東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 法人売買の形式による賃借権の譲渡が無断譲渡に当たるとされた事例

2007年02月08日 | 借地・借家に共通の問題

 判例紹介

 賃借権の無断譲渡禁止特約のある建物賃貸借契約をしてキャバレーを経営していた会社代表者が法人売買の形式をとることにより、この特約を回避できると誤信して売買契約したが、賃貸契約が解除された買主が損害を被ったことに重過失による職務懈怠として損害賠償責任が認められた事例東京地裁平成4年10月13日判決、判例タイムズ83号199頁以下)

 (事案)
 キャバレー等の営業を目的とするA社は、B社から本件建物を賃借してキャバレーを経営していたが、X社は、A社からこの店舗の造作設備を含む営上の一切の権利及びA社の代表者Yから全株式を買受けた。AB間の建物賃貸借契約には賃借権の無断譲渡禁止の特約があったが、Yは法人の売買にすればB社の承諾を要せずに賃借権の譲渡ができるものと考え、B社の承諾を得ずに法人の売買の形式で行ったところ、B社から契約解除を受け、X社は建物の明渡しを余儀なくされ損害を受けた。そこで、X社はYに対し商法262条の3に基づき損倍賠償請求をした事案である。X社の請求を過失相殺5割にて一部容認。

 (判旨)
 「被告は本件売買契約が実質的には賃借権の譲渡と同一視されるものであるこを充分認識していたこと、及び被告は本件売買契約が賃貸人である札幌アルトに発覚すれば無断譲渡として本件賃貸借契約を解除される危険が高いことを予想することが容易に可能であったことを推認することができる」、「そうすると、被告が法人の売買という形式をとれば札幌アルトの承諾を得ることなく建物賃貸借権が譲渡できると信じて原告に対して本件売買契約の申込をして、同様に誤信した原告との間で本件売買契約を成立させたことは、会社の代表取締役として前記忠実事務に違反した任務懈怠であるというべく、かつ、右任務懈怠は被告の重大な過失によるものと解される。したがって、被告は原告に対し、原告が被告の右任務懈怠に被った損害について商法266条の3第1項の責任を免れないものと解するのが相当である」

 (寸評)
 判決は、原告が不動産業者であることから、賃貸人の事前承諾を要することは十分認識していなければならなかったこと等を理由に原告の過失も5割と認めた。法人売買の形式による賃借権譲渡については、法人格の同一性を理由に、賃借権の譲渡に当たらないとする判例もあるが、個人的色彩の強い中小・零細企業の場合には本件判決の同旨のように判断される危険が極めて高いので、あえて紹介した。

(1994.12.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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