Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

荒野の用心棒

2021-05-30 | 映画(か行)



◼️「荒野の用心棒/Per un pugno di dollari」(1964年・イタリア)

監督=セルジオ・レオーネ(ボブ・ロバートソン名義)
主演=クリント・イーストウッド ジャン・マリオ・ヴォロンテ マリアンネ・コッホ

マカロニウエスタンを確立させたセルジオ・レオーネ監督の傑作。黒澤明監督の「用心棒」を勝手に翻案して訴訟沙汰になった映画だけれど、ひとつのムーブメントを創り出したことは大きい。一方「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のせいで、世界中にネタバレされてしまった不幸な映画でもあるw

メキシコ国境にある小さな街は、保安官と悪党揃いのミゲル一家が対立していた。街に現れた流れ者が、それぞれの陣営を引っかき回して対立を煽る様子は、次にどうなる?裏切ってることに気づかれるのでは?と映画に惹きつけられる。とはいえ、基本は「用心棒」なんだから元ネタの良さではあるのだろうが。

クリント・イーストウッドのカッコよさ、クライマックスの不屈の闘志には感激する。でもなんで彼はここまでの行動をとるの?と、初めて観た時思ったが、今回ウン十年ぶりに観てもそこだけは同じ気持ちになる。でもいい。エンニオ・モリコーネの音楽もカッコいいんだもの。



荒野の用心棒 完全版 製作50周年 Blu-rayコレクターズ・エディション PV


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ノマドランド

2021-05-26 | 映画(な行)

◼️「ノマドランド/Nomadland」(2020年・アメリカ)

監督=クロエ・ジャオ
主演=フランシス・マクドーマンド デヴィッド・ストラザーン リンダ・メイ

なんだろ、映画館を出る時のなんとも言えない気持ち。ノマド生活を送る人々の心の交流に温かな気持ちになりつつも、自分自身も寂しくて不安な気持ちになった。

リーマンショック後、住んでいた企業城下町がなくなり、地図上から街の名前さえも消えてしまった。夫の死後、キャンピングカー生活を始めた主人公。季節労働者として小麦の収穫地やAmazonの倉庫で働き、移動しながらの生活を送る人々の人間模様が描かれる。

「なぜホームレスになったの?」
「ホームレスになったんじゃないの。ハウスレスになったの」
この言葉は印象的。ホームには住んでいる場所、安心できる場所の意味があり、ハウスは外界から隔てる建造物を指す言葉。彼女が暮らす車は、映画後半でも語られるように暮らしの場所。手を加えて暮らしやすくしてきた愛着のある場所なのだ。

移動生活を送る中で、出会いと別れ、また再会がある。一方でノマドの生活に理解を示さない人もいる。親族と会う場面でもどこか距離を置かれる。

一人でいることが楽なのに、誰かとのつながりを求めてしまう。

この切なさは言葉にすると陳腐になってしまうし、ノマド生活者にしてみれば何がわかると言われてしまうのかもしれない。

このコロナ禍で観たせいか、映画から感じる切なさはとても心に響く。ステイホームが呼びかけられ、人と人が隔てられている今。人間関係の煩わしさや面倒は減って楽になった面もある。しかしそれでも日常的なコミュニケーションが激減したことは、孤独感や誰にも相談できない悩み、会えない辛さを生んでいる。

一人でいることが楽なのに、誰かとのつながりを求めてしまう。それは僕らも同じ。

『ノマドランド』予告編



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今日のBGM:Breakthrough/B'z

2021-05-22 | 今日のBGM




本日の通勤BGMは、B'zのサードアルバム「Breakthrough」。5月21日よりB'zサブスク解禁で全曲聴けるようになった。早速手を出す。
やばい、このアルバムほとんど歌えるw😆。当時どんだけ真剣に聴いてたんだろ。
踊れるロック、TM Network寄りのサウンドだった頃のB'z。デジタルビートとヘビーなギターが重なるサウンドは、当時の僕が好んでいたもの(同じ理由でFence of Defenceも大好き)。そこに稲葉さんの心優しい遊び人男子めいた歌詞が乗る。DTMで打ち込みもやって、職場の打ち上げで演奏したこともあったっけ…(恥)。若気の至り。
初期B'zは社会人なってすぐの頃。営業車で移動しながら「Bad Communication」をリピートしまくって、ボーカル完コピ目指し、カラオケで8分間マイクを譲らない迷惑なヤツに成り下がるのだ。「君の中で踊りたい」をカラオケで歌いたくて、"地下鉄の階段で会ったのは偶然だよ"部分の難易度高い譜割りをマスターした。ブレイク直後のライブ行ったのも懐かしい🥲
繁忙期でお疲れモードだけに、これは気分アゲるのに役立ちそう。次は「星降る夜に騒ごう」を聴くぜ♪


