大阪・道頓堀の名物たこ焼き店「大たこ」が大阪市の土地(4.43平方メートル)を不法占拠しているとして、市が土地の明け渡しなどを店側に求めた訴訟の上告審で、最高裁第三小法廷(近藤崇晴裁判長)は、「大たこ」側の上告を退ける決定をした。20日付。
土地の明け渡しと使用料支払いを店側に命じた一、二審判決が確定した。「大たこ」側は立ち退きを迫られる。使用料は1997年6月から明け渡すまで月約1万3800円とされており、すぐに明け渡したとしても220万円弱になる計算だ。
一、二審判決によると、店は72年に市から「露天喫茶店」の営業許可を得て開業。2007年に道路部分の使用はやめる形で新たな屋台を建てて営業を続けていた。市側は周囲にほかにも不法占拠された土地がたくさんあったため、30年以上、黙認。一時は払い下げも検討されたが、まとまらなかった。
店側は「占有から20年以上が過ぎ、民法上の時効によって土地の所有権を取得した」と主張したが、一、二審とも「屋台は撤去が容易な状態であり、占有の意思があったとは言えない」と退けた。
大たこは大阪の観光名所として有名で、一時は市もホームページで紹介していた。
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大たこ側は06年、「占有から20年以上が経過して民法上の時効は成立した」として、市を相手に土地所有権の移転登記を求めて提訴。これに対して市側が反訴し、今回の決定となった。
男性店主は「市に『和解をするから裁判を起こして下さい』と求められて起こした裁判だった。行政のあり方に不明確な点が多数あり、それを明らかにするために別の裁判を起こすことを検討している」と話した。22日夜に店に訪れた男性客(37)は「昔からここにあるので、もしなくなったら寂しい」と語った。
2010年7月23日 asahi.com(朝日新聞社)
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