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組合事務所に足立区に住むAさん(女性)から、電話での相談があった。
アパートを借りて4年経つが、そのアパート入居するときの契約時には、子供を連帯保証人として賃貸借契約を結んだ。2年前の更新時に、仲介する不動産会社から言われるままに保証人を子供から保証会社の保証委託契約に契約金を支払って変更した。
今回、2回目の更新を迎え、不動産会社から更新料と保証会社の保証契約の更新料請求があった。保証料は、新賃料の25%と言われたが、なんとかならないか、支払いを拒否することは可能かという相談だった。
相談員は「今、このような相談が増えていること。仲介する不動産会社が保証会社の保証契約に変更することで、売り上げを伸ばそうとしている。このような変更や更新については、双方の合意が必要で、きちんと拒絶し、合意更新が出来ないならば法定更新で構わないことをきちんと主張するように」とアドバイスをした。Aさんは「頑張ってやってみます」と答えた。
東京借地借家人新聞より
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(問題17) 連帯保証人に代わる賃貸保証委託契約の解除
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判例紹介
【事案1】
1.追い出し行為(施錠行為、荷物撤去)の不法行為責任を認め慰謝料30万円が認容された事例 (東京地裁 平成22年7月30日判決)
【事案の概要】
原告(賃借人)がA(株)から居住用アパートを賃借していたところ、賃貸人から賃料等の収納代行業務の委託を受けたBの従業員から賃料の滞納を理由にして賃貸物件の玄関ドアを施錠され、物件内の荷物を撤去された。
当該施錠行為及び荷物撤去行為が違法であるとして、A(株)、B及び各会社の代表取締役に対し、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。
【裁判所の判断】
被告B従業員による追い出し行為(物件への無断立ち入り、施錠行為・荷物撤去行為)の事実を認定、「これらの行為は法律上の手続によらずに原告の本件物件において居住する利益を一方的に奪った違法な行為といわざるを得ない」と判示した。
賃料回収代行業者である被告Bが行った追い出し行為の違法性を明確に認め(賃貸人であるA(株)及び会社の代表者らの責任は否定。)、被告Bに対し、慰謝料30万円及び弁護士費用10万円の合計40万円の支払いを命じた。その他、A(株)に対して、敷金15万円の返還を命じた。
【事案2】
2.追い出し行為(鍵交換)の不法行為責任を認め慰謝料30万円が認容された事例 (東京地裁 平成22年4月13日判決)
【事案の概要】
原告のサブリース業者であるSが、家賃の支払いを遅れただけで玄関の鍵交換を行ったことから、当該アパートで居住を続けることが困難と考えた被告(賃借人)がSに無断でアパートに荷物を一部残して退去した。
約半年後にSが賃借人に対して、建物明渡・未払賃料・賃料相当損害金を請求して本訴を提起した。
これに対して、賃借人がSに対して、鍵交換が違法であるとして不法行為に基づく損害賠償を請求して反訴を提起した。
【裁判所の判断】
本判決は、「原告は・・・被告(賃借人)が外出中に本件物件の鍵を交換し、被告が本件物件に入れない状態にしたものであるところ、原告のこの行為は、被告の平穏な生活を害する行為として不法行為を構成する」とし、「被告は、原告の不法行為により、帰宅後家に入れずに数日間友人宅やインターネットカフェに泊まることとなり、不安な日々を過ごすこととなり、また、住居に入れなくなることがあるとの不安感を覚えるようになった」として、Sに対し、慰謝料30万円と弁護士費用3万円の合計33万円の支払いを命じた。
なお、Sは、家賃の支払期日(28日)に支払いができなかったことから、同日、被告(賃借人)との間で、当月末日までに未払賃料を支払うことができなければ、室内の残置物等について廃棄処分することを合意しており、鍵交換は、かかる合意に基づいて行った旨の反論を行った。
しかし、本判決は、当該合意によっても、Sの行為の違法性は否定されないとした。
【事案3】
3.追い出し行為を行った賃貸業者及び管理業者が、法令を遵守した営業を行い、契約書から追い出し行為を容認する旨の条項を削除する旨を約束した和解を行った事例 平成22年4月28日 和解
【事案の概要】
Aが賃貸をし、Aエステートが管理する物件を原告(賃借人)が賃借していたところ、1か月ないし2か月の賃料の滞納を理由に、玄関ドアの鍵を交換され、賃貸物件内の荷物をすべて撤去された。なお、荷物の大部分については後日返還されている。
原告(賃借人)は、かかる鍵交換及び荷物撤去が違法であるとしてA、Aエステート及び各会社の代表取締役に対し、不法行為に基づく損害賠償請求訴訟を提起した。
【和解の概要】
和解金額については和解内容により口外できないが、和解条項において以下の条項が盛り込まれた。
