安倍政権の「温暖化対策」の内容は、世界の中でも「最も後進的な妥協の政策」になっている。
特に火力発電の中で[CO2排出]の割合が、もっとも大きい「石炭火力発電」の温存を主眼として、新規の石炭火力発電所を増設する方針と採っている。
2030年における削減目標は、先進国の中では消極的な数値であり、それすらも達成は危うい状況にあるというのに、石炭依存を強める愚策を実行する。
何故、その様な選択をするかと言えば、目先に火力発電コストでは、石炭火力が最も安いから、という理由である。
世界の潮流をみれば、アメリカの「温暖化対策」は挑戦的な目標を掲げ、その具体策には、【石油に1バレルあたり10ドルの石油税】を課す方針である。
石油会社に負担させる税金で、今後の10年間に高速鉄道など、環境に配慮した交通網の整備に3200億ドル(約37兆円)投資する計画だ。
つまり、「温暖化対策には多くの投資を必要とする」から、これを積極的に実行する方針とすれば、設備投資や研究開発投資が活発になるのだ。
既存の石油火力発電所も、石油の課税することで経済性は不利になるので、市場競争の場からは退出して行く事になる。
旧時代の設備や産業には、退出させることで、新時代に適合する産業への投資が活性化するので、新旧の産業の後退が活発になるから、経済に有利である。
アメリカがリーマンショックの大不況から抜け出すために、異次元の金融緩和を実施して、ドル安の誘導によって、一部の製造業がアメリカに復帰した。
また、エネルギー調達の国内比率を改善するために、石油の代替となる「オイルシェールガス」の採掘を支援して、ついに商業レベルで普及拡大した。
この普及促進策により、アメリカの石油の輸入依存が減少して、ついに、輸入の必要性がなくなっている。
さらに、「地球温暖化対策」にも力を注いで、「再生可能エネルギー関連」の新産業が大幅に伸び始めている。
こうして、アメリカの経済は、超金融緩和を実施している期間中に、「エネルギーの自給化」を言う大きな国策のもとで、新産業の育成を図ったのである。
その成果は、国内の石油輸入関連産業を退出させ、中東への莫大な軍事費関係の産業も縮小を図ることで、経済の再生の成果に結び付けている。
政府の確固とした国策があるから、民間企業の投資が活発になるのである。(続)