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賃貸住宅更新料、首都圏と京都だけ突出して徴収~実態調査で明らかに

2009年10月10日 | 更新料(借家)

賃貸住宅更新料

首都圏と京都だけ突出して徴収 

 (実態調査で明らかに)

 2009年10月9日

 更新料問題に関する不動産業界の意識・実態緊急調査住宅・不動産情報ポータルサイト「HOME'S」を運営するネクストがHOME'S会員企業を対象に、更新料問題に関する不動産業界の意識調査・実態調査を実施。更新料をとっていない地域が多いことなどが明らかになった。1,796社から回答を得た。

 大阪高裁で賃貸住宅の更新料は無効との判断が出たが、今回の調査で実は大きな地域差があることが明らかになった。首都圏や京都では約9割の回答者が「更新料のみ」もしくは「更新料と事務手数料の両方」を設定しているのに対して、北海道では約9割、京都以外の近畿地方では約8割の回答者が「更新料も更新事務手数料も取っていない」と回答。更新料が地域的には限定的な商習慣であることが浮き彫りになっている。とくに首都圏では「更新料も更新事務手数料も取っていない」のはわずか1.7%に留まった。

 「更新料を設定している」と回答した会員企業に対して、設定している更新料の金額について回答してもらうと、ほぼ全地域で大半を占めるのは「更新料は家賃の1ヵ月分」とする回答。しかし京都の不動産会社では「更新料は家賃の2ヵ月分」 とする回答が最多となっている。更新料設定有無に加えてその金額設定にも地域差があり、賃貸借契約に伴う制度や金額については、全国規模で平準化されていないことも明らかになった。

 また、賃貸借契約更新料に対する考え方を聞いてみる(複数回答可)と、「昔からの商慣習」が56.7%でトップ。「オーナーの収益のため」41.7%、「更新時の事務手数料」36.1%と続き、賃貸借契約更新料に対する明確な判断基準が不動産業界内でも存在していない現状がうかがえた。


関連記事・リンク

「更新料問題に関する不動産業界の意識・実態緊急調査」(PDF)

 

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【Q&A】 更新料約定は消費者契約法10条に違反し既払更新料の返還請求が出来る

2009年10月06日 | 更新料(借家)

(問) 平成21年8月27日の借主勝訴の大阪高裁判決では、既に支払済みの更新料の返還請求が認められたというが、どのような内容の判決であったのか。

(答) 今回の大阪高裁の判決を前後して、更新料支払特約が消費者契約法10条に違反し無効という更新料を否定する判決が立て続けに出ている。

 例えば、平成21年7月23日の京都地裁判決では、支払い済みの1回分の更新料11万6000円が返還された。

 同年9月25日の同日3件の京都地裁判決では、既払更新料3回分(22万8000円)(判決文1)、もう一人は、1回分の更新料(11万6000円)(判決文2)の返還請求が認められた。このように、次々と過去に遡って支払った既払更新料の返還請求が実現している。

 もう1件は家主が未払い更新料(10万6000円)(判決文3)の支払いを求めた訴訟で、更新料支払特約は消費者契約法10条に違反し無効であるとして家主の請求を棄却した。

 これら消費者契約法10条を基にした更新料否定の判例の積重ねによって、<更新料根絶>の運動が更に加速されなければならない。そのためにも、これらの判例の検討は急務である。そこで、今回の逆転勝訴の大阪高裁の判例を中心に、借主が敗訴している1審の京都地裁(平成20年1月30日)判決も、検討する。

 <事案の概要> 平成12年8月に、以下のような内容で建物賃貸借契約を結んだ。契約期間1年(以後1年更新)、礼金6万円、家賃1か月4万5000円、敷金10万円、入居者相互会費1万500円、及び1年毎に更新料10万円を支払う約束(更新料約定)になっていた。

 契約書には、<更新料約定>が次のように記載されていた。
 第21条 (更新)
 契約書記載の賃貸借期間の満了時より,甲(貸主)にあっては6か月前,乙(借主)にあっては1か月前までに各相手方に対し更新拒絶の申出をしない限り,本契約は家賃・共益費等の金額に関する点を除き,更新継続されるものとする。但し契約書に別段の定めがある場合はそれに従う。尚この場合,乙(借主)は甲(貸主)に対し,契約書記載の更新料を支払わねばならない。

 更新料は平成13年~17年まで5回分50万円が支払われた。しかし、平成18年の更新の際、更新料の支払を拒否し、契約書に基づいて退去の1か月前に解約予告をし、11月分の家賃を未払いのまま、同年11月30日に退去した。

 借主は、退去後、既払更新料50万円と敷金10万円から未払い家賃(4万5000円)を差引いた敷金5万5000円の返還を求めて京都地裁へ提訴した。

 裁判は更新料の法的性質を中心に争われた。
 貸主側は、更新料は①更新拒絶権放棄の対価(紛争解決金)、②賃借権強化の対価、③賃料の補充(前払賃料)であると主張した。

 借主側は、①~③はいずれも更新料の法的性質を有していないし、何ら対価性を有しない不合理的なものである。更新料約定は消費者契約法又は民法90条により無効であると主張した。