被告らは、原告(賃借人)に対し法令を遵守した営業を行い、平成22年7月1日以後に締結する賃貸借契約の際には、
①賃貸物件内に立ち入ること(緊急時にやむを得ない場合を除く)、賃貸物件の玄関ドアの鍵を交換すること、賃貸物件内の家財、物品等の撤去・処分をすることの権限を賃貸人に付与する旨の条項、
②「解約の理由を問わず」賃貸人の損害賠償責任を免除する旨の条項、
③違約金,督促手数料等名目の如何を問わず、滞納家賃に対する年14.6%を超える遅延損害金の徴収を定める旨の条、
以上①~③の条項を除いた契約書を使用することを約束する。
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1カ月分の家賃滞納を理由にアパートから追い出したのは違法だとして、東京都の男性(26)が不動産会社や家賃集金代行会社などに計約240万円の賠償と敷金15万円の返還を求めた訴訟で、東京地裁(甲斐哲彦裁判長)は代行会社に40万円の支払い、不動産会社に敷金全額の返還を命じる判決を言い渡した。判決は7月30日付で、原告弁護団が9日、明らかにした。
判決によると、男性は05年に杉並区のアパートに入居。昨年2月分の家賃7万7000円の支払いが遅れたところ、代行会社の従業員らは玄関ドアを施錠具で固定、室内の荷物を撤去した。甲斐裁判長は「居住する利益を一方的に奪ったもので違法」と代行会社の使用者責任を認定。こうした経緯を知らなかったとして不動産会社の賠償責任は否定した。【和田武士】
2010年8月9日 毎日jp (毎日新聞社)
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賃貸アパートの家賃の一時滞納を理由に強引に追い出されたとして、東京都内の男性(26)が家賃集金代行会社「J・CCO」(東京)などに損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁(甲斐哲彦裁判長)が「法律上の手続きによらず、原告の居住する利益を一方的に奪った」として、計55万円を支払うよう命じる判決を言い渡していたことがわかった。
判決は7月30日付。
判決などによると、男性は昨年2月、同月分の家賃の一部を一時滞納し、約1か月後に残りを支払ったが、同社は、男性が部屋に入れないよう別の鍵でドアを施錠し、部屋にあった家具などをすべて撤去した。
東京地裁では今年4月28日にも、別の元居住者が同様の趣旨で不動産会社「シンエイエステート」(同)などに賠償を求めた訴訟で、会社側が解決金を支払うことで和解が成立している。
(2010年8月9日 読売新聞)
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判例紹介
建物の管理会社による追い出し行為について不法行為責任を認めるとともに、賃貸借契約の解除を認める確定判決を得ていながら、公権力による明渡しを実行せず、原告の居住を黙認した上、個別に管理会社に滞納家賃の取立等を委任した家主にも、追い出し行為に関する責任が認められるとした事例(姫路簡裁平成21年12月22日判決)
【事案の概要】
A(借主)とB(貸主)は平成15年にアパートの賃貸借契約を締結、C社はBとの間で管理契約を締結し、賃借人に対する家賃等の集金等を委託していた。平成18年、Aの家賃滞納によりBは賃貸借契約を解除する訴えを起こし、同年末、契約解除を認める判決が確定するも、Aはその後も賃料を滞納しつつも本件建物に居住し続け、一方、家主Bは、賃料相当損害金を受領し続けていた。
平成20年6月、C社の社員DがA宅に赴き、張り紙を貼ったり、家賃督促のハガキを入れたり、ドアの鍵部分にカバーを掛けたりした。その後、Aが一部家賃を入金したことによりC社は鍵を開けた。平成21年4月末、DがA宅に赴き、張り紙を貼ったり、家賃督促のハガキを入れたり、同年5月、ドアの鍵部分にカバーを掛けたりした。また後日、DがA宅に赴き、ドアに「荷物は全て出しました」との張り紙を貼った。
【判旨】
Aに恒常的な賃料あるいは賃料相当損害金の不払が存在したとはいえ、上記取立行為は社会的行為として許されるものではなく、何ら言い訳のできない不法行為といえる。
家主Bは、本件賃貸借契約について、裁判所の確定判決により債務名義を得ているにもかかわらず、公権力による明渡しを実行せず、Aの居住を黙認した上、Aの滞納家賃の取立等のため、個別にC社にそれを委任し、その結果、C社の社員Dが、Aに対し不法行為(取立行為)を行ったのであるから、Bに不法行為責任が存することは明らかである。
【寸評】
管理会社による滞納家賃の取立行為(追い出し行為)が許容される限度を超えたために不法行為責任が認められた事例であるが、明け渡しを認める確定判決を得ておきながら実力行使による追出しを依頼した家主にも同様の責任を認めた(慰謝料額は36万5000円)。近時の悪質な滞納家賃の取立、追い出し行為に警鐘を鳴らす事例として紹介する。
(2010.06.)
