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東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

保証金/敷金トラブル/原状回復/法定更新/立退料/修繕費/適正地代/借地権/譲渡承諾料/建替承諾料/更新料/保証人

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借家の更新料支払い請求 (東京・台東区)

2005年09月08日 | 更新料(借家)

                 更新料の供託で危機を脱出

 

 台東借地借家人組合員の谷本さん夫妻は、台東区今戸で作業場(10坪)を月8万円で借りている。前回(3年前)の更新時に更新料問題で揉め、調停で更新料が家賃の3ヶ月分から1ヶ月分へと減額された経緯がある。家主は更新料が減額されたことにかなり固執している。

 本年、7月の更新を前に6月中旬、家主は翌月からの家賃値上げ2000円を通告し、現行家賃での受取を拒否した。それを受けて、組合は東京法務局に現行家賃8万円で供託の手続きをした。

 7月末に家主は更新料支払と更新料支払い特約付きの契約書へのサインと押印を強要してきた。
 8月中旬、更新料及び家賃値上げを撤回するように家主と交渉をした。結果、家主は2000円の値上げのみを撤回し、頑強に更新料の支払いに固執した。後日、「更新料を払わない場合は、家屋の明渡しを要求する」という趣旨を内容証明郵便で通告してきた。

 組合の顧問弁護士とも相談し、これ以上、更新料拒否を強行するのは危険と判断した。家屋の明渡し要求をされているので、取敢えず更新料も供託し、借地借家法26条の規定によって借家契約を法定更新することへ方針転換した。

 供託による更新料支払いには家主も肩透かしを喰った形になった。借家契約を法定更新することによて、更新料支払特約付の契約書にサインと押印をすること無く、借家の契約更新は成された。契約期間は借地借家法26条の規定によって「その期間は、定めがないものとする」ということになり、3年という期間の区切りが無くなるので、以後、法律の上では契約の更新は無くなる。これにより更新料支払から解放される第一歩を踏み出すことができた。

 

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【Q&A】 法定更新した場合の約定更新料は

2005年07月19日 | 更新料(借家)

     更新料支払特約は法定更新の場合には
        適用が無く更新料支払義務は無い


 (問) 京都地裁(2004年5月8日判決)で更新料支払特約があっても契約を法定更新した場合には、借主に更新料支払義務は無いという借家での判決があった。他に約定更新料の支払義務無しという借家に関する高裁又は最高裁の判例はあるのか。


 (答) 東京では更新料特約がある場合、契約を法定更新した時に更新料の支払義務の有無が裁判で幾度となく争われている。 
 具体的な判例で検討してみる。借主Aは、賃貸マンションを期間2年、更新の際は新家賃の2ヵ月分の更新料を支払うという更新特約が有る契約を結んだ。2年後の更新時に家賃の増額で紛糾し、合意更新ができなかった。Aは更新料を拒否し、相当と思われる家賃を供託し、法定更新の途を選択した。貸主は増額家賃・更新料の不払を理由に契約解除を通告し、未払家賃・更新料の支払と建物明渡を求めて提訴した。

 地裁は、約定更新料は法定更新には適用されず、支払義務は無いとしてAの主張を全面的に認め、貸主の請求を棄却した。

 控訴を受けて東京高裁は「法定更新の場合、賃借人は何らの金銭的負担なくして更新の効果を享受することができるとするのが借家法の趣旨であると解すべきものであるから、たとえ建物の賃貸借契約に更新料支払の約定があっても、その約定は、法定更新の場合には適用の余地がない」(東京高裁1981(昭和56)年7月15日判決)とした〈注1〉。

 この判決を不服として貸主が上告したが、最高裁は上告を棄却した。
 最高裁は「本件建物賃貸借契約における更新料支払の約定は特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」(1982(昭和57)年4月15日判決)と明快な判断を下している〈注2〉。

