Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2024年1月のプレイリスト

2024-01-31 | 今日のBGM



◆2024年1月のプレイリスト
2024年1月に聴いていた愛すべき31曲

もう1月終わっちゃう💦
人間の時間は早いねw(フリーレン風)

1 Don't Stop Me Now(Queen + Adam Lambert)
紅白の余韻でついつい聴いてしまった。
2 Da Bump(Candy Dulfer)
年末にベストアルバム💿を衝動買い。
3 不可思議のカルテ(feat. Chihiro Sings)(fox capture plan)
このグループ、ちょっと興味あるのです🎹
4 優しさの理由(ChouCho)
アニメ「氷菓」を復習したい。
5 よりみち(子ザメちゃん(CV.花澤香菜))
サメ語の歌唱、最強キュートw。
6 ここから、ここから(玉木マリ(CV:水瀬いのり)、小淵沢報瀬(CV:花澤香菜)、三宅日向(CV:井口裕香)、白石結月(CV:早見沙織))
アニメ「宇宙より遠い場所」ED曲。ラストの2、3話にこんな爽やかに泣かされるとは🥹。名作。
7 Miss Funk(Moodena Remix)(米澤美玖)
通勤BGMにパワープレイ中🎷♪
8 ねじれたハートで(桃井かおり&来生たかお)
大学時代に歌うま女子とカラオケでデュエットしたことがある。恋も時々疲れるね♪
9 今を抱きしめて(NOA(吉田栄作、仙道敦子))
YOSHIKI作の90年代ドラマ主題歌。これ同僚とカラオケで歌ってたなぁ♪仙道敦子パートをやらされたけどw🎤
10 Feeling Good(Nina Simone)
映画「PERFECT DAYS」クライマックスで流れる。歌詞が自然と頭に入ってきて、映画の主題に触れる選曲だと確信。

11 中央フリーウェイ(YOASOBI cheers 松任谷由実)
今どきのサウンドとアレンジに衣替えしても、ユーミンのメロディは埋もれない好例。
12 Need Her Love(Electric Light Orchestra)
ポップスのお手本のような名盤に収められた美しいラブバラード。
13 Duo-Creatics(渡辺貞夫)
リー・リトナー、デイブ・グルーシン参加、78年のアルバムから。躍動感が通勤BGMに最高のカッコよさ。休日出勤やけどね🥺
14 Breathless(Jerry Lee Lewis)
ゴダール映画のハリウッドリメイク「ブレスレス」鑑賞。
15 How Many Times(TOTO)
2013年のライブ盤を聴く。
16 0-G Love(飯島真理)
リン・ミンメイ名義の楽曲はキャッチーのお手本。
17 I miss your fire(岡村和義)
岡村靖幸と斉藤和義のユニット。ルーズなリズムが楽しいロケンロール。
18 雷櫻(feat. 9Lana SAKURAmoti)(MAISONdes)
令和の「うる星やつら」2期ED曲。
19 ロタティオン(LOTUS2)(平沢進)
映画「千年女優」主題歌。なんでこの映画を観てなかったんだろ。かなり好き。
20 二人でお酒を(宮本浩次)
斉藤和義もカバーしている梓みちよの代表曲。宮本浩次も斉藤和義も僕と同い年。当時小学生だったけど、心に響くものがあったんだろうな。僕もリコーダーで吹いてたし(マセガキ💧)。

