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借地借家と消費者契約法 7

2008年05月21日 | 敷金(保証金)・原状回復・消費者契約法

    違約金条項の無効 (消費者契約法第9条)

 


 今迄は、事業者即ち貸主側の方が責任を負わないようにするという話なのですけれど、今度は、貸主が借主から沢山のものを取り上げてしまおうというものに関して、それは無効だとする事案です。
 こっちの方の情報は、結構事例とすると沢山あります。平均的な損害の賠償、これだとこれ位が妥当だという額を超えたものを契約書に並べて、請求しようと書いてある条項。


    解除の場合 事例1 明渡しの遅延損害金
 一番簡単なのは、契約が終了して、何らかの契約を合意解除して、契約書などに書いてなくていいですが、契約の終了から明渡し完了までの間、従来家賃額の倍額を違約金として払わなければいけない。このような特約条項の例は、世間では非常に多い。つまり借主の方に損害違約金を定めて、それを取り上げようという条項なのです。

 これは今までは、有効だったのです。前に劣悪な判例がありまして、「契約書の上で今までの家賃の倍額を払わなくてはいけないと定めた時に、判子を押している。お互いにそれを納得しているのだから、それは仕様がない」となっています。

 だけど、これからは違うのです。つまり、今までの家賃、これは平均的な使用料という意味だとすれば、倍額というのは平均的な使用料を超えてしまうのです。そうすると、従前の家賃の額を超える部分の差額は「無効」になる(消費者契約法第9条1項)。

 ですから契約書に書いてあっても、同じ月額家賃額を払えばいいのです。これは脅かしのためによく書いてある事例なのです。それは、これからは脅かしにならないということなのです。

 ただ、その今までの家賃の額があまりにも異常に低くて、普通ここを貸せばもう少し高いという場合は仕様がない。必ず、従前の家賃でいいのだというのではなく、それ相応の額以上を超えてはいけない。ですから今までの家賃でいい。借主はそれ以上のものは払わない。敷金から、それを引いてしまわれた場合は、返して貰えばいい。それは返して貰って当然です。


    解除の場合 事例2 原状回復費用の負担
 それからもうひとつ、原状回復でハウスクリーニングというのは畳の総取り替えとか、壁紙の全面張替とか色々あります。それは「退去時の原状回復費用は借主の負担とする」とか、「ハウスクリーニングは借主の費用負担で行う」と特約で定めてあることが多い。

 それは「消費者契約法」で考えていくと引っ掛かるのです。つまり契約期間が終了した時、「それについて取り決めがあるので、原状回復費用を払え」と貸主が言ってきた。その請求金額が本来の平均的には損害額を遥かに超えている。「通常の用法に従った使用に必然的に伴う汚損・損耗は勿論、原状回復義務の対象にならない」(東京地裁判決平成6年)。仮にそうではなくても、ちょっと焦がしてしまった、焦がした程度の損害はいいのではないか。家主が自分から新しくするリフォーム費用、そういうものまで原状回復費用として取られてしまう。これは「消費者契約法」に拠り大威張りで「支払わない」と言える。

 今までは、建設省の基準(「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」国土交通省)があってどうのこうのという話で、今まで判例が有れば認められる。例が有るの無いのという七面倒臭いことだったわけなのです。特約条項に絡む敷金返還問題・原状回復義務問題が、消費者契約の観点では「消費者契約法」のこの条項(消費者契約法第9条1項)で済んでしまう。実にすっきりしている。


 
   《参考》修繕・原状回復特約がある場合
 賃貸借契約においては、賃貸目的物の通常の使用収益に伴う自然の損耗や汚損について賃借人が積極的にその修繕や取替えの義務を負担し、あるいは、賃貸目的の返還にあたって、自然の損耗や汚損についての改修の費用を負担して賃貸当初の原状に復する義務を負っていたとは認められない。したがって、仮に賃貸人が賃貸当初の原状回復のためにこれらの費用を支出したとしても、それを賃借人に請求し、あるいはそれを敷金から差し引くことは許されない。(京都地判 平成7年10月5日判決

 
   履行が遅れた場合 事例 滞納賃料の遅延損害金
 先程も言いましたが事業者、事業でやっている借家の場合については、従前の条項で金銭的損害・違約金を約束した場合、「消費者契約法」の関係で条件によっては「無効」ということになります。

 それから、契約の中で家賃を払わない時に年3割の利息を付ける、遅延損害金を付けて返せと書いてあることがあります。でもこれについてどうなのかというと、お金の支払を定めるようなものについて年14.6%を超えるものについては、この超える部分は「無効」なのです。当事者間で年3割超えることをお互いが納得しているのだからいいのではないかというのは通らない。一方的にそういう数字がある場合についていうと、それは一部超過部分が無効となります。これは結構大事なことです。14.6%という数字をしっかり覚えておい下さい。

 何故14.6%なのかということですが、「利息制限法」と関係があるのです。他の法律との絡みもあって、14.6%という数字が決められたのです。

 借地契約・借家契約のお金の絡む契約関係の中で、これは非常に大きな影響があります。経済企画庁の説明事例(経済企画庁国民生活局消費者行政第一課編「逐条解説 消費者契約法」)の中の、[事例9-6]に「毎月の家賃が70,000円、当月20日までに支払うものとする。前記期限を過ぎた場合には1ヶ月の料金に対して年30%の遅延損害金を支払うものとする。」と、先程の契約内容を含んだ事例があります。これは年14.6%を超える部分について、「無効」となる(消費者契約法第9条2項)。しっかりと『365分の何日か×14.6%』を計算してその分については減算する。

 

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