(東借連常任弁護団)
東京借地借家人新聞より
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滞納家賃の支払いを求める督促状を自宅玄関に張られ精神的苦痛を受けたとして、大阪府柏原市の会社員の男性(29)が家賃保証会社に110万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が28日、大阪地裁であった。窪田俊秀裁判官は「家賃の支払い状況はプライバシー情報で、不特定の人に知られる状態にするのは名誉を損ねる違法な取り立てだ」として、保証会社に慰謝料など6万5千円の支払いを命じた。
消費者金融などの取り立てをめぐっては、貸金業法がこうした張り紙を禁じているが、滞納家賃については規制する法律がない。支援団体「全国追い出し屋対策会議」によると、同様の訴訟で、督促状の文言は問わず玄関に張るだけで違法と認めた判決は初めて。同会議代表幹事の増田尚弁護士は「張り紙は入居者に与える心理的な圧力が強い。安易な取り立てを防ぐ意味で貸手に与える影響は大きい」と評価する。
判決によると、男性は2008年9月分のマンション家賃8万5千円を滞納。保証会社は同月以降、家主に滞納分を立て替えたうえで、男性宅の玄関ドアに督促状を張りつけたほか、電話で「出ていけ」などと退去を要求。男性はその後、家賃を支払った。
窪田裁判官は「督促状は郵便受けに入れれば足りる」と指摘。高圧的な口調の取り立てについては「社会通念上の限度を超える」と判断した。
強引な家賃の取り立てに刑事罰を科すことを盛り込んだ「追い出し規制法(通称)」案は今月25日に衆院国土交通委員会に付託された。先に審理した参院は全会一致で可決しており、6月にも成立する見通しになっている。
2010年5月28日 asahi.com
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家賃滞納を理由に自宅アパートから閉め出され、居住権を侵害されたとして、大阪府茨木市のパート女性(61)が20日、堺市北区の家主と不動産管理業者に慰謝料など140万円の損害賠償を求める訴訟を茨木簡裁に起こした。
訴状によると、女性は昨年3、7月と今年4月にそれぞれ1カ月分の家賃4万2千円を滞納。家主側に玄関ドアにカバーを掛けられ、計16日間閉め出された。その間、車内や地下街などでの寝泊まりを強いられたとしている。同日、大阪府寝屋川市の女性(56)も同様の被害で那覇市の家賃保証会社などに損害賠償を求め、大阪簡裁に提訴した。
追い出し行為に懲役刑を科す新たな規制法案は6月にも国会で成立の見通しだが、今回訴えた茨木市の女性は2月の法案提出後に被害を受けており、支援団体「全国追い出し屋対策会議」の徳武聡子司法書士は「一刻も早く新法を施行しないと、被害はなくならない」と指摘する。
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埼玉県富士見市に住むAさんは、この3月に2年間の期間が満了し更新の時期を迎えた。契約を更新し、引き続き住み続けるつもりだった。
ところが、仲介した業者から、「あなたは家賃保証会社から2回の賃料を滞納したので、次回の保証契約の更新が拒絶されたので、賃貸借契約そのものの更新も拒絶します」と言われ、あわてて組合に相談にきた。
相談の中で、更新の際には保証人を立てなくても更新が出来ること。もし合意更新が出来なくても法定更新が出来ることを説明した。
しかし、今回の問題では今後、ブラックリストに載せられ賃貸住宅から締め出される恐れがあることを説明した。そして、この問題では世論に働きかけてリスト作りをやめさせていくことを訴えた。
東京借地借家人新聞より
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昨年12月8日、淀川区塚本地域の賃貸マンションに居住していたFさんから賃借中のマンションの部屋の鍵が取り替えられ、使用不能になっているので助けてほしいとの相談が大借連(全大阪借地借家人組合連合会)にありました。
Fさんの訴えによると、11月分の家賃が病気のために滞納し、家賃保証会社と支払い方法について話し合っていたが、11月18日に突然ドアーの鍵が取り替えられ入居できなくなりました。
家賃保証会社へ入居できるように再三要請したが、聴き入れられませんでした。「カプセルホテルで寝泊りをしていたが、一泊2700円の費用も負担不能となった。生活保護手当も受給しているが限度に来た。どうしたらよいのか」という内容でした。
大借連は、12月9日、「賃貸住宅追い出し屋被害者対策会議」の掘泰夫事務局長(司法書士)と連絡し、八塚博幸司法書士が窓口となりFさんの救済対策を検討することになりました。