21 Pain Or Pleasure(The Jazz Avengers)
ベースがひたすらカッコいい。
22 Shout To The Top(The Style Council)
80年代のお気に入り。熊本のローカル洋楽番組がOPで使ってた。
23 MISTER MOON(the brilliant green)
初期のブリグリ。やっぱり好きだ。
24 Love Will Keep Us Together(愛あるかぎり)(Captain & Tennille)
7thコードのピアノリフが心地よい、大好きな曲。
25 Just The Two Of Us(藤井風)
カバーアルバムより。音楽的ルーツが見えるのも楽しいが、何より選曲センスがいい。
26 Old Time Rock & Roll(Bob Seager & The Silver Bullet Band)
この曲聴くと白いブリーフはいたトム・クルーズが浮かぶあなたは80年代育ち。
27 Darlin'(She & Him)
女優ズーイー・デシャネルの音楽ユニットによるビーチボーイズのカバー。彼女のイメージも重なってオシャレなアルバム。
28 Gokigen Ikaga 1.2.3(Sketch Show)
まさかのスネークマンショー迷曲カバー😂
29 Possesive Love(Marylin Martin)
サントラでのバラードの印象が強いマリリン。セカンドアルバム収録のダンサブルなナンバー。ハスキーな歌声が好き。
30 courage(戸松遥)
SAO楽曲は名曲ぞろい。カラオケで歌いたいっ🎤

31 ハッピー☆ブギ(中納良恵、さかいゆう、趣里)
今期朝ドラ。このワンシーン撮るためにどれだけの準備をしてきたのだろう?と毎回圧倒される。芝居も歌も演奏も。









コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

哀れなるものたち

2024-01-29 | 映画(あ行)


◾️「哀れなるものたち/The Poor Things」(2023年・イギリス)

監督=ヨルゴス・ランティモス
主演=エマ・ストーン ウィレム・デフォー マーク・ラファロ ラミー・ユセフ

死者を蘇らせる物語。映画史上、多くのマッドサイエンティストたちの手で何人もの死者が息を吹き返した。「フランケンシュタイン」は特に興味があって、オリジナル、関連作、リメイク、多くの派生作品を観まくった時期があった。「ペットセメタリー」や「デッドリー・フレンド」でも死者は蘇った。それらは不幸な結末と、創造主に愛されないモンスターの悲しみがあった。公開前の「哀れなるものたち」のあらすじと作品の噂を聞いて、こうした作品の系譜なのだろうと勝手に思い込んでいた。

ところがどっこい。確かに怪奇趣味的な物語の導入だし、風変わりなキャラクター、部屋の造形、不思議な街並みに彩られてはいるが、ストーリーの主軸は普遍的な成長物語だ。亡くなった大人の女性に胎児の脳が移植された主人公ベラ。初めは歩く動きすらぎこちない彼女だが、映画が進むにつれて急速に知識を得て、経験を積み、大人の女性へと変わっていく様子から目が離せない。

性にまつわるエピソードが過剰に多い印象を受ける。しかし性への興味は成長していく過程で誰しもが夢中になってしまうものではある。またその快感を自分で発見して言葉にする喜びがストレートに表現されて(熱烈ジャンプ🤣)、おかしいけれどうなづけるところ。

さらに、ベラが船旅で老婦人(ドイツの名女優ハンナ・シグラ)に出会って社会に対する知識欲が旺盛になり、世界の現実を知りたいと望むようになる変化。その大きな前振りとなっている。昔読んだ山田詠美の小説に出てくる、「セックスはお菓子、愛はパンなのよ、ベイビー」って台詞を思い出した。ベラはお菓子を卒業しつつある時期に近づいていたのか。老婦人がその年齢での性に触れるサラッとした台詞は見事だった。

本作が面白いのは、主人公の成長物語だけで終わらないところ。ベラは最終的に自分のルーツに触れることになる。その流れは実にスリリング。また、科学者としての立場に固執していたウィレム・デフォーが愛を知るまでの物語でもある。「フランケンシュタイン」原典は、創造したのに愛をくれなかった者へのモンスターの怒りと孤独という悲劇。その原典に着想を得た本作は、その先の成長と愛に触れようとした冒険物語。

エマ・ストーンが姿勢と喋りと歩き方でベラの成長を演じ分けているのは、本当に見事。どういうアプローチをしてこの演技にたどり着いたのだろう。圧倒された。刺激的な会話と映像、一度聴いたら気になって仕方ないピッチが揺れ動く音楽。センスのいいタイトルバックと、絵画を見ているような美しいエンドロール。万人に勧められる映画ではないけれど、他では味わえない魅力がある。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

2024-01-28 | 映画(か行)


◾️「首」(2023年・日本)

