(問)今年の7月12日で20年間の借地契約期間が満了します。地主は近所の不動産屋を通じて更新料を坪10万円、34坪で総額340万円請求してきた。
20年前は坪1万円だったし、私はまだ若く収入もそれなりにあったので支払いをしたが、現在、収入は年金だけで、とても地主の請求に応じられない。
借地借家人組合では、更新料は支払義務がないと言っていますが、更新料を支払わないと新しい契約書がもらえないと思います。その場合、借地契約はどうなるのでしょうか。
(答)「借地借家法」は1992(平成4)年8月1日から施行されているが、平成4年8月1日以前に借地契約が締結された借地契約については、「借地借家法」附則4条~9条等によって、借地借家法3条~9条、13条2~3項、15条1項、18条は適応されない。借地契約を今後何度更新しても、同様に取り扱われ、旧「借地法」1条~11条が引き続き適用される。
借地契約の更新には、
①地主と借地人が更新契約条件に合意して、新しい契約書に署名捺印する「合意更新」(借地法5条)と、これに対して地主と借地人との間で契約条件の合意が得られない場合でも、②借地人が土地の使用を継続する場合、契約期間が満了すると法律の定めで、新しい契約書を作らなくても従前の借地の契約条件で自動的に更新してしまう「法定更新」(借地法6条)と、期間満了に際して ③地主に契約更新を拒否する正当な理由がない場合、借地人の一方的な更新請求だけで借地更新が認められる「請求による更新」(借地法4条1項)との3通りの更新がある。
「法定更新」(借地法6条)と「請求による更新」(借地法4条1項)の場合の契約条件は、借地上の建物が鉄骨建などの堅固建物ならば契約期間は30年、木造など非堅固建物ならば契約期間は20年に法定されている。その他の契約条件は従前の契約と同一で自動更新される(借地法4条1項、6条1項)。
更新料は地主に契約更新合意の対価として支払うものであり、更新は地主との契約の合意がなくても法律の規定で自動的に出来るものであり、更新料を支払う根拠はない。また地主は更新料を請求する根拠として「更新料の授受は世間の慣習だ」と主張したが、最高裁判所で慣習説は否定され、借地更新料は支払義務なしとされた(最高裁判所昭和51年10月1日および昭和53年1月24日判決)。
借地更新料支払いの法律的根拠はない。更新料を支払わなくても借地人が後に不利益を蒙ることはなく、すでに更新料を支払わなかった借地人は大勢おり、今も従前どおり借地を続けている。
具体的にすることは借地法4条1項に基づいて①契約期間満了後も従前どおり引き続き借りたいとの更新請求をする。②更新料の請求を断わる、の2点で組合を通じて行えば一層効果的。
以下は、借地人からの契約更新請求通知書の文面例
借地契約更新請求書
私と貴殿との間で締結した東京都*区*丁目*番地の宅地*㎡についての借地契約の借地期間は、平成*年*月*日に満了致します。宅地上にはなお建物が存在しますので、前契約と同一の条件で借地契約を更新して戴きたくご請求致します。
平成*年*月*日
東京都*区*丁目*番地
鈴木 一朗 (印)
東京都**区**丁目**番地
田中 次郎 様
(注) 後日、トラブルにならないためにも、文書は内容証明郵便・配達証明付きで出すのが最善の方法。
借地法
第2条 借地権ノ存続期間ハ石造、土造、煉瓦造又ハ之ニ類スル堅固ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ60年、其ノ他ノ建物ノ所有ヲ目的トスルモノニ付テハ30年トス
但シ建物カ此ノ期間満了前朽廃シタルトキハ借地権ハ之ニ因リテ消滅ス
2 契約ヲ以テ堅固ノ建物ニ付30年以上、其ノ他ノ建物ニ付20年以上ノ存続期間ヲ定メタルトキハ借地権ハ前項ノ規定ニ拘ラス其ノ期間ノ満了ニ因リテ消滅ス
但シ土地所有者カ自ラ土地ヲ使用スルコトヲ必要トスル場合其ノ他正当ノ事由アル場合ニ於テ遅滞ナク異議ヲ述ヘタルトキハ此ノ限ニ在ラス
此ノ場合ニ於テハ第2条第1項但書ノ規定ヲ準用ス
此ノ場合ニ於テハ前条第1項ノ規定ヲ準用ス
東京・台東借地借家人組合
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