わたしたち(日本経済と国民の経済生活)を蝕む最大の要因は為替レートの円安です、繰り返し指摘のとおり。よって、これが円高に向かうよう促すことこそ政府・日銀の政策の(経済をプラス成長させる・実質所得を増加させる、等の意味で)正しい方向性であるべき。であればその逆の円安進行は当然、NG。それがどれほどプラスに見えても、です。その代表例が・・・
株・・・価が暴落しています。5日の日経平均の終値は31,458円と、前日比マイナス4,451円で、一日の値下がり額としては過去最大(下落率12.4%は過去2番目の大きさ)となりました。その大きな理由について本邦メディアの多くは円高をあげています。つまり・・・先日の日銀の利上げ(政策金利上限を0.1%から0.25%へ引き上げ)から窺える日本の金利の先高観と景気後退が意識されるアメリカでの早期利下げ期待から日米金利差の縮小が予想されることで円がドルに対して買われて円高傾向となるところ「円高は輸出企業にとってはマイナスの影響があるので、結果として株価を下げる要因にもなっている」(NNN)といった感じ。実際、株価の急激な下落と平行するかたちで円がドルに対して急騰し、現時点(日本時間5日21:00)で1ドル141円台と先週末から7円以上も円高ドル安になっています。
もっとも、この円高進行そして株安の双方の急速ぶりからすれば、これを現出させたマーケット参加者の思惑は以下のとおりで、上記の報道の解釈とはかなり異なっているはずです。でその実態は・・・現時点の本邦株式市場の参加者の「主役」は欧米投資家(東証統計によると、7月第4週の投資家別売買株数に占める外国人投資家の売買合計割合は62.8%)であるところ、いままで彼ら彼女らは超低利の円を市中調達し、これで日本株の売買を繰り返してきましたが、上記から円高となれば、外貨換算の借金額が膨らむため、一刻も早く返済用の円を確保するべく株を投げ売った、といったあたりでしょう。でなければ、日本市場だけこれほどのスピードで株安&通貨高が進むはずはありません。実際、先週末の米ダウ平均は対前日比で約1.5%の下落にとどまっています(本日[5日]の米市場は分かりませんが・・・)。
このあたりは、相変わらず、こちらの以前記事に書いたとおりの展開といえます。つまり、日本の株価そして為替レートは引き続き株高円安・株安円高の逆相関の関係にある、ということ。そこは同記事、そして上記のように、本邦同市場を実質的に動かしているのが欧米投資家であること、および、その元手が(超低金利の)借金としての円であること、の2点から説明がつくところです。同投資家の立場からすれば、円高のときに円を借りて日本株を買い、その後に株高と円安が進んだときにこれを売れば、株売却益に加えて為替差益もゲットできる、というダブルでオイシイ取引になる・・・ことの反映で株高円安になる・・・わけですよ。もちろん、これが逆回転したらどうなるか・・・が、本日(5日の日本株式市場)の、株安円高・・・
まあこんな具合ですね。株、なかでも日本株は、このように金利差に着目したマネーゲームそのものです。したがって、上記「輸出企業」がどうのこうの…なんてほぼ無関係と断言できますよ。そうでないのなら、実質賃金25か月連続(今年6月)マイナス!継続中&21世紀の世界でGNP・国民所得の最大のマイナスを記録中の超~絶不調の本邦経済のもとで、株価ばかりが絶好調(先月中旬、日経平均4万2千円台の史上最高額に到達)になるワケがないでしょうに・・・