東矢憲二の「気づきの経営」

経営コンサルタントとしての長年の経験を活かして、様々な気づきをご紹介します。
毎日読んでいただくと、心がホンワカ・・・

インディアン流

2008-10-15 | 経営の気づき
コーポラティブハウスをご存知ですか。
気の合った人達で組合を作り、自分達で企画して、例えば、自分達の住まい方を持ち込めるマンションを建設したりするのです。
事業者が建設したものを購入するのではなく、自分達で企画して、建設業者に建てさせるのですから、快適な生活が約束されます。


そのコーポラティブハウス作りを推進しているある設計士さんが、こんなことを言っていました。
「私は、参加者にとにかく徹底して自分の主張を通してもらうことにしている。絶対に妥協しなくて良いといっている。だから、最初に全員が揃う集会は、徹夜覚悟だ」


例えば、どの階に住むかといった場合、希望を聞くとどうしても最上階に希望者が集中するそうです。
そこで、希望の多い部屋に対しては、プラスアルファの価格差を設定します。
そうすると、最適条件の部屋に住みたいという人は減ってきます。
このような作業を繰り返すことによって、結果的に、本人達の希望を全てかなえる家作りが出来ます。

現代人は、妥協を許さないで徹底的に話し合うことを避けています。
めんどいから、衝突をしたくないからということで、中途半端に妥協します。

アメリカの西部開拓史に登場するインディアンは、戦いをするかどうかの会議は徹底的に論議します。
3~4日徹夜で話し合うことも、映画の中で登場しますが、実は、インディアンは、全員が賛成しないと行動しないという不文律の掟があるようです。


如何ですか。
皆様方の職場では、徹底した意見交換がなされていますか。
相手方を大切に思う気持ちがあれば、両方が納得するまで、とにかく話し合うことが必要ですよね。


サラリーマン金太郎

2008-10-14 | 私の師匠
某上場企業(商社)に勤めるH氏は、数年前に中国支社長として広島市に赴任しました。ところが、赴任して支社の業績を把握していくうちに、色々な問題に気付きました。一つは、支社の業績を高く見せかけるために、押し込み販売等、偽装工作に近い事を平然と組織ぐるみで行なっているわけです。
企業ではよく行なわれている行為ですが、彼は、本来の業績改善アクションを起こすための「悪の根源」とみなし、歴代の支社長が容認した行為を否定しました。おかげで、各職場は大混乱をきたすし、営業成績は大幅ダウンします。


例えば、期末には得意先に無理を言って一時期商品を引き取ってもらい、その後返品をしてもらえば、見かけ上の売上は上がります。これらのことを一切認めないことにしたわけです。したがって、見かけ上の業績は下がり、本社からはきついお叱りを受けました。

H氏は言い訳をしませんから、駄目な支社長としてのレッテルを貼られるわけです。そのとき、彼は家族に対して、「自分は首になるかもしれない。けれども、家族を路頭に迷わすことは絶対にしないから、自分を信じてついてきてくれ」と話していたそうです。


ところが、H氏に感化されていく社員が増えていくに従って、業績がもり返してきました。この業績は見かけの業績ではなく、本物の業績です。そして、3年後、H氏は、首都圏支社長として栄転しました。


この話、実話なのですが、日本経済が立ち直らない原因と繋がっていると感じませんか。問題を先送りにしようとする歴代の政治家と官僚、実は、企業においても同じような体質があるのです。


最近は、企業の倫理観が問われる時代ですが、「問題を直視する強い姿勢」「人間としての本質から外れない行動」は大切にしたいものです。

経営の健康診断

2008-10-13 | 経営の気づき
病気という体の異常は、回復不能に陥らないための「注意信号」です。
したがって、風邪をひきやすい人は、風邪の症状をおさえることよりも、風邪をひきやすいという「バランス機能の乱れ」を修正する努力をすべきです。

例えば、ライフスタイルを変えることによって、抵抗力の強い体になるとか。
要するに、病気という状態は、健康への手がかりを私達に示唆している「生命機能のメッセージ」です。

