東京・台東借地借家人組合1

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借地借家と消費者契約法 3

2008年05月26日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

   善意の第三者に対抗できない (消費者契約法第4条5項)

 前述のように、「取消し」の意思表示をする場合について、善意の第三者に対抗できない。これは中々面倒臭いことです。これは即ち、相対の間では契約は無効になりますよということなのです。つまり事業者である貸主AとBは借家契約を結びます。Bの引越が遅れている間に、契約を結んだ借家物件をAが「俺は、売る」と言ってCに売ってしまった。Bの入居前にCに権利は移転していた。その時、当事者AB間では取消しができる。勿論できますが、それの効果は第三者Cの方には及びません。このAの不正をCが知っている場合は取消せますが、Cが知らないで引継いだという場合にはCの方には効力は及びませんということです。Bは善意の第三者Cに対抗(借家権を主張)できません。これは民法の詐欺(民法第96条3項)の場合と同じです。

 もう少し具体的に言いますと、AがB所有の土地を購入したいと言ってBと土地売買契約を結んだ。AはBを騙して、その土地をCに転売し、C名義の所有権移転登記も完了していた。Bは土地売買が詐欺であることを理由にA・B間の売買契約を取消した。Cが善意の第三者の場合は、Bが折角その売買契約を取消しをしてもCに影響を及ぼすことにはならない。BはCに対して所有権を主張できない。即ち、Bは善意の第三者Cに対抗できないということです。

 消費者契約法は、誤認・困惑による意思表示の取消しの場合、善意の第三者を保護すると規定して、民法の詐欺の場合と同じ法的処理をすることにしました。

 でも、殆どの借地契約・借家契約の場合にはこういうのは問題ないです。ですけど、相対の関係は少なくともその契約を結ぶ直後に変わるということはありません。「取消し」ということでいいです。

 
  「民法」の債務不履行による解除 
 これと別の問題で、「消費者契約法」が介入不能な場合で救済できることがあります。つまり契約を結んで、その後、事業者の方が契約違反に当たる行為をしたという場合について、それは契約違反・債務不履行ということで、それを「解除」することができます。

 契約の解除とは,契約が締結されたのちに,その一方の当事者の意思表示によって,その契約がはじめから存在しなかったのと同様の状態に戻す効果を生じさせる制度のことをいいます。

 これは「取消し」とは少し違うのです。「解除」することで現状に戻すということです。というのは、インチキなケースの場合、最初から相手は約束を守るつもりが無いわけです、だからすぐ違反してしまうのです。

  事例
 例えば、借家契約の場合でいうと、契約の前に貸す時点ではまだ取り付けてないのだけれども、後で風呂の設備を付けますと書いてある。いくら催促しても付けない。「とにかくその契約書に付けると書いてあるのだから、少なくとも2週間以内に付けて下さい」と催促しても、それでも付けない。それは契約違反だから、「債務不履行」だからと契約を「解除」する(民法第541条)。これは当然です。それは、先程の「取消し」ということとは別次元の問題です。

 ですけれども、この「債務不履行」の問題・契約違反の問題は、皆さん今までも扱ってきていることですから、今まで通りに対処すればいいわけです。

 「取消し」と「解除」は、効果は同じです。一旦契約を有効とした上で、違反した時には「解除」、契約自体を無効にして、初めから成立効果を生じさせないようにすることが「取消し」です。結果は同じです。

 
   「クーリング・オフ」
 それから、日本の契約の中に「クーリング・オフ」という制度があります。これは、仮にしっかり納得した上で結んだ契約であっても無効にするのに、「詐欺」だとか「強迫」だとかの事由が何も無くてもいい。或は先程の①事実・重要な事実を告げなかったり、或は②勧誘行為について断定的な判断を提供したり、或は③良いことばかり言って悪いことは言わなかったり、そういう事由が全く無くても一定期間中(8日間)であれば、無条件で「契約を止めた」と言うことができる契約の内容になるのです。これが「クーリング・オフ」です。

 「消費者契約法」で「取消し」ができるというのは、「クーリング・オフ」とは一寸違い、事由が要るのです。事由が無くて契約を解消してしまう「クーリング・オフ」とはかなり違います。借地契約・借家契約の中で、「クーリング・オフ」というのはありませんから、結局、我々にはさほど問題は無いのですが、同じように「取消し」できるケースの類型として、比較してみるとそういう違いがあります。

 

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