Some Like It Hot

お熱いのがお好きな映画ファンtakのつぶやき。
キネマ旬報社主催映画検定2級合格。

2024年3月のプレイリスト

2024-03-31 | 今日のBGM



◆2024年3月のプレイリスト
2024年3月に聴いていた愛すべき31曲

1 タイムマシンにおねがい(HMOとかの中の人(PAw Lab.))
プロセカにハマる長女は、父親がかつてHMO(初音ミクオーケストラ)にゾッコン♡だったのを知っている。
2 Mainline Floride(Eric Clapton)
ドライブで聴きたいクラプトン楽曲。
3 なぜか上海(井上陽水)
70年代末期は音楽に目覚めた頃。その時期に好きだった陽水楽曲。
4 摩訶不思議アドベンチャー(高橋洋樹)
R.I.P.鳥山明😢
5 いつもの風景(斉藤和義)
R.I.P. TARAKO。まるちゃんの「あたしゃ…」の言い回しと、旅番組のナレーションが好きでした。
6 からくり(甲斐バンド)
見えないものがある日急に見えてくる時がある/見えた気になっては手ひどい痛手受けることになる/それが世の中
7 Get Ahead(Fabrhyme)
躍動感あるベースのフレーズ。サックス🎷からアコーディオン風に音色が変わるメロディ。テクニカルなキメもカッコいい。
8 Two Hearts(Phil Collins)
80年代ポップスはやっぱり音楽生活に欠かせないのです。
9 愛は薬(wacci)
アニメ「薬屋のひとりごと」ED曲。カラオケで歌いたいっ🎤♪
10 Is There Something I Should Know(プリーズ・テル・ミー・ナウ)(Duran Duran)
女子ファンが多かったからあの頃好きとは言いにくかったw。サイモンのヴォーカル、語尾のしゃくりがカッコいいんよ。

11 Crucify My Love(X Japan)
ピアノで弾き語りしたい🎹
12 La Foule(群衆)(Édith Piaf)
リュック・ベッソンの新作で使用されたシャンソン。
13 ドリームトリガー-another version-(Pile)
アニメ本編は未見だが主題歌は大好き。Melodyカップリングの別アレンジ。
14 Les Uns Et Les Autres(愛と哀しみのボレロ)(Nicole Croisille)
午前十時の映画祭のリバイバル上映。43年ぶりにスクリーンで鑑賞。名作。
15 Boléro(Maurice Ravel)
「愛と哀しみのボレロ」サントラのヴァージョンで。
16 エデン(水樹奈々)
愛する意味も知らずに愛されたいと願った/勝手な思いが先走る
17 BEYOND THE TIME〜メビウスの宇宙を超えて〜(Sawanohiroyuki[nZk]:Aimer)
ガンダムUC楽曲のライブ盤より。AimerによるTM Networkカバー。シンセ音のないアレンジもカッコいい。
18 PERSPECTIVE(Yellow Magic Orchestra)
落ち着きたい朝に聴くと、ちょっと気持ちがホッとする。
19 てわやわんやですよ(Crazy Ken Band)
公私共にてんやわんやですよ。ったく😣
20 Angel(湯川潮音)
エアロスミスの名バラードをアコースティックアレンジで。癒しのカバー。

21 Dobidobidu(Christell)
一度聴くとクセになる💧
22 Here Comes The Sun(Jacob Collier)
飲食店で流れていて耳にとまったビートルズのカバー。オリジナルの爽やかさに、パーカッシブな躍動感が加わる。
23 Plus Doux Avec Moi(もっとやさしく)(Charlotte Gainsbourg)
映画「シャルロット・フォーエバー」の楽曲。この胸糞悪い映画が好きなのは、間違いなくこの曲のせい。
24 鮭鮭鮭(あゆみくりかまき)
コミックソング?いえいえ、名曲です。
25 (You Can Still) Rock In America(Night Ranger)
気分をアゲるのにNight Rangerは欠かせないのだ。
26 パーマーエルドリッチの三つの聖痕(難波弘之)
SF作家の顔もある難波弘之センセイ。アルバム「パーティトゥナイト」の良さが分かってきた今日この頃。
27 Mighty Wings(Cheap Trick)
「トップガン」のサントラと言えば、ケニー・ロギンスよりもこれ!個人的には。
28 David Hamilton(カヒミ・カリィ)
ソフトフォーカスの少女写真で有名なデビッド・ハミルトンを歌った作品。
29 Heaven In Your Eyes(Loverboy)
いい曲なのに、「トップガン」のサントラ収録曲では他の曲に埋もれてしまう。
30 星風(RYTHM)
春に向かうこの時期に似合うポップチューン。美しいハーモニーと爽やかなメロディ。