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死霊の盆踊り

2021-05-22 | 映画(さ行)






◼️「死霊の盆踊り/Orgy Of The Dead」(1965年・アメリカ)

監督=A・C・スティーブン

主演=クリスウェル ファウン・シルヴァー ウィリアム・ベイツ


噂には聞いていたけど観る機会がなかった。それ以上に、観たらどれだけ唖然とするか、どんな映画もなるべくけなさない自分のポリシーを貫けるのかが、何よりも怖くって。そんな伝説の映画がTSUTAYAの発掘良品で復刻、いや死霊だけに復活か。1枚レンタル無料に背中を押されて、ついに手にした。つーか良品なの?w

墓地で続く死霊のダンスを、墓地を訪れた男女が目にしてしまう。次々に現れる美女が裸で踊る。それが延々と続く映画だ。

…😦
…😧
…😶
「もっと黄金を授けよ」チャリンチャリン(安っぽい金属音)
🙁え?金粉塗ったのに踊らないの?

…😯
…😮
(早送りボタンに手が伸びそうになる)いやいや!ダメ!それはどんな映画だろうと失礼な行為だ。映画館で観てたら早送りも巻き戻しもねえんだぞ。映画ファンの名にかけて、それはやってはいけない!あのエド・ウッドの脚本だぞ。ティム・バートンの映画じゃ、オーソン・ウェルズに「自分の夢のために戦え」と言われて奮起した男の脚本だぞ。低予算で頑張ってるじゃないか。早送りなんて、なんて…。

…😐
…😑

いつまで続くの?これ?

南米ぽいのとかスペイン舞踊ぽいのとか、手を替え品を替え、次々に死霊の踊り子が出てくるけど、すぐにみんなトップレスになるから、違いなんて音楽だけやん。二人目の音楽なんて、なんか日本のムード歌謡みたいだったぞ。ダンスがしっかりした人もいるけど、大半は手を広げて胸を揺らせるだけ。それでいいのか?それ振り付けなのか?ウェディングドレスだったブロンドの人とか、リズム感全くないやん。

ミイラ男と狼男に捕まった男女は墓標めいた柱に縄で縛られる。結び目ユルユルだ。「縄はほどけたぞ」さっさ逃げんかい!お前も裸見たいだけかいっ!

…😓
「あと一人二人踊らせろ。時間はある」
😰も、もういいよ。

「みんなは帰してしまいました」
「ダメだ。踊らせろ」
「ではもう一人」
😩おるんかい!

…😮
…🥱

原題の「Orgy Of The Dead」(死霊のどんちゃん騒ぎ)に、「死霊の盆踊り」と言う邦題をつけた配給会社の勇気を讃えたい。

90分頑張れば、この映画はきっとあなたの話のタネになります。


『死霊の盆踊り』HDリマスター版 予告編


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ラブ&ドラッグ

2021-05-17 | 映画(ら行)





◼️「ラブ&ドラッグ/Love & Other Drugs」(2010年・アメリカ)

監督=エドワード・ズウィック
主演=ジェイク・ギレンホール アン・ハサウェイ オリヴァー・プラット

アン・ハサウェイが見たいだけの動機で観始めたら、ジェイク・ギレンホール演ずる口が達者なチャラ男の成功物語に話が変化して、さらに恋愛映画としての純度が極度に高まってくる後半にウルウルしてしまった😢。原作はノンフィクション「涙と笑いの奮闘記 全米セールスNo.1に輝いた〈バイアグラ〉セールスマン」。あのED治療薬大ヒットの裏側にこんなドラマがあったのか。予備知識皆無で純粋にラブコメディだと思ってたからいい意味で期待と違った。でも映画の主眼はあくまでもラブストーリー。

ヒロインは若年性パーキンソン病患者のマギー。彼女は病気のせいで深く異性と関わりを持つことを避けていた。お互いカラダの関係を楽しむはずだったのが、主人公ジェイミーにとってマギーの存在が大きな意味を持ってくる。アン・ハサウェイはお人形さんみたいな役柄ばかり観てたせいか、正直苦手だったのだが、等身大の役柄ではハッとする自然さと巧さがある人だと最近になって気に入ってきた。この映画でも綺麗。表情がいい。眉の角度に対してタレ目で、口角上がってる笑顔を見ると、観てるこっちも気づくと口角上がってたりする。彼女の映画をイメージすると笑顔が身につくかも?w

