
◼️「ギャルソン!/Garçon!」(1983年・フランス)
監督=クロード・ソーテ
主演=イヴ・モンタン ニコール・ガルシア ジャック・ヴィルレ ベルナール・フレッソン
かつて熊本市花畑町にあったセンターシネマは大学時代に通った映画館の一つ。クラシックや渋めの新作が上映され、「市民ケーン」「薔薇の名前」「愛のコリーダ」などなど幅広いラインナップで貴重な鑑賞機会を与えてくれた。1989年1月に閉館。借地契約が更新されなかったのが理由と聞く。映画が斜陽産業などと言われ始めた時代だったし。その3月で僕も大学卒業だったから、一つの時代が終わったような気がして、ちょっとおセンチ(死語w)になったっけ🥺。閉館の日にファン感謝として、無料上映されたのが本作。イヴ・モンタン主演の「ギャルソン!」だった。
レストランで給仕長として働く初老の元タップダンサーのアレックス。気さくで気が利く彼は周囲の人間関係も良好。特に女性にはフットワークが軽く、女友達もたくさんいるモテ男だ。彼を中心とする様々な人間模様が描かれる。
初めて観てからウン十年経って、モンタン演ずる主人公の年齢に近づいているのだが、改めて観て主人公の"人たらし"ぶりがカッコよく思えた。仕事場でも周囲から信頼され、慌ただしさから罵声が飛び交う厨房でも、まず人を気遣う姿が印象的だ。テーブルの間を皿を手に動き回る姿は、ダンスの様に軽やか。
女性関係ではおフランスらしい恋愛模様が展開される。長い付き合いと思われる資産家夫人グロリア、再会した元恋人クレールなど彼の周りには恋の対象以外にも関わりのある女性がちらほら。クレールに再び近づく様子は、こっちまでニコニコしてしまいそう。いい意味で自分の気持ちにストレート。そしてそれをきちんと口にするところが素敵だ。でも気取ってるわけでもなく、とにかく自然体。恋人と離れて暮らしているクレール。彼女への気遣いだけでなく、その恋人への自分の嫉妬もさりげなく告げる。女性に虚勢を張るのではなく、弱いところも見せられる勇気もある。
20代だった僕が当時心に残ったのはスマートな主人公のカッコよさ。今の年齢で観るとそのカッコよさがすごく良くわかる。「マイ・インターン」を観て、自分の美学やスタイルを持ったロバート・デ・ニーロがカッコいい初老に見えたのと同じような感覚かもしれない。まぁ、本作のモンタンは恋多き男だけど。こんな素敵な男に自分はなれるだろうか。
いろいろあっても人生は続く。
スマートに、心に素直に。
センターシネマが最後にこれを上映してくれたのは、そんなメッセージが込められていたのかもしれない。上映終了後、館内に響いた拍手は今でも忘れられない。
確か、社会人になった頃、熊本担当で、仕事サボって
ここでゴダールの「気狂いピエロ」を観ました。
すっかり忘れていましたが、想い出しました。
そんな自分も、定年になりました。(65歳)
takさん、その節はお世話になりました。
ありがとうございました。
私の方こそお世話になりました。こちらは定年延長の組ですが、この先どうなることやらでございます。
センターシネマでゴダールをご覧になってたんですね。クラシックをいろいろやってくれた映画館でした。私はフェリーニが印象深かったかな。