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判例紹介
借地の一部が駐車場として使用された場合、その駐車場部分には借地借家法の適用がないとされた事例 (東京地裁平成4年9月28日判決、判例時報1467号)
(事案)
地主Xは借地人Yに対し昭和32年、普通建物所有目的で本件土地を賃貸し、Yはその土地上に建物を建築所有していた。
Yは昭和55年春頃から建物の一部を取壊して本件土地全体の2分の1以上を13台の自動車が駐車できる有料の駐車場とした。これについてはXも承諾した。
借地契約は昭和52年に法定更新されたが、更新料の分割払いが 終った56年5月19日に、XとYは改めて期間を右同日から20年とすることに合意した。
Xの主張
本駐車場は本件宅地とは板塀で明確に画され独立して使用に供されているのであるから、少なくとも本件駐車場については借地法の適用がなく、かつ、期間の定めのない賃貸借に変更された。したがって、解約申し入れれた日から1年経過後に本件駐車場についての賃貸借は終了したから本件駐車場部分につての明渡を求める。
(判決要旨)
本件駐車場は、本件建物が存在する本件宅地とは塀により明確に仕切られ本件土地全体の2分の1以上の面積を有し、13台の自動車が駐車できる有料の駐車場として独立して使用されている。
このような場合には本件宅地に本件建物を所有する上で特に本件駐車場が必要とは認められず、本件駐車場には借地法の趣旨からして同法の適用はないといわざるを得ない。他方、賃料は特に区別することなく本件土地全体について決められてきたこと、駐車場としての使用開始後である昭和56年5月19日の更新は、本件土地全体の賃貸契約を更新する趣旨でなされたことが認められる。そうすると、本件駐車場の賃貸借期間は、本件宅地と同様に昭和56年5月19日から20年と合意されたものと認めるのが相当である。よってXの明渡請求は認められない。
(寸評)
借地の一部を駐車場にする例はよくある。その場合駐車場部分にも依然として借地法の適用があるのか、その部分は宅地部分とは切り離されて借地法の適用はなく民法の一般原則が適用されるのか。後者だとすれば駐車場部分には勿論法定更新はなく、期間の合意がなければ解約申入れ後1年で契約は当然終了する(民法617条)
そのメルクマールは、駐車場用地がそれ自体建物と切り離されて独立性を有しているか、駐車場が主でたてものがその付随的設備にすぎないか等にある。
なお、本件は地主の承諾が認められたケースであるが、無断であるとすると借地全体の解除の問題が起り得る。
(1993.12.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
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