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国債格付け「AA-」の日本円に負ける「AAA」諸国通貨②

2012-08-01 00:02:36 | 世界共通

前回からの続き)

 つぎにこれら4カ国およびわが国の経常収支を比較してみます(以下のグラフ)。これを見ても分かるように、国債格付けAAA4カ国のうち2002年以降、安定的に経常黒字を計上しているのはドイツだけ。カナダはここ数年、そしてイギリスとオーストラリアに至っては恒常的に経常収支が赤字となっています。



 ドイツは2002年のユーロ発足以後、急激に経常黒字を増やしています。ユーロ圏共通通貨の誕生で為替変動リスクが無くなったことでユーロ圏諸国相手に貿易黒字を稼いでいる様子が窺えます。実際、そのことの裏返しのように、ユーロ圏のPIIGS諸国は、同じ期間に経常赤字を大きく増やしています。

 その一方、ドイツは2001年以前は旧通貨マルク高の影響等もあって経常赤字が続いていたことから、まさにユーロ導入で形勢逆転といったところです。その意味ではドイツこそユーロの最大の受益者ということができるでしょう。だから先日ここに書いたように、ドイツは、いまの繁栄をもたらしてくれた共通通貨ユーロを守るため、ESM(欧州安定メカニズム)への出資などのコストを最大限支払う必要があるのかもしれません。はたしてドイツは国債のAAA格を維持したままでその莫大なコスト負担にどこまで耐えていけるのか、注目ですね。

 イギリスは慢性的な経常収支赤字国。そのせいもあって、通貨ポンドは長年にわかってドルや円などの通貨に対して下落傾向をたどってきました。もっとも最近は、動揺するユーロからの逃避マネーがイギリスに向かい、ポンドがユーロに対して値上がりしているほか、英国債が買われて価格が上昇(利回りが低下)するなど、イギリスにとっては資金調達などの面で好ましい環境となっています。

 しかし、まもなくPIIGS諸国のソブリン危機が本格的にイギリスの金融システムに及ぶことでしょう。イギリスの金融機関が抱えるPIIGS諸国向けの投融資残高は約3500億ドル(2011年6月末)と、イギリスGDPの15%にも達しています。近いうちにこれらのかなりの部分が貸し倒れとなったり多額の評価損を生み出すことは避けられないでしょう。こうした事態を受け、イギリス政府は巨額の公的資金を金融機関に注入せざるを得なくなるとみています。これはイギリスの財政をさらに逼迫させる大きな要因となることから、この局面で英国債の格下げ等の可能性が出てくるでしょう。

 いま欧米金融界で大騒ぎとなっているLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)をめぐるスキャンダルは、そもそもリーマンショック後に英大手銀行バークレイズが経営不安とみられないように意図的に金利を低めに申告することにしようという談合から始まったようです。どうやら、同ショックによるダメージやその後の欧州金融不安の広がりで、バークレイズを含むイギリスの多くの金融機関の資産が相当に劣化していそうだな、と推察しています。

続く


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