監督=北野武
主演=ビートたけし 西島秀俊 加瀬亮 遠藤憲一

いつの時代でも、時の権力者たる者にクリーンなヤツなんているものか。政治とと金の話がいつまで経っても騒ぎのネタになるわが国。コンプライアンスの名の下でいろんなことが抑え込まれている昨今だけれど、ちょっと前、今のおっさん世代が若い頃でさえ、日常でも、配慮のカケラもないとんでもない言葉が飛び交い、手ひどい扱いを受けてきたものだ。ましてや戦国時代にその覇権を争っていたあまたの武将たちの時代は、もっともっと酷くって、力と威圧にものを言わせていたに違いない。テレビドラマで幾度も描かれる中で、僕らは美化されたものに慣れすぎてしまっている。

われらが北野武は、世の中に固定されつつあるそんな戦国武将のイメージを徹底的にぶっ壊す。男ばかりのキャスティング、映画冒頭から斬首刑シーン。血しぶきが飛び、切り落とされた首が転がる。その時代の命の軽さをその数分間で観客に思い知らせる。

シリアスに話が進むかと思いきや、唐突にコントのようなやり取りが盛り込まれる。大森南朋演ずる秀長、浅野忠信演ずる黒田官兵衛を相手に、いかにもアドリブだと思える珍妙な会話が続く場面。ふざけてる。「風雲!たけし城」を見ているような、楽しい気持ちになってくる80年代育ちw。でもこれが妙な生々しさがある。農民から成り上がった秀吉の育ちや粗暴さが伝わってくるのだ。

男色の描写は、これまでの北野武作品にも見られた。「座頭市」の少年の場面は短いけれど印象深い。本作では、遠慮なくストレートに描く。芸能界を揺るがした性加害問題報道の後だけに、力ある者は好き放題やるんだよと言わんばかり。これまた妙な生々しさ。

タイトルにまで挙げた「首」を、「どうでもいい」とテキトーに扱うラストシーン。弔いや悼む気持ちなんてカケラもない。その荒々しさは可笑しいし、痛快に思える人もいるだろう。でもシアターを出て冷静になると、背筋がちょっと寒くなる。

武内英樹監督の新作は、徳川家康や秀吉など歴史上の人物が内閣を組閣するんだって?。「首」を観た後の今。あんな戦国武将たちにニッポンを任せられるもんか。80年代育ち世代なら、たけちゃんが「オレたちひょうきん族」で演じていた鬼瓦権造のポーズでこう言うに違いない。
🖐️「じょーだんじゃないよ」💦


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

天使の詩

2024-01-25 | 映画(た行)


◾️「天使の詩/Incompreso」(1965年・イタリア)

監督=ルイジ・コメンチーニ
主演=アンソニー・クエイル ステファーノ・コングランデ シモーネ・ジャンノッツィ ジョン・シャープ

家族でテレビを見るのは楽しいけれど、それが映画だったらきっと思い出になる。

これはわが妹の弁なのだが、いい文句なのでちょくちょく使わせてもらっている。お正月に家族で映画をテレビで観たことは多々あったけれど、特に記憶に残っているのはフランコ・ゼフィレッリ監督の「チャンプ」を観たこと。妹と親父がグスグス泣いてティッシュ箱の奪い合いになったっけ。今でも家族で映画が話題になる時、親父殿を泣かす最高の映画として名前が挙がる。

さて。今回観たのは親父泣かせの父子もの。イタリア映画「天使の詩」である。

病弱な弟をもつ少年アンドレア。映画冒頭、悲痛な面持ちで外交官の父親が帰宅して、アンドレアは母を亡くしたことが示される。父は幼い弟に母が死んだことを黙っておくようにアンドレアに言う。大人のことがわかってきたけれど、まだまだ子供のお年頃。アンドレアは母を失った悲しみに暮れる一方で、自分の行動で弟の病状が悪化すると大人たちから煙たがられる。父は弟ばかりをかわいがる。そんな折にウィルおじさんが訪れる。おじさんは子供が嫌いだと言うが、アンドレアの行動から彼の孤独を感じ取っていた。