 京都地裁(平成20年1月30日判決)は、更新料は①②は評価できるが、対価としての性質は希薄であり、主に③賃料補充(前払賃料)であると認定した。その上で、「本件更新料約定が無効であることを前提とする原告の不当利得返還請求には理由がない」として借主の更新料返還請求を棄却した。

 敷金に関しては、平成18年の更新料不払分(10万円)は敷金10万円によって充当され、「敷金返還を求める原告(借主)の請求には理由がない」として敷金返還請求が棄却された。

 借主はこの判決を不服として大阪高裁へ控訴した。

 大阪高裁は争点になっている更新料の法的性質①~③ を検討し、「契約において特にその性質も対価となるべきものも定められないままであって、法律的には容易に説明することが困難で、対価性の乏しい給付というほかはない」として貸主側の主張を採用できないと結論づけた。

 大阪高裁は特に1審で認められた更新料は「前払賃料」とみる見解(*)に対して、仮に更新料が前払い賃料であれば、借主が中途解約した場合、未経過期間分に相当する額の精算するのが当然である。だが、本件更新料については、そのような規定は定められていない。従って、「法律的に、これを賃料として説明することは困難であり、本件更新料が賃料の補充としての性質をもっているということもできない」 として貸主側の主張を斥けている。

 (*)過去の判例の検討をすると、更新料を「前払賃料」(賃料の補充)と見る見解は、合意更新と法定更新とに拘らず更新料支払特約があれば更新料支払義務を認めるという結論に馴染み易い傾向がある。

 その上で、大阪高裁は「更新料約定は、消費者契約法10条に違反し、無効であるというべきである」として更新料特約を否定した。従って、「更新料は法律上の原因なくして支払われた」ものであるから、既払更新料は返還すべきであるとした。

 但し、消費者契約法施行(平成13年4月1日)前の初回の契約分(平成12年8月15日締結)の更新料約定による平成13年8月支払の更新料(10万円)は有効とした。既払更新料(10万×5回)の内から10万円を除いた40万円が更新料返還請求として認められた。

 敷金に関して、大阪高裁は「本件更新料約定は無効であるから、被控訴人(賃貸人)がそれに基づいて更新料を敷金から控除することができない」と理由を述べた。貸主が敷金(10万円)から未払更新料(10万円)勝手に差引くことは許されないから、貸主に対して、敷金10万円から11月分の未払家賃(4万5000円)を差引いた5万5000円を返還するよう命じた。

 大阪高裁は、更新料約定に関して次のように述べている。
 「賃料を意味しない更新料という用語を用いることにより、賃借人の経済的な出損が少ないかのような印象を与えて契約締結を誘因する役割を果たすものでしかないと言われてもやむを得ないと思われる。すなわち、一般的に、全体的の負担額が同じであっても、当初の負担額が少ないを好む」人に対し、「賃貸物件の経済的対価として更新時にしか授受されない更新料を併用することにより、法律上の対価である家賃額を一見少なく見せることは、消費者契約法の精神に照らすと許容されることではない。・・・・被控訴人(賃貸人)が本件物件の賃貸により本件更新料に相当する金額をも含めた経済的利益を取得しようとするならば、更新料としてではなく、端的に、その分を上乗せした賃料の設定をして、賃借人になろうとする消費者に明確、透明に示すことが要請されるというべきである。」

 大阪高裁の見解は借主側の更新料の主張と同じである。次の通りである。「現在の更新料は、賃借人が物件を選定する際に主に賃料の額に着目する点を利用して、賃料については割安な印象を与えて契約を誘因し、結局は割高な賃料を取るのと同じ結果を得ようとする欺瞞的な目的で利用されているものである」。

 問題になっている京都の更新料は1年契約で更新料は家賃の2か月分以上というものである。東京の更新料は2年契約で家賃の1か月分というのが多い。例えば、東京式で言えば、家賃4万5000円、2年契約で更新料20万円は、家賃の4.4か月分の更新料となる。単純な比較で言えば京都の更新料は、東京の4.4倍ということである。今回の大阪高裁の判例が東京の更新料の場合に、そのまま適用されるかというと少々問題がある。

 取敢えずは、最高裁(1982年4月15日判決、昭和56年(オ)第1118号)の契約書に更新料支払約定があっても、法定更新された場合には更新料の支払義務がないという判例がある。これに基づいて更新料の不払を実行した方が賢明である。

 更新料を正当化するために後から珍奇な理屈を捏ね繰り回した結果が「前払賃料」説である。更新料と同じように不動産賃貸借契約では、意味不明な・曖昧な用語で徴収されているものに礼金、保証金、権利金、管理費等である。営業用店舗の保証金の「償却特約」もぼったくりの典型である。

 判決文でも述べられているように、曖昧なものは排除し、支払は家賃だけにすれば判り易い。それ以外の請求は認めない。シンプルにすれば、物件選びの比較も簡単になる。透明性を高めればトラブルも無くなる。 

 

     賃貸住宅の更新料の地域差(国土交通省2007年調査PDF)

 

  徴収率 平均額       徴収率 平均額
北海道  28.5  0.1   愛知県  40.6  0.5
宮城県   0.2  0.5   京都府  55.1  1.4
埼玉県  61.6  0.5   大阪府    0   0 
千葉県  82.9  1.0   兵庫県    0   0
東京都  65.0  1.0   広島県  19.1  0.2
神奈川県  90.1  0.8   愛媛県  13.2  0.5
富山県  17.8  0.5   福岡県  23.3  0.5
長野県  34.3  0.5   沖縄県  40.4  0.5