31 お世話になりました(大槻ケンヂ)
異動シーズンでございます。今年度お世話になった皆様ありがとうございました😊。筒美京平のこの曲をカバーするケンちゃんのセンスが好き♪









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BMXアドベンチャー

2024-03-27 | 映画(は行)


◾️「BMXアドベンチャー/BMX Bandits」(1983年・オーストラリア)

監督=ブライアン・トレンチャード・スミス
主演=ニコール・キッドマン ジェームズ・ラグトン アンジェロ・タンジェロ

16歳のニコール・キッドマンが見たかったのもあるけれど、この映画をセレクトした理由はもう一つある。80年代洋楽好きの友達と呑んでいて、この映画の話になり、こんなことを言っていたからだ。
👩🏻「「トップガン」のMighty Wingsに似た曲がずーっと流れるのよ。盗作じゃないのかしら(笑)」
Mighty Wingsはチープトリックが演奏した楽曲。「トップガン」はこの3年後なので、ジョルジオ・モロダーに盗作疑惑!?かつての香港映画にありがちだった無断使用!?ともかく気になって、「BMXアドベンチャー」に挑んでみた。ティーンエイジャーのニコール見たかったし(結局そこかい)♡

あー、なるほど。Mighty Wingsのイントロに出てくる🎸Fm→E♭→D♭→E♭→Fm ってコード進行と確かに似てる。結論、まあよくあるコード進行でもあるってことだろう。そこでふと思った。自分が高校時代に書いたオリジナルに全く同じ進行が出てくる…💧

当時人気が高まっていたBMX。主人公の二人P.J.とグースは日々乗り回して楽しんでいたが、専用の競技場はなく、街中で走り回る彼らを迷惑に思う人々がいた。ニコールが演ずるのは、BMX用自転車を買うためにバイトしていたジュディ。3人は行動を共にするようになる。専用コースを作るために資金を集めようとしていた矢先、ギャングが隠していた大量のトランシーバーを見つけた。これを売りさばこうとしたことからギャング一味に追われることに。

3人が大人を出し抜く活躍と疾走するBMXが見どころ。見る人が見れば乗りこなす技術や迫力は伝わるのだろう。そこをボーっと見てしまうと、単なる追いかけっこになってしまう。冒頭で話題にした例の曲をバックに描かれるチェイスシーン。ジャンプするたびに、シンセの効果音が響くのはいかにも80年代。まだ携帯もない時代だから、でっかいトランシーバーは今の若い子にはどう映るのだろうw

われらがニコールが演ずるジュディは、凛として気の強い女の子。この頃からハッキリものを言う役柄だったのか、と大人になってからのイメージと重なる。「ネバーエンディング・ストーリー」と二本立てで上映された。大作の添え物感はあるものの、そのお年頃で観たならばきっと響くところはあるに違いない。





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デューン 砂の惑星PART2

2024-03-22 | 映画(た行)


◾️「デューン 砂の惑星PART2/Dune:Part Two」(2024年・アメリカ=カナダ)

監督=ドゥニ・ヴィルヌーヴ
主演=ティモシー・シャラメ レベッカ・ファーガソン ゼンデイヤ ハビエル・バルデム クリストファー・ウォーケン

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督による「砂の惑星」第2作。4年前の前作は、この複雑で壮大な復讐劇の登場人物たちと舞台を示し、断片的なイメージをチラつかせて2作目への期待が高める意味では、申し分のない完成度の作品だった。本作は、砂漠の民フレメンと合流した主人公ポール・アトレイデスが、父の仇であるハルコンネン家の面々に立ち向かうパートである。デビッド・リンチ監督版ではスティングが演じた残忍で危険なフェイドが登場し、ポールとの一騎打ちがクライマックスに登場する。

フレメンの民が信じる救世主伝説にポールと母ジェシカがうまくフィットして、少しずつ民の信頼を勝ち取っていく。アトレイデス家の生き残りがフレメンの伝説にうまく乗っかって利用しているとも言えるのだけど、一つ一つ試練をポールが乗り越えていく様子は成長物語のようでもあり、観客の気持ちも盛り上がる要素になっている。