逆に、健康は、常に病気への火種を含んでいることも忘れてはなりません。
見かけは健康でも、体の中は異常事態に陥っているかも。


自分が健康だと思っている人は、異常な状態が許容範囲内におさまっているだけの話です。
そのために、定期的に健康診断を行う必要があります。

その意味では、人間の体に対する健康配慮は、企業経営体に比較すれば、随分、気遣いのレベルが高いと言えます。
大企業はともかく中小企業の場合、徹底的に経営診断することは少ないのですが、その必要性を感じて頂きたいです。

自覚症状が出てからでは遅い。
早めの経営診断を、是非、お願いします。



アンケートのマジック

2008-10-12 | 私流
分析レポートをまとめる際に、活用されるのがアンケートです。
しかし、読者側からすれば、報告書に掲載されるアンケートの集計結果を、そのまま信用するのはまずいでしょう。


何故ならば、執筆者は、自分の理論展開に都合の良いアンケート集計のみ活用しており、不都合なデータは記載しないからです。
執筆する際には、着地点と理論展開を考えながら、集計結果を用いますから、理論展開にそぐわないデータは用いないことになります。


テレビ報道で流されるインタビューにしても、取材後の編集時に、本番に用いるものを決めますから、考えてみれば怖いですよね。
場合によっては、視聴者の思想を誘導するのですから・・・

心が温まる話

2008-10-11 | 雑談
私は緑内障です。
視野が狭くなり、時には失明するかも知れないという病気ですが、現代医学では治しようがありません。


しかし、私の尊敬している気功の先生からは、「感動して大いに心が震えれば治ると」言って頂きました。
ということは、緑内障は「心の病」ということでしょうか?
そこで、お願いです。
皆様方に、感動的な体験談をご投稿頂きたいのですが、如何でしょうか。


毎日、時間に追われた生活を送っていると、心に弾力がなくなってきます。
これは私だけでしょうか。
もし、奇特な方が温かいお話を送っていただければ、その話を囲炉裏代わりにして、皆で温まりましょう。
心を温めて、人生を弾ませましょう。

Good Company

2008-10-10 | 経営の気づき
良い経営とは、無駄を省き欠点を取り除くことではありません。
良い経営とは、手間をかけ長所を伸ばすことです。

良い経営とは、安いものを高く売ることではありません。
良い経営とは、高いものを安く売れるように工夫・努力することです。

良い経営とは、小さな努力で大きな効果をあげることではありません。
良い経営とは、大きな努力で小さな効果を積み上げ、大きな宝を育てることです。

良い経営とは、大きな努力そのものなのです。
如何でしょうか。

パワーアップの秘法

2008-10-09 | 経営の気づき
心理的特性の中で、体に対する影響がもっとも大きいのは、「信じる」ということです。

かなり古い話ですが、九州大学で行われた面白い実験結果があります。
漆に触るとかぶれる人に対して、漆の葉をクリの葉と偽って紹介した上で、触ってもらうとかぶれないのに対して、その反対の現象も現れました。


人間の深層意識にあるものが体に影響してくるという実験ですが、ここで注目したいのは、「考える」と「信じる」の違いです。

人間の行動は、当事者の考えによって行動をおこしますが、そのアクションが何を信じた上での行動かによって、もたらす結果に大きな違いが出てくるという事実です。
単なる考えに基づく行動ではなく、信念を持った行動を、普く社員に行き渡らせることによって、当該組織は強力な行動力を発揮します。


多分、経営者が本来発揮すべき経営機能の中で、最高レベルで重要なのがこの部分でしょう。


学び力

2008-10-08 | 私の師匠
人生の師匠は、至る場所で見つかります。
先日も、県内出張の車中、同行者から次のような話を聞きました。
同感、感服でした。


「最近の高校野球は、教える順序が間違っている。テクニックが先行して、人間教育が後手に回っている。だから、監督やコーチのしごきに耐えられない。本来は、忍耐力を先に育てるべきだ」


少し話がそれますが、そう言えば、調理人や宮大工など職人さんの教え方は、最初から手取り足取り教えないのが常です。
親方や先輩のしぐさを見て、気配を感じて、技を盗み取るとか。
学習環境を完璧に保つのが、教える側の務めではなく、「早く学びたい」「最高の技を学びたい」という動機付けこそが、大きな課題なのでしょう。
したがって、人間教育が、どの世界の教育においても、原点だと言えます。

