東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 「貸ビルの保証金と家主の変更」

2011年03月02日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

【問】  貸ビルの保証金は家主が変わった場合、どうなるのでしょうか。


【答】 ビルの賃貸の場合には、借主が保証金という名称で、賃料の数10か月分にも相当する額の預託金を支払うのが通例になっているようです。敷金が賃料不払など借主の契約不履行に基づく損害賠償の担保であり、契約不履行がなければ全額返還されるものを意味するのに対し、保証金と呼ばれる預託金は、もともと担保のほか契約期間の賃貸借契約が継続されることを保証するため設けられたものです。それは借主が中途解約した場合、何割かが違約金として差し引かれ、また一定期間経過すると一定割合により償却という形で貸主のものになる取り決めをもつものがほとんどです。

 ではこれらの預託金の返還は、どのようになるのでしょうか。償却に関する実態は今触れましたが、それ以外の点では、これらの預託金も敷金と違いはないと考えられるので、特別な取り決めがない以上、貸ビルの明渡と同時に返還されるべきものです。またビルの所有者が変わった場合でも新所有者は預託金返還義務を含めて貸主の地位を引き継ぐものですから、借主は新しい貸主に対して返還を求めることができます(最高裁昭和44年7月17日判決 判例タイムズ239号153頁)。

 これら預託金の返還時期について「保証金は明渡の3か月後に返還する」などという取り決めのあることがあります。これは借主に一方的に不利で不当な条項ですが、さりとてそれは無効として明渡と同時に返還せよという法的根拠もないのです。

 貸ビル所有者が交替する場合には、保証金を旧所有者から一旦返還を受け新所有者に改めて貸渡すか、あるいは、旧所有者・新所有者とあなたとの間で、保証金を、旧所有者から新所有者に引き継ぐものとする契約を交わしておくことが重要です。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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