Ｇ－ＢＯＷＬ ２３

ピアノと自動車

どちらもうまく扱いこなすには、訓練を要する道具である。
ピアノは演奏を聴けば、奏者の“うまさ”がわかる。
自動車は助手席に乗れば、ドライバーの技量がわかる。
音楽は耳で、自動車は体でＧを感じ取る事で、運転操作が車に反映された様子を知るのだ。

これは、ドライバーがスピードを出して走る事ができるとか、
どこどこのサーキットで早く走る事ができるといった、数値を追いかけた表現方法とは違い、
助手席の人が安心していられるとか、発生するＧが常にドライバーのコントロール下にある、
といった道具の使いこなしの度合いを表すものだ。

奏者がピアノという楽器（道具）を介して音楽を表現するのも、
ドライバーが車を介して走りを表現するのも、同じと考えればよいのだ。

荒く危なっかしい走りしかできないのも、そのドライバーの一つの表現だと思えば納得がいくが、
これはつまり、人には聞かせられないようなピアノ演奏と同じ、という風にも考えられる。

自分の運転がどんなものかを知るには、Ｇを冷静に感じていく必要がある。

心地良いと感じられる音楽と同じだ。