東京・台東借地借家人組合1

土地・建物を借りている賃借人の居住と営業の権利を守るために、自主的に組織された借地借家人のための組合です。

借地の明渡請求をされ、直ぐに借地の更新請求で回答した (東京・台東区)

2009年04月07日 | 借地の諸問題

 台東区鳥越で借地している田中さんは、昨年5月末日で借地契約の20年が満了した。地主は何らの正当な理由もないまま期間が満了したというだけで借地の明渡しを請求してきた。

 田中さんは知人の紹介で組合に相談した。組合役員から債務不履行などがなければ、また、当事者の合意で契約を解約しない限り、期限が満了しただけでは借地を明渡す必要がないことなどの説明を受けた。

 民法の規定では、借地期間が満了すると、借主は原状回復して土地を返還しなければならない(民法616条・598条)。従って、借地人は建物を取壊して土地を賃借した当時と同じ更地状態にして貸主に返さなければならない。

 しかし、それでは借地人が資金を投じて家を建て、そこを中心にして生活してきたのに、期間が満了したからといって、現在居住できる家屋を取壊して屑材木にしてしまうのは経済的見地からも社会的損失である。

 そこで借地法4条は、期間が満了しても、借地人が希望すれば、借地人の一方的な請求によって契約が更新される場合を定めている(借地法4条1項)。借地の更新請求によって、更に借地権を堅固な建物の場合は30年、その他の木造建物等については20年間存続すると規定されている(同法4条3項)。

 もし存続させることが不適当だとしても、強制的に地主に家を買取らせて、借地人の投下資金を回収出来るよう規定している。従って、借地人の費用負担で建物を取壊して更地にして、地主に返還する必要がなくなった。(同法4条2項)。

 早速、田中さんは地主宛に借地法4条1項に基づいて、「借地契約の存続期間は満了しましたが、宅地上にはなお建物が存在しておりますので、前の契約と同一条件で借地契約を更新して頂きたくご請求致します。従って、土地の明渡しには応じられません。」という趣旨の「借地の更新請求」を配達証明付き内容証明郵便で地主に送った。

 その後約1年が経過するが、地主からはその後、何の反論もなく、すんなり地代も従来通り地代受領している。


 参考法令
 民法

第598条  借主は、借用物を原状に復して、これに附属させた物を収去することができる。
 
第616条  第594条第1項、第597条第1項及び第598条の規定は、賃貸借について準用する。

 借地法
第4条
 ①借地権の存続期間が満了する場合において、借地権者が契約の更新を請求したときは、建物がある場合に限り、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。ただし、借地権設定者が遅滞なく異議を述べたときは、この限りでない。
 
② 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

③ 存続期間は、更新の時から起算して、堅固建物については30年、非堅固建物については20年とする。ただし、建物がこの期間の満了前に朽廃したときは、借地権はこれによって消滅する。 
 

 

東京・台東借地借家人組合

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