 

 

 

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賃貸更新料また返還命令…京都地裁 (2009年9月25日判決) 読売

2009年09月26日 | 更新料(借家)

 賃貸住宅の契約更新の際に支払いが求められる「更新料」を巡り、京都市内のマンションを借りていた熊本県と東京都の女性2人が家主側に支払い済み更新料計34万4000円の返還などを求めた2件の訴訟の判決が25日、京都地裁であった。滝華聡之裁判長は「更新料を定めた契約条項は、消費者の利益を一方的に害しており、消費者契約法に反して無効」として、いずれも家主側に全額の支払いを命じた。家主側は控訴する方針。

 更新料を無効とする司法判断は、7月に同地裁で、8月には大阪高裁で出ており、借り主側の弁護団は「判決の流れは、もはや止められない。家主側は不当条項を速やかに見直すべきだ」と話している。

 判決によると、熊本の女性は2003年4月、東京の女性は06年3月に入居。更新料は、いずれも1年ごとに賃料2か月分とする契約で、それぞれ3回分22万8000円、1回分11万6000円を支払った。

 家主側は訴訟で「更新料には賃料を補充する性質がある」などと主張したが、判決で、滝華裁判長は「趣旨不明瞭(めいりょう)な部分が大きい」と指摘。そのうえで「更新料条項について、情報や交渉力で格差のある借り主側に誤認状態で契約を結ばせ、不利益を与えた」とした。

 この日は、家主が借り主に未払いの更新料10万6000円の支払いを求めた訴訟の判決も京都地裁であり、佐野義孝裁判官は消費者契約法に基づき、契約条項は無効として請求を棄却した。

 

(2009年9月26日  読売新聞)

 

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賃貸マンション 3判決で「更新料無効」 京都地裁 借り主勝訴の流れ (2009年9月25日判決)

2009年09月26日 | 更新料(借家)

 賃貸マンションの契約で更新料の支払いを定めた条項の妥当性をめぐる3件の訴訟で、京都地裁は25日、いずれも「借り主の利益を一方的に損なう条項で、消費者契約法により無効」とする判決を言い渡した。7月の京都地裁、8月の大阪高裁に続く借り主側勝訴の判決で、下級審レベルでは無効判断の流れが優勢になってきた。

 京都市内で借りていた20代女性2人がそれぞれの家主に更新料の返還を求めた二つの訴訟では、瀧華聡之裁判長が、更新料1回分11万6千円、3回分計22万8千円の全額返還を命じた。更新料の支払いを拒否した男性(27)に家主が10万6千円の支払いを求めた訴訟では、佐野義孝裁判官が訴えを棄却した。

 判決は更新料の性質について「単に更新の際に支払う金銭との意味合いが強く、趣旨不明瞭(めいりょう)な部分が大きい」などと指摘した。家主側の「賃料の補充、前払いとしての性質がある」とする主張に対しては「対価性は認められないか、希薄」として退けた。

 家主側の弁護団は「最高裁の判断が出るまで争う」として3件とも控訴する方針。

 更新料制度をめぐる訴訟では、2008年1月の京都地裁、今年3月の大津地裁は「更新料は有効」としている。

 ■京の業者 制度見直し動きも

 賃貸住宅の更新料の支払いを求める条項について、25日の京都地裁をはじめ「無効」とする司法判断が積み重なるなか、京都の不動産管理会社の間では更新料制度を見直す動きも出始めた。訴訟については「返還命令は零細な家主にとって死活問題」と最高裁まで争う構えだが、新規の契約からは「更新料」の名が消えていく流れになりそうだ。

 不動産管理会社でつくる日本賃貸住宅管理協会・京都府支部の吉田光一支部長は「判決は厳粛に受け止めている。更新料の設定はあくまでも個々の会社、家主の判断になるが、見直しの動きは広がっている」と話す。管理会社によっては、新規契約の際に更新料を設定しないよう家主に勧めたり賃料の一部であることを入居者に説明するなど対応を変えているという。

 借り主側の京都敷金・保証金弁護団はこの日の判決後、「更新料無効の流れはもはや止めることはできない。消費者保護は時代の要請だ」とする声明を発表した。9月6日の電話相談を受けて希望者が集団提訴する意向であることを示した。

 

京都新聞 2009年9月25日

 

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賃貸マンション:更新料訴訟でまた無効判決 京都地裁 (2009年9月25日判決)

2009年09月26日 | 更新料(借家)

 賃貸マンションの更新料条項が有効かどうか争われた3件の訴訟で、京都地裁は25日、いずれも「消費者契約法違反で無効」とする判決を出した。7月の京都地裁、8月の大阪高裁と同様の判断で、更新料を無効とする流れの定着を示すものと言えそうだ。

 借り主が家主に、更新料計34万円の返還を求めた2件では、瀧華聡之裁判長が「更新料は極めて乏しい対価しかなく、贈与のようなもので、一方的に消費者の利益を害する」と述べ、全額返還を命令。定額補修分担金12万円も「同法違反で無効」とし、12万円の返還を命じた。

