安倍内閣の発足時には、経済の再生はおカネの流通量を異次元の緩和で増やせば、企業の投資が活発になると想定していた。
この認識は、今や完全に誤りであったのが判明しているが、未だに、その流れから抜け出せないで、GDPはマイナス成長に落ち込む寸前である。
これでは、インフレターゲット政策は水泡に帰すとの危惧から、日銀はついに「超金融緩和」からさらに異次元の「マイナス金利政策」に移行した。
この政策によって、金融業の収益は悪化する懸念で、全体の景況感はマイナスに転じて、株価は下落傾向になるばかりで、消費マインドを冷やす。
イノベーションの下地が冷えたままでは、新規投資が増える要因は全くないのだから、おカネの供給を多量にしたり金利を下げても需要は減少する。
需要が増える下地をつくりだすのは、大多数の働く国民の収入を上げることから始まるのが、すべてのスタートラインである。
安倍政権は盛んに「経済の好循環を引き起こす」と言いだしているが、このスタートラインを、1番目がお金の流通を潤沢にする、としたのが、間違いだ。
お金の流通が増えれば、企業の投資マインドが上向く、との幻想は捨て去ることが始まりだ。
消費者である『一般国民の収入が増える』ことが、消費マインドを増加させて、需要が上向く流れができるので、企業は借金してでも投資に踏み切るのだ。
民間企業の懐が増えたから、投資するのではないの明確だ。
それでも安倍首相は、最初に企業を儲けさせなければ、企業は賃上げには応じないから、儲けさせるのが最初の仕事だと思い込んでいる。
そうではなく、[最初の賃金の引き上げを誘導する]ことこそが、政府がやるべき役割なのである。
これは、新自由主義経済では、あり得ないと考えるスジミチである。
安倍首相は、経済再生を最重点に取組み、デフレ脱却なくして日本の将来は描けない、と危機感を表明している。
その割には、、国民が望んでもいない【安保法制の憲法違反気味の改訂】には、蛮勇をふるって強行採決への熱意を注ぎこんだ。
『挑戦する意欲』を向ける対象を、「賃金デフレ」からの離脱に向けて、「できることは何でもやる」との決意をするべき時期に、逃げていたのだ。
今年になってから、「挑戦」を繰り返して言い出したが、まだ挑戦していない。