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判例紹介
木造又は簡易鉄骨プレハブ住宅の所有を目的とする借地契約につき、借地人が建替えに際して地下駐車場を造るために借地を掘り下げたことを理由とする契約解除が有効とされた事例 (東京地裁平成6年1月25日判決、判例時報1517号78頁)
(事案)
Y(借主)はX(貸主)から木造又は簡易鉄骨プレハブ住宅の所有を目的で借地していたが、借地上の建物を建替えるに際し、地下駐車場を造ることにした。YはXから建替えの承諾を得ていたが、その際地下駐車場を造ることまでは説明していなかった。
借地をほぼ全域に渡って深く約2メートル余まで掘り下げ土を搬出する工事を行い、そのため借地内にかなりの湧き水が出て水浸しの状態になり、周辺の土地に地割れや近隣家屋の壁等に割れ目が入ったりする被害が発生した。
Xは、近隣住民から種々の苦情が寄せられたこともあってYに工事中止・原状回復を求めたが、Yが応じなかったため契約違反を理由に借地契約を解除した。
その後、掘削部分の埋戻工事が実施されたが、地盤が軟弱化し一定の補強をしないと建物の建築が困難な状況になっている。
(判決)
本判決は、
第1に、前記のような掘削工事の規模・地盤の軟弱化などの事実を認定したうえで、本件掘削工事は、土地の形質に影響を及ぼしたものであって、右工事は、本件土地の形状を著しく変質するものというべくXの同意なくして土地の形状を変更してはならないとの約定に違反することは明らかで、本件掘削工事は建物建築のために必要不可欠な掘削という以上のものであるとし、第2に、掘削工事の規模、態様、近隣への影響などに照らすと、Yの行為(土地の形状の変更)について、賃貸人との信頼関係の破壊がない特段の事情があるということはできない旨判示して、借地契約の解除を認めた。
また、Y(借主)は、近時の土地利用の状況からすれば、地下部分を駐車場として利用することは許容されるべきであるとも主張していたが、これに対して本件判決は、他人の土地を賃借した者には、自らその利用の態様に制限が伴うことは当然で、地主の承諾がなければ本件のように土地の形状を著しく変更することは到底許容されない旨判示してYの主張を退けている。
(寸評)
借地人が借地の形状を変更した場合に、その程度によっては保管義務違反や用法違反を理由に借地契約の解除が認められる場合がある。
本判決は、その一つの判断基準を示したものであり、近時都市部での地下利用が増える中で、今後借地で地下掘削工事をする際の参考になると思われる。
なお、借地に新たに半地下の車庫を造るなど借地の利用をしようとする場合には、本判決も指摘しているように地主に計画をきちんと説明してその承諾を得るのが最善です。地主が承諾しない場合には、裁判所に増改築の許可の申立をして、裁判所の許可を得てから地下工事をするようにしましょう。
(1995.04.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
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