イタリア語の原題は「誤解」。子供の気持ちに真正面から向き合っていたら、アンドレアは寂しい思いをしなくてすんだのかもしれない。一人書斎で亡き妻の声が録音されたテープを聴く寂しさもわかるけれど、子供に母の死を伝えて、家族のこれからに3人で向き合うことはできなかったのかなとも思えた。アンドレアがテープに残された母の声を聴く場面、それを父が独り占めしたと言う台詞も心に残る。

負傷したアンドレアが、母の肖像画が飾られた居間に寝かせてと願った気持ち。観客だけには明示されるが、父は気づいていたのだろうか。無言のラストシーンが切ない。






コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

サン・セバスチャンへ、ようこそ

2024-01-23 | 映画(さ行)


◾️「サン・セバスチャンへ、ようこそ/Rifkin's Festival」(2020年・アメリカ=スペイン=イタリア)

監督=ウディ・アレン
主演=ウォーレス・ショーン ジーナ・ガーション ルイ・ガレル エレナ・アナヤ

アレン先生の新作が映画館にかかる幸せ。ハリウッドでのバッシング(自業自得ではあるけれど)から、出演を拒む人々もいるし、出演者からもよく言われない昨今。製作の場をヨーロッパに移して撮った本作は2020年の作品だけど、映画館にかかってよかった。観られないかと心配していた。いろいろあっても、作品は作品で楽しみたいもの。

本作を観て思った。アレン先生、ある意味やっぱり懲りてない(個人の感想です)。主人公モートを演ずるウォーレス・ショーン、撮影当時70代後半。彼を主役に据えて、妻の浮気に悩みつつ、旅先で会った女医さんにほのかな片思いをする主人公を演じさせるんだもの。90歳に近づいたアレン先生だが、自分の分身である主人公像にまだまだそういうキャラクターを登場させるのは元気な証拠かも。おっさんの片恋と言えば日本人には「男はつらいよ」だけど、最後の方は寅さんも恋愛最前線から退いていた。その頃渥美清はまだ60代だったんだから。

本作はスペインの観光映画としても良いだけれど、映画ファンをニヤリとさせる描写が素敵だ。妻の仕事で嫌々映画祭を訪れた主人公が、毎夜ヨーロッパの名作映画の中に自分が登場するモノクロームの夢を見る。ウェルズ、フェリーニ、ゴダール、アレン先生のお手本イングマル・ベルイマンなどなど名作がパロディとして示される。「市民ケーン」のパロディ場面では、ちゃんと窓の向こうにもピントが合っているパンフォーカスも再現する芸の細かさ。クラシック好きにはたまんねぇ…♡と思ったけれど、知性をひけらかす主人公と重なって、観る人によっては嫌味に感じてしまうかもしれない。かつて映画を教えていた主人公モートは、さらに日本映画の知識まで披露して、場を白けさせてしまう。

そう言えば、前作「レイニーデイ・イン・ニューヨーク」でも、エル・ファニング嬢に黒澤明やビットリオ・デ・シーカについて語らせたりしていたな。アレン先生の趣味嗜好なのだろうが、もしかしたらこれは現代ハリウッドに対する皮肉なのかも。いや僕の深読みかもしれないけど、
👓「これこそが映画だぞ。」
と言ってるように僕には感じられた。だって、「勝手にしやがれ」のパロディ場面とか、すっごく楽しそうだったんだもの。

妻スーを演じるジーナ・ガーションの衰えぬ美貌、ゴダールを演じたことがあるルイ・ガレルが新進監督の役。男と女のドラマ、まだまだ撮れるぜ、というアレン先生の心意気が感じられた。それしか撮れねぇじゃん、という感想も聞こえてきそうだけど。でも、男と女の話を、ちょっと笑えてちょっと切実に、安心して観られるレベルで撮ってくれるのはアレン先生しかいないもの。
👓「これが男と女だぞ。いろいろあってちょっと懲りたけど…いや、やっぱり懲りてねぇぞ。」
とアレン先生は、スペインの太陽の下で笑ってる気がした。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ジョン・F・ドノヴァンの死と生

