東京・台東借地借家人組合1

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【判例紹介】 第三者に営業全般の管理を委ね、月々一定の金銭の支払を受けている場合は転貸とされた事例

2006年08月16日 | 契約・更新・特約

 判例紹介

 賃借建物で店舗営業をするにあたり第三者に営業全般の管理をゆだね月々一定の金銭の支払を受けている場合に建物の転貸にあたるとされた事例 大阪高裁平成5年4月21日判決。判例時報1471号93頁)

 (事案)
 Y
(借家人)はX(家主)から賃借する建物(以下本件建物という)で飲食店(牛丼屋)を営業するにあたり、Zとの間で経営委託契約を締結してZに営業全般の管理をまかせ、営業の賃借の対価として月々50万円(1月と12月は70万円)をZから受け取っている。

 Xは、YXの承諾なく本件建物をZに転貸しZが本件建物で飲食店を経営しているとして、無断転貸を理由に賃貸借契約を解除しY及びZに対して本件建物の明渡等を求めた。

 Yらは飲食店はYがオーナーとして経営するもので転貸の事実はないとして争った。

 第1審判決(神戸地裁平成4年6月19日判決。1993年7月15日付本紙の「判例紹介」欄で紹介)は、店舗の営業許可はYが取得していることメニューはYの意向で牛丼のみとされ、本件建物での店舗経営の最終判断権はYに帰属しており、営業の一部の委任に過ぎず転貸に該当しないとしてXの請求を棄却し、Xはこれを不服として控訴。

 (判決)
 判決は、「(ZYに対し、毎月定額の50万円(1月と12月は70万円)を支払うものとされ、現実にこれまで支払われてきたこと、(Yは本件建物での牛丼屋の経営に関与していないこと、Zが営業全般の管理を行っているが、その営業事績の報告はされていないこと、(中略)右定額の金員はZの計算と危険負担のもとに、右営業による損益や利益金の多少にかかわらずYに支払われるものであることが推認されること、()本件店舗における牛丼屋の営業、すなわち、材料の仕入れ、派遣従業員の給料、光熱費その他必要経費の支払や売上代金の管理等は、すべてZの計算においてなされ、Zの預金口座を利用して行われていること」の点を重視し、YZ間の契約は「Zの計算で営業を行う狭義の経営の委任契約であり、実質は営業の賃貸借であると認めるのが相当である」としたうえで、「右契約の効果として、YとZに対し営業の基盤である本件建物の利用を可能ならしめる義務を負い、そのためには本件建物の占有を移転することを要し、Zは本件建物を利用して賃借営業を自己の計算で営むことができるが、そのうちの本件建物の利用関係の移転はXとの関係では建物の転貸借に当たる」として、Xの主張を認めた。

 (寸評)
 本件のような経営委任契約が建物の転貸にあたるかどうかについては、営業に対する賃借人の支配の程度・営業の名義・賃借人に支払われる金員の決め方などによって総合的に判断するとされているが、その判断は微妙である。本件のように賃借人に対する月々の支払が定額で第三者に営業全般の管理を委ねているような場合には転貸と認められる可能性が大きい考えたほうが良い。

(1994.04.)

(東借連常任弁護団)

東京借地借家人新聞より

 

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