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【Brexitで対EU輸出品に関税なら英国にいる意味なし?】英国には「何もない」ことを知らしめる日本②

2019-02-27 00:03:05 | ヨーロッパ

前回からの続き) 

 前回記したように、本邦大手自動車メーカー「ホンダ」がこのほど、2年後の2021年に英国からの撤収を決定した理由は、「Brexit」(英国のEU離脱)にともない、英国からEU諸国への輸出品に関税が賦課されること等によって、英国にEU市場への輸出拠点を置く意味もメリットも消滅してしまったためでしょう。

 そのあたりの状況はホンダばかりか、英国に工場進出しているトヨタ自動車日産自動車にとっても同じです。Brexit後の英国での自動車生産環境は、EU貿易などの観点から、同前よりも悪くなることはあっても良くなることは期待できないでしょう。したがって現在、両社ともに水面下では英国拠点の縮小か、ドラスティックな場合はホンダに続いて撤退を検討していることと想像します・・・

 他方、英国にとって、ホンダをはじめとする日系企業各社の脱・英国の動きは非常に心配されるものとなるでしょう。工場閉鎖等によって、少なくとも数千人規模の雇用が失われるのはもちろん、英国の自動車輸出額が大きく減少するいっぽう、国内生産台数が減る分だけ外国からの自動車輸入が増え、差し引きの貿易赤字が拡大し、ただでさえアメリカに次ぐ世界ワースト2の経常赤字状態をさらに悪化させると予想されるためです・・・

 英国の自動車産業に関するデータ(以下出典:JETRO)によると、同国の乗用車生産台数(2016年)は約172万台で、うち半数近く(48%)の82万台余りを日産、トヨタ、ホンダの日系3社が生産しています。したがってこれら各社が英国から去ることになれば、同国の車作りは、関連産業も含めて大打撃は必至です。それに、この3社以外で英国に生産拠点を置くのは・・・ジャガー・ランドローバー(英国発祥ブランドで同国生産台数が544千台と1位だが、いまはインドの「タタ・モータース」傘下)やBMWなど、高級車ブランドに偏っている印象で、これでは一般英国民のニーズに同国生産組は十分に応えることができず、結局はEUや日本などからの大衆車の輸入が増えてしまいそう・・・(?)

 英国の貿易データによれば、2017年の同国の「道路走行車両」の輸出額は405億ポンドで、同輸入額は563億ポンドと、この分野では現在でも輸入超過です。この状況は、Brexitが促すであろう上記の動き等によって、いっそう悪化するのは避けられないでしょう。

 ちなみに自動車以外でも多数の本邦企業が英国に進出し、同国の輸出セクターに貢献していますが、これらの多くだって対EUで関税フリーだったからこそ英国にいる面があるわけで、そのアドバンテージが消滅するのならホンダと同様、英国から撤収し、もっと多くの収益が見込めそうなEU側に拠点を移す・・・か、日本に戻るなどの検討を進めることでしょう(帝国データバンクによれば、2016年時点で製造業だけで500社以上もの日本企業が英国に進出している)。

 以上、Brexitをきっかけに、ホンダをはじめとする日本各社の英国脱出の動きが今後、ますます加速しそうな中(?)、あらためて感じさせられるのは、英国には「何もない」―――正確には、日本や他国の企業にこうして出ていかれてしまっても、それらに代わって自国民のニーズを満たし、かつ他国にも売れるモノを作れる有力な英国オリジナル企業等がほとんど見つけられない―――ということです・・・

(続く)

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