2024-01-21 | 映画(さ行)


◾️「ジョン・F・ドノヴァンの死と生/ The Death and Life of John F. Donovan」(2018年・カナダ=イギリス)

監督=グザヴィエ・ドラン
主演=キット・ハリントン ナタリー・ポートマン スーザン・サランドン ジェイコブ・トレンブレイ

どこからこの映画の感想を書こう。正直迷っている。グザヴィエ・ドラン監督作を観るのはこれが2本目。だから偉そうなことは言えない。だけどこの物語で、あれこれ考えさせられた。それを思いつくままに綴らせていただく。

家族にも誰にも言い出せずに抱えている気持ち。それを遠慮なく打ち明けられる人がいるなら、それは大切な存在だ。僕は絶対に失いたくない。ジョンが11歳の子役少年と続けた文通は、周りに理解されない孤独を抱えていた二人にとっては何事にも代え難いものだったに違いない。ジョンの死後10年経って、少年だったルパートがそのやり取りを出版することがこの映画の始まりだが、本編ではその手紙の内容で全てを明らかにすることはない。

そんじょそこらの映画なら、ジョンの素顔に観客だけは迫ることができ、結論めいたものを示してくれる。だが「僕らは理解されない」という台詞にもあるように、二人のやり取りを明らかにしたところで、万人に分かってもらえることはできなかったかもしれない。この映画は批評家に酷評されたと聞いた。感想を読んでると好意的な感想も共感する声も多い。分かってもらえなかったのはグザヴィエ・ドラン監督自身でもある。

ルパート少年が、大人たちからまるで嘘つきの狼少年みたいに扱われる場面は観ていて辛かった。さらに憧れのジョンにも裏切られるようなことになる。ジェイコブ・トレンブレイ君の叫びは耳に残っている。さらに大人たちが嘘だと罵ったジョンとの文通を、今度はマスコミが騒ぎ立てる。ジョンに同性愛の相手がいると騒がれたから?小児性愛と勘ぐった?それとも美談にしたかった?誰も本当のことを分かっちゃいないのに。

この映画は、母と息子の物語でもある。ナタリー・ポートマンが演ずるルパート少年の母は、女優のキャリアを捨てたシングルマザー。宿題の作文で息子の気持ちを知った母が、少年を追う場面は胸に迫る場面だった。また、スーザン・サランドンが演じたジョンの母親も出番が少ないが、最後には理解者であろうとしている気持ちを示す。浴室で家族で話し、ラジオの音楽で歌う場面も印象的だった。

僕自身も、分かってくれない、分かり合えない人々に日々苛立っていて、一方で分かってくれる誰かがいることを大切に思っている。だからこの映画で、ハートに刺さった場面や台詞がいくつもある。「"秘密の存在"は望むものじゃない」とか、いい表現だよな。だけど映画の感想としてうまく言葉にできない。

それはこの映画が、尺の割りに様々なテーマを織り込んでいるからかもしれない。元々はもっと長尺だったと聞くから、編集で言葉足らずになってしまったとも思える。しかし、それでも共感を呼んでいるのは、気持ちに向き合う真摯な映画だからだ。ポスタービジュアルと同じく、真正面から登場人物を捉えたショットが心に残っているのも、その理由なのかも。




コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

パイレーツ・ムービー

2024-01-19 | 映画(は行)

◾️「パイレーツ・ムービー/The Pirate Movie」(1983年・オーストラリア)

監督=ケン・アナキン
主演=クリスティ・マクニコル クリストファー・アトキンズ テッド・ハミルトン

「リトル・ダーリング」(1980)でクリスティ・マクニコルのファンになった僕は、続く主演作「さよならジョージア」、「泣かないで」(隠れた名作)、「白いロマンス」と地元映画館で新作が上映されたら足を運んだ。「パイレーツ・ムービー」はその時期の主演作で、映画雑誌ではちょくちょく紹介されていたが、日本での公開は製作からしばらく経った時期だったし、地元映画館での上映もなかった。最近レンタルDVDで見つけたもので、今回が初鑑賞。