剣の極意

2008-10-07 | 経営の気づき
宮本武蔵が、剣の極意を伝える「免許皆伝」の中で、「守・破・離」を次のように説いています。

最初の段階は原理原則を徹底的に学び、その原理原則の方法を守り続けなければならない、これが「守」です。
次の段階は、「破」。
「破」は、原理原則をいつまでも守っていては成長がなく、時には原理原則を破らなければならないという意味。
そして、最終段階が「離」です。
自分流の方法をいつか編み出して、原理原則から全く離れなければ、自分の腕は確立できないと言うのが、「離」です。


実は、この手法は、私のコンサルの手法でもあります。
新しい分野の仕事は、徹底して基本を学び、その原理原則を縦横無尽に使いこなしますが、やはりは、自分流の視点・提言がないと、面白みがありません。
だから、私の仕事は、同じテーマを与えられても、いつもアプローチと答えが違っています。


このことは、経営全てについて当てはまります。
新しい業態開発とか新規事業の開発は、まさに原理原則から離れることによって、新規性が盛り込まれます。
したがって、経営の極意も、「守・破・離」にあるとみてよいでしょう。


社長の評価

2008-10-06 | 経営の気づき
社員のやる気を引き出すためには、どのような方法が考えられるでしょうか。それは、社長の言葉ではなく、社長の行動、もっと具体的に言うと、社長の後姿です。社長が社員に向かって話しているうわべの世界ではなく、社長は何を考えてどのような行動をしているか、その本音の姿を見ているわけです。


その点において、参考に供したい例があります。中堅メーカーのI社ですが、新しく就任したときに、経営風土の変革を目指して、従業員に社長評価を行ってもらっています。評価事項は次の7項目で、これを7段階で評価してもらっており、毎年同じ項目を設定することで、社長の考え方を知って欲しいと考えています。


社長は、わかりやすい言葉で、企業理念や経営方針について、繰り返しメッセージを出しているか
社長は、積極的に実務現場を自分の足で歩いているか
社長は、素直に人の話に耳を傾け、理解しようとしているか
社長は、「個人的好き嫌い」ではなく、公正に人を評価しているか
社長は、自分が下した判断について、失敗も含めて必ず振り返りを行い、それを社内に公表しているか
社長は、「勝ち残る」ための企業変革に、本気で取り組んでいるか
社長は、実務現場の意見・アイデアを、お客様・市場動向など十分に把握した上で、信頼できる決定や判断を打ち出しているか

以上の項目は、評価結果を公開しています。項目だけを見れば、取り立てて言うほどのことはないのかもしれませんが、社長にとって、自分に対する社員からの評価を公表することにはかなりの勇気が必要です。十分な準備なしにやると、失敗することもあるでしょう。しかし、すぐに効果は期待できないとしても、このような社長の姿勢こそが、経営への信頼感をつくり上げることになります。


実行の伴わない言葉だけで、経営への信頼感をつくれるほど、事は簡単ではありません。しかし、最近、高校や大学でも、講師に対しての評価を生徒達から求めることによって、教師の緊張感を醸成しようという動きもあるように、トップが己の姿勢を正すために、下に位置する者から評価を受ける姿勢は、評価すべきだし見習いたいものです。


破綻懸念先からの脱出

2008-10-05 | 経営の気づき
金融庁は、債務者区分の基準を示した「金融検査マニュアル」に基いて、金融機関の検査を行なっています。
この債務者区分とは、金融機関の行なった融資が不良債権になっているかどうかを判定する目的で、融資先をランクわけしたものです。

融資先は、「正常先」「要注意先」「要管理先」「破綻懸念先」「実質破綻先」「破綻先」の6区分のどれかに分類され、どのランクに入っているかで、金融機関の融資姿勢が大きく変わります。
したがって、皆様方の会社はどのランクになっているか、金融機関に直接尋ねられてもよいでしょう。

因みに、検査ポイントは次のとおりです。
「企業の実態的な財務内容」「役員報酬や家賃の支払」「代表者等の個人資産」「技術力・販売力などの将来性」「経営者の信用力や経営資質」「業種の特性」「経営改善計画の策定」「貸付条件及びその履行条件」。
以上の項目の中で注目したいのが、後ろから二番目「経営改善計画の策定」です。