同日、Fさんは、八塚司法書士と面談し、現地の賃貸マンションへ出向くと鍵が開けられ部屋のの中にあったすべての家財道具はどこかへ持ち去られていました。
「対策会議」は、Fさんの住まいを確保するために、弁護士と司法書士がボランティアで奔走し、淀川区役所へ生活保護手当の継続と生活支援基金などの支給を受け、12月26日に新たな家へ移転させることができました。
また、Fさんは、家賃保証会社を警察へ告訴すると共に損害賠償請求を提訴して争っています。
大借連新聞より
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判例紹介
●事件番号 平成20(少コ)3397
●事件名 (通常手続移行) 保証委託料請求事件
●裁判所 東京簡易裁判所 民事第9室
●裁判年月日 平成21年05月22日
平成21年5月22日判決言渡 東京簡易裁判所
平成20年(少コ)第3397号保証委託料請求事件(通常手続移行)
判 決
主 文
1 被告らは原告に対し,連帯して,金25万2000円及びこれに対する平成20年7月15日から支払済みまで年6パーセントの割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告らの連帯負担とする。
3 この判決は仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求の趣旨
主文同旨
第2 事案の概要
1 請求原因の要旨
(1) 賃貸借契約及び連帯保証契約の成立
被告有限会社A商事(以下「被告会社」という 。)は,訴外有限会社C(以下「賃貸人」という。)との間で次のとおり賃貸借契約を締結し,下記物件の引渡しを受けた。被告Bは賃貸人に対し,本件賃貸借契約に基づく被告会社の債務を,同日書面により連帯保証した。
(ア) 契約日・・・・平成18年7月21日
(イ) 賃貸物件・・・・所在 東京都千代田区a町bc丁目d番e号
Dビル一棟 156.26平方メートル
(ウ) 賃貸期間・・・・2年間(更新により平成22年7月20日満了予定)
(エ) 賃 料 1ヶ月・・・・金84万円(消費税込み)
なお,原告は賃貸人に対し,本件賃貸借契約に基づく被告会社の債務を,書面により保証した(以下「保証契約」という 。)。
(2) 保証委託契約及び連帯保証契約の成立
原告は被告会社からの委託により,被告会社との間で次のとおり保証委託契約を締結した。被告Bは原告に対し,本件保証委託契約に基づく被告会社の債務を,同日書面により連帯保証した。
(ア) 契約日・・・・平成18年7月21日
(イ) 契約期間・・・・2年間(賃貸借契約が更新されたときは,更新期間分延長する)
(ウ) 保証委託料・・・・金84万円(消費税込み)
(エ) 再保証委託料・・・・契約期間が更新期間分延長されたときは,金84万円(消費税込み)を更新期間開始日の1週間前に支払う。ただし,10日間以上の賃料滞納がない場合は,30パーセントにあたる金25万2000円とする。
(3) 賃貸借契約の更新及び保証委託契約期間の延長
被告会社と賃貸人は平成20年7月21日から賃貸借契約を更新したので,これにより本件保証委託契約期間も延長され,被告会社は原告に対し,同契約4条2項により再保証委託料金25万2000円を,更新期間開始日の1週間前である7月14日までに支払う義務がある。
2 被告らの主張の要旨
(1) 保証委託契約の解除ないし更新・延長拒否の通知
被告会社には本件保証委託契約を解除する権利があり,被告会社が原告に対し,平成20年3月か4月頃と,同年5月ないし6月の2回にわたり,本件保証委託契約を更新ないし延長しないことを通知したことにより契約は終了しているから,再保証料の支払義務はない。
(2) 公序良俗違反
本件保証委託契約は,①賃貸人が原告を指定し,賃貸人と原告で契約内容を決定し,被告らには契約内容を事前に十分知らされず,説明も受けていない状態で締結を強制されたこと,②初回保証料が業界の水準に比べて約3倍近い高額であること,③更新のたびに永久に再保証料を取り続けること,④再保証料の支払を軽減,免除される手続が存在しないこと,⑤賃料不払い等があった場合に物件の鍵を一方的に変更する権限を原告に与えたり,滞納賃料の取りたて等の権限を原告に与えたり,2ヶ月の賃料不払いをした場合に賃貸人が800万円の預託金返還請求権を原告に譲渡するなどの,原告の不当な権利行使を容易に認める条項が含まれていること,などの事情を総合すれば,公序良俗違反により無効である。
(3) 錯誤無効
被告らは,契約締結の際に,原告と仲介会社であるE株式会社(以下「仲介会社」という。)に対し,当初契約期間の2年間賃料を滞りなく支払えば,その後の更新時には保証委託契約は更新しない旨を申し入れ,これが受諾されたものと思っていた。滞納しないで賃料を払っても更新の度に賃料の30パーセントの再保証料を払い続けると,信用が付加されるのに保証料総額は機械的に増加するという不合理なものであり,金額も多額になるという点で更新の度に再保証料を払うという合意には重要な要素に錯誤があり,無効である。