オープニングタイトルは古い映画を思わせる海賊船のバトルシーン。ヴィレッジピープルやジンギスカンを思わせる暑苦しい歌声(若い方はわからないですよね😅)で、いかにもディスコな楽曲が流れる。これだけでもう80年代初頭の空気が漂う。冴えないメガネっ子メーベルは、海賊ショーに出演しているイケメン男子フレデリックからセイリングに誘われる。しかし彼の取り巻き女子たちにのけ者にされてしまう。ボートで追いかけるが転覆。浜辺に打ち上げられた彼女は夢を見る…。それは、彼女は英国統治下の浜辺の町を舞台に、軍人の末娘メーベルが海賊に育てられたイケメン男子と恋をするお話。

…とまあ、最初から夢オチですと宣言する潔さ。そのせいか、少々無茶な展開も呆気にとられている間にどんどん進行していく。

海辺で二人は出会いました♡
好きよ!お父さんに会って!♡
僕は海賊船から来ました🏴‍☠️
海賊だと!?交際は認めないぞ!💢
大人たちの対立もあって二人は敵味方に🤺
それでも恋の炎は…🔥

あー、はいはい😓

ミュージカル仕立てだが、誰もがイメージするゴージャスなミュージカル音楽とは違う。流れる楽曲の中には、いかにも80年代AOR寄りなアレンジで二人の恋心を歌いあげるものもある。クリストファー・アトキンズ君がHow Can I Live Without Her ?と切なく歌うラブバラードは、エアサプライの「さよならロンリーラブ」の雰囲気(若い方はわからないですよね😅)。われらがクリスティはそもそも音楽活動もしてたし、「さよならジョージア」でも歌ってたから、ミュージカルはお手のもの。デュエットを含む3曲を披露。クライマックスはハッピーエンドを高らかに歌い上げ、キャストみんなでダンス。この曲もちょっとABBAっぽい雰囲気(若い方は…😅)。お気楽もいいとこの軽いミュージカル。

「鯨の骨で作ったコルセットに縛られる女の生き方は嫌よ!」と下着見せながら力説するクリスティ。こういう勝気な女の子が似合うんだよな。クリストファー・アトキンズ君はあの「青い珊瑚礁」の後だけに、ふんどし姿もよく似合うww。

んで最初に示した露骨な夢オチは、これ以上ない、お気楽なハッピーエンドになるのです。この映画の堅苦しくない空気、あの頃リアルタイムで観てたら、硬派な映画ファンを気取り始めてた当時の僕は毛嫌いしただろな。今観ると、これも時代だよなと微笑ましく思える。歳とると寛容になるのかも。何にしても、僕らのクリスティに再会できた100分でした😊。「レイダース」と「スターウォーズ」のパロディは余計だと思うが、これも時代かww。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マンハッタン殺人ミステリー

2024-01-17 | 映画(ま行)


◾️「マンハッタン殺人ミステリー/Manhattan Murder Mystery」(1993年・アメリカ)

監督=ウディ・アレン
主演=ウディ・アレン ダイアン・キートン アラン・アルダ アンジェリカ・ヒューストン

いゃぁー、面白かったし、何よりも繰り返し観たくなる楽しさ。ちょうどアレン先生がすったもんだがあって、ミア・ファローと破局した頃の作品。ミアが降板したので、かつてのパートナーであるダイアン・キートンが出演。でもね、このキャスティングは成功。

マンションの隣人である女性が死んだ。これを殺人だと疑念をもった妻ダイアン・キートンは、夫ウディの反対を押し切り、友人アラン・アルダの協力で素人探偵を始める。まさにヒッチコックの「裏窓」を彷彿とさせるストーリー。アラン・アルダの横恋慕とウディのジェラシーを絡めながら、物語は事件の核心へと迫っていく。