 逆に家主が借り主に不払いの更新料10万6000円の支払いを求めた訴訟では、佐野義孝裁判官が「更新料を賃料の一部や補充とみるのは困難」と家主側の主張を退け、請求を棄却した。

 

毎日新聞 2009年9月25日

 

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マンション更新料は無効 京都地裁判決 (2009年9月25日判決)

2009年09月26日 | 更新料(借家)

 賃貸マンションの契約更新時に借り主から「更新料」を徴収する契約条項の是非が争われた3件の訴訟で、京都地裁は25日、いずれも「消費者契約法に照らして無効」との判断を示した。家主側は控訴する方針。一方、借り主側弁護団は、更新料をめぐり勝訴が続いているのを受け、京都と滋賀の借り主を原告に来月にも集団提訴する予定だ。

 借り主が家主に更新料の返還を求めた訴訟2件では、瀧華聡之裁判長が家主側にそれぞれ22万8千円と11万6千円の支払いを命じた。家主が借り主に更新料の支払いを求めた1件では、佐野義孝裁判官が請求を棄却した。

 判決は、更新料について「賃料の補充や、借り主が借り続ける権利を補強する対価などの性質は認められない」「趣旨が不明瞭」「借り主側に重大な不利益を与える」などとしていずれも消費者契約法に反すると判断。「社会的に認知された制度だ」などという家主側の主張を退けた。

 更新料をとる慣行は首都圏や京都、滋賀、福岡などにある。07年の国土交通省のアンケートでは、平均額が最も高いのは京都で、家賃の1.4カ月分だった。

 判決のうち1件では、退去時の補修費の一定額を借り主に払わせる「定額補修分担金」の条項も争われた。判決は「通常損耗分は賃料に含める形で回収されている」として家主側に12万円の支払いを命じた。

 借り主3人は、大学や大学院在学中の03~06年に京都市内のマンションに入居。1~2年後の更新時に家賃2カ月分にあたる7万6千~11万6千円を支払うとの契約を結んでいた。(中川竜児)

 

asahi.com(朝日新聞社) (2009年9月25日)

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大阪高裁 「更新料は家賃の前払ではありません」 更新料請求は消費者契約法に違反

2009年09月25日 | 更新料(借家)

 平成21年8月27日、大阪高裁第2民事部(成田喜達裁判長係)は、更新料返還等請求の控訴審で家主側へ更新料請求は消費者契約法違反であるとの判決を言い渡しました。

 この訴訟は、京都市内の貸貸マンション居住者が月額4万5000円で契約し、1年ごとの契約更新の際、家貸の2ヵ月分相当額の10万円の更新料を支払う内容で契約し、06年11月までの退去時までに5回更新し50万円の更新料を支払っており、更新料支払い請求は無効であると、平成19年京都地裁へ提訴していたが、同地裁は更新料は家賃の前払の一部金であるとして居住者の主張を認めず敗訴しました。

 そこで、居住者は大阪高裁へ控訴し、家主側の「更新料は契約更新を拒む権利を放棄する対価だ」との主張に対して「家主の更新拒否はそもそも「借地借家法の規定で正当な理由がある場合に限られているとし、更新料徴収の理由に当たらない」また、更新料が「賃料補充の性質をもっている」との家主側の主張に対しても家賃増減と連動する契約にもなっていない」と更新料請求特約の正当性を否定する判決を大阪高裁が言い渡しました。

 同判決は、「1年毎に家貸の2ヵ月分相当額は高額」「借地借家法の規定を十分説明していない」「更新料を併用し、貸料を一見少なく見せることは消費者契約法の精神に照らしても許されない」。さらに同判決は、「更新料相当額を得ようとするのなら、その分を上乗せした賃料を設定し、消費者に明確、透明に示すことが求められる」と判断を下し更新料の返還を言い渡しました。

 家主側は、この大阪高裁の判決を不服として最高裁へ上告しました。

(*) 今回の大阪高裁(2009年8月27日判決)の判決文(PDF)が「京都敷金・保証金弁護団」のホーム・ページに掲載されている。

 尚、1審の2008年1月30日京都地裁判決の全文

 

全国借地借家人新聞より

 

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どのようにしたら、更新料の支払を拒否出来るのか (東京・台東区)

2009年09月15日 | 更新料(借家)

 木村さんは、引越しのピークを過ぎた6月になってから賃貸物件探し始めた。既に好物件は粗方入居済みであった。選好みをいっていられる場合でないので、仕方なく家賃は少々高目(10万円)であったが、平成19年6月、千代田線根津駅近くのマンションへ入居した。

 契約書は、貸主の姿勢が窺えるような内容である。細かい文字で10頁に亘り部屋の修復作業仕様書及びそのチェック項目が書かれ、借主の義務とその費用負担を強いるものばかりであった。

 不動産業者は契約時に近隣のマンション(8~9万円前後の家賃)より高めの家賃を気にして、次回の更新時(平成21年)には必ず家賃を値下げすると約束していた。

 平成21年の更新1か月前に不動産業者が更新内容を通知して来た。だが、家賃は値下げするという約束にも拘らず、1か月10万円、管理費も1か月5000円で据置き、更新料と更新手数料は家賃の1か月相当分(合計20万円)というものであった。

 不動産業者の約束無視と遣り方に憤りを覚え、インターネットで調べて台東借地借家人組合へ入会した。木村さんは組合と相談し、不動産業者へ更新料の検討と家賃の値下げを要望する文書を送った。