キャストが豪華なアメリカ映画はあれこれあるけれど、単に人気者を使ったのでなく、役柄にマッチしたキャスティングがいい。映画の格を高めることに貢献している。ヴェール越しの顔しか見えないのに存在感あるシャーロット・ランプリング。ミステリアスな眼差しのレア・セドゥ。クリストファー・ウォーケンが演ずる皇帝は、貫禄だけでない人間的な弱さも感じられる。

それにしても圧巻なのはVFX。前作でも魅力的だったオーニソプターだけでなく、巨大な採掘機械や飛行物体、襲いかかる砂虫、大群衆…。金がかかった贅沢なこの映像を大スクリーンで楽しまないのはもったいない。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作は難解なイメージがあるけれど、観客の理解が追いつかないものをチラつかせて映画に引き込んでくれる作風は、本作でも発揮されている。復讐を遂げた先の第3作は、宇宙を巻き込む戦乱へと発展。ポールはもはやチャニィへの愛を口にする一人の男ではなく、さらに多くの人々の生死を左右する存在へと変わっていく。その行く末はポールが見たイメージ通りなのか?今から続きが気になる。




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DOGMAN ドッグマン

2024-03-18 | 映画(た行)


◾️「DOGMAN ドッグマン/Dogman」(2023年・フランス=アメリカ)

監督=リュック・ベッソン
主演=ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ クリストファー・デナム マリサ・ベレンソン マイケル・ガーザ

リュック・ベッソン監督による新たなダークヒーロー(他の表現ないのかな)。好き嫌いは分かれるが、問答無用の荒唐無稽さが際立った「LUCY/ルーシー」よりも、こちらの方が個人的には好み。

警察の検問で止められたトラック。運転席には傷を負った女装の男、荷台には数十匹の犬。警察署で精神科医の質問を受けながら、彼は生い立ちについて話し始める。

暴力的な父親に虐待されて犬小屋で育った少年。父親の銃撃で身体が不自由になったが、犬と意思疎通できるようになった彼を、飼い犬たちが手足となって支えてくれる。やがて彼は社会の裏側で活躍する"ドッグマン"となった。犬たちの活躍が面白い。撮影や編集、工夫したんだろうな。

虐げられた環境からダークヒーローとなっていく過程に、「ジョーカー」を重ねる方もいるかもしれない。申し訳ないけれど、徹底した悪に染まっていく様子を讃えるようなあんな映画(大嫌いなんです💢)と一括りにされては困る。「ドッグマン」の主人公は、富の再分配として犯罪に手を染めてはいくけれど、決して世の中を否定するようなヴィランではない。職を探して車椅子で店を訪ね、懸命に自分と犬の穏やかな生活を築こうとしているだけの地道な男だ。

主人公がかつて置かれた厳しい環境と生い立ちは、主人公の語りとともに回想形式で見せていく構成。主人公の過去を少しずつ紐解いていくことで、現在の彼を際立たせてくれる。対して、こんなに酷かったんです→悪に染まって当然よね?と、ヒネリのない時系列で観客に有無を言わせない「ジョーカー」の強引さとは雲泥の差。さすがベッソン。

ドラァグクィーンとしてキャバレーのステージに立つ場面は、音楽好きには楽しい。EurythmicsのSweet Dreamsが流れ始めて、口パクで昔の歌手を女装パフォーマンスするアーティストたちが現れる。アニー・レノックスはもちろん、コーンブラが印象的なマドンナのステージ衣装や、ど派手なシェールの衣装を着たおネエさんたちw。

そこで初舞台を踏む主人公が演じるのはエディット・ピアフ。口パクではあるけれど熱演。晩年のピアフは立つのもやっとだったのに、ステージで歌った。この場面の主人公の姿に重なる。これ、ピアフへのオマージュだよね、きっと。ピアフの曲はエンドクレジットでも流れる。クリストファー・ノーランが「インセプション」で使ったあの曲。ベッソンが俺も使いたかったんだぜ、と言ってる気がしてちょっと嬉しい。

マリリン・モンローのI Wanna Be Loved By You(愛されたいの)を歌いながら化粧する場面から、怒涛のクライマックスへ。十字架の下で犬に囲まれるラストシーン。宗教への傾倒を口にする父や兄から酷い目に遭い続けた主人公は、神さえ信じられなかったに違いない。でも最期に神にも愛されたかったという気持ち現れなのだろう。「ルーシー」には映画愛を感じるオマージュがあったが、本作では音楽の使い方にこだわりを感じる。




