東矢憲二の「気づきの経営」

経営コンサルタントとしての長年の経験を活かして、様々な気づきをご紹介します。
毎日読んでいただくと、心がホンワカ・・・

サラリーマン金太郎

2008-10-14 | 私の師匠
某上場企業(商社)に勤めるH氏は、数年前に中国支社長として広島市に赴任しました。ところが、赴任して支社の業績を把握していくうちに、色々な問題に気付きました。一つは、支社の業績を高く見せかけるために、押し込み販売等、偽装工作に近い事を平然と組織ぐるみで行なっているわけです。
企業ではよく行なわれている行為ですが、彼は、本来の業績改善アクションを起こすための「悪の根源」とみなし、歴代の支社長が容認した行為を否定しました。おかげで、各職場は大混乱をきたすし、営業成績は大幅ダウンします。


例えば、期末には得意先に無理を言って一時期商品を引き取ってもらい、その後返品をしてもらえば、見かけ上の売上は上がります。これらのことを一切認めないことにしたわけです。したがって、見かけ上の業績は下がり、本社からはきついお叱りを受けました。

H氏は言い訳をしませんから、駄目な支社長としてのレッテルを貼られるわけです。そのとき、彼は家族に対して、「自分は首になるかもしれない。けれども、家族を路頭に迷わすことは絶対にしないから、自分を信じてついてきてくれ」と話していたそうです。


ところが、H氏に感化されていく社員が増えていくに従って、業績がもり返してきました。この業績は見かけの業績ではなく、本物の業績です。そして、3年後、H氏は、首都圏支社長として栄転しました。


この話、実話なのですが、日本経済が立ち直らない原因と繋がっていると感じませんか。問題を先送りにしようとする歴代の政治家と官僚、実は、企業においても同じような体質があるのです。


最近は、企業の倫理観が問われる時代ですが、「問題を直視する強い姿勢」「人間としての本質から外れない行動」は大切にしたいものです。