東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 マンションの管理費・共益費

2011年04月11日 | 借家の諸問題

【問】 賃貸マンションの管理費、共益費には、どんなものが含まれるのでしょうか。 


【答】 貸ビル・賃貸マンションの場合、通常の家賃とは別に管理費・共益費というものが支払われるのが通例です。家賃という貸室の使用の対価であり、貸主の所得という意味であるのに比べて、管理費・共益費というと貸室以外の共用部分の維持管理費であって、貸主の所得とならなぬ実費であるという意味合いをもっているようです。

 しかし管理・共益費に何が含まれるか明確な基準はなく、結局その建物の実態に即して、貸主と借主が合意によって決められるものです。以下一般的な判断基準について述べてみます。

 まず管理・共益費は名称からいっても、建物の共用部分に関する費用が含まれます。したがって共用の玄関・廊下、階段の電気代・清掃代、エレベーターなど共用機械の動力代・維持費用、貸ビルの湯沸室・共用トイレの水道代・ガス代などがこれに当ります。管理人が置かれている場合の人件費も、管理・共益費に含まれるのが普通です。

 セントラル方式の冷暖房設備のある場合、それに要する費用は、別途負担とされることが普通でしょうが、入居のときその費用支払いがはっきりしていないときには、契約条件で冷暖房付と明示している以上、その費用は管理・共益費又は家賃に織り込み済みと考えるべきです。

 各室で使われる電気・ガス・水道代は、借主の生活・営業活動上消費されるものですから、その料金は家賃や管理・共益費には含まれません。ただそれらのサブメーターが各室におかれていない場合に、その階や貸室全体でかかった費用を、賃借面積や貸室使用人数に応じて割り振ったり、あるいは大まかな計算によって一定額で固定したりして、管理・共益費に含めることもあります。

 建物の火災保険料については、貸主が保険契約者となり、家主の利益のために保険加入する以上、管理・共益費に一部として借主から徴収するいわれはありません。それは貸主が家賃収入から任意に支払うべきものです。

 貸ビル・賃貸マンションが、ガレージをもっている場合、それは必ずしも共用部分とはされず、したがって、その使用料・維持管理費は、管理・共益費には含まれないものです。分譲マンションなどに適用される建物区分所有等の関する法律によっても、ガレージや倉庫などは、当然には共用部分とはされていません。

 さてこのような管理・共益費の負担方法ですが、使用面積割、使用人数割、貸室による単純配分などの方法があります。一般的に面積割が合理的ですが、水洗便所衛生費などは人数割の方が公平です。これについては共用部分の実態や計算の便宜などを考えて貸主・借主で話し合って決める他ありません。

 なお管理・共益費については、、それが現実にどのように使われているか、各費目ごとに金額を知っておいた方がいいでしょう。そうすれば共用部分の維持・管理が不十分で、実際上貸主の所得となっているという事態を防止し、共益費を下げさせることもできますし、また共益費値上げの請求のあったときにも的確に対応できるでしょう。

 

東借連常任弁護団解説

Q&A あなたの借地借家法

(東京借地借家人組合連合会編)より

 

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