庵KM

技術屋OBの環境問題独り言

経済問題。交通問題。健康問題。そして、日本の国創り問題。快適社会問題。

働く人の待遇を優遇する掛け声だけに終始するニゲノミクス。

2016-02-07 | 経済問題

安倍政権の「一億総活躍への挑戦」という看板は、太平洋戦争に向けての【大本営の鼓舞】を連想させる、ブラック企業の感覚に近い。

つまり、寝る間も惜しんで、[お国のためなら倒れるまで奮闘せよ]との、人を酷使するイメージが付きまとう。

2014年の総選挙での政権公約には、「人手不足問題の解消」を掲げて、「適正な労働条件の確保を図る」と謳っている。

この適正な労働条件とは、説明もなしで、2015年初頭の施政方針演説では、画一的な枠をはめない【フレックスタイム制度】を拡充すると言い出している。

つまり、仕事をさらにきつくして、24時間フルに働ける環境を作りたいのだ。

 

その一方では、「時間外労働への割増賃金に引き上げなどにより、長時間労働を抑制します。」言い出している。

さらに「年次有給休暇を確実に取得できる」仕組みを創り、働き過ぎを防ぎ、「ワーク・ライフ・バランスが確保できる社会をつくる。」と宣言している。

この字句は、2015年に打ち出された施政方針演説にあるが、ほとんど、そのまま2016年初頭の施政方針演説にも繰り返されている。

この1年間で、何をしたかの説明もないので、成果はゼロなのであろう。

 

安倍政権の特性は、大企業のお友達経営者の言い分を聞くだけで、働き方をできるだけ自由にさせて、企業のお役に立つ人だけを重点活用したいのだ。

その反面で、ブラック企業的な人を酷使する企業体質に批判があるので、体面上では、働き過ぎの残業を減らす方向や、有休取得と奨励するポーズを採る。

体面を繕うだけと見られるので、改革は全く進む気配もなく1年が過ぎる。

安倍首相の本質は、人をやる気にさせる環境作りよりも、酷使して人手不足をなくせば、生産性が向上すると思っている様である。

 

その反面では、企業は儲けが増えても、人の価値を上げる給与増加は、最小に抑えることに専念している。

それで、非正社員の賃金を引き上げる具体策もないまま、「同一労働・同一賃金」やら、「均等待遇」を言いだして、カッコだけは挑戦する意欲をみせている。

実現への検討会は、挑戦の意欲もない「ヒラメ政治家」と「事なかれ主義官僚」ばかりだから、時間をかけて検討している実績だけを出す姿勢にとどまる。

こうして時間が経過して、賃金デフレに逆戻りをする流れが安倍路線なのだ。

春闘の賃上げ要請だけをしていても、消費購買力の上向きは限定的だ。(続)