス。
おなじみの主題曲のアレンジが、今回はちと地味だったかなあ。
・・・とトム嫌いを公言してるくせに、このシリーズちゃんと観ている私なのでしたww
『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』本予告