今回の自民党総裁選挙の実施において、各候補の考えと実施公約の主張が、テレビでも活発に議論される様になった。
一強の独善性に侵された安倍政権末期では、国民に説明する場が少なく、とにかく自民党の内部だけの論争すら、少ない状況に喝を入れた様だ。
その中でも、日本の置かれた緊急の課題は、過激化する集中的な豪雨災害に対する治水のレベルの大幅な増強が必要となっている。
安倍政権の要にあった菅官房長官は、官邸の権限を最大限に活用して、既存のダムの管理システムに風穴を開けて、対策を推進した。
従来の官庁の権限では、治水対策用のダムは国土交通省の権限のもとに、集中豪雨が予想される事態では、事前のダムの水位を下げる放流を実施した。
これが効果がある事は明らかだが、経済産業省の管轄下にある発電用のダムでは、集中豪雨に備えての事前の放流は一切実施しないできた。
また、渇水対策として建設された農林水産省の管轄下の、農業用水ダムは、豪雨がきても満水にするのが目標だから、事前放流などは論外であった。
これでは、せっかくの地域の治水計画も、省庁の縦割り権限に囚われて、集中豪雨襲来の予測に対応した、事前の放流計画が実行できない。
菅官房長官の説明では、この三省庁の縦割りを打ち破って、連携した事前放流を実行できる様に、システムを改革した。
この連携システムによって、事前法流によるダムの貯水量の調整能力が、一気に2倍程度に向上したと言う。
予算不足を言う前に、実行可能な改革ができることの好事例である。