成長物語は映画を感動に導く方法のひとつだが、この映画に登場する人々は、みんな最初と最後で言動に変化がある。チャラ男だったジェイミーはマギーに一途になり、マギーは病気を理由に人との間に築いていた心の壁をブレイクする。二人をとりまく脇役も同様で、事業にしくじったジェイミーの弟の立ち直りも、ジェイミーの仕事上のパートナーも、映画の終わりには愛すべき存在になっている。



『ラブ&ドラッグ』予告編


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太陽がいっぱい

2021-05-13 | 映画(た行)





◼️「太陽がいっぱい/Plein Soleil」(1966年・フランス=イタリア)

監督=ルネ・クレマン
主演=アラン・ドロン モーリス・ロネ マリー・ラフォレ

初めて観たアラン・ドロン主演作は、中学生の頃にテレビの映画番組で観た「太陽がいっぱい」だった。衝撃だった。それまで観てきたどんな映画とも違う。主人公トムは金持ちの友達フィリップから友達なのにやたらといびられる。こいつ、なんで一緒にいるんだろう。物語の途中でフィリップは姿を消し、トムが彼になりすまそうとする。そこから始まるスリル。衝撃のラストシーン。テーマ曲のメロディは哀愁そのもの。

フィリップの彼女マルジュに迫る場面の生々しさも忘れられない。トムがマルジュの手にキスをしながらまっすぐに彼女を見つめる眼差しの鋭さは強烈に心に残っている。女に迫るってこういうことなのか。

ひたすらフィリップのサインを真似して、同じ筆跡で書けるように練習する場面。あんな緊張感のある場面はなかなかない。文字を書くだけなのに、感じるのはとんでもないスリル。それは、その先にトムが企む目的が見えるからだ。ただの行為を見せるの映画じゃない。そこに台詞がないなんて。すごい。

船の上でフィリップがトムに殺される場面。派手な劇伴もないのにこんなに引き込まれる。でもこの場面で強烈に心に残ったのは、フィリップが死ぬ間際に叫ぶひと言。
「マルジューっ!」
彼女の名前を叫ぶのだ。命乞いでもなく、トムを憎む言葉でもない。僕は思った。
「オレは死ぬ時に愛してる女の名前を叫べるだろうか。」
考えすぎだ、少年w。

この映画を観た2時間で、ニキビ面の少年は男と女、男と男、野心とは何か、そして映画ってものの面白さを思い知った。



映画『太陽がいっぱい』予告編


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アバウト・タイム 愛おしい時間について

2021-05-09 | 映画(あ行)






◼️「アバウト・タイム 愛おしい時間切ついて/About Time」(2013年・イギリス)

監督=リチャード・カーティス
主演=ドーナル・グリーソン レイチェル・マクアダムス ビル・ナイ リディア・ウィルソン

リチャード・カーティス脚本の映画は好きなものが多いんだけど、監督も務めた3作品のうち唯一観ていなかった「アバウト・タイム 愛おしい時間について」に挑む。ジャケット写真から勝手にラブコメであると認識していた。映画前半は、タイムトラベルできる能力を代々持つ家系の冴えない青年が、その力を使ってラブを掴むお話。そして映画後半は父と息子のいい話になって、温かい気持ちになれる。

確かにテイストはかなり好み。台詞のひとつひとつが、言われてみたい、言ってみたいと思えるものが多くって、それぞれの場面のやりとりが愛しく感じられる。
「今日が最悪の一日だったんなら、セックスで慰めてあげようと思ったのに」
「愛してるをスピーチで言い忘れた」
タイムトラベルできる能力を使って、失敗をやり直すことでリピートされる場面は確かに楽しい。初めての彼女とのベッドインを繰り返す場面には思わず笑ってしまった。ケイト・モスの展覧会に居座る場面のいじらしさ。

でもねぇ、ちょっと男性本位の身勝手な話にも思えてしまうし、主人公をズルいと感じる場面が多い。同じ日を繰り返すことができるから、二度目で深みを知ることができるとか言うけど、それができない俺らにそれを言われてもねぇ、と素直に受け取れない方もあるのでは。その能力がある故の葛藤や悩みが欲しかったところ。登場人物がいい人だらけだから、映画全体として救われている面もあるかもしれない。LGBTやセックスに関係する台詞の際どさは、受け手によっては不快に感じやしなかな、とも思った。一日一日を最後のつもりで大事に生きろ、というメッセージは確かに大事なこと。