(4) 借地借家法違反
本件保証委託契約は賃貸借契約と一体不可分の関係にあり,賃貸借契約更新の都度,保証委託契約も更新し再保証料を支払わせる点において賃借人に不利な条件を強いたもので, 借地借家法30条自体ないしその趣旨に違反し,無効である。
3 原告の反論の要旨
(1) 被告会社に,期間の定めのある本件保証委託契約を一方的に解除する権利があるとの主張は争う。被告会社主張のとおり,本件保証委託契約を更新ないし延長しない旨の通知があったが,それによって契約が終了することはなく,被告らの再保証委託料支払義務がなくなることはない。
また,原告が契約締結を強制したことはなく,被告らは前記の契約条件を考慮した上で契約するかしないかを決定する自由があったのであり,最初の2年間賃料不払いがなかった場合でも,その後の更新に際して賃貸人が保証人のない契約を締結しなければならない理由はない。
(2) 仮に,被告らが,最初の2年間賃料不払いがなければ,その後の更新時には保証委託契約は更新されず再保証料の支払義務はなくなるとの錯誤に陥っていたとしても,賃貸借契約書及び保証委託契約書には,賃貸借契約が更新されたときは,保証委託契約も更新期間分延長され,再保証料を支払う旨が明確に約定されているから,被告らに重大な過失がある。
(3) 再保証料の支払いによって原告の賃貸人に対する保証責任を継続負担させ,本件賃貸借契約に基づく賃借人の地位を安定して享受することができるのであるから,賃借人に不利な特約として借地借家法30条ないしその趣旨に違反するとはいえない。
4 本件の争点
本件保証委託契約の有効性
第3 当裁判所の判断
1 認定事実
証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。
(1) 原告は不動産賃貸借契約に伴い,賃借人の賃料債務等を保証することを業とする株式会社であり,被告会社は中華料理店を営む資本金1000万円の有限会社,被告Bは被告会社の唯一の取締役である。
(2) 被告Bは中国武漢市に生まれた中国人であるが,F大学卒業後1989年にG大学の研究生として来日し,1991年にH大学大学院法学研究科に入学して2年間国際法を勉強し,1993年に日本語で修士論文を提出して修士の学位を取得して卒業し,I百貨店に就職して3年間勤務した。その後,2003年3月頃,知人から中華料理店の運営を任されたことから,自分の店を持ち,事業,会社を拡大して行きたいと考えるようになり,本件ビルを賃借して中華料理店を経営することとなった(乙5,被告代表者本人 )。
(3) 被告代表者は,仲介会社から本件賃貸借契約書(甲1)の文案を事前に示され, 目を通していた(被告代表者本人)。 同契約書(甲1) の特約条項には,「乙(賃借人)は本契約締結にあたり,甲(賃貸人)が指定する賃貸保証システムに加入するものとする」, 「本契約更新の際,賃貸保証システムも更新することとする」,「保証委託契約料,更新料は乙(賃借人)の負担とする」との記載がある。
(4) 賃貸人と仲介会社が保証会社として原告を選定し,被告代表者が保証人を選定することは認められなかった。本件保証委託契約書(甲2)は,契約当日に被告代表者に示された(被告代表者本人 )。同契約書第4条には,前記第2の1の(2)(イ)ないし(エ)と同旨の記載がある。
(5) 被告代表者は,原告と賃貸人間で締結された保証契約書 (甲5) の内容は,本件訴訟に至るまで知らなかった。
2 以上認定した事実を踏まえて,被告らの各主張及び原告の主張の当否について検討する。
(1) 保証委託契約の解除又は更新・延長拒否の通知による契約終了について
被告会社が原告に対し,2回にわたり本件保証委託契約を更新ないし延長しないことを通知したことに争いはない。しかし,本件保証委託契約は,賃貸人と被告会社間の賃貸借契約,賃貸人と原告間の保証契約と相俟って本件賃貸保証システムを構築しているものであり,期間の定めのある本件保証委託契約のみを被告会社が一方的に解除する権利があるとの主張にはなんら根拠がないといわざるを得ず,被告の主張は認められない。
(2) 公序良俗違反について
本件保証委託契約が締結された経緯をみても,被告らが契約締結を強制され,諾否の自由を抑圧されて契約したことを認めるに足りる証拠はない。