   このように更新料支払特約は合意更新を想定したもので、法定更新には適用されない。これは当然の結論である。借地借家法は経済的負担の無い法定更新を定めている。更新料特約は法の趣旨に反して借主に不利益な経済的負担を課している。特約が法定更新の場合にも適用されるとすれば、それは実質的に経済負担を強制する合意更新を義務付け、無償の法定更新を排除するに等しい。換言すれば法定更新制度の否定である。

     

 〈注1〉「借地・借家 更新料について」(東京借地借家人組合連合会500円)の資料4に判決が掲載されている。

 〈注2〉「借地・借家 更新料について」の資料3に判決全文が掲載されている。

 

 

             更新料支払特約は法定更新には適用されない。
                参照 (1) (2) (3) (4) (5)  

 

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借家の更新料支払特約 (東京・台東)

2005年05月23日 | 更新料(借家)

 京都で借主勝訴判決
 法定更新の場合は更新料の支払不要
 
 2004年5月18日京都地裁で更新料支払特約が有っても契約が法定更新された場合は、特約は適用されず、更新料の支払義務が無いという借主勝訴の判決があった。

 

 勝訴したのは京都借地借家人組合の組合員である。更新料支払が慣習化している京都では約定更新料支払義務無しの判決は初めてであり、京都の家主側に衝撃を与えた。

 元来関西圏は礼金・更新料の支払慣習が無い地域であるが、京都と滋賀は例外である。
 例えば、京都の中心部の1Kタイプ(約20㎡)の賃貸マンションの場合は
 ①家賃(5~6万円)、
 ②礼金(15~20万円)、
 ③敷金(15~20万円)、
 ④更新料(家賃の2ヶ月分)、
 ⑤管理費(5000~1万円)、
 契約期間1年というものが多い。
 京都と滋賀の敷金の精算は通常損耗も敷金でカバーする関西式の「敷引き」であるが、余りがある場合は原則返金するのが特徴である。

 京都地裁で争った借主の場合は1Kタイプのマンションで契約期間1年、家賃(6万2000円)、管理費(8510円)特約として更新料(家賃の2ヵ月分)、更新手数料(1万5000円)を支払うという契約で入居した。借主は先の例と同程度の礼金・敷金も支払っている筈である。家主の代理人の管理会社は、契約満了の1ヵ月前に前回と同一の契約内容の書類に署名・押印を求め、更に特約の更新料と更新手数料を請求してきた。

 契約内容に不満があるので借主は、①契約期間2年、②特約の更新料と③原状回復の承諾条項の削除を求めたが、管理会社に一蹴された。更新料支払か解約かを強要されたが、借地借家法に基づいて契約は法定更新された。だが、家主はあくまで特約に基づく更新料と手数料の合計13万4500円の支払いを求めて提訴した。

 裁判では法定更新された場合、更新料支払特約は有効なのか否かが争点となった。即ち借主の更新料支払義務の有無が争われた。

 (ア)家主は、更新料約定は有効であり、合意更新に限らず、法定更新にも適用される。従って借主は更新料等の支払義務があると主張した。

 (イ)借主は、更新料約定は合意更新を前提としたもので無効であり、法定更新には適用されない。従って更新料等の支払義務は無い。そもそも更新料約定は、消費者契約法10条によって無効であると主張した。

 (ウ)裁判所は「更新約定は全体としても、合意更新を前提としたものであって、法定更新には適用されない」として家主が特約に基づき「更新料及び更新手数料の支払いを求めることはできない」という判断を下した。

 この裁判で注目されたのは借主側が更新料支払義務無しの根拠として、今までにない消費者契約法10条を適用した点である。

 更新料約定は借主(消費者)に民法・借地借家法の適用上は存在しない更新料支払義務を課し、更に1年契約で2ヵ月分の賃料相当額という高額の更新料を課す暴利的なものである。これは借主の権利を制限し、又は借主の義務を加重する条項であって借主の利益を一方的に害するものは無効であるとする消費者契約法10条に違反する特約条項であると主張した。

 これに対して、京都地裁は「それが消費者契約法10条に違反するものとして無効であるかどうかはさておく」と判断を回避してしまったのは残念である。

  

 

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