(前回からの続き)
本稿の前段で、市場の力に引きずられる形で否応なく開始される(?)QE4(米FRBによる量的緩和策第4弾)の前後では下記のような価格等の変動があるだろう、と書きました。
QE直前:株↓、債券↓、長期金利↑、ドル/円↓、原油↑、金↑
QE直後:株↑、債券↑、長期金利↓、ドル/円↓、原油↑、金↑
おそらく―――あくまでも個人的な予想ですが―――QE前後ではドルの実質価値が一貫して下落していくため、インフレが激しくなるでしょう。よってこのように原油・・・を筆頭とする原材料価格は上昇する可能性が高いと考えています。まあ原油価格は需給とか国際政治情勢にも大きく左右されるので将来の変動予測は難しいですが、ドル=「石油交換券」の価値がこうして下がれば、ドル建て価格はその反比例で自ずと上がることになる、と保守的にみておいたほうがいいでしょう(?)。
ここで先述「自然の成り行き」(市場の自動調整機能)に委ねていれば、たとえ原油のドル建て価格が跳ね上がっても、円がドルに対して高くなるので、円建て価格の上昇幅は大きくはならない、あるいはむしろ下落し、石油・天然ガスのほぼ100%を輸入に頼る日本経済に深刻なダメージは及ばないと思われます(?)。
しかし・・・安倍政権・黒田日銀は前回記したようなこと―――暴落するドルに付き合わせるように円の価値を意図的に落とす金融政策(=永久緩和!?)―――をやるおそれ(?)が十分にあるわけです、この危急局面で・・・。なぜなら、そうでもしないとガソリン価格や電気代が下がってしまい、インフレが起きない・・・ばかりか物価が緩やかに下がってしまうかもしれないからです(・・・って、この「円高デフレ」、国民にとっては歓迎すべき状況だと思うけれど?)。
以前から指摘しているように、アベノミクス各位は物価上昇の質の良し悪しの区分ができておらず、それがガソリン代高騰によるものであってもインフレなら何でも大歓迎!の立場です(?)。したがって物価押し上げ効果が大きい石油価格のつり上げ(≒悪性輸入インフレ)にどうしても頼りがちになります。なので米QE前後では、さらなる通貨安誘導で国民に高いエネルギーコストを強いる恐れが・・・。こうしてわたしたちは前述「進み地獄」の深みにハマっていくという次第です、(与野党の区分なく)政界・財界・マスコミ界、はては(左翼政権?が官製春闘をやってくれるせいで、すっかり影の薄くなった)労働組合(?)までがこぞって「アベノミクス万歳!」を唱えながら・・・(?)
・・・ホントに残念ですが、こんな有様の日本では人々は個人で備えを固めるしかないのでしょうね。どうするか?・・・って、上に書いたとおり。つまり原油等と同様に、QEの前で「↑」、後でも「↑」となると予想されるモノに資産価値を逃がしておく・・・ってことだと個人的には思います、いつもの結論になりますが・・・
(「リスク投資手仕舞い、『戻り地獄』ダメージを最小化せよ」おわり)
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