財務状況が悪くても、優れた経営戦略、経営改善計画があれば、ランクアップも可能ですので、悪いランクになっている場合は、経営改善計画を策定するべきだと言えます。


経営改善計画の策定は、金融機関に対して好影響を及ぼすとともに、自社にとっても、明確な道しるべが出来るという大きな成果があります。

勉強や仕事を楽しむコツ

2008-10-03 | 人生の気づき
一般的に、仕事や勉強は辛いもの、遊びや趣味は楽しいものと考えていますが、果たしてそうでしょうか。
私は、仕事や勉強が辛いものであるという決め付けは、そのことを能動的にこなしていないため、受身的に従事しているから生じていると考えます。
もし、仕事や勉強を、遊びや趣味のように自分で選択したものを自分流にこなしていけば、充実感や達成感が得られて苦痛から開放されるはずです。


しかし、残念ながら、仕事は「職制上、与えられる」ものであり、勉強も「本人の立場上、義務付けられる」ものとなり、自分で選択出来る範囲が非常に狭くなっています。
「では、仕事や勉強は、自分でコントロール出来ないのでしょうか」と、貴方に問いかけるとしたら、貴方はどのように回答されるでしょう。
即座に「はい」と答えられる方は、現状容認派であり、あまりにも創造性の乏しい方です。


このように考えられないでしょうか。
例えば、仕事だと、上司から指示されている仕事・職制上遂行しなければならない仕事は、出来る限り早めに完了させて、自分で工夫して見つけた仕事、自分の才能を発揮出来る仕事の割合を増やすように努力するのです。
要するに、仕事することが楽しくなるように、仕事環境を可能な範囲で修正すれば、自分にあった仕事環境が整います。


学校教育や社内教育においても同様のことが言えます。
本人が学ぶこと自体が楽しくなるように、学習環境(学ぶ当事者が主体者であることを考慮すると、教育環境というよりも学習環境の言葉の方が適切)を整えるのです。
したがって、「学習する本人がカリキュラムを組み立てる」「本人が好きなことを全体の7割・本人は嫌いだが立場上求められているものを3割」「周囲の人に自慢出来るほどの特別のスキルアップ」この三つの方向性を機軸にすえると、趣味のように楽しめる学習環境が整備されると思いますが、如何でしょう。

ストレス克服法

2008-10-02 | 経営の気づき
ストレスという言葉は日常語になっていますが、20世紀の初めに、カナダの生化学者が初めて使い、その後世界に広まったと聞いています。
ストレスとは、外部からの刺激により生命体の中で起きる、心理的、生理的な歪みで、この歪みが原因となって、様々な悪影響が現れます。


しかし、面白いことに、ストレスは受け手の心理的特性によって、現れ方が違ってきます。
特に、「信じる」という心理状態に特徴があるとか。

企業経営の場面で考えてみましょう。
尊敬する上司のもと、気の合う仲間と計画したプロジェクトに参画し、月間150時間の残業をこなしても、過労死には至りません。
しかし、この半分の負荷でも、いやいやする仕事の場合、大きな負担になり体を壊します。


だからこそ、適正な「経営理念」とか「組織の一体感形成」が求めらます。
信じあえる者達が一体化した組織が強いのは、生命体の特殊性がもたらしているのです。

やらせ報道の体験

2008-10-01 | 雑談
コンサルタントという仕事柄、テレビ出演も時にあるのですが、やらせ報道に2回ほどつき合わされました。
ただし、時効の古い話なので、その点お含みおき下さい。


一つは、民放ではない某局の話です。
私が執筆を任されている某機関誌の取材として、地域おこしのために起業した第三セクターを訪れた際の出来事です。
私は取材の為に同社を訪れたのですが、テレビ局は、県外の企業から商談に訪れているという説明で、私を映しました。
当日のニュースを見て唖然としたのは、当然のことです。


もう一つは、東京の著名な民放局です。
国の補助事業を利用して、商店街を活性化させたという特番で、既に終了している事業を、いま行っている最中の事業として報道されました。
これも、びっくりです。


確かに、ニュースの対象となる事実は、事後的に分かるので、その瞬間を撮影するのは難しいと思われます。
でも、視聴者は、報道された事柄を信じますから、事実を曲解することになります。
以来、私のニュースを見る目は、いつも斜め45度の角度です。