安倍政権は「地球温暖化対策は、新しいイノベーションを生み出すチャンスです。」と施政方針演説で打ち上げている。
「温室効果ガスの排出量を2030年までに2013年比で26%削減する目標」のもとに、「再生可能エネルギーの大胆な技術革新、最大限の導入を進める。」
表向きだけは、果敢にイノベーションを引き起こす意欲とみれるが、実際の政策では全く、「従来の技術に埋没した既得権擁護」の方針である。
その典型が、温室効果ガスの削減政策に責任を負う【環境相が早々と白旗】を上げて、「石炭火力発電の大増設」を容認してしまった。
日本の電力業界は1998年に締結された「京都議定書の削減目標」には、後ろ向きの[CO2排出]削減しか実施せずに、海外の削減分の購入に依存していた。
国内の石炭火力発電所からの排出削減の努力はしないで、海外への資金援助などによる削減分を日本の削減量として組み入れて、やっと達成できた有様だ。
つまり、日本の電力消費者の【余分の電気料金分】で、削減義務をクリアーしたのであり、電力業界の努力分はゼロに等しい。
今回の『パリ協定』の削減目標では、既存の10電力業界という組織は解体されているので、達成目標に対して何も効力がなくなってしまう。
これは、電力自由化が進行して、現時点でも160社以上が参入しているから、どこがどのような削減義務の責任があるか、まったく不明になってしまう。
この事態を懸念して昨年には、環境大臣名で、石炭火力発電の新設計画には、[CO2排出]削減の計画ができていないことで、「是認できない」と警告した。
そこで経済産業省は、「電気事業低炭素社会協議会」を設立をして、そこが削減目標の実行計画をつくる仕組みで、[CO2排出]削減することにした。
しかし、計画の内容も説明できない段階であるのに、5回に渡って「環境省」の警告を発していた建設不許可方針を、「是認する」と大転換してしまった。
つい先だっての環境大臣は、「放射線の被ばく量」の無責任にも7日に講演した数値を、9日の国会質問で追及されると、12日にはあっさり撤回している。
「理解不足の失態」だが、政治的見識や人間性の欠損が疑われる事態だった。
これよりも、はるかに重要な国際的な合意の『パリ協定』の経過と、[CO2排出]削減の重要さを認識できていない閣僚は、失格としか言いようがない。
安倍首相は、この政治的欠陥を持った人物を、重要な「環境大臣」に任命した責任を負うべきであろう。
ことは国内問題なく国際的信用につながるのだ。(続)