賃貸人が保証会社として原告を指定し,賃貸人と原告のみで契約内容を実質的に決定していたとしても,被告らには契約内容を検討する機会が与えられ,契約締結を拒否ないし留保することができたものと解される。また,仮に,被告ら主張のとおり,初回保証料が業界の水準に比べて約3倍近い高額であり(その根拠には疑問の余地があるが ,更新のたびに永久に再保証料を)取り続け再保証料の支払を軽減,免除される手続が存在しないなど,賃借人である被告らに一方的に不利益な条件であると判断したのであれば,契約締結を拒否ないし留保することができたものと解される。さらに,本件保証委託契約とともに本件賃貸保証システムを構築している賃貸借契約,保証契約には,賃料不払い等があった場合に物件の鍵を一方的に変更する権限を原告に与えるなどの原告の権利行使を容易に認める条項が含まれていることが認められるが,これらの条項に基づく原告の不当な権利行使が現実に行われ,これにより被告らになんらかの被害が生じたとの事実についての主張立証はない。
以上の事情を総合すれば, 本件保証委託契約締結の経緯及びその内容には,公序良俗違反により無効とすべき程の反社会性・反倫理性があるとは認められないというべきである。
(3) 錯誤無効について
被告らは,契約締結の際に,原告と仲介会社に対し,当初契約期間の2年間賃料を滞りなく支払えば,その後の更新時には保証委託契約は更新しない旨を申し入れ,これが受諾されたものと思っていたとして錯誤を主張している。そして,被告代表者は中国人であるが,賃貸借契約書(甲1)及び保証委託契約書(甲2)に,賃貸借契約が更新されたときは保証委託契約も更新期間分延長され,再保証料を支払う旨の記載があるのを見落としたと述べるが,F大学卒業後にG大学の研究生として来日し,その後H大学大学院法学研究科に入学して2年間国際法を勉強し,日本語で修士論文を提出して学位を取得したという経歴からすると,むしろ一般人よりは本件のような契約条項についての理解力が優れているとみるのが相当であり,仮に被告らに契約内容についての錯誤があったとしても,被告らに重大な過失があるといわざるを得ず,錯誤無効を主張することは許されない(民法95条但書)。
さらに,滞納なく賃料を払っても更新の度に賃料の30パーセントの再保証料を払い続けることは,信用が付加されるのに保証料総額は機械的に増加し多額になるという不合理な合意であり,重要な要素に錯誤があると主張する。しかし,最初の2年間賃料不払いがなく一定の信用が付加されたとしても,その後の更新に際して賃貸人がまったく保証人のない,無担保の契約を締結しなければならないとする合理的な理由もないというべきである。本件保証委託契約においては,2年間賃料不払いがないことによる信用付加については,再保証料を30パーセントに減額することで相当に評価されているのであり,保証料総額が機械的に増加する不合理な合意であるとの主張には理由がないというべきである。したがって,この点を理由とする錯誤無効の主張は認められない。
(4) 借地借家法違反について
前記のとおり,本件保証委託契約が,賃貸借契約及び保証契約とともに本件賃貸保証システムを構築している一体不可分の関係にあることは,被告らが主張するとおりである。しかし,賃貸借契約更新の都度,保証委託契約も更新し再保証料を支払わせることが,賃借人である被告会社に一方的に不利な条件を強いるものであるとする点は,当初の契約時点で被告らには諾否の自由があったこと,継続的な契約関係である賃貸借契約において契約更新後も一定の保証システムが随伴することに一定の合理性が認められること,再保証料の支払いによって原告の賃貸人に対する保証責任を継続負担させ,本件賃貸借契約に基づく賃借人の地位を安定して享受することができること,本件保証委託契約においては,2年間賃料不払いがないことによる信用付加について再保証料の30パーセント減額により相当程度評価していることなどを考慮すると,これを賃借人である被告会社に一方的に不利な条件を強いるものであるとして借地借家法30条ないしその趣旨に違反するとみることは相当でなく,被告らの主張は理由がない。
3 まとめ
以上によれば,被告らの主張はいずれも認められず,原告の請求には理由があるので,主文のとおり判決する。
東京簡易裁判所民事第9室
裁 判 官 藤 岡 謙 三
東京・台東借地借家人組合
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悪質な家賃取り立てから借り主を守る「追い出し規制法案」を政府がまとめた。これまでは民事トラブル扱いで警察は介入しにくかったが、無断で鍵を交換したり、深夜早朝に再三、取り立てたりすることを新法は違法行為として禁止。警察の捜査対象となり、懲役刑が科される。23日に閣議決定し、来年4月の施行を目指す。
新法では、賃貸住宅の大家や管理する不動産会社、借り主の連帯債務を請け負う家賃保証業者など、家賃を取り立てる側すべてが規制の対象になる。鍵を勝手に交換して借り主が部屋に入れないようにする▽家財道具を無断で持ち出す▽借り主が拒んだのに深夜や早朝に督促を繰り返す――といった行為は違法になり、2年以下の懲役刑が科される。