もし妻役がミア・ファローだったら、同じマンションの住民に疑惑を抱く姿に「ローズマリーの赤ちゃん」を重ねてしまって(笑)、情緒不安定な妻の妄想めいた話になっていたかもしれない。頼りないウディ・アレンの女性版な役柄を数多く演じてきただけに、似たもの夫婦が事件にあたふたしているコメディになっただろう。でも、ファッションや女性の生き方に主張があるダイアン・キートンが妻役だったことで、妻の暴走振りとそれに巻き込まれる夫の役柄が見事に生きている。ダイアン・キートンのファッションも見どころの一つで、「ネクタイは男っぽくなるから…」と二人の代表作「アニー・ホール」を茶化すような台詞も出てくる。二人の会話も自然なかけ合いだし、相変わらずの皮肉満載の台詞がなんとも粋なのだ。死んだはずの女性の死体を再び発見する場面では、「よく死ぬ女だな」とひと言。シリアスな場面なのに大爆笑ww

そして何よりも嬉しいのが、とにかく頼りない夫ウディ・アレンが決死の大活躍をするラスト。この展開、初期の共演作「スリーパー」を思わせる。映画ファンの心をくすぐるディープな仕掛けもある。保険金殺人の話であるクラシック映画「深夜の告白」(大傑作)が挿入されるのは、ストーリー上もなんとも意味深。クライマックスの映画館に追い詰められる場面では、鏡を使ったトリッキーでカッコいい撮影が緊張感を増してくれる。しかも上映されてる映画が同じく鏡を多用した場面が印象的なオーソン・ウェルズの秀作「上海からきた女」ってところがナイス。

サスペンスコメディとしても、マニアックな楽しみ方も両立してる見事な見事な映画。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ブレスレス

2024-01-15 | 映画(は行)


◾️「ブレスレス/Breathless」(1983年・アメリカ)

監督=ジム・マクブライド
主演=リチャード・ギア ヴァレリー・カプリスキー アート・メトラーノ

ジャン・リュック・ゴダール「勝手にしやがれ」のハリウッドリメイク。舞台はアメリカ、リチャード・ギアが車泥棒の主人公、留学生のヒロインがフランス娘ヴァレリー・カプリスキー。

僕にとってリチャード・ギアは憧れの俳優だった。されど本作で演じる主人公は、他のカッコいい役柄とはまったく違うセコい車泥棒。ジェリー・リー・ルイスのロケンロールを歌いながら車をかっ飛ばし、まったくセンスを感じない派手なファッションに身を包んだチャラい男。はずみで警官を撃って逃亡、一度会って惚れたフランス娘を執拗に追い回して、彼女が通う大学で騒ぎを起こす。そして追っ手が迫ってくる。刹那的な生き方には共感も感じられない。

この役に関しては、そりゃオリジナルのベルモンドに敵うはずがない。あっちも行き当たりばったりの行動ではあるけれど、いちいち台詞はカッコいいし、ファッションも仕草まで絵になる。ギアはおもちゃのハート型ペンダントを彼女に贈るセンスのなさを持つ、おちんちん丸出しのチャラい男。

ハリウッド化するとこうも軽くなっちゃうのかなぁ…と残念に思っていると、少しずつ内面に映画は迫り始める。警察の捜査が迫る中で彼女にこだわって逃げ出そうとしない彼を、アメコミ「シルバー・サーファー」が地球を守る為に去らない姿に重ねていく。本屋で「あれはダサい。クソだ」と作品を罵られる場面もあり、なかなか街を出ない彼と重ねて見せる。

そして「明日に向かって撃て!」みたいに唐突に終わるラストシーン。オリジナルの「最低だ」って台詞を吐く代わりに、ギアは警官に囲まれる中。ジェリー・リー・ルイスのBreathlessを歌いながら路上で踊る。追いつめられた彼は最期をある程度覚悟していたのか。そしてその幕切れに「愛してる」が欲しかった。絶体絶命なのにはにかんだ笑顔を見せる主人公。微妙にカッコいい。最初はいけすかないヤツと思ってた彼が、気づくと"憎みきれないろくでなし"になっていた。"勝手にしやがれ"の後だけにw(沢田研二聴いてた世代にしか通じない表現ですみません😅)。

