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【判例紹介】 賃貸人の修繕義務不履行によって賃借人が被った営業利益相当の損害の範囲

2009年09月28日 | 修理・改修(借家)

 判例紹介

 店舗賃借人が賃貸人の修繕義務不履行によって被った営業利益相当の損害の範囲 最高裁平成21年1月19日判決、判例時報2023号)


 (事案の概要) 
 1 賃借人Xは平成4年3月、賃貸人Yからビルの地下1階をカラオケ営業のために月額20万円で賃借した。

 2 平成4年9月頃から本件店舗に浸水が頻繁に発生したが、平成9年2月には床上30~50cmまで浸水した(本件事故)。そのためXはカラオケ店の営業ができなくなった。

 3 Yは本件事故直後より、Xからえオ業再開できるよう修繕を求められていたが、これに応じず、逆に賃貸契約の解除を主張してXに退去を要求し、、電源を遮断するなどした。

 4 Xは営業再開の目途も立たないため、平成10年9月、Yの修繕義務不履行により営業利益喪失等による損害賠償を求める本訴を起こした。これに対し、Yは修繕義務の存在を否定し、さらに、賃料不払等を理由として賃貸借契約の解除を主張し本件店舗の明渡を求めた。

 5 名古屋高裁金沢支部は、「Yは本件事故後も引続き賃貸人として本件店舗部分を使用収益させるために必要な修繕義務を負担していたにもかかわらず、その義務を尽くさなかった。Xは本件事故の日からカラオケ店営業ができなかったから、Yに対し、本件事故の1か月後である平成9年3月12日からXの求める損害賠償の終期である平成13年8月11日までの4年5か月間の得べ借りし営業利益3104万円を喪失したことによる損害賠償を請求する権利がある」と判決した。これに対し、Yが上告した。


 (判決要旨) 
 ① Yが修繕義務を履行したとしても老朽化(築後約30年)して大規模な改修を必要としていた本件ビルにおいてXが賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続し得たとは必ずしも考え難い。
 ② 営業再開は一実現できるか分からない実現可能性が乏しいものとなっていた。
 ③ カラオケ店営業は本件店舗以外の場所で行うことができないものとは考えられない。
 ④ Xはカラオケセット等の損傷に対し約3700万円の保険金が支払われていたのであるから再びカラオケセットを整備するのに必要な資金を得ていた。

 そうすると、Xがカラオケ営業を別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を何ら執ることなく、本件店舗における営業利益相当の損害が発生するにまかせて、その損害のすべてについての賠償をYに請求することは、条理上認められない。よって、右損害の回避又は現象の措置を執ることができた時期以降の損害のすべてをYに請求することはできない、として原判決を破棄して損害の範囲について更に審理を尽くすよう原審に差し戻した。


 (寸評)
 家主の修繕義務不履行による賃借人の損害にはいろいろあるが、店舗の営業利益を失ったことによる損害の賠償を求める際には、この判決の趣旨を念頭におく必要がある重要な判決。

(2009.09.)

(東借連常任弁護団) 

東京借地借家人新聞より

 

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