貸金業法と同様に、「人を威迫し、私生活の平穏を害する言動」が違法とみなされ、例えば、玄関への張り紙も、単に連絡を求める内容なら問題ないが、「払わない場合は荷物を撤去する」といった借り主を威圧する言葉だと違法になる。
賃貸住宅の契約では、親類や勤務先の企業が連帯保証人になることが以前は多かった。しかし、派遣社員が増え、核家族化も進み、連帯保証人を見つけられない入居者が急増。日本賃貸住宅管理協会の調べでは、最近の賃貸契約では4割に家賃保証業者が介在している。
ところが、家賃保証業者に法的な規制はなく、借り主との間で取り立てを巡るトラブルが続発。国民生活センターに寄せられた家賃保証業者を巡る相談件数は、2004年度の44件から、08年度には495件と10倍以上になった。
このため、家賃保証業者は国土交通省への登録を義務づける。無登録営業は法人が1億円以下の罰金、個人が5年以下の懲役か1千万円以下の罰金。取り立てに暴力団員を使ったり、滞納者への債権を暴力団に譲渡したりすることも禁じられる。
法案の検討を進める中で、滞納者をデータベース(DB)化して共有する動きが表面化。日本弁護士連合会などは全面禁止を求めていた。
これに対し政府は、実害がまだなく、過度な規制になるとして全面禁止を見送った。一方でDBの作成は借り主の同意が必須で、DBへの登録も拒否できるようにする。(歌野清一郎、室矢英樹)
法案の検討を進める中で、滞納者をデータベース(DB)化して共有する動きが表面化。日本弁護士連合会などは全面禁止を求めていた。
これに対し政府は、実害がまだなく、過度な規制になるとして全面禁止を見送った。一方でDBの作成は借り主の同意が必須で、DBへの登録も拒否できるようにする。
2010年2月23日 asahi.com(朝日新聞社)
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豊島区要町に住む加藤さんは2年前に近くの不動産屋の仲介でこのマンションに住むことになった。当初の契約では父親が連帯保証人となった。
今年3月に2年目の更新となり、仲介した不動産屋から更新の手続きについてという文書が送付されてきた。今までどおりに更新されるものと思っていた加藤さんは、書面をみて驚いた。更新するには連帯保証人を不動産会社指定の保証会社に変更することが条件であると記載されていた。
心配になった加藤さんは、インターネットで組合があることを知って、開催されていた西武百貨店の無料相談会に来た。その相談の中で「貸主の一方的な条件変更(連帯保証人の変更)は認められないこと。今回の更新時に、もしこのような条件変更で合意することできなくなった場合でも法定更新になること。その場合でも、契約上はなんら問題ないばかりか、法律上は期限の定めがない契約になり、今後は更新がなくなってしまうこと」が話された。
その上で、このような不動産会社が、借主の無知につけ込んで連帯保証人から保証会社に切り替え、その手数料で収入を増やそうと企んでいることが説明された。
東京借地借家人新聞より
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家賃保証業者でつくる社団法人「全国賃貸保証業協会(LICC=リック)」は、入居者の信用情報を一括管理するデータベース(DB)について2月1日から加盟13社で運用を始め、1年後に約100万件の登録を見込んでいることを明らかにした。DBには本人と特定できる個人情報に加えて滞納歴も記され、返済状況によっては今後、賃貸住宅を借りる際に契約を拒まれるケースが出てきそうだ。
LICCによると、DBの登録対象者は1日以降、加盟社と家賃の保証委託契約を結んだ入居者。加盟社は契約時に、不動産仲介業者を介して同意を取り付け、生年月日や電話番号などを登録する。さらに入居者に代わって家主側に立て替えた家賃の残高などを入力し、滞納事実と返済状況を特定する。
登録に同意しない場合について、LICCは「(保証委託契約の)審査を拒否することはない」とする一方、「加盟社がケースごとに判断する」とも説明。連帯保証を請け負う契約を結ぶか否かを審査する上で、マイナス材料になることを否定していない。
DBの情報は原則、退去から5年間保存される。滞納が続いていると、退去しても完済から5年間は消えない。このため、次の住まいを借りる際に、加盟社がDBの信用情報を照会し、「悪質な入居者」と判断されると契約を拒まれる可能性がある。
家賃保証業界は「追い出し屋」問題で批判された。DBも「社会的弱者が排除される」と日本弁護士連合会などが反対し、「ブラックリスト」とも指摘される。
LICCは「審査に通りづらくなるのは反復継続的な滞納者の一部。滞納歴がなければ、職業や収入、雇用形態にかかわらず保証が受けやすくなる」と説明している。(室矢英樹)
2010年1月30日 asahi.com
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● 賃貸住宅における賃借人の居住の安定確保を図るための家賃債務保証業の業務の適正化及び家賃等の取立て行為の規制等に関する法律案 (仮称)
賃貸住宅の家賃等の悪質な取立て行為の発生等の家賃の支払いに関連する賃貸住宅の賃借人の居住をめぐる状況にかんがみ、賃貸住宅の賃借人の居住の安定の確保を図るため、家賃債務保証業の登録制度の創設、家賃に係る債務の弁済の履歴に関する情報の収集及び提供の事業を行う者の登録制度の創設、家賃等の悪質な取立て行為の禁止等の措置を講ずる。
家賃の支払いに関する課題
<賃貸住宅への入居時>
○ 少子高齢化、人間関係の希薄化等により、連帯保証人の確保が困難
○ 弁済履歴情報データベース作成の動き
必要な対応
○ 家賃債務保証業者の業務の適正な運営の確保等、賃貸住宅への入居機会の確保
<入居中(家賃の滞納時)>
○ 深夜に及ぶ取立て等、家賃等の悪質な取立て行為の発生
必要な対応
○ 家賃等の悪質な取立て行為の禁止
法規制の概要
①家賃債務保証業の登録制度
・登録の義務付け
・保証委託契約締結の前後の書面交付義務
・帳簿の備付け
・従業者の証明書携帯
②弁済履歴情報データベースの登録制度
<データベース作成事業者>
・登録の義務付け
・業務規程の作成義務
・秘密保持義務
<加入業者>
・情報提供に関し、賃借人の同意取得義務
・情報利用に関し、賃借人への情報開示義務
③家賃等の悪質な取立て行為の禁止
・家賃債務保証業者、住宅の賃貸事業者、賃貸管理業者による悪質な取立て行為の禁止(取立ての委託先も含む。)
家賃債務保証業者の業務の適正な運営の確保を図るとともに、家賃等の悪質な取立て行為を排除すること等により、
賃貸住宅の賃借人の居住の安定確保を図る。
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国交省・民間賃貸住宅部会「最終とりまとめ」
追い出し屋を登録制で法規制
定期借家は普及促進
借地借家法改悪反対が課題に
民間賃貸住宅の紛争の未然防止、滞納・明渡し問題、民間賃貸住宅ストックの質の向上等について10回にわたって議論してきた国土交通省の社会資本整備審議会住宅宅地分科会民間賃貸住宅部会は、昨年12月14日に「最終とりまとめ(案)」を発表した。
この間、借家人の家賃の滞納で連帯保証人に代わる家賃保証会社が追い出し屋と呼ばれるように無法な家賃の取立てや鍵の交換・家財道具の処分などの悪質な行為が全国に拡大した。東借連と全借連も協力し、追い出し屋対策会議などの団体による運動の大きな盛り上がりによって、同部会でも家賃保証会社や管理会社に対する法律の規制が大きな争点となった。
最終とりまとめでは、家賃債務保証業務の行き過ぎた督促行為に対しては「貸金業法における取立て規制のような行為規制が必要」であるとして、家賃保証業を登録制にすることが提言された。
家賃滞納履歴DB化を容認
これを受けて政府は、来年春の通常国会に「追い出し規制法案(通称)」を提出し、家賃滞納者への深夜・未明の督促、無断での鍵の交換、家財撤去など強引な取立て・追い出し行為を禁じ、違反した場合には、管理業・サブリース業、家賃改修代行業などの業種を問わず、個人家主も含めて刑事罰を科し、被害救済に向け国交省と消費者庁が連携して取り組むことになった。
また、家賃債務保証業務等の適正化の方策と、滞納等が発生した場合の円滑な明渡しのための方策については、「分けて検討する必要がある」として、一部の家賃保証会社による賃借人の家賃滞納履歴のデーターベースの構築(ブラックリストづくり)については、「安易に保証を拒否することにつながりかねない」という意見がある一方、「民間事業者が取り組むこと自体禁止できない」との意見も出された。
今年の2月から家賃保証会社の団体は借主の滞納歴などの信用情報のデーターベースの稼動を始めており、借主の同意を求めるとしても、同意しなければ借貸住宅を借りられない恐れが出てきた。
定期借家がトラブル防止?
この他、「最終とりまとめ」では「契約解除事由の予測可能性の向上方策の検討」として、「契約解除の判断基準の客観化の立法措置」、「円滑な明渡しのために簡易に債務名義を得る仕組みの検討」、「定期借家制度の普及促進」等借主を簡単に追い出すことができる対策などが盛り込まれた。
とくに、定期借家制度については、「更新されることなく、確定的に賃貸借が終了することから、明渡しに関するトラブルの防止にも資する面がある」との提言が盛り込まれた。
これらの提言は、日本経団連や不動産業界の見解に沿った内容で、定期借家制度の廃止と正当事由の見直しなど借地借家法改悪反対の運動が今年の大きな運動の課題となってきた。
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