このジム・マクブライド監督は、数年後にジェリー・リー・ルイスを主人公にした「グレート・ボールズ・オブ・ファイヤー」を撮ることになる。脱ぎっぷりのいいヒロイン、ヴァレリー・カプリスキーは、翌年アンジェイ・ズラウスキー監督の「私生活のない女」で堂々たる演技を見せる。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

PERFECT DAYS

2024-01-10 | 映画(は行)


◾️「PERFECT DAYS/Perfect Days」(2023年・日本)

監督=ヴィム・ヴェンダース
主演=役所広司 柄本時生 中野有紗 アオイヤマダ

2024年の映画館初詣。今年もいい映画に出会えますように…と思ったら、新年早々素敵なのに出会えた。

公衆トイレ清掃の仕事をしている主人公平山の日々を追った、ヴィム・ヴェンダース監督の日本映画。繰り返される日々のルーティンを追った映画。近所のおばさんのホウキの音で目覚め、ドアを開けて空を見上げ、缶コーヒーを飲む。一日の節目にはモノクロでイメージショットのような映像がインサートされる。

映画前半では、この淡々としたムードのまま続くのだろうかとやや不安になった。映画館だから集中できるけれど、配信で観たら気分次第じゃ途中で放棄していたかもしれない。でもその繰り返しは決して退屈な訳じゃない。むしろ心地よい。「おかえり」と迎えてくれる飲食店のおじさん。文庫本を買うと作家のうんちくを述べる古書店のおばさん。ところが映画後半は、突然家出した姪が現れたり、行きつけの小料理屋のママさん関係でちょっと心が揺らいだり。それでも日々は続いていく。変わらないけれど、決して同じではない。

これは映像で語る詩だ。同じ韻律が繰り返される中で、ちょっとしたバリエーションが織り込まれる。それは小さな出来事だったり、心を揺るがすような驚きだったり。

平山はカセットで音楽を聴き、セレクトも趣味がいい。Pale Blue Eyesを映画を通じて聴くなんて、韓国映画の「接続」以来だ。タイトルにも使われたLou ReedのPerfect day。Duran Duranのカバーも好きだったなぁ。ロック好きとしても知られるヴェンダースのセレクトなのだろうか。

エンドクレジットの前に流れた曲は、Nina SimoneのFeeling Good。それまで本編では60〜70年代のロック中心だったのに、ちょっとジャズボーカル寄り。



何故だか、今日は歌詞が自然と耳に入ってきた。

It's a new dawn. It's a new day.
It's a new life for me. I'm feelin' good.

毎日同じように過ぎるけれども一日として同じ日はない。そのことを観客に伝える為に、ヴィム・ヴェンダースはニーナの歌にそれを託した。

新しい夜明け。新しい日。
私にとっての新しい生活。最高の気分。

役所広司が一人で暮らす様子を見ると「すばらしき世界」の名演と重ねてしまうが、本作で演ずる平山は口数も少なく、感情を表に出さず、穏やかで「素晴らしき世界」とは正反対だ。淡々としている役柄なのに、どこかユーモラスで、優しくて。でも映画は、この主人公が今こんな暮らしをしている事情や背景を詳しくは語らない。おそらく長らく会っていなかった妹との再会。年老いた父親の話が出るが、それ以上二人の会話は続かない。涙を流す平山。その意味は決して示されない。

でもリアルって、説明くさいものじゃなくて、こういうものじゃないのか。行間でほんのりと感情を示すみたいに。三浦友和と会話する場面が好き。平山のちょっとしたセリフに、不器用な優しさがにじみ出る。やっぱりこの映画は詩なんだ。

姪から"友達の樹"と名付けられた神社の樹から差してくる木漏れ日を、フィルムカメラで撮り続ける。出来上がった写真からいいものを残してコレクション。その"木漏れ日"は一期一会の美しい風景だ、とヴェンダースはエンドクレジットの後で付け加えた。途中で席を立った人たちは、このヴェンダースの"あとがき"を見損ねている。味わい深いだけにもったいない。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする