民間企業においても、絶対に誤った施策をしないとは言えない。
一流の企業経営者であれば、社会や消費者から「過ちと指摘されれば、可能限り短期間で誤りを正す」のが、王道の経営である。
以前に「非正規雇用社員」の比率を増やして急成長した「ユニクロ」では、社会的に正社員比率を増やすべきである、との批判が高まってきた。
その批判に対して、「フーストリテイリング」の創業者は、企業の源泉は「働く人の意欲」が、最重要であるからとして、1万6千人を正社員として待遇する。
この正社員は「地域限定正社員」とする方針で、働く店や地域を限った勤務条件にすることで、本人の希望に沿うようにしていく。
これまでの制度でも「正社員に登用する機会」はあったのだが、希望者は少なかったということで、希望者の要望に応えた制度である。
「地域限定正社員」は遠距離の転勤はなく、「勤務時間は短くても良い」。
子育て中の主婦が働きやすくして、幅広い層で優秀な人材を集めることが出来る。
この制度を活かして、約3万人の「非正規雇用社員」のうち1万6千人を「地域限定正社員」に登用する方針である。
パートやアルバイトよりも「長期雇用や賃金アップ」が見込めて働く人の意欲を引き出す効果を期待している。
正社員の登用で「人件費の増加はあるが、採用や教育にかかる費用を削減できる」ことで、経費の増加は最小の抑えることができる。
この方針を打ち出したのは、2014年3月であるから、格差社会問題が大きくなる前に社会の動向を察知して、企業経営を進化させている。
さすがに一流の経営者は、「誤った施策に気がついたら即座に決断」して、より優れた制度や施策に取り組んでいる。
働く人の希望にそえる勤務制度を考えて、しかも意欲を引き出せる「安定した正社員の待遇」を保証するので、企業への一体感も充実していく。
デフレ経済を長期化させた大きな要因は、【賃金デフレ】であり、その大きな部分を占める「非正規雇用社員」の増大であったことは、いまや常識である。
民主党政権に交代した時の公約でも、「派遣労働者の雇用の安定を図る」と掲げておきながら、実質的には何もできないで、「不安定な派遣労働者」は増え続けた。
安倍自民党政権になってからも、「非正規社員の処遇改善や正社員化を支援します。」との政権公約は、全く政策検討すらしていない。
一流の経営者の状況判断力と実行力に、すこしでも見習って、正社員化の実行策を本気で検討すれば、3年間もあれば大きな成果が出ているはずである。
それが、「アベノミクス」のお金政策ばかりで、「デフレ脱却ができる」と、大きな勘違いをして、時間を無駄にしている政治家のレベルは三流以下である。(続)