主人公を演じたドーナル・グリーソンがなかなか冴えないけどいい人に見えてこなかったのも、僕が素直じゃないからなのかも(「SW」の悪役イメージ?)。レイチェル・マクアダムスの笑顔がいいね。そして何より、ビル・ナイ御大演ずる素敵な父親。息子とは秘密を共有するいい関係だけど、奔放な娘とはどうだったんだろ?とちょっと疑問に思う。


映画『アバウト・タイム ~愛おしい時間について~』予告編


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フィフス・エレメント

2021-05-06 | 映画(は行)





◼️「フィフス・エレメント/The Fifth Element」(1997年・フランス=アメリカ)

監督=リュック・ベッソン
主演=ブルース・ウィリス ミラ・ジョヴォヴィッチ ゲイリー・オールドマン イアン・ホルム

リュック・ベッソン監督が、映画少年の夢をスクリーンに結晶させたようなSFエンターテイメント大作。

「レオン」に次ぐハリウッド進出第2作だが、アメリカ映画で見られるSF映画のクールな感じとは違って、どこか温かみがある。やたらロボットが出てくることもなく、悲観的な未来が描かれることもない。そこに確かに人がいる、都市が息づいている。でも、エンターテイメントの中に作家性を貫いた作風は抑えられて、万国共通の娯楽作になってしまった感は拭えない。

だけど全編を包むのは遊び心いっぱいの楽しさ。そして"愛"が地球を救うという万人受けをあっけらかんとやってのける。他の誰とも似てないベッソンの映画を期待していたけれど、それとは違う。されど、エンドクレジットでどっと疲労感を感じるくらいに集中させる娯楽作としては一級品。

エリック・セラの音楽は見どころの一つ。23世紀の音楽を聴かせなければならないという難題を、現代以上にジャンルを超えたミクスチャーが進んでいるものとして示してくれる。エイリアンオペラ歌手が歌うThe Diva Danceは、アリアとヒップホップ、ダンスビートが融合する刺激的な試み。



映画 フィフス・エレメント 予告編



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無実はさいなむ

2021-05-01 | テレビ・アニメ



返却日が迫ってたDVDがあったのに、このアガサ・クリスティ原作のドラマ「無実はさいなむ」の録画を見始めた僕は、結末が気になって仕方なくなった。結局DVDは観ずに返却して、全3話一気に完走。クリスティものがやっぱり好きだ。

5人の養子を迎えた資産家の夫婦。一家を仕切っていた妻レイチェルがクリスマスイヴの夜に殺害される。犯人とされて捕まったのは、養子の一人で気性の荒いジャック。殺害された時間にはアリバイがあると主張していた彼は刑務所で死亡。それからしばらくした頃、その晩にジャックを車に乗せたという男性が現れて、証言して無実を晴らすと言い始める。夫レイの再婚を控えてギクシャクしていた一家に衝撃が走り、少しずつそれぞれが秘めていた感情と事実が浮かびあがってくる。

アガサ・クリスティ作品の魅力は、謎解きまでの人間ドラマの深み。正面だって結末を見出す探偵役が存在しないこの作品。真実を突きつける痛快さはないけれど、その分だけ誰がこのモヤモヤを晴らしてくれるんだろうとドキドキする。過去の出来事と今を交差させながら進行する編集は、断片的な情報しか与えてくれない。しかも第1話冒頭で示される事件の顛末は、ダイジェストにも程があると怒りを覚えそうな短さ。そこで観客に与えられた事件の概要は新聞記事で読んだ程度のものでしかない。そこに新事実が次々と示されていく。事実が示される第1話、話がこじれる第2話。そしてあの夜起こったことを時系列に初めて示し、落とし前をつける第3話。この構成はなかなか。ハッピーエンドのようで底知れぬ怖さも感じるラストシーン、お見事。

ビル・ナイ御大が謎めいた人物を淡々と演じる。「マイ・ブックショップ」の屋敷に閉じこもった老人役とは、また違った抑えた演技で味わい深い。事件をかき乱す長女の夫である負傷した軍人役、マシュー・グードが「イノセントガーデン」を思いださせる怪しさで好演。

原作とは結末が違うのか。挑んでみようかな。見応えのあるドラマ化でした。
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