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ジョニーは戦場へ行った

2024-03-16 | 映画(さ行)


◾️「ジョニーは戦場へ行った/Johnny Got His Gun」(1971年・アメリカ)

監督=ダルトン・トランボ
主演=ティモシー・ボトムズ キャシー・フィールズ ジェイソン・ロバーツ マーシャ・ハント ドナルド・サザーランド

恥ずかしながら今回が初鑑賞😓
観る機会はそれなりにあったくせに。
映像が使われたMetallicaのPVもリアルタイム世代のくせに。



要するに、僕はあらすじと噂だけ聞いて怖気付いてたのだ。

ダルトン・トランボが1939年に発表したこの小説は、反政府文学とみなされて戦争が起こると絶版、終わると復刊を繰り返したと聞く。映像化された本作、これまで観た反戦映画とは全く違う、強烈なメッセージと描写と衝撃がある。

触覚以外の五感を失った男性が、両手両足を失い、脳の大部分にもダメージを受けながらも生きている。首だけは動かすことができるが、神経的な反射だと捨て置かれてしまう。映画は客観的な室内での描写に、ジョニー本人の意思がナレーションとして重なる演出。ジョニーの気持ちとそれに反する周囲の行動や処置が強く印象づけられる。映画前半はこうしたベッドの上の主人公を人間として扱わない冷たさがモノクロームの映像で表現される。

それと対照的なのは、色彩がついた回想やジョニーの想像による場面だ。出征前夜に恋人カリーンと抱きあう場面、過酷な戦場の場面、カリーンが出てくる舞台劇のような幻想的なシーン、生ける肉塊と化した自分が見せ物にされる想像。中でも印象的なのは、ジェーソン・ロバーツ演ずる父親とのやりとり。お気に入りの釣竿への愛と民主主義を守るべきと語る一方で、「どの主義も変わらん。若者に殺し合いをさせるだけだ」と言い放つ。

映画後半、新しい看護婦がやって来てから物語が少し動き出す。胸の上に彼女の涙が落ちる場面。クリスマスの夜に彼女が指で書いたMerry Ciristmas。わずかながら通じ合える瞬間に涙があふれる。そして、モールス信号を使う名場面がやってくる。繰り返される"Kill Me"に込められた気持ち。

もう映画としてどこがいい、どこが物足りないとか語ることが無意味に思える。ここで描かれていることが全てだ。どう感じるかは人それぞれだろうが、戦争がもたらすことについて考える貴重な2時間になるのは間違いない。

(蛇足ながら)
これをもし今リメイクしたらどうだろう。分かりやすさを重視する現代ハリウッドなら、最新映像技術を駆使して生ける肉塊となったジョニーの姿を描き出してしまうかもしれない。リメイク版「ロボコップ」(2014)で生身のマーフィがどこまでなのかを、生々しく見せた場面を思い出した。けれど、そんなビジュアル表現はこの物語に必要ない。物語自体の強い力がある。それでも、これは映像化しないと観客に伝わらないというセンスのない映画人が世に出て来たら、僕は間違いなくそいつの作品をボイコットする。





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アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵

2024-03-11 | 映画(あ行)


◾️「アガサ・クリスティーの奥さまは名探偵/Mon Petit Doigt M'a Dit...」(2005年・フランス)

監督=パスカル・トマ
主演=カトリーヌ・フロ アンドレ・デュソリエ ジュヌビエーブ・ビジョルド

アガサ・クリスティの「おしどり探偵トミー&タペンス」シリーズの「親指のうずき」。舞台をフランスに翻案した映画化作品。好奇心の塊で疑問に向かって突っ走る妻プリュダンスと、騒動に巻き込まれる夫ベリゼール。ベリぜールの叔母が暮らす施設で、突然親族を名乗る人々に引き取られた老婆。彼女の不可解な言葉と、どこかで観たことのある屋敷の絵が心に引っかかっり、老婆の身に危険が迫っているのでは?と考えたプリュダンス。絵の風景を手がかりにその謎を解き明かす物語。

マクベスの魔女と同じなの。"この親指がうずく。邪悪なものが近づいている。"

この言葉と共にプリュダンスの好奇心がうずき始める。米澤穂信の「氷菓」でヒロインが言う「私、気になります!」を重ねてしまうw。嗜好に偏りがあってすみませんw。

前半は、カトリーヌ・フロとアンドレ・デュソリエの皮肉まじりの会話が楽しくてメモしたくなる。言葉を丁寧に扱ってくれる映画って、やっぱり好みだ。映画用の台詞もあるのだろうが、クリスティの原作では、マクベスの引用を筆頭に気の利いた言葉が選ばれてるんだろうな。未読なので興味がわいた。

面と向かってのお世辞は女をダメにするわ。
あの人の歯嫌い。赤ずきんの狼みたい。
灰色の脳細胞が燃えてるわ。
彼女の興味は処罰されぬ犯罪です。
今日は捻挫でもして寝ててくれ。

いい台詞がいっぱい。

カトリーヌ・フロとアンドレ・デュソリエのコンビが、突っ走る妻と巻き込まれる夫のいいバランス。ウディ・アレンの「マンハッタン殺人ミステリー」が好きな人は向いてるかも。久々に見たジュヌビエーブ・ビジョルド、地味な脇役だが、「私生活のない女」のヴァレリー・カプリスキーが出演。

ユーモラスな描写にクスクス笑えて、仲睦まじい熟年夫婦のやりとりと牧歌的な風景にほっこり。車種がわかんないけど、夫妻が乗る黒いオープンカーがこれまた好み。前半のオシャレな雰囲気、後半のスリリングな展開。最初の思い込みが思わぬ展開に。

ポワロ映画の重厚感とは違うけれど、気軽に楽しめる好編。






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落下の解剖学

2024-03-07 | 映画(ら行)


◾️「落下の解剖学/Anatomie d'une chute」(2023年・フランス)

監督=ジュスティーヌ・トリエ
主演=ザンドラ・ヒュラー スワン・アルロー ミロ・マサド・グラネール

カンヌ映画祭でパルムドールを獲得し、米国アカデミー賞にもノミネートされたフランス映画。あらすじと不穏な空気しか感じられない予告編で、ただのサスペンス/ミステリーではあるまいと期待して劇場へ。

予告編から思い描いていたものが次々と打ち砕かれた。視力を失った息子が唯一の証人?元恋人弁護士との焼け木杭(ぼっくい)に火がつく話?とか思っていたけれど、これは真正面から厳しく人間関係に迫った緊迫感のあるドラマだ。

本編の半分くらいが法廷内のシーンで構成されており、最初から最後までとにかく会話劇。スクリーンの中の光景がなかなか変わらないからかなり集中力がいる。気力があるときに観るべきという感想も見かけていたがそれも納得。裁判シーンが始まるまでは僕も睡魔に襲われそうになった。しかしそこから物語は二重三重の仕掛けで、主人公サンドラとその家族の現実を浮き彫りにしていく。

夫の傷の負い方で妻が殺したのではと疑われたことから、夫婦をめぐる様々な出来事が法廷で明かされる。度々言い争っていたこと。売れっ子である妻と成功に恵まれない夫。家事の負担と創作活動のバランス。息子をめぐるお互いの気持ち。

映画が進むにつれて、夫殺しが疑われる妻には不都合な出来事が次々と示される。
「私は殺してない」
「大事なのはそこじゃない。君がどう思われるかだ」
そのやりとりが示すように裁く側がどう捉えるかによって、裁判の結論は変わってしまう。フランスは裁判官と市民から選ばれた参審員によって有罪無罪と量刑を決める制度だ。妻にとって不利な事実が疑念をさらに深めることになりかねない。さらによそ者であるサンドラには言語という壁もある。訳され方で印象も変わってしまう。

日本ではメガネの少年探偵が「真実はいつもひとつ」とよく言う。真実は一つでも、受け取り方で結論はどうにでも転がってしまう。「解剖学」とのタイトルが示すのは、物事には様々な見方がある、ということ。しかも人は都合のよいことしか目に入らない。この映画は、法廷ものとして、人を裁くことの難しさを描く一面を持つ映画だ。

だが映画が映し出すのはそれだけではない。息子ダニエルが知る、それまで知らなかった家族の姿、受け入れたくない事実、父と母の間にある溝。クライマックスでいちばんスリリングなのは母と息子の関係の行方。信じることの難しさ。ダニエルがピアノで弾くショパンの有名なメロディは、ところどころ半音階で不安にさせるけれど、哀しげで美しい。人と人のつながりのように。







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クロエ

2024-03-05 | 映画(か行)


◾️「クロエ/Chloe」(2009年・アメリカ)

監督=アトム・エゴヤン
主演=ジュリアン・ムーア アマンダ・セイフライド リーアム・ニースン

フランス映画「恍惚」のハリウッドリメイク作品。なーるほどね。オリジナルではアッサリとしか描かれなかった娼婦の気持ちを、もっともっと深掘りした結果こうなりました!というお話。こういう脚色にした気持ちは分からんでもないのだが、そもそも映画の目的が違う。人間模様こそが主眼のオリジナルに対して、感情がエスカレートした先まで示さないと気が済まないハリウッドリメイク。

フランス映画「暗くなるまでこの恋を」をハリウッドリメイクした「ポワゾン」を思い出した。サスペンス/スリラーにしないと観客にウケないとでも思っているんだろうか。本作も「ポワゾン」も脱ぎっぷりの良さが話題の映画だし。うーむ。

比較して観ると、分かりやすさは断然リメイク版。会話劇に官能小説めいた言葉選びをすることで観客の想像力を掻き立てるオリジナルだったが、その想像を具体的に映像で見せてしまう。リーアム・ニースン演ずる夫がガラスに添えた手が小刻みに震える場面でエクスタシーを表現。クロエが話す情事の様子を聞いて、妻キャサリンが悶々としてしまうのはオリジナルと同じ。だけどジュリアン・ムーアがシャワー浴びながらハァハァ言う場面まで必要だろか。オリジナルを先に観たせいか、こっちは分かりやすさが先にあるので、ヒロインの心情を考える余裕を与えてくれない。

映画冒頭のクロエの台詞が全てを言い表している。言葉も相手を夢中にさせる手管の一つだと最初に示しているから、先が読みやすくなってしまった感もある。でもその台詞は、最後に「私はあなたの中で夢のように生き続ける。そうなったら消えてしまってもいい」と結ばれる。それは娼婦としての仕事について述べているのだが、忘れられたくないという人が誰もが持つ寂しさの現れでもある。それだけに、彼女が確かにいたことを無言で示すラストシーンが強く印象づけられる。オリジナルとは映画の幕切れが全く違うけれど、リメイク版はどよんとした余韻をしばらく引きずってしまいそうだ。




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恍惚

2024-03-03 | 映画(か行)


◾️「恍惚/Nathalie...」(2003年・フランス)

監督=アンヌ・フォンテーヌ
主演=ファニー・アルダン エマニュエル・ベアール ジェラール・ドパルデュー

ファニー・アルダンとジェラール・ドパルデューが共演と聞いて、トリュフォーの「隣の女」(大好き♡)が頭に浮かんだ。本作ではすれ違いが多くなってきた夫婦役。出張から戻った夫ベルナールの携帯に残されたメッセージから、浮気を確信した妻カトリーヌ。自分に見向きもされなくなったと感じていたカトリーヌは、職場近くで出会った娼婦マルレーヌにナタリーと名乗らせて、夫に近づくように依頼。情事の様子を彼女から聞くうちに、二人の間に不思議な連帯感が芽生えていく。

官能小説のようだという感想を目にするが、僕も同感。エマニュエル・ベアールが語る情事の様子は、台詞で語られるのみで、直接的な場面は一切出てこない。それにもかかわらず、言葉の選び方も生々しく巧みで、声をあげるのをこらえる夫や行為の様子を想像させられてしまう。フランス映画らしい会話劇なので、台詞がまさに官能小説。それがエマニュエル・ベアールの吐息多めの喋りなんだもの😍。想像力逞しい映画ファンにはたまらない♡。

でも、それを聞く妻カトリーヌはどんな心境だったのだろう。時に不快に感じてもいたが、のぞき見をしているようなドキドキする感覚もあったに違いない。でも映像から受ける印象はとにかく耐える女。

マルレーヌが使うフレグランスや好みのワインを夫の前で試す様子も面白い。マルレーヌが美容の仕事もできると知ったカトリーヌが、家に閉じこもっている母親をリフレッシュさせる為に彼女を家に呼ぶ場面が好き。すべての結末を知った上で、夫の言動や態度、マルレーヌの台詞の端々、カトリーヌとマルレーヌの距離感に注意しながら、改めて観るのも印象が変わって面白いかもしれない。

ハリウッドリメイク版がエロい、との感想を目にする。言葉で表現してそそる官能小説的なフランス映画。対してハリウッド版はビジュアル重視でそそる映画になってるのだろうな。



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