 不動産業者から「更新料は約定通り支払ってもらいますが、家賃については1か月当たり3000円の値下げすることの了解を家主から得ています」という回答があった。

 木村さんは3000円の減額では納得できずに、組合役員と一緒に不動産屋を訪れ、直接交渉を行った。話し合いの結果、3000円の値下げの他に管理費5000円もカットすると不動産業者は確約した。

 しかし、不動産業者も営業利益が絡む更新料と更新手数料に関しては護りを固め、譲歩する気配がない。これ以上交渉を続けても、埒が明かないので、交渉は取敢えず打ち切ることにした。

 今回の話合いは、家賃と管理費の値下げに重点かあったので、それを中心にを交渉した。従って、更新料と更新手数料に関しては、深入りしなかった。

 後日、木村さんと話合いをした。家賃の更なる減額要求をするよりも、取敢えず、更新料と更新手数料は一括で支払わなくてはならないから、費用負担が無い更新料不支払いを選択したいという希望であった。

 組合は当初から更新料に関しては、法定更新に持込む方針であった。そこで今回木村さんに少し勇気を出してもらい、借地借家法26条の規定に従って法定更新を選択し、最高裁の判例に従って更新料の不払いを実行することにした。

                                                                     


 借地借家法26条は、法律の定めに従い、契約条件が整えば、契約書を作成しなくても、契約は法律の定めに従い自動更新(法定更新)されると規定されている。その際、契約は「従前の契約と同一条件で契約を更新したものとみなす」とされている。「みなす」ということは、法律的には更新が確定したものとして取り扱うということである。

 仮に、家主が「契約の更新をする意思がないし、借主と契約の締結もしていない。事実、契約書は作成していないから契約は成立していない」と主張しても、それを法律的に覆すことは出来ない。

 また、法定更新された契約に不動産業者は何も関与している訳ではない。契約の成立に何ら介在している訳ではないから、不動産業者の労務報酬は発生しない。

 尚、「更新手数料」は更新手続を依頼した者が支払う。通常は貸主が不動産業者に更新業務を依頼しているので、不動産業者は貸主に労務報酬を請求するのが原則であり、貸主は依頼した更新業務が完了したことを確認した上で労務報酬支払う。更新業務を依頼していない借主に労務報酬である更新手数料を請求することは請求根拠のない違反行為であるである。

 尚、「不動産業者から更新時の更新手数料を支払うよう請求された」を参照。

 そして、法定更新された契約は、借地借家法26条の「但書」で「その期間は、定めがないものとする」と規定さている。例えば、2年契約なら期間が限定されているので、2年後には必ず契約の更新がある。しかし、契約期間が定められていないと、期間の区切りがないので更新は発生しない。言い換えると、法定更新をすると法律的には更新が発生しないので、2度と更新料の支払いが問題になることはない。

  建物賃貸借の更新料に関しては、最高裁(昭和57年4月15日判決・昭和56年(オ)第1118号)は「建物賃貸借契約における更新料支払の約定は、特段の事情の認められない以上、専ら右賃貸借契約が合意更新される場合に関するものであって法定更新された場合における支払の趣旨までも含むものではない」と判示している。

 換言すると、更新料支払特約があっても、借主が法定更新を選択した場合、特段の事情がなければ、更新料の支払義務はないということである。従って、貸主に借地借家法28条規定の裁判所が判断した正当事由がなければ、更新料支払い特約がある場合でも、借主は借地借家法26条の規定に従って、建物賃貸借契約を法定更新すれば、更新料支払を拒否することは可能である。そして、1度勇気をもって、更新料を拒否すれば、2度と更新料の支払が問題になることは無いということだ。


 大阪高裁(2009年8月27日判決)は「更新料支払特約」を消費者契約法10条に反して無効として、既に支払った過去4回分の更新料(合計で40万円)を返還させるという画期的な判決を下した。

 しかし、大阪高裁は、借主が過去に5回更新料を支払っているが、消費者契約法(平成13(2001)年4月1日)施行前に締結した初回の賃貸借契約(平成12年8月11日)に基づいて支払われた更新料(10万円)は有効として返還を認めなかった。

 ところが、借主は平成18年の更新の際、法定更新を選択し、更新料(10万円)を不払いした。この更新料不払いに対しても大阪高裁は、「賃貸借契約に定められた更新料約定は、消費者契約法10条に違反し、無効である」というこ基本的態度変わらないが、判決文の中で何回となく「法定更新の場合には、更新に条件を付することはできないため、更新料を支払う必要はないと解すべきである」或は「法定更新の際には更新料を払う義務がない」ということを指摘している。

 


 参考 借地借家法
 (建物賃貸借契約の更新等)
第26  建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の1年前から6月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、その期間は、定めがないものとする。

 前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

 建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)
第28条 建物の賃貸人による第26条第1項の通知又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況及び建物の現況並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

 

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更新2か月後に引越すので法定更新を選択し、更新料を拒否 (東京・町田市)

2009年09月14日 | 更新料(借家)

 賃貸マンションやアパートなどの2年契約の更新の際に、仲介した不動産業者から更新料(通常家賃の1か月分)と火災保険料(借家人賠償付)を請求される事例が多い。

 町田市本町で鉄筋2階建ての賃貸住宅(2DKで家賃6万2000円)に入居しているSさんも、2年契約が今年の8月末で満了するに当り、不動産業者から「前略、下記物件の賃貸借期間が平成*年8月31日を持って満了となりますが、以降は下記の条件で更新することが可能です。更新するか・しないかのご返答を同封の葉書にご記入、ご捺印の上、7月20日までにご返送下さいますようお願い申上げます。なお、更新される場合、更新期限の1か月前までに更新費用をお振込み願います」との内容で、更新料6万2000円、保険料1万5000円合計7万7000円が更新費用との通知が送られてきた。

 Sさんはマイホームを建築中で10月には新居に移転するので更新はしないと連絡したが、業者は「更新してもらわないと困る」の1点張り。結局、更新料の半分は不動産業者の収入になっているため、更新期間をたえ1か月すぎても更新料を請求するケースが多い。

 Sさんは組合に相談し、組合から「法定更新」に持ち込むようアドバイスを受けた。組合から業者に「賃借人は平成*年10月末日までに退去する予定です。ご案内の更新手続きは行いません。同年9月1日以降法定更新する所存ですので、合意更新の対価としての更新料はお支払い致しません」と通知した。

 不動産業者からは何らの連絡もなく、Sさんは更新料の不払のまま、1か月前に解約予告をした上、引越の準備を進めている。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料、100万戸に波紋 (朝日新聞) 2 大阪高裁(2009年8月27日判決)

2009年08月28日 | 更新料(借家)

 入居者側の弁護団は判決後、「逆転勝訴」「更新料は無効」といった垂れ幕を手に、大阪市北区で記者会見した。野々山弁護士(京都弁護士会)は「画期的な意義のある判決。更新料という、悪しき習慣を地域からなくしていく大きなきっかけにしたい」と満面の笑みを見せた。勝訴した原告の男性会社員(54)は会見に参加しなかったが「これを機に不当な契約条項をなくしてほしい」とのコメントを寄せた。

 男性は京都市左京区で00年にマンションを借りてから、家主に毎年10万円の更新料を支払った。「毎月の家賃4万5千円に比べて高い」と感じたが、仲介業者から詳しい説明がないまま契約書にサインした。退去後の07年2月、京都の弁護士らによる電話相談会「更新料110番」に相談。助言を受けて同4月、全国初の提訴に踏み切った。

 一方、家主側弁護団は記者会見で「更新料の支払いは家主と入居者が合意して正当に成立した契約であり、消費者契約法が介入する余地はない。消費者保護といえば何でも通る風潮はおかしい」
と不満をあらわにし、直ちに最高裁に上告する意向を示した。


 消費者契約法が効力

 今回の高裁判決は、更新料について、借り主は何の対価も得られないのに義務だけを課されたもので、消費者契約法の「消費者の利益を一方的に害する条項を無効とする規定」が適用されると判断。同法施行前に交わした賃貸契約に基づく最初の更新料は有効だが、同法施行後の契約更新に基づいて借り主が支払わされた更新料は無効とした。

 一橋大大学院法学研究科の松本恒雄教授(消費者法)は「原状回復や敷金返還などの一連の訴訟の流れをくんだ判決で、消費者契約法の影響が大きく出ている。『業界の慣習』として何となく続いてきたことに、『おかしいんじゃないの』という意識を持つ消費者が増えてきたのは消費者契約法による効果といえる」と評価する。

 ただし、すべてのケースで「更新料=無効」というわけではなさそうだ。「月々の賃料は安くしておいて更新料で取り返すというビジネスモデルはありえなくはない。今回の件も『更新料は家賃の一部で、年に1度更新料でまとめて前払いしてもらう代わり、家賃を安くしている』という説明をきちんとしていれば無効ということにならなっかったかもしれない」と話す。

 消費者契約法をめぐる問題は、入学金返還訴訟に端を発し、不動産契約上の消費者保護をめぐる問題は、04年ごろの敷金返還訴訟から、最近の更新料の問題へと移ってきた。

 東京都の不動産コンサルタントは「次の焦点は共益費や礼金だろう」とみる。「不動産契約という消費者に身近でわかりやすい問題だけに注目を浴びているが、保険契約の解約をめぐる問題なども同根。今後は消費者契約法をめぐる幅広い分野に影響が及ぶことになるかもしれない」

 

朝日新聞 2009年8月28日 朝刊

 


 

 今回の大阪高裁(2009年8月27日判決)の判決文(PDF)

 尚、1審の2008年1月30日京都地裁判決の全文

 

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賃貸更新料、高裁が無効判決 (朝日新聞) 1 大阪高裁(2009年8月27日判決)

2009年08月28日 | 更新料(借家)

 賃貸マンションの契約更新時に入居者から「更新料」を徴収する契約条項は消費者契約法に照らして無効だとして、京都市の男性会社員(54)が家主に支払い済みの更新料など約55万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。成田喜達(きたる)裁判長(亀田広美裁判長代読)は、請求を退けた一審・京都地裁判決を変更し、約45万円の支払いを家主に命じる逆転判決を言い渡した。家主側は上告する方針。

 高裁判決は、今回の更新料について「目的や性質が明確でなく、賃料の補充などの合理的な根拠を見いだすことは困難」と指摘。消費者の利益を不当に害する条項を無効と定めた消費者契約法に反し、同法が施行された01年4月以降の契約に基づいて支払われた40万円分を無効とした。家主が返還拒否した敷金約5万円も支払い対象とした。

 賃貸住宅の更新料を違法とする司法判断は7月にあった別の訴訟の京都地裁判決で初めて示され、高裁レベルでは今回が初めて。首都圏や京都などで続けてきた不動産業界に影響を与えそうだ。

 判決によると、男性は00年8月、京都市左京区のマンションに月4万5千円の家賃で入居。1年ごとの契約更新の際、家賃約2カ月分にあたる10万円の更新料を支払う内容の契約を家主と交わし、06年11月に退去するまで5回分の更新料(50万円)を払った。

 高裁判決は、消費者契約法施行後の更新契約の有効性を検討。家主側が「更新料は契約更新を拒む権利を放棄する対価だ」と主張した点について、家主の更新拒否はそもそも借地借家法の規定で正当な理由がある場合に限られているとし、徴収理由にならないと指摘。「賃料補充の性質もある」との主張も、家賃増減と連動する契約になっていないことなどを理由に退けた。

 さらに判決は、今回のケースは1年ごとに家賃2カ月分余りと高額▽借地借家法の規定を男性に十分に伝えていない、などといった問題点も指摘。「更新料を併用し、賃料を一見少なく見せることは消費者契約法の精神に照らして許されない」としたうえで、「更新料相当額を得ようとするのなら、その分を上乗せした賃料を設定し、消費者に明確、透明に示すことが求められる」と結論づけた。

 昨年1月の一審判決は家主側の主張を認め、入居者側に一方的な不利益を与えるものではないとして男性の請求を棄却した。

 消費者保護 鮮明に

《解説》 家主が契約更新ごとに借り手から徴収する「更新料」をめぐり、消費者契約法をあてはめて明確に違法と判断した大阪高裁判決は、近年の消費者保護の流れを鮮明にしたものといえる。

 退居時に「敷金」から修繕費が差し引かれる問題をめぐっては、消費者契約法が施行された01年以降、大阪地裁などで「敷金ぼったくり」訴訟が起され、違法とする司法判断が相次いだ。05年の最高裁判決も「修繕費は本来賃料に含まれている」と指摘し、「敷引特約」の条項は契約書から姿を消しつつある。

 更新料も、家主側の都合で「賃料の補充」「更新拒否の権利を放棄する対価」などとされ、長年放置されてきた。7月の京都地裁判決が同種訴訟で初めて不合理な慣行と断じ、今回の高裁判決も同様の考えを示した。

 家主側の反発は根強いとみられ、別名目で徴収する動きが出てくる可能性もある。しかし単なる価格転嫁は新たな批判を招きかねない。業界は、借り手が納得できる料金体系を示す時代が来たと受け止めるべきだろう。


賃貸住宅の更新料》契約更新時に借り手が家主に支払う費用で、戦後の住宅難で家主の立場が優位だった1950年代ごろから地域によって広まり、「慣習」として定着したとされる。国土交通省のアンケート(07年)によると、首都圏や京都、福岡などでみられ、平均徴収額が最も高いのは京都で家賃の1.4カ月分、最も安いのは北海道で同0.1カ月分。

 

朝日新聞 2009年8月28日 朝刊

 


 

 今回の大阪高裁(2009年8月27日判決)の判決文(PDF)

 尚、1審の2008年1月30日京都地裁判決の全文

 

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更新料訴訟控訴審 貸主に返還命じる判決 (毎日新聞) 大阪高裁(2009年8月27日判決)

2009年08月28日 | 更新料(借家)

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法に違反し無効だとして、借り主の会社員男性(54)=京都市=が貸主に更新料5回分など約55万円の返還を求めた訴訟の控訴審判決で大阪高裁は27日、男性の請求を棄却した1審・京都地裁判決を変更し、貸主に45万5000円の返還を命じる逆転判決を言い渡した。成田喜達裁判長(亀田広美裁判長代読)は「更新料の条項は消費者の利益を一方的に害しており、消費者契約法に反し無効」と指摘した。【北川仁士】

 更新料返還を認めたのは、別のマンションを巡る京都地裁判決(7月)以来2件目で、高裁では初めて。貸主側は上告の方針。

 判決によると男性は00年8月、同市左京区のマンションを借りる契約を貸主と締結。契約書には月額家賃4万5000円、更新料毎年10万円と記載された。男性は06年11月に退去するまで6回更新し、うち最後を除く5回更新料を支払った。

 1審判決は「更新料は賃料の前払いで、消費者の利益を一方的に害するものではない」としていた。

 これに対し成田裁判長はまず「契約時に更新料の説明は全くなく、賃料との認識はなかった」と指摘。そのうえで「借地借家法によれば、貸主側は正当な理由がなければ自動更新を拒絶できず、借り主に更新料支払い義務はないが、貸主側が説明していないため対等・自由な取引条件とはいえない」と述べ、更新料条項の違法性を認定。消費者契約法施行(01年4月)後の4回分の更新料と、男性が求めた敷金の一部の返還を命じた。

 判決後、男性側代理人の野々山宏弁護士は「貸主は、家賃を安く見せかけるための不当契約をやめるべきで、国も規制すべきだ」と訴えた。一方、貸主側代理人の田中伸弁護士は「消費者契約法を拡大解釈した不当判決だ」と批判した。

 

毎日新聞 2009年8月28日 

 


 

 今回の大阪高裁(2009年8月27日判決)の判決文(PDF)

 尚、1審の2008年1月30日京都地裁判決の全文

 

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更新料訴訟で原告逆転勝訴 (産経新聞) (2009年8月27日判決)

2009年08月28日 | 更新料(借家)

 賃貸マンションの更新料は消費者契約法に違反し無効として、京都市北区の男性会社員(54)がマンションの家主に、支払った5回分の更新料など55万5千円の返還を求めた訴訟の控訴審判決が27日、大阪高裁であった。成田喜達裁判長(亀田廣美裁判官代読)は「消費者契約法に違反し無効」として、原告側の請求を退けた1審京都地裁判決を変更、家主側に更新料を含む45万円の返還を命じた。

 高裁が更新料契約を「無効」とする判断を示したのは初めて。同種訴訟で更新料を「有効」とする判決が続くなか、7月に京都地裁が別の訴訟で初の無効判決を出し、高裁の判断が注目されていた。家主側は上告する方針。

 訴訟で家主側は「(もともと低く設定している)賃料の補充という性質がある」と主張したが、成田裁判長は「契約条項をみても更新料の説明がなく、単に契約更新時に支払われる金銭という以上の認識はない」と指摘。さらに、消費者の利益を一方的に害する契約条項は無効と定めた消費者契約法10条に違反するかについて、賃料補充の性質は認められない▽家賃の2カ月分余りと高額▽一見安い賃料という印象を与える-ことから「違反する」と認定した。

 一方、男性が支払った更新料5回のうち1回は、消費者契約法の施行前で公序良俗にも反せず、返還の必要はないとした。

 判決によると、男性は平成12年8月、京都市内の賃貸マンションに月4万5千円の家賃で入居。契約は1年更新で毎回10万円の更新料を支払う条項があり、男性は5年間で5回、計50万円を支払った。

 

2009年8月28日 産経新聞

 


 

 今回の大阪高裁(2009年8月27日判決)の判決文(PDF)

 尚、1審の2008年1月30日京都地裁判決の全文

 

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3店舗が結束して明渡しを拒否、今度は更新料請求で調停申し立て (東京・荒川区)

2009年08月12日 | 更新料(借家)

 荒川区に住むYさんは、地元で店舗を借りて35年商店を営んでいる。

 平成15年には更新の連絡がなく、しばらくして突然「建設計画のお知らせ」の看板が立ち、マンションの2階から3階はあっけなく追い出される始末。Yさんにも覚書の締結を求められたが、引越し費用も一切出ず、新店舗への入居も協議の上という内容でとても呑める条件ではなかった。

 その頃チラシをみて組合に相談、3店舗で組合に入り話し合いを重ねた。結果は新築断念、補強工事へ。一件落着かと思いきや今年7月に入って更新料を支払えと調停にかけてきた。Yさんたち3店舗は結束して拒否している。

 

東京借地借家人新聞より

 

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更新料特約は消費者契約法10条に反して無効 (京都地裁2009年7月23日判決)

2009年07月24日 | 更新料(借家)

 賃貸住宅の更新料は「無効」判決…京都地裁


読売新聞 2009年7月24日(金)

 賃貸マンションの契約更新の際に「更新料」の支払いを求める契約条項は、消費者契約法に反するとして、京都府長岡京市の20歳代の男性会社員が、支払い済みの更新料など46万6000円の返還を家主に求めた訴訟の判決が23日、京都地裁であった。

 辻本利雄裁判長は「入居者の利益を一方的に害する契約条項」と認定、同法に基づいて、更新料の契約条項を無効とする初の判断を示し、家主に請求全額の支払いを命じた。

 国土交通省によると、更新料が設定された賃貸住宅は京都や首都圏などに約100万戸あるとみられる。同種の訴訟では更新料を有効とする判断が地裁段階で続いており、判決は他の訴訟にも影響を与えそうだ。

 判決によると、男性は2006年4月、京都市下京区内のマンションに、賃料月5万8000円、2年ごとの契約更新の際には賃料2か月分の更新料を支払う、との内容の契約を結んで入居。08年の更新時に11万6000円を支払ったが、同5月末に退去した。

 裁判で家主側は、「更新料には賃料の補充的要素がある」などと主張したが、辻本裁判長は「更新後の入居期間にかかわりなく賃料の2か月分を支払わなければならず、賃借人の使用収益の対価である賃料の一部とは評価できない」と指摘。そのうえで、「家主が主張する更新料の性質に合理的理由は認められず、趣旨も不明瞭。男性に具体的かつ明確な説明もしていない」などと述べ、契約条項は無効と判断した。

 男性は今回の訴訟で、入居時に支払った保証金(敷金)35万円の返還も求めており、判決は保証金についても消費者契約法に照らして無効とし、請求を認めた。

 男性の弁護団は「判決内容は当然の判断」と評価。家主側の代理人弁護士は「拙速に出された判決で遺憾。内容を精査し、今後の方針を決めたい」としている。

 

京都地裁(2009年7月23日判決) 判決全文

 

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