(前回からの続き)
本稿では、小泉進次郎・自民党筆頭副幹事長の最近のご発言を取り上げつつ、国会議員の責務等について思うところを綴っています。で前回は、それらをカタチに、つまり法案にまとめて法律として成立させることの重要性について書きました。国会議員すなわち立法府に属する人が果たすべき当然の役割をあらためて指摘したものです。
ですが・・・前述のように実態は違います。先生方が(たいへん失礼ながら)政策や法案をちゃんと作れないせいもあるでしょうが、それ以上にわが国の国会には政治家の立法活動を妨げるかのような(?)ルール等がいくつも存在している点が重大だと思われます。そのあたりが窺える代表例が「議員立法」。これ国会法上、衆議院では20人以上、参議院では10人以上の賛成がないと提案ができないことになっています。そればかりか衆院では、各議員が所属会派の承認を経ずに提案した法案を議院事務局が受理しない慣行?まであるそうです(議員が政党幹部等に無断で?法案を提出するのを防ぐ目的らしい?)。
これらを氷山の一角(?)として、どうもいまの国会には、立法作業という国会議員(≒国民)の本来の仕事にあれこれ制限がかかっているように感じられる面があるわけです。有権者が認めた立法者であれば、たった一人でも法案を提出できてよさそうですが、露骨な利益誘導法案の乱発を防ぐため、といったもっともらしい(?)理由で、それが許されていない・・・。その真のねらいは・・・政治家の活動にこうして「かせ」をかけることで事実上の立法権を国会・・・ではなく政府が握っておくため、ではないか・・・(?)
現にいまの国会では議員立法よりも政府(内閣)提出の法案のほうが明らかに上位にある―――審議や議決が優先的に行われる―――傾向にあります。実際に直近3回の通常国会(189,190,193回)の法律の合計成立件数を比較すると、前者の40件に対して後者は179件と両者合計の8割以上。それだけ「行政」府すなわち各省庁の役人たちが実質的な「立法」活動をリードしていることになります。このあたり、自分たちが実行したい政策を裏付ける法律は自分たち自身が作る(政治家≒国民には作らせない)!という官僚諸氏の強い政治的野心?を感じるものです・・・って皆さん、選挙の洗礼(国民の信託)を受けてはいないけれど?
他方、そもそもの「lawmaker」(法律を作る人:米語で議会議員)各位は・・・先述のとおりです。ご紹介した小泉氏の問題意識の根本には、この国の国会をめぐる上記の制度的な現状が大きく影響していると考えています。