東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

【Q&A】 マンションの契約更新で保証人がいない場合、契約更新はできないのか

2010年12月10日 | 連帯保証人

 (問) マンションの契約期間が間もなく満了します。すでに家主の依頼を受けた不動産屋から契約更新の条件を提示されています。それによると、家賃は据え置きなので不満はないのですが、新しい更新契約書に連帯保証人の実印を押すことと印鑑証明を添付することを要求されました。私には、新たにお願いできる保証人がいないので、それを断りました。「それでは契約は更新できないので期間満了で賃貸借は終了します」と不動産屋に言われてしまいました。頼める保証人がいない場合は、契約の更新ができないのでしょうか。


 (答) 建物賃貸借契約の保証人の役割は、契約の内容にもよりますが、普通は契約書に「保証人は、本契約から生ずる乙(賃借人)の一切の債務につき、乙と連帯して履行の責を負うものとする」などと書かれています。賃貸借契約から生ずる一切の債務とは、家賃を支払う債務や建物を壊した場合の弁償などです。あくまで金銭的な債務で、立ち退きを保証するなどということはありません。

 頼める保証人がいなくても契約の更新は可能です。借家契約の更新には次の2種類があります。

①契約の当事者(家主と借家人)が更新の条件について合意し、更新契約書を取り交わす(合意更新)。

②更新契約書を取り交わさずに従前の契約期限をそのままやり過ごすと自動的に更新する「法定更新」(借地借家法第26条)。

 頼める保証人がいなくても、更新契約書ができなくても②の法定更新を選択すればいいわけです。法定更新後の契約条件は、従前の契約条件と同一の内容になります(借地借家法第26条1項)。ただし、2年というような契約期間はなくなり、期間の定めのない状態で続くことになります」(借地借家法第26条1項但書)。

 法定更新すると、契約条件は従前と同一ですから、もし前の契約書に「更新時に新家賃の*か月分の更新料を支払う」という特約があっても、契約期間の定めがなくなるので、その後は更新料を支払う機会が来なくなるという有利な条件が得られます。

 結果、法定更新をすると、以後更新が発生しないので、更新料支払問題は発生しません。

 

 

東京借地借家人新聞より

 


 

<参考法令>

 借地借家法

建物賃貸借契約の更新等
第26条  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

 2  前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 3  建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

 

東京・台東借地借家人組合

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