(前回からの続き)
それにしても、どうして英国は前述のような「何もない国」(より正しくは、自国民のニーズに応えるモノおよび外国に売れるモノの双方ともに[って、野菜すら!?]満足に作ることができない国)になってしまったのでしょうか? その理由のひとつが、同国の通貨「ポンド」にあると考えています。
ご存知のようにポンドは米ドル以前の世界の基軸通貨であり、いまでこそその相対的地位は下がったものの、ドル、ユーロ、円に続く世界第4の国際通貨として金融市場で活発に取引され、またIMFのSDR構成通貨にも採用されています。したがって英国民は、ポンドを差し出しさえすれば外国はその価値を認めてモノを売ってくれるから、何も自分たちで苦労しなくてもいいや、となってモノ作りを怠ってしまったのではないか・・・
・・・っても、それができた(植民地を搾取できた大英帝国)時代はとっくに・・・遅くとも20世紀には終わっているし(?)、個人的にはいまでもポンドを持ちたがる人が世界にいることが不思議なくらいです。以前から書いている通貨の私的定義のひとつ「その通貨発行国のモノやサービスとの交換券」に照らせば、上述のとおり英国には、同国内外の人々がポンドを貯めて買いたくなるようなもモノやサービスは「何もない」・・・は、さすがに言い過ぎですが、ロンドンの不動産とか資源株みたいな投資商品かスポーツやエンタメなどの英語コンテンツくらいしかないでしょうからね(?)。当然、それらだけでは6600万人もの英国民が、巨額の経常赤字を垂れ流しながらもいまの贅沢な暮らしを続けることなんて本来、できるはずがない・・・のですが、何とかできている(?)のは、その通貨ポンドが・・・超~過大評価されているからにほかなりません(?)。
「Brexit」(英国のEU離脱)、そして付加価値を創造する日本企業等がこれを機に英国から退去することによって、あらためて英国の「何もない」様が露わになりつつあります。それはその通貨ポンドの真の実力が露わになること―――ポンドの交換価値が上記で言う「何もない」レベルと同等だということ―――でもあります。よって今後、英国民は激しいインフレ(ポンドの暴落)を免れることはできないでしょう・・・
ちなみに、ホンダの英国撤収決定に関して同国のテレーザ・メイ首相は「失望」を表明しています。それが、ポンドの価値を裏付ける役割を担ってきたホンダを恨めしく思う気持ちだとしたら筋違いでしょう。むしろホンダに出ていかれてもそれを補う「道路走行車両」を作れない自分たち自身の能力レベルに対して失望するべきなのでは・・・って、「道路『外』走行車両」とかなら英国の紳士淑女各位はスゴイの作っちゃったりするけれどね・・・(?)