At The Living Room Reloaded

忙しい毎日の中で少し足を止めてみる、そんな時間に聴きたい素晴らしい音楽の紹介です。

Smile / Judy Anton

2013-06-08 | Japanese AOR
ニューヨーク生まれのシンガー、ジュディー・アントンによる1980年の作品。彼女は生粋のアメリカ人でありながら父の仕事の関係で13才で来日しており、一時期は11PMのカバー・ガールやTBSの朝の情報番組のお天気キャスターを務めたこともあるそうですが、本作はそんな彼女が日本のフュージョン界の面々と吹き込んだ一枚で、その筋では非常に人気の高いアルバムです。昨今の和モノ復刻ブームを見ていて、近いうちに再発されるだろうと思っていたら案の定来月にはめでたくCDリイシューがされるそう。AORというよりはフュージョン~スムースジャズと表現した方が適切なアルバムですが、数ある和モノ作品の中でもトップクラスの名盤であることは間違いないので、既にオリジナル盤を所有している身としても今回のCD化は素直に嬉しいです。収録曲8曲のうち日本語詞が4曲。日本で芸能活動をしていたことを考えれば当然なのですが、日本語での歌唱にまったく違和感がないことに驚きます。ガイド本なのでよく取り上げられているA-1のLiving In The Cityも普通に日本語詞。AB'sの松下誠によるアレンジで、見事なまでにシティポップを表現しています。間奏で入るスクエアの伊東たけしによるサックスも、いかにもと言った雰囲気で良い感じ。和モノ関連のフリークならば、まず間違いなく一発でノックアウトでしょう。ただ個人的には、彼女自身が英詞で作詞したA-2のBaby Don't You Cryがアルバム中でもっともお気に入り。ある種の神々しささえ感じる天使のような歌声が印象的なミッドテンポのメロウナンバーです。やさしく美しいメロディーラインが耳に心地よく癖になる一曲。カーペンターズあたりが好きな人はまず間違いなく好みでしょう。ちなみにB-1のThe River Must Flowはジノ・ヴァネリのカバーで、こちらもガイド本によるリコメンドの常連。タイトなリズムが気持ちいいライトメロウなブラコン調ナンバーに仕上がっており、その筋で人気があるのも頷けます。オリジナル盤はそれなりに高額となっているため、正直広く一般にはお勧め出来るような類の盤ではありませんが、CD化されるとなれば話は別。まだ聴いたことないという方は今回のCDリイシュー時に是非チェックしてみてください。
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Tony Comer & Crosswinds / Same

2013-06-08 | CCM
CCMの大手レーベルWord傘下のMyrhhより1980年にリリースされた一枚。全曲でリードヴォーカルを務めるトニー・コーマーと、その仲間7人によって結成された黒人ヴォーカル&コーラス・グループの1stです。一般的にはゴスペルの範疇に入る作品だと思いますが、プロデュースを務めているのがシーウィンドのラリー・ウィリアムズで、演奏メンバーには同じシーウィンドのキム・ハッチクロフトとポーリン・ウィルソン、そしてお馴染みハドリー・ホッケンスミスを始めとしたコイノニア勢が名を連ねているため、比較的CCMというかモダンソウル色が強めの洗練されたアルバム。このような経緯からAORファンの間でも人気が高く、またレア度もそれほど高くないため、この手のマイナー系クリスチャン・ミュージックの間では基本蒐集盤のうちの一つとなっています。収録曲中で特に人気が高いのはA-2のStrong Foundation。自身でも作品をリリースしている黒人ゴスペル・シンガーのアンドレ・クロウチと御大スティービー・ワンダーによる共作で、いかにもスティービーと言った趣のライトメロウなミディアム・ナンバーに仕上がっています。リバイバル以降のAORファンは誰もが多かれ少なかれスティービーの影響下にあることは間違いないので、この曲に人気が集まる理由も納得。また個人的に気に入っているのはポーリン・ウィルソンとのデュエットで歌われるB-1のI'm In Love。AORだとかモダンソウルだとか言うよりもスムース・ジャズと言った方がしっくり来るスロウ・ナンバーですが、アーベインな香り漂う演奏の中で優しく響くポーリンの歌声が心地良い魅惑の一曲となっています。またB-2のTake Me Higherはアルバム中で最も黒いジャジーかつアーバンなスロウ。ブッダブランドのデヴラージが選曲するような雰囲気の曲が好きな人ならまず気に入るはずです。ちなみにこの作品、実はこっそりとCD化もされているようですが、amazonを見る限り異常な高額が付いているので、おとなしくLPで購入した方が良さそう。Cool Soundあたりから再リイシューすればそれなりのヒット作になりそうな気がしますが、今のところはアナログ派向けの作品です。まだ知らないという人は是非聴いてみてください。
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