東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 第三者に経営全般の管理をさせ一定の金銭の支払を受けていると営業委任であるとされた事例

2006年08月18日 | 契約・更新・特約

 判例紹介

 店舗賃借人が第三者に経営全般の管理をさせ一定の金銭の支払を受けていた関係が、営業の委任であって転貸でないとされた事例 神戸地裁平成4年6月19日判決、判例時報1451号136頁)

 (事案)
 乙は甲から店舗を借り、牛丼の吉野家との間でフランチャイズ契約を締結し牛丼屋を経営してきた。昭和55年吉野家が会社更生法に基づく更生会社となり乙はフランチャイズ契約の対象から外された。

 そこで乙はレストラン等を経営する丙に、吉野家と同様の形態で牛丼屋を経営していきたいと助力を求め、丙との間で新たに牛丼専門店の経営委託に関する契約を締結した。店舗の屋号は「牛丼屋」とした。

 「牛丼屋」の経営実態は、丙が材料の仕入れ、派遣従業員の手配、店舗営業全般の管理を行い、且つ費用の計算、支払及び売上代金の管理等を丙の預金口座を使用して行い、これらの管理、計算に基づき、売上代金から所定の経費、経営管理の対価を差し引いた金額(1月と12月は70万円、その他の月は50万円)を乙に対し支払っている。

 また、店舗の営業許可は乙において取得しており、メニューは乙の意向により吉野家時代と同じく牛丼のみとし、丙が他所で経営している食堂とは異なっている。

 (判決要旨)
 「本件建物における牛丼屋の営業について、乙は最終的な決定権を有しており、その経営主体であるということができ、乙と丙との関係はあくまでも牛丼屋の営業に関してその業務の一部を委任するものであって、丙にその経営を全面的に委ねたものではないし、営業を賃貸したものでないと認められる。従って乙と丙との間には本件建物についての賃貸借契約は存在せず、丙の同建物の利用は、乙が有する賃借権についての履行補助者ないしは占有補助者としてのものであると評することができ、独立の占有権限又は独立の占有を有しているものではないと解されるから、甲主張の転貸の事実を認めることはできない」

 (寸評 )
 営業の委任か転貸かは、まぎらわしことが多い。形式は営業の委任と銘うっていても実際は転貸に当たる場合もある。要は経営実態によって判断するほかはなくその場合の着眼点は、営業に対する賃借人の支配の程度、第三者の店舗使用の独立性、営業名義、委託料の決め方などであるが、結局はそれらを総合して判断することになる。

 この判決の事案は、大変微妙だと思われる。判決の認定する経営実態も、営業許可名義とメニューの点を除けば、第三者丙に殆ど任せっぱなしとみることもできるし、それに丙から賃借人乙に対する支払も毎月定額であることと、水道使用契約は丙となっていることなどを考え合わせると丙の独立性もかなりあるように思われる。私の言いたいのは、分店を第三者に「任せる」ときは、その内容を十分慎重にしないと転貸と認定されて元も子もなくなってしまうといことだ。

(1993.07.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 


 

 ここで採り上げた判例は、後日、控訴審の大阪高裁(平成5年4月21日判決)で営業委任契約が否認され、転貸と認定された。控訴審判決は、こちらのの「判例紹